史実の近代戦を舞台にした、硬派な戦略級シミュレーションゲーム「欧陸戦争」シリーズ。
その欧陸戦争の番外的な作品であった、第二次世界大戦を舞台にした戦略ゲーム「世界の覇者」に続編が登場しました。
「世界の覇者2」です。
このシリーズの1作目から3作目(欧陸戦争1、欧陸戦争2、世界の覇者1945)はボードゲームのようなシステムであり、戦闘の勝敗もサイコロを振って決めていました。 (つまり Risk(Lux)のようなゲームでした)
しかし欧陸戦争3(4作目)からシステムが改められ、サイコロは振られるものの、ユニットは耐久力制となり、サイコロは単なるダメージ計算の目安にしかならなくなりました。
そして今作(5作目)はついにサイコロ自体が表示されなくなり、もはやボードゲームではなく、より一般的な戦術シミュレーションゲームになっています。
欧陸戦争シリーズには史実の戦いを再現したステージクリア制のモードと、広い地域で多数の国が入り乱れて戦う全国モードの2つがあり、特に「世界の覇者1945」の全国モード(コンクエスト)は全世界を舞台にしていて、これが大きな特徴であり人気の要因でもありました。
しかし今作「世界の覇者2」は、世界の覇者なのに全国モードがありません。
てっきり「世界の覇者」は、「欧陸戦争の全世界バージョン」 だと思っていたのですが・・・ そういう訳ではないんですかね?
でもこれでは「欧陸戦争」と「世界の覇者」に分けている意味がないような・・・
だから私的には、今作は世界の覇者と言うより「欧陸戦争4」という感じがします。
なお、このゲームの初期バージョンにはゲームバランスに大きな影響をもたらす致命的なバグがあり、そのため紹介を避けていました。
(ユニットを多く重ねていると、選択したのとは違うユニットが「行動力を無視して」攻撃していました)
しかし先日のアップデートで修正され、現在は問題なくプレイ出来るようになっています。
(iTunes には「落ちる」という意見が見られますが、当方でプレイした限りではそう言った症状は見られません)
欧陸戦争シリーズには「第一次世界大戦」と「第二次世界大戦」を扱ったものがありますが、今作は「第二次世界大戦」が舞台です。
しかし第二次世界大戦のシナリオをクリアすると、大戦後の世界を扱った「冷戦シナリオ」をプレイできます。
大戦後が舞台のシミュレーションゲームって、ちょっと珍しいですね。
ゲームシステムは「欧陸戦争3」をベースにしています。
ターンごとに得られる資金を使ってユニットの生産や都市の建設を行い、配置済みのユニットを動かして土地を占領していきます。
敵がいる領土に移動すると戦闘が発生し、互いにダメージを受け、耐久力が無くなった方は消滅します。
戦略シーンはボードゲームの戦術シミュレーションゲームをベースにしたシンプルなものになっていて、それほど難しくはありません。
ただ、欧陸戦争3からユニットに「行動力」の概念が追加され、戦車や歩兵は2回、装甲車は3回の移動/攻撃が行えるようになりました。
また1つの領土に最大4つのユニットを配置することができ、複数のユニットを使い分けながら進軍していくことが出来ます。
領地には収入が増える「都市」や工業力が増える「工場」を建設することができ、規模の大きな都市では歩兵を、工場では野砲や車両ユニットを生産することが出来ます。
さらに領地には「塹壕」「要塞砲」「対空機銃」「レーダー」などの防御施設を設置することができ、そこで戦う部隊の防御力を上げたり、空爆によるダメージを減らしたりすることが出来ます。
「空港」も設置可能で、これは範囲内の敵に空襲による攻撃を行えます。(ただし実行する度に資金と工業力が必要です)
※防御設備は結構重要です。 塹壕があれば攻撃してきた装甲車や歩兵の行動力をすぐ 0 に出来ます。
要塞砲はユニットの種類に関わらず大砲で撃たれても反撃が可能。 レーダーは今回が初登場で、空爆と遠距離砲撃のダメージを大きく減らせますが、防御力はなく、作るのに技術力も必要です。
防御設備があるため、基本的に戦闘は防御側の方が有利ですね。
都市や工場を作っておけばダメージの回復も出来ますが、行動力を使い切っている部隊は回復は行えません。
※ 戦略画面。 基本的には欧陸戦争3と同じですね。
1つの領地にユニットは4つまでスタックでき、攻撃された時は一番上の部隊が防戦します。 ユニットの順番は右側に表示されているリストをタップすれば変更可能。
領土が全てなくなると滅亡ですが、首都が陥落しても滅亡にはなりません。
首都や大都市の領土に街を作ると、いきなり規模の大きい都市が出来ます。 また首都では歩兵も兵器も生産可能です。
一方、都市や工場がない土地は、収入がほとんどありません。 ピンチの時は無理に土地を死守しようとせず、拠点となる場所での迎撃に徹しましょう。
欧陸戦争3から追加された「司令官」も利用可能で、ステージクリアによって得られる「勲章」でパワーアップすることができ、司令官を付加したユニットの戦力を大幅に強化できます。
