今年(2012年)の春に「スマホ版のファイナルファンタジーが開発されている」という情報が流れ、5月頃にそれがガラケーで公開されていた「ファイナルファンタジー レジェンズ」の移植である事が判明し、ユーザーに期待とガッカリ感が入り交じった微妙な空気が流れた、良くも悪くも大きな注目を集めたアプリ。
それが先日、iOS と Android で同時公開されました。
FINAL FANTASY LEGENDS 光と闇の戦士」です。

先に総評を言ってしまうと、このゲームは「ファミコンからスーパーファミコンの時代に発売されていた『古い時代のファイナルファンタジー』の最新作」です。

ガラケーからの移植であるため、グラフィックはスマホレベルではなく、ガラケー版よりは見やすくなっていますが、しょせんは「スーファミレベル」の見た目
DS 版をグレードアップ移植したスマホ版 FF3 に劣るのはもちろん、PSP 版をベースにしていたスマホ版 FF1FF2 にも劣ります。
(ちなみに iOS 版の FF1 & FF2 は先月 Android にも移植されました)

しかしゲーム内容は「RPG がもっとも盛り上がっていた時代のファイナルファンタジー」をそのまま再現したような、ある意味オーソドックスで王道と言えるファイナルファンタジーであり、そのためファイナルファンタジー I ~ VI 辺りをプレイしていたユーザーには、むしろしっくり来る内容です。

そのため iTunes レビューの評価は見事にバラバラ!
これに「旧時代のグラフィックなのに 2500 円」という価格の問題も相まって、巷の意見は賛否両論です。
ただ個人的には、FF シリーズを全てやってきた人間として、この「昔ながらの新作FF」というのはやっていて楽しいですね。
ボリュームも十分でゲームシステムも良いため、私的には高評価です。

FINAL FANTASY LEGENDS 光と闇の戦士 dimensions

内容的には「ファイナルファンタジー5」っぽいシステムです。

フィールドの移動は仮想十字キーで行い、画面タップで会話&調査。
十字キーは画面を押した場所に現れ、一度出すとそのまま出っぱなしになるという、ちょっと変わった方式です。
操作性はそれほど悪くありませんが、画面端の押しにくい場所に十字キーが出てしまうこともあるので、私はコンフィグ(設定)で位置固定の十字キーに変えてプレイしています。

町やフィールドのグラフィックは一部で「RPG ツクール」と言われている程度のレベルで、簡素な感じは否めません
前述したようにガラケーやスーパーファミコンのレベルであり、さらにガラケーの少ないメモリに対応するためか、グラフィックパターンが少ない印象です。
ただ、フィールドは少しナナメから見た視点になっていて、少しでも見栄えを良くしようとしているのは伺えます。

FINAL FANTASY LEGENDS 光と闇の戦士 dimensions
※フィールドはこんな感じ。 グラフィックパターンが少ないので、初期のスーファミという感じですね。
これだけの作品をガラケーで作ったのは凄い事ですが、スマホでは厳しいのは否めません。


一方、戦闘シーンはスマホでもそれほど見劣りしません。
モンスターや主人公のグラフィックは馴染みのある FF らしいドットグラフィックで描かれていて、魔法や特殊攻撃などの演出はスマホ用に作り直されており、綺麗なエフェクトも表示されます。
コマンドはボタンをタップして行いますが、敵を直接タップしても攻撃を行えるなど、操作性も悪くありません。

戦闘システムは俗に言う「ATB(アクティブタイムバトル)方式」で、時間と共にバーが伸びていき、最大になるとキャラクターが行動できるという FF おなじみのシステムです。
物理攻撃はバーが貯まったらすぐに実行できますが、魔法や一部の特殊攻撃は命令後にもう1本バーが出現し、それが貯まってからの発動となります。

そしてスマホ版 FF レジェンズの大きな特徴が「オートモード」。
AUTO のボタンを押すと、解除するまで自動で戦闘を行ってくれ、しかもオートバトル中はゲームの動作も高速化します
これのおかげで戦闘がサクサク進むので、ダンジョンで繰り返し戦闘になってもあまり苦痛でなく、経験値稼ぎも苦になりません

ゲームバランスは相応にシビアなので、戦闘後の HP 回復はちゃんとやっておく必要がありますが、テレビを見ながらでもラクに経験を稼ぐことが出来るので、非常にプレイしやすいですね。

FINAL FANTASY LEGENDS 光と闇の戦士 dimensions
※オートモード実行中。 オートにしておくと戦闘が始まっても勝手に終わるまで攻撃し続けてくれるので、ゲームがサクサク進行します。 ボス戦になると自動で解除される配慮もあります。
オート中の行動は、コンフィグの「バトルカーソル位置」が「戻す」だと常に「たたかう」になり、「記憶」だと最後に実行した行動を繰り返します。
「記憶」にして魔法を使ってからオートにすればガンガンいこうぜ的な設定になるので、経験値稼ぎで便利です。
シーフで「盗む」をしてからオート、ということも出来ますね。


キャラクターの成長は、いわゆる「ジョブシステム」になっています。
各キャラのジョブ(職業)はいつでも自由に変更する事ができ、FF3 にあった「移行期間」のようなペナルティはありません。
そして戦闘を繰り返す事でジョブのレベルが上がっていき、一定のレベルになると「アビリティ」(特技)を習得できます。

習得したアビリティは、ジョブに関わらず付加することが出来ます。
例えば、白魔道士で「白魔法 LV2」のアビリティを習得後、黒魔道士に転職して「白魔法 LV2」のアビリティを付加すると、黒魔法だけでなく白魔法も Lv2 まで使うことが出来るようになります。
アビリティの中には「HP 20 %アップ」のようなステータスの底上げを行うものもあります。

かなり自由度の高いシステムで、FF3 や FF5 の様に好きな職業で戦っていく事が出来ます。
キャラクター自身のレベルもありますが、ジョブレベルの方が重要になるシステムですね。

ただし、ジョブのレベルは最初は3までで、レベル上限を上げるには JP(ジョブポイント)というものが必要になります。
これはストーリーの進行によって得られるものなので、経験値稼ぎだけでジョブを極められる訳ではありません。

FINAL FANTASY LEGENDS 光と闇の戦士 dimensions
※ 序章のうちはジョブチェンジは出来ません。 第一章から使える職業は上記の8つ。 すっぴん、戦士、モンク、シーフ、赤魔道士、白魔道士、黒魔道士、召還師です。
序盤は高レベルの魔法が出てこないので、白と黒の魔法を両方 Lv4 まで使える赤魔道士が有用です。
魔法はお店で買うシステムですが、1つ買えば全員が習得したことになります。 また Lv1 のものは最初から習得済みです。
なお、序章のうちは全員「すっぴん」ですが、それぞれのキャラが何らかのアビリティを持っていて、ケアルが使える「白魔法」を習得しているキャラもいるので、最初から魔法による回復は可能です。


FINAL FANTASY LEGENDS 光と闇の戦士 dimensions
※アビリティの装備画面。 ジョブごとの基本アビリティの他に、追加アビリティを2枠分装備でき、ジョブレベルが 10 まで上がるとアビリティの枠が増えます。
ただし1つで2枠分使ってしまうアビリティも存在します。
序盤にお勧めなのは、赤魔道士 Lv3 で得られる「HP20%アップ」と、戦士 Lv5 で得られる「反撃」。
白・黒・召還師は、Lv5 でそれぞれ 精神・知性・MP が 20 %アップする特技を覚えられるので、魔法をメインにするキャラはこちらを狙いましょう。


ストーリーは「光の戦士」と「闇の戦士」がクリスタルを探すという、本来のファイナルファンタジーシリーズのテーマに沿ったもので、登場人物の名前や地名、設定などにも初期のファイナルファンタジーシリーズをリスペクトした部分が多々見られます
ゲームシステムだけでなく、ストーリーの面でも「旧ファイナルファンタジー」であり、やっていて「あぁ、このゲームの開発部は本当にファイナルファンタジーが好きだったんだな」と言うのを感じることが出来ます。

ただ、旧 FF シリーズのリスペクト作品であるからこそ・・・ 当時の FF を知らない世代から見ると、ショボいグラフィックの古くさいゲームでしかない訳で、この辺が賛否ある理由の1つと言えるでしょう。
ゲームシステムのウリである「ジョブシステム」を、無料でプレイできる序章では体験できない点も、システムの面白さを理解され辛い要因になっている気がします。

そして一番の批判原因となっているのは・・・ やはり全章で 2500 円という値段ですね。
実はガラケー版は各ストーリーが細切れで販売されており、全部そろえると 4000 円を超えていました。
ですからそれを考えると 2500 円は安い方で、スクエニもそう考えてこの価格設定にしたのかもしれません。

しかし段違いの美麗なグラフィックの RPG である CHAOS RINGS が 1500 円とか 1300 円で販売されていて、続編の CHAOS RINGS 2 でも 2000 円。
さらに DS 版を元にブラッシュアップした FF3 も 1800 円。 最近発売された星葬ドラグニルも 1800 円です。
この状況でガラケーから移植したスーファミレベルのグラフィックのゲームが 2500 円じゃ、批判が出てしまうのも当然です・・・

そもそも DS 版を大幅にグレードアップした「すばらしきこのせかい Solo Remix」を 1800 円で発売して、その3日後にガラケー移植のファイナルファンタジーレジェンズを 2500 円で販売しているのですから、価格設定も販売タイミングも色々おかしい。
何とかして「ファイナルファンタジー25周年」に間に合わせたかったのでしょうか?

