2007 年にスクウェア・エニックスが DS 用のソフトとして発売した、現代の渋谷を舞台にした非常に特徴的なアクション RPG。 それが「すばらしきこのせかい」です。

タッチパネルと2画面を使った DS ならではの戦闘シーンと、ヒップホップアートのようなグラフィック、ボーカル付きの BGM と時間経過や通信を利用したシステム、豊富なやり込み要素と収集要素、さらにミニゲームなどのおまけなど、とにかく思い付いたことは何でも取り入れようとした「野心作」でした。
ただ、あまりにも「尖った」内容であったことと、序盤の主人公が中二病すぎる事が災いし、早々に辞めてしまった人も少なからずいたゲームです。

そんな名作かつ話題作であった「すばせか」が、先日いきなり iOS にリニューアル移植されました。
すばらしきこのせかい Solo Remix」です。

※2014年6月に Android にも移植されています。

元が解像度の低い DS のゲームでしたから、スマホ / タブレット版はグラフィックがほとんど描き直されていて、画質は大幅に向上、評判の良かったサウンドの音質もさらに良くなり、新曲も追加されています
原曲のリミックス BGM も数多く加えられました。
DS 用に作られていた戦闘システムやインターフェイスもタッチパネルに合わせて変えられているため、変更点は多く、まさにリニューアル、リミックスと言った感じの内容ですね。

ただし対応は iPhone 4 以降、及び iPad 2 以降で、iPod touch や iPhone 3GS、初代 iPad は対象外ですのでご注意下さい。

すばらしきこのせかい Solo Remix

渋谷をモデルにしたフィールドを移動し、戦闘を行いながらストーリーを進めていくアクション RPG です。
スティックが存在せず、移動はキャラクターをドラッグして行い、選択は対象物を直接タップして行います。
装備の入れ替えやアイテムの購入はアイコンをしばらく押しっぱなしにして、それから装備枠やレジにドラッグするというスマホらしいアイコン操作になっています。

戦闘時もスティックやボタンはなく、キャラクターをドラッグして移動、高速ドラッグでダッシュ&回避、敵をタップやフリックすると攻撃を行います。
主人公はサイキックを発動する「バッジ」を装備することができ、その種類はなんと 300 以上!
バッジごとに「空間をタップで弾を連射」「敵をフリックで斬りかかる」「自分をフリックした貫通ビーム」などの異なる攻撃と操作方法を持ち、それらを使い分けて戦います。
戦闘はスピーディーに展開し、バシバシと攻撃を連発しまくれるため、なかなか爽快感がありますね。

敵との遭遇はランダムではなく、画面右下の黒いバッジをタップすると敵の「シンボル」が現れるようになり、これをタップすることで戦闘に入ります。
つまり(ボスや一部の状況を除き)戦闘に入るかどうかはプレイヤーの任意であり、移動中に望まない戦いを繰り返す必要はありません。
ただ移動できる地域はストーリーの進行に合わせて制限されています。

すばらしきこのせかい Solo Remix
※画像はハチ公前。 渋谷が舞台のため、行ったことがある方なら見慣れた景色が多いです。
ただしこのゲームが開発されていた 2007 年頃の景色なので、今見るとちょっと古い部分もありますね。
登場人物もまだガラケーを使っていて、スマホは出て来ません。


すばらしきこのせかい Solo Remix
※「バッジ」の入手方法は様々で、ショップで売っているものもあれば、イベントで手に入るもの、敵がドロップするものもあります。
バッジも戦闘などでレベルアップし、それにより他のバッジに進化する場合もあります。
ショップや装備画面ではアイコンを「しばらく押しっぱなしにしてから」ドラッグして購入や装備を行います。 この点は説明がなく、ちょっと解り辛いので注意。
また、ショップの商品が8つ以上ある場合はリストを左右にスライドすることで他の商品を見れるのですが、これもパッと見では気付きにくいので注意しましょう。


基本的には一本道のストーリーに沿って進行するゲームで、後半にならないとあちこち自由に移動することは出来ません。
ただ、独自のシステムが多数盛り込まれていて、やり込み要素や隠し要素などが豊富です。
主なシステムには以下のようなものがあります。

・複数の敵をまとめてタップして「連戦」すれば経験値とバッジの入手率アップ
・自身のレベルを下げると、戦闘時のバッジ入手率アップ
・戦闘の難易度をいつでも変更可能で、難易度ごとに敵が落とすバッジが変わる
・各エリアに隠れた敵がいて、見つけて倒せば高価なバッジを入手
・食べ物を食べた後、指定の戦闘回数を行うと「消化」され能力アップ
・食べられる数には上限があり、実時間で1日経過しないと回復しない
・エリアごとにトレンド(流行)があり、対応する装備の効果が増減する
・装備ごとに「アビリティ」があり、それにより様々な特殊効果を得られる
・アビリティを解放するにはそれを売っている店員と仲良くならないといけない
・バッジを使う「対戦おはじき」のミニゲームがある
・プレイしていなかった時間に応じて、再プレイ時にバッジ経験値を入手

