自分の馬のデータをカードに記録することが可能な、アーケード(ゲームセンター)の競走馬育成シミュレーションゲーム「DERBY OWNERS CLUB」(ダービーオーナーズクラブ)。
ゲーセンの競馬ゲームと言えばメダルゲームが定番ですが、このゲームはメダルを使わない純粋なアーケードゲームでした。
そのダービーオーナーズクラブの最新作がなんと iOS で登場しています。
名前はそのまま「DERBY OWNERS CLUB」です。

ジャンルとしてはソーシャルゲームになりますが、3D グラフィックで描かれた競馬シーンはリアルで美しく、レース時のゲーム性は普通に競馬アクションゲームとして楽しめるレベルです。
昨今のセガは Kingdom Conquest などの成功以後、iPhone アプリの開発にかなり力を入れているようで、高クオリティーな作品を続々と発表していますが、この作品もセガの力の入れ用が伺えるアプリと言えますね。

なお、ソーシャル型育成ゲームなので、ゲームバランスについては長期間プレイしないと解らない面もあります。
この記事はあくまで序盤をプレイしての感想ですのでご了承下さい。

DERBY OWNERS CLUB(ダービーオーナーズクラブ)

ゲームは「調教」と「レース」を繰り返して進行します。
調教はソーシャルゲームらしく、シンプルにまとめられていて難しい点はありません。
芝やダート、プールなどの調教施設を選択すると、それに応じて能力がアップするという形です。
ちょっとした演出はありますが、特に調教シーンなどが表示されることはありません。

施設は DP と呼ばれるポイントを消費して設置し、このポイントはレースをすることで貯まっていきます。
施設はマップ内の好きな場所に配置できるため、ちょっとした街作りの要素になっていますね。
装飾用の設備も豊富に用意されていますが、まずは調教施設の充実が先決でしょう。

調教後は馬にエサをやります。
エサはレースで獲得するか、課金ガチャで手に入れなければなりません。
エサがない場合は「水」しかあげられないので、レースは出来るだけ副賞にエサが付いているものを選びたいところです。
水以外のエサをあげることで、若干能力値が上がり、信頼度も回復します。

信頼度」はレースによって減少するもので、「疲労」と考えても良いでしょう。
信頼度が下がっているとレースで十分に力を発揮することができません。
良いエサをあげれば回復しますが、レースに負けると副賞は得られないので、常にエサで回復できるとは限りません。
しかし信頼度が大きく下がっても「ふれあいの森」という施設で「ブラッシング」をしてあげれば、信頼度は回復します。
ブラッシングは画面をこすって行うミニゲームになっています。

エサをあげたり、ブラッシングした時の馬のしぐさや表情はとても豊かで、結構かわいいです。
これは競走馬の育成ゲームとしては重要なところですね。

DERBY OWNERS CLUB(ダービーオーナーズクラブ)
※出場レースの選択画面。 馬場や距離の適正が合っているレースには「おすすめ!」のマークが出るが、できれば優勝賞品にエサが付いているレースを選びたいところ。
エサが付いているレースを選び、負けないように進めていけば、信頼度はエサで回復できるのでほとんどブラッシングは不要になります。
とは言え勝てないと賞品はないので、勝てるレースを選ぶことも重要です。
上のレースに挑むか、勝てるレースを選ぶか、そこが悩みどころですね。


DERBY OWNERS CLUB(ダービーオーナーズクラブ)
※ブラッシングのミニゲーム。 3D の馬の周囲をグルグル回りながら、出てくるハートをこすりまくります。
馬のしぐさや表情などは本当に生き生きしています。
ちなみに新 iPad の大画面 Retina にも対応していて、新 iPad だと益々綺麗ですね。


レースについては、「ノーマル」と「ベテラン」の2つの操作が用意されています。
ノーマルは画面の指示に合わせてムチボタンを叩いていくもので、ムチを入れるポイントや叩く間隔なども教えてくれるので、基本的には指示に従ってボタンを押していくだけで OK です。
きっちりスタミナを使い切る形で指示を出してくれますし、誰でもお手軽に遊べるモードですね。

一方「ベテラン」は、「ムチ」「追い」「抑え」の3ボタン操作となり、ゲームは難しくなりますが、より細かい指示を出すことが出来ます
「追い」は小さなムチで、スタミナ消費を抑えて加速することができ、ムチを入れるべきでないタイミングでの緩やかな加速指示に使います。
「抑え」は減速するもので、あまり使いませんが、脚質に合っていない状態の時の調整に使えます。

ベテラン操作の場合、うまくスタミナを使い切る叩き方を自分で習得しなければなりません。
しかし「追い」が使えるので馬の位置をコントロールしやすく、うまく操作できれば「ノーマル」よりも良い成績を残せます。
そして何より、ベテラン操作の方がゲームとして面白いですね。

