もうおなじみのモバイルゲームの老舗メーカー「カイロソフト」。
そのカイロソフトから、食堂を経営する新しいシミュレーションゲームが公開されました。
大盛グルメ食堂」です。

このゲームはガラケーでは 2010 年の5月に公開されており、Android 版は今年(2012年)の3月に公開されていました。
iPhone 版はそれから4ヶ月ほど遅れての公開になったのですが、今回から正式に iPad に対応したユニバーサルアプリになっているので、その調整に時間がかかったのかもしれません。
(と言っても 2012/7/26 現在、初代 iPad でやると画面が崩れてしまい、まともに動作しないのでご注意を。 新 iPad では問題なくプレイできます)

カイロソフトのゲームは 開幕!!パドックGPサッカークラブ物語 のような「コマンド型」と、ゆけむり温泉郷 や 財閥タウンズV のような「施設配置型」に大別されますが、このゲームはコマンド型になります。
店舗を改装していく要素はありますが、設備の置き場所は決まっていて、好きな場所に配置できる訳ではありません。
しかしなかなか奥の深いゲームで、シンプルなシステムながら豊富なやり込み要素を持つ、カイロらしいゲーム性のアプリと言えます。

大盛グルメ食堂

ゲームの進行自体は非常にシンプルです。
店舗内にテーブルを置いて、メニューに販売する商品を並べ、店員を配置すればお店は自動的に運営されていきます。
最初からテーブルや商品、店員は必要な分だけ配置されているので、プレイヤーはゲームの進行に応じて追加していけば OK です。

ゲーム序盤に赤字になることはまずなく、運営自体はとても簡単です。
むしろ序盤はあまりのやることのなさに驚くかもしれません

ゲームが進むと徐々に新メニューの開発経営計画の実行店員の雇用などを行わなければならなくなりますが、全体としてはカイロソフトのコマンド型のゲームの中でも特にシンプルで、ほとんどの時間は店内の様子を眺めて進行します。
ただ、チビキャラがちょこまか動く店内の様子は見ていて面白く、眺めているだけでも楽しいですね
この点は他のカイロソフトのゲームと同様と言えます。

大盛グルメ食堂
※壁や床などは自分の好みの物に変更することが可能です。
ただ、テーブルや設備は指定された場所にしか置けないので、自由にレイアウト出来る訳ではありません。
地域は5つあり、店舗は3店まで運営可能で、新店舗を出すときは事前に店員を増やしておくのがコツです。


非常にシンプルな内容でありながら、このゲームを奥深いものにしているのが「メニュー開発」。
料理には「味」と「魅力」、そして「価格」の3つの基本ステータスがあるのですが、さらにこれに加えて「健康」「食感」「見栄え」「ボリューム」などの8項目に分かれた詳細ステータスがあります。

これらを高めるには、既存の料理に食材を組み合わせて行う「メニュー開発」をする必要があります。(開発と言うより改良)
営業時間終了後に少しずつ進められ、完成すると商品のステータスがアップし、価格が上がることも多いので売上アップが期待できます
さらに、が良くなるとお客さんに満足してもらえ、魅力が良いと注文数や来客数が多くなります。

開発を行うための「食材」は定期的に実行できる「探索」で見つけるか、ゲームが進むと登場する商人から購入できます。
多くの食材をそろえている方が、開発時に相性の良いものを見つけやすいですね。

また、特定の商品と食材でメニュー開発を行うと「新メニュー」を発見する事が出来ます。
この組み合わせはイベントなどで手に入る「レシピ」で徐々に判明していきますが、レシピがなくても組み合わせさえ合っていれば開発することは可能です。

大盛グルメ食堂
※メニュー開発は深夜に行われます。 開発担当は序盤は「目利きシェフ」の方が良く、「研究心の向上」スキルを持っていた方が有利な模様。 もちろん調理の能力も必要です。
相性の良い食材を選び、味と魅力を高めるイベントを起こすのが開発の基本ですね。