他にも大なり小なり色々あって、思い付いたものを片っ端から入れたような感じです。
そのためゲームが複雑化していて、解りにくくなっているのも否めませんが、育成や収集の要素が豊富なので、ストーリーそっちのけで戦闘やレベルアップ、バッジ集めに勤しむことも出来ます

DS 版は2画面だったので、下画面で主人公、上画面でパートナーが戦う形式になっていました。
しかし iPhone / iPad 版は1画面なので、2画面に分かれての戦闘ではなく、1つの画面で主人公とパートナーが双方戦う形になっています。
例えばパートナーの攻撃方法が「敵をタップ」で、主人公もタップで攻撃するバッジを装備している場合、敵をタップすると2人とも攻撃を行ってくれます。
そして主人公とパートナーが同時に攻撃をヒットさせると「シンクロ率」が上がり、シンクロ率が最大になることで必殺技を発動することが出来ます。

正直、パートナーの攻撃も装備しているバッジの1つになったという感じですが、DS 版の2画面戦闘はハッキリ言って煩わしく、お世辞にもプレイしやすいとは言えませんでした。(上画面と下画面で同時に戦うとかムリ)
パートナー側の戦闘はオートにしていた人が多いと思うので、むしろ iOS 版の1画面戦闘の方が協力して戦っている感じがして、プレイもしやすいですね

すばらしきこのせかい Solo Remix
※2画面ではなくなったので、DS にあった「上下の画面で交互に攻撃してシンクロ率アップ」「カードを使ったミニゲームでパートナーが攻撃」という要素はなくなりました。
その代わり、「パートナーと同時に攻撃してシンクロ率上昇」という要素が追加され、そのシンクロ率を使って必殺技を放つ時に、DS 版にあったカードのミニゲームが出現するようになっています。
iOS 版はパートナーの操作方法に合わせたバッジを使用するのも攻略のポイントと言えます。


すばらしきこのせかい Solo Remix
※プレイしていなかった時間に応じて貰えるボーナスポイントの画面。 ログインボーナスのようなシステムです。
ログインボーナスや通信を使ったシステム、実時間の経過を反映したシステムなどは、今では珍しいものではありませんが、このゲームが作られた 2007 年当時はまだソーシャルゲームというものが存在していなかった時代。
そんな頃にすでに(課金なしで)似たシステムをいくつか導入していたこの作品は、まさに時代の先取りだったと言えます。
なお、普通にタスクからゲームを復帰させた場合、このログインボーナスが貰えないケースがあるので、確実に貰いたい場合は一旦ゲームをタスクから削除して再起動した方が無難です。


すばらしきこのせかい Solo Remix
※おまけのおはじきゲーム「マーブルスラッシュ」は Bluetooth での対戦が可能になりました。
まあ、あくまでおまけ要素なのですが、しかし・・・


他に iOS 版で新しく追加されたのは、指定したキーワードに関する Twitter のつぶやきが、町の人のメッセージとして表示される機能。 これは結構面白いですね。

※ Twitter 連動機能は、Twitter の仕様変更に伴い使用できなくなっています。

一方、DS 版の「すれちがい通信」に相当する「プロフ交換」は、Bluetooth を使って交換しなければならないものになりました。
プロフ交換をすると、そのプレイヤーが一般人としてゲーム中に現れるというユニークな仕様が追加されたのですが、iOS 版を持っている他の知り合いが必要になるため、オリジナルの「すれちがい通信」より利用し辛くなっています
(この影響で、通信を使わないと進化できないバッジの入手も難しくなっています)
(まあ、私のような田舎の人間にとっては「すれちがい通信」もほとんど利用できない機能だったのですが・・・)

※現在はアップデートにより、通信を利用しなくても全てのバッジとアイテムを利用可能になっています。

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



価格は iPhone 版が 1800 円、iPad 版が 2000 円
ただし改めて言いますが、iPhone 3GS 以前と iPod touch、初代 iPad は対象外なのでご注意下さい。
iPhone アプリとしては高めですが、かつての DS の人気作がこれだけのパワーアップで iOS で蘇ったのですから、この価格はむしろお得だと思います。

冒頭で述べたように、序盤の主人公が中二病発言を連発するため、初めてやる人だとそこで引くかもしれませんが、このゲームはそうした「子供っぽい考えからの脱却」がテーマにあるため、その演出だと思っておきましょう。 序盤を過ぎれば治ります。

単なる移植ではなく、高画質・高音質になったリニューアルバージョンですから、同様に DS 版の高画質バージョンとして登場した iOS 版 FF3 に匹敵する完成度だと言って良いのではないでしょうか。
いきなりの発売でしたが、今年の iOS の大型タイトルの1つだと言って間違いないですね。

すばらしきこのせかい Solo Remix (iTunes 起動、iPhone 版)
すばらしきこのせかい Solo Remix for iPad (iPad 専用版)

※お知らせ:本家側の iPhone AC で「すばらしきこのせかい Solo Remix」の攻略ページを公開しています。
http://iphoneac.com/subaseka.html