ゲームが苦手な方でも「ノーマル」なら手軽にプレイできるし、ゲーマーなら「ベテラン」でより自在なコントロールが出来るので、この点のゲームバランスはうまいと思います。

脚質」については「逃げ」「先行」「差し」「追込」の4つがあり、以下のような性質を持ちます。

逃げ
 ムチポイントはスタート直後。 周囲に他の馬がいないと回復力アップ
先行
 ムチポイントは前半。 他の馬のすぐ後ろにいると回復力アップ
差し
 ムチポイントは後半。 馬群の中にいると回復力アップ
追込
 ムチポイントは後半。 他の馬の後ろの方にいると回復力アップ

ノーマル操作だとムチを打つポイントで一定間隔でムチを叩くように指示されます。
ベテラン操作の場合もムチのポイントでは無理なくムチを叩けますが、しかし自分の判断で回復力がアップする位置をキープするように動いた方が良いですね。

一番プレイしやすいのはスタート直後にバシバシ叩いてそのまま逃げればよい「逃げ」ですが、他にも逃げ馬がいて先頭争いをする展開になってしまうと回復力がなくなるため、展開に左右されやすい難点があります。
「先行」や「差し」は馬群にいれば良いので、ベテラン操作で他の馬に追従するように動けば効率よく走ることが出来ます。
「追込」は最後の直線で一気に抜きにかかるタイプですが、馬のスピードがよほど速くないとそんなに追い抜く事はできません。
ですから追込でもあまり後ろの方に居すぎるのは良くなく、一方で「馬群突破」による加速を利用できる位置から追い上げないといけないので、位置取りの難しい脚質です。

どの脚質になるかは馬の能力の「スタート」によって決まります
能力には「スタート」「コーナー」「馬群突破」「競り合い」「粘り強さ」「瞬発力」の6つがあり、「スタート」がコーナーを除く5つの能力のうち何番目かで脚質が決定され、スタートが一番高いなら逃げ、2番目なら先行、3番目なら差し、4番目か5番目なら追い込みになります。
つまり調教でどの能力を伸ばすかで、脚質も調整できます
馬には生まれつきの適正で伸びる能力と伸びない能力がありますが、自分の得意な脚質になるように調教することも攻略の1つと言えますね。

DERBY OWNERS CLUB(ダービーオーナーズクラブ)
※ベテラン操作だと3ボタンになる。 慣れたらこっちの方が遊びやすいし楽しいです。
追い込むタイミングを取り辛いですが、残り 450m ぐらいでバーがオレンジの辺りにあれば、そのままムチを一定間隔でバシバシ打っていればちょうど使い切るぐらいでゴールできます。
道中は「追い」ボタンで位置を調整しましょう。 ムチや追いのボタンは1回だけでは加速しないので、3回ぐらいセットで叩くのが目安です。


DERBY OWNERS CLUB(ダービーオーナーズクラブ)
※脚質は能力値の「スタート」で決まります。 ただし「コーナー」は無関係。
上記の例だと一番高いのは「瞬発力」で、「スタート」は2番目なので、脚質は先行になります。
望みの脚質を維持できるように能力値を伸ばしましょう。
能力は、「スタート」はスタートの速さとロケットスタートの出やすさ、「コーナー」はコーナーでのスピードの低下防止、「馬群突破」は馬群からの加速力、「競り合い」は最後の直線での並走時のがんばり、「粘り強さ」はスタミナが尽きた時の速度低下を防止、「瞬発力」はムチによる加速力です。
コーナーと瞬発力はどんな馬にも必要。 馬群突破や競り合いは差しや追込には重要ですが、プレイヤーの走り方や展開次第。
粘り強さはそもそもスタミナ切れを起こさないように走る方が大切なので、無理に必要ない印象ですが、逃げ馬で「追い付かれないようにするためにはスタミナ切れで走るしかない」という状況では必要。


レースを終えると結果に応じて賞金と、DP、経験値、そして「ガチャポイント」が貰えます。
賞金は単なるスコアですね。

ガチャポイントは名前の通り、「ガチャ」を回すものです。
正直、「ガチャ」という呼び名が使われているのは残念な気持ちになりますが、このゲームのガチャはゲームに決定的な影響をもたらすものではありません。

ガチャによって得られる馬カードには「現役馬」と「親馬」があり、現役馬は調教の成功率を高めるものです。
たくさん引いてたくさんセットすれば調教が「完璧」になる確率が上がりますが、効果があるのは8時間のみで、完璧の確率は高くなるほど上がりにくくなります。
レアやスーパーレアのカードが出ても調教の効果が劇的に変わる訳ではありません。