大盛グルメ食堂
※探索での食材探し。 探索すると上部に表示されているメーターが増えていき、最大になると設備やレシピなどの「お宝」も手に入ります。
探索できる場所は店舗がある地域に応じています。 よって探索場所を増やすには、別の地域に出店するか移転する必要があります。 ただし後半の探索場所ほどかかる費用も高くなります。


しかしこのゲームの難しい点は、味や魅力以外に「健康」「食感」「見栄え」などの詳細ステータスも存在すること。

食材ごとに各詳細ステータスを増減させる効果があり、単に相性の良い物を選ぶだけでは、この詳細ステータスが偏ってしまう場合があります。
例えば相性が良くても食感や香りを減らしてしまう食材の場合、開発しても「味」はあまり上がりません。
さらに価格に関係する「見栄え」「ボリューム」「カリスマ性」などが大きく下がる組み合わせの場合、「開発したら逆に値段が下がってしまった」なんてことも起こり得ます
(味と魅力は開発前より下がることはありません)

さらにお客さんには重視するステータスがあり、例えばサラリーマンやお年寄りは「健康」を重視し、若者は「食感」、主婦は「カリスマ性」を重視します。
味や魅力を高い数値まで高めても、その結果「健康」が 0 になっている場合、サラリーマンやお年寄りの評価は得られません。

しかしほとんどの食材は「健康はアップするけど見栄えは下がる」みたいに得手不得手があるものが多いので、このバランスを取ろうとするとすごく大変です。
メニュー開発の際には、食材の相性(つまり味と魅力)を重視するのか、特定のステータスを重視するのか、それともバランス良く上げていこうとするのか、その辺を考えながら作っていく必要があります。

もちろんカイロソフトのゲームですから、テキトーにやっても倒産するようなことはなく、初心者は初心者なりに楽しめるようになっているのですが、解れば解るほど組み合わせに悩むシステムで、SLG 上級者でも十分楽しめる奥深さを持っています。

お客さんが自分の好みにあったメニューを注文すると、その客層の評価点が上がっていき、一定以上になると新しいお客さんや新商品、経営計画などを提供してくれます
よってゲームは主に「メニュー開発 → 満足したお客さんが経営計画を紹介 → 経営計画を実行 → 新しいお客さんが登場」のサイクルで進んでいく事になります。

大盛グルメ食堂
※この8項目の詳細ステータスが後々重要になってくる。 しかしどれかを上げればどれかが下がる食材が多いのが辛いところ・・・
バランス良くあげたいところですが、序盤は食材が少なくてそうも言ってられないので、メニューごとに分担する方が良いです。
序盤は小麦粉やネギ、生姜などがマイナス値が少なくて比較的使いやすいですね。 中盤はトマトや小ぶりの貝が有用です。
ゲーム終盤になるとマイナスがない熟成チーズが便利ですが、そう簡単に手に入りません・・・


大盛グルメ食堂
※メニュー開発のシーン。 星の多い食材の方がステータスに与える影響が大きいようです。
画像は「うな重」が出来る組み合わせで、新メニューが出来る場合、レシピがある場合は「○○が出来そうです」と表示されますが、レシピがなくても「見事な組み合わせですね」と表示されます。 よってセリフで新メニューが出来るかどうか判別できます。


もう1つの今作の特徴は、「2号店」「3号店」を出店できること。 これはカイロのゲームには珍しいです。
ゲーム中は1つの店舗の様子しか確認できませんが、ちゃんと他店舗も平行して運営されていて、複数のお店を営業することができます。
増築でお店をかなり大きく拡大する事も可能で、この点は配置型のゲームのような「拡張する面白さ」があります。

一方、今作の難点はゲーム進行がかなり遅いこと。

料理が豊富で、店舗の増築や移設など目標になるものも多いため、後半になるとダラける、みたいなことは今作はありません。
しかしとにかくゲームの進行がスローペースで、普通カイロソフトのゲームは5時間ほどでスタートからスコア集計まで辿り着く場合が多いのですが、このゲームは5~6時間では全体の半分ほどしか進みません。
今までのカイロソフトのゲームより、明らかに進行が遅いです
これだったらもっと早くから「高速」を解禁しても良いんじゃないかと思います。

あと若干気になったのは、これは攻略にも関わる部分ですが、4月の給料の支払いについて。
このゲームは従業員の給料が年俸制になっていて、4月に一括して支払われます。
最初は店舗が小さいので従業員も少ないのですが、お店が増えて大きくなり、従業員が多くなると給料の額もどんどん増加していきます。 おまけに従業員はレベルアップでも給料が増えます。

これにより、ゲーム中盤からは4月にビックリするぐらいの人件費を取られることになります。
給料を無視してゲームをプレイしていると、破産して詰むケースもあるんじゃないか? と思うぐらいのレベルです。

まあ、これは給料をちゃんと考えて運営していれば大丈夫ですし、1つのゲーム性でもあると思うのですが、人件費で財政がパンクしかねないと言うのは、カイロソフトのゲームには珍しいパターンですね。
この点は事前に注意しておく必要があるでしょう。

大盛グルメ食堂
※恐怖の給料日! 毎年4月には「ドドーン」と出費が来る。
しかもこの月は食材探索の月でもあり、ここで赤字になると探索はキャンセルするしかなくなる。
事前に十分なお金を貯めておくようにしよう。 あと給料が高すぎる店員は前半はスルーすること。


価格は 450 円。 いつものカイロゲームの値段ですね。

いつも以上に「眺めている時間」が長いゲームなので、その点が良し悪しなのですが・・・
まあ、眺めているだけでも楽しいゲームだし、メニュー開発はなかなか面白いので、私的にはカイロソフトのゲームの中でも好きな方です。
ただプレイ時間があまりに長すぎるので、もうちょっとサクサク進めばなぁ・・・ というのも否めませんが。

とりあえず、カイロソフトのゲームが好きな方は押さえておくべきゲームでしょう。

大盛グルメ食堂 (iTunes が起動します)


【 ちょこっと攻略 】

今回のちょこっと攻略はワンポイントアドバイスと、序盤の攻略を書いておきたいと思います。

・各料理の基本ステータス(味、魅力、価格)には上限値があります。 例えば「すまし汁」は開発しても味や魅力が 100 未満で止まります。 出来るだけ上位の料理を主力商品にしましょう。
・本文にも書きましたが、4月の給料の支払いがポイントです。 1月を過ぎたら4月の支払に備えてお金を貯めて下さい。 赤字になっても倒産はしませんが、食材探索や経営計画が行えなくなります。
・上位店員のスカウトは、ヘタに給料を上げないように。 例えば月給 10 万で雇ってしまうと、1年で 120 万の出費になります。 序盤だとそれだけで破産しかねません。
・メニュー開発は最初は相性の良い物を選び、「味」と「魅力」を上げていきましょう。 ただし「見栄え」「カリスマ性」が下がりすぎると単価が減少してしまいます。 この2つが下がりすぎないよう注意。
・ある程度ゲームが進んだら、評価が低いお客さんの好みを狙い打ちした商品を作っておきましょう。 ある程度狙わないと、客層によっては高評価をなかなか得られません。 高評価が得られないとお客さんも経営計画も増えません。
・料理人は「目利きシェフ」「和食の達人」「洋食マスター」を Lv5 にすると「5つ星シェフ」になれますが、和食と洋食になるには「中華料理人」を Lv5 にしないといけないので、5つ星を目指す場合は一通りの調理職を経由しなければなりません。
・ホール担当が「一流スタッフ」以上の特殊職になるには料理人のレベルも必要になります。 しかしそうするとかなり多くの職をマスターしなければならないため、大変なのはもちろん、給料もかなり高額になってしまいます。 ホール担当の特殊職はやり込み要素と言っていいでしょう。

● ジャンル別、序盤の攻略の一例

・和食メイン (初期メニュー:おやこ丼、うどん、すまし汁)
とりあえず「おやこ丼」を開発して序盤の主力商品にしよう。
うどんは「特大ハクサイ」と組み合わせれば「ちゃんぽん」になる。序盤の商品としてそれなりに優秀。
また「うどん+醤油+にんじん」で「焼きうどん」になる。ちゃんぽん程ではないが、序盤の商品としては使える。
うどんは初期の探索で手に入るので、これらは他のジャンルでも応用可能。
農家や牧場の探索で「骨付き鶏肉」が手に入ったら、「すまし汁+特大ハクサイ+骨付き鶏肉」で「鍋」を作れ、主力商品にできる。
「うどん+骨付き鶏肉」で「ラーメン」を作り、「ラーメン+醤油+朝採りたまご」で「つけめん」を作っても良い。ただし骨付き鶏肉がレアなので運次第。
ゲンコツタウンの魚市場で「おいしい魚」が手に入れば、「おやこ丼+おいしい魚+秘伝のたれ」で「うな重」が出来る。これはラストまで使える主力商品だ。

・中華メイン (チャーハン、シュウマイ、野菜炒め)
とりあえず「野菜炒め」を開発して序盤の主力商品にしよう。 ただし食材の野菜系は「見ばえ」「カリスマ性」が下がりやすく単価が上がりにくいので注意。
「シュウマイ+小麦粉+秘伝のたれ」で作れる「お好み焼き」は十分に主力商品に出来る。
さらに「シュウマイ+ねぎ+生姜」で作れる「ギョウザ」も近所で材料がそろう割に優秀で、相性の良い食材も多い。
ゲンコツタウンに出店後、裏山で「激辛スパイス」、牧場で「ハーブ」が手に入ったら、チャーハンと激辛スパイスで「カレーライス」を作り、さらに「カレーライス+小麦粉+ハーブ」で「インドカレー」を作れば、最後まで活用できる主力商品になる。 ただハーブがなかなか手に入らないので状況次第。
牧場で「かぼちゃ」と「大根」が手に入った場合、野菜炒めと組み合わせると「煮物」になる。 これも主力商品に出来る料理だ。

・洋食メイン (オムレツ、スパゲッティ、サラダ)
とりあえずスパゲッティを開発していくか、「オムレツ+無農薬米」で「オムライス」を作り、これを序盤の主力商品にする。
農家の探索で「新鮮牛乳」と「朝採りたまご」が手に入ったら、「スパゲッティ+新鮮牛乳+朝採りたまご」で「カルボナーラ」が作れ、これを主力にできる。 ただ牛乳はやや手に入りにくい。
ゲンコツタウンの牧場で「マッシュルーム」が手に入れば「スパゲッティ+マッシュルーム+ほうれん草」で「和風パスタ」が作れ、これも主力商品にできる。
基本はパスタがメインで、サラダの上位はゲーム後半まで作れない。 序盤は一番辛いジャンルかもしれない。

・軽食メイン (ライス、からあげ、トースト)
とりあえず「からあげ」を開発して序盤の主力にしよう。
トマトが手に入ったら「トースト+トマト」で「ピザトースト」が作れる。 序盤の商品としては優秀。
序盤は他に有用な商品がなく、「ライス+のり」で「おにぎり」になるが価値はイマイチ。
ただ「ライス+にんじん」でチャーハンになるし、「ライス+朝採りたまご」でオムレツになる。 「うどん」は初期の探索ですぐ手に入るので、そこから他のジャンルの攻略を応用していくことが出来る。
ゲンコツタウンの魚市場で「おいしい魚」が手に入れば、「ライス+おいしい魚+醤油」で「まぐろ丼」になる。 これはラストまで使える主力商品だ。

・共通
牧場の探索で「アイス」を獲得できる。 さらに牧場の探索では「さくらんぼ」や「いちご」も手に入る。
「アイス+さくらんぼ」で「パフェ」になり、「パフェ+いちご」で「イチゴパフェ」になる。
単価を高め辛いが、味や魅力は良く伸びるので作れるときは作っておこう。