ただ、今作は他国にも「ジューコフ」や「グデーリアン」、「マッカーサー」や「モントゴメリー」など名うての司令官が顔つきで登場します。
かなり手強いため、これら司令官ユニットの対策もゲームのポイントになります。
欧陸戦争3にあった「スペシャルカード」はなくなりましたが、部隊を回復する「補給線」や部隊をレベルアップさせる「エース部隊」などは通常の命令コマンドに含まれています。
また、指定した場所に歩兵を出現させる「空挺兵」と、最大の技術力と大量の資金&工業力が必要な「核兵器」が加わっています。
今作から新たに追加された要素は、離れた場所に反撃を受けずに攻撃できる「ミサイル兵器」と「空母」です。
資金を消費せずに使える空襲のようなもので、うまく使えばかなり便利です。
また、戦車より強力で大砲にも反撃できる「重戦車」ユニットが追加されました。
一方、欧陸戦争3にあった「騎兵」と「機関銃」はなくなっています。
※ バルバロッサ作戦(ドイツ軍のソ連侵攻作戦)を説明するグデーリアン様。
味方の司令官ユニットは非常に頼もしいのですが、敵の司令官ユニットはすごく厄介。
やたら硬いし反撃も痛いので、空港を作って空襲で何とかするか、拠点で防戦しつつ他の方面から後方に回るかしましょう。
敵を完全包囲すると士気が下がり戦力が低下するため、これを活用するのも手です。
※ シナリオは「枢軸」と「連合」の2つ。 担当する国はステージごとに決まっていて、日本軍でプレイするには枢軸シナリオをステージ7まで進めないといけません。
冷戦シナリオは「NATO」と「ワルシャワ条約機構」の2つがあり、どちらも架空のシナリオですが、NATO はキューバ危機、ワルシャワ条約機構は朝鮮戦争からスタートするため、相応に史実も考慮されています。
冷戦シナリオと言っても、東西両陣営が大戦争をやらかすので、全然「冷戦」じゃない訳ですが・・・
今作の難点は、一番の難点は前述したように「全世界モード」(コンクエスト)がないことですが・・・
もう1つ大きいのは、難易度がかなり高いこと。
ハッキリ言って、今作から始めた人は早々に行き詰まると思います。
このシリーズは欧陸戦争3から内容が本格化し、そのぶん難易度が上がったのですが、今作は以前にも増して難しくなっています。
基本的に攻撃側の方が不利で、ヘタに進攻すると大きなダメージを受けるため、防御施設のある都市や工場で守りを固め敵を迎撃するのが攻略の一つなのですが、今作はひたすら守り続けることを防止するためか(?)、各ステージに「制限ターン」が設けられています。
これを超過すると作戦失敗になりゲームオーバーになってしまう上に、大半のステージでターン数は少なめなので、早い進攻が求められます。
しかしガンガン攻められるほど戦力や資金に余裕がない場合が多いので、これのおかげで難易度が飛躍的に上がっています。
司令官を鍛えればゲームがラクになる・・・ と言いたいのですが、クリア済みのステージを再度クリアしても勲章はあまり貰えません。
勲章は課金でも得られるのですが、こういうシステムだと「課金前提かよ」みたいに思ってしまいますね・・・
きちんと攻略すれば無課金でも十分進められるのですが、このシリーズを初めてやる人だと課金しても辛いかも。
あと、全体的に良く出来ているのですが、前作の欧陸戦争3はオープニングのムービーがあったり、かっこいい国選択画面があったりして、「気合い」のようなものが感じられました。 しかし今作はそれほどではなくなっています。
まあムービーの有無やメニュー画面のグラフィックなどは、ゲームには直接関係ありませんが・・・
翻訳も若干おかしいですが、意味が解らない程ではありません。
以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。
価格は 250 円。 iOS のゲームとしてはもっとも本格的な戦略シミュレーションと言えるので、このタイプのゲームが好きな人には今回もお勧めできます。
でもこのシリーズ未経験の方は、前作(欧陸戦争3)や前々作(世界の覇者1945)の方が良いかなぁ。
「欧陸戦争」をメインとして、「世界の覇者1945」がハーツ・オブ・アイアン的な「ハーツオブ欧陸戦争」だったのに対し、今作はアドバンスド大戦略的な「アドバンスド欧陸戦争」という感じでしょうか。 解る人にしか解らない説明だけど。
第二次世界大戦の戦史に詳しい人にとっては魅力あるステージが続くので、やっていて楽しめると思いますが、大半の人は普通に「世界征服」が出来るモードをやりたいのではないかと思います。
ともあれ、私は戦略/戦術 SLG が好きだし、歴史も好きな方なので、このゲームはかなり好みです。
私と同じようなタイプの人には、文句なくオススメですね。
・世界の覇者2 (iTunes が起動。今回はユニバーサルアプリです)
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