親馬カードは馬の生産に使うものですが、自分が育成した馬も引退させれば種牡馬や繁殖牝馬になります
レアやスーパーレアの種馬や牝馬とかけ合わせれば良い馬が出来やすくなるので、この点は影響が大きいと言えますが、そのカードそのままの強さになる訳ではないし、能力ごとの適正もあります。
「カードの強さ=プレイヤーの強さ」という訳ではないので、この点は簡易的なソーシャルゲームとは違う点と言えます。

ソーシャルゲームらしいのは、調教したりレースに出したりすると AT (アクションチケット)と呼ばれるポイントが減っていき、なくなると回復するまでしばらくゲームが出来なくなること。
AT は調教で1、ブラッシングで1、レースで2消費し、1回復するのに 20 分必要です。
最大は 10 なので、0 になったら 200 分、つまり3時間20分プレイできません。
この時間はソーシャルゲームとしては長めです。

※アップデートで AT 回復時間が 10 分に短縮されました。
現在は 100 分、つまり1時間40分で全快します。


ただ、1レースが2~3分、AT が 10 あれば調教を合間に挟みつつ3レースほど出来るので、15 分ほどは遊べます。 この遊べる時間もソーシャルゲームとしては長めですね。
またレベルアップすれば AT は全快します。

難点は、課金の値段。 AT を1回復するのに 50 円、11 回復で 500 円かかります。
通常、こうした行動ポイントを回復させるのに必要な課金は 100 円前後の場合が多いのですが、このゲームは全快に 500 円。 ソーシャルゲームの中でもトップクラスに高額です。
ガチャも「親馬」の課金ガチャが1回 500 円。 これまた高額

※アップデートで AT 2 回復が 50 円、10 回復が 250 円に変更されました。 当初の半額です。
ただし「親馬」のガチャが 500 円なのはそのままです。


ただ、前述したように無理に課金ガチャをしなくても遊べますし、AT の回復課金も焦ってプレイするのでなければ必要ありません。
これだけ高めの課金だと、心置きなく無課金で進めようという気になれますから、むしろ良心的?
課金しまくって「オレツエー」したい人だと厳しそうですが・・・ 一般の人だと関係ないでしょう。

馬の生産時に使えるアイテムもありますが、性別を固定するとか、一方の遺伝を強めにするといったもので、馬の能力を直接パワーアップさせてしまうようなものはありません。

DERBY OWNERS CLUB(ダービーオーナーズクラブ)
※現役馬カードによる調教成功率のアップは、確率が低いうちは C のカードでも 6 %ぐらい上がりますが、確率が 60 %を越えると 1 %ぐらいしか上がらなくなります。 よって 50 ~ 60 %辺りで妥協しておくのが良いのですね。
効果がある時間が決まっているので、使うのはプレイ開始前にしましょう。
施設の強化でも確率の底上げが出来るので、よく使う施設を決めて、そこだけ集中して強化するのも手です。


DERBY OWNERS CLUB(ダービーオーナーズクラブ)
※ 生産画面。 血統を脈々と繋いでいくのが競走馬育成シミュレーションの醍醐味ですね。
基本的に、後の代の馬ほど基礎能力が高くなっていくようです。 適正やタイプが両親で異なる場合は、どちらが出るかは半々の模様。
スピードタイプは短距離型、スタミナタイプは長距離型なので、それに合った脚質と能力を重視することも大切だと思われます。


ソーシャルゲームなので本体は無料。 課金型のゲームですが、課金は必須ではありません。
ソーシャルゲームの場合、楽しむには実質課金が必要な場合が多いのですが、このゲームは無課金でも問題なく楽しめる印象です。
レースシーンは普通にゲームとして面白いですしね。

このゲームは「ソーシャルゲームに競馬ゲームが付いている」と言うより、「競馬ゲームがソーシャル型になっている」と言った感じなので、そもそも「ソーシャルゲーム」に分類すべきではないのかもしれません。
アプリとしてのクオリティーも普通に「ゲームソフト」のレベルです。

とりあえずタダで遊べますから、競馬に興味のない方も、一度試してみるのをオススメします。

DERBY OWNERS CLUB (iTunes が起動します)

※サーバーがパンク状態のようで、通信が止まってしまう症状が多発しています。
8/14 にサーバー強化が行われましたが、まだ解決には至っていません。
通信が止まってしまった場合、アプリを落とし、タスクからも消去し、改めて起動し直す必要があります。

※9/6 現在、まだ止まる場合はありますが、かなり症状は改善されています。
なお、本家 iPhone AC に DERBY OWNERS CLUB の攻略ページを作成しましたので、プレイされている方は参考にして頂ければと思います。


最後になりましたが、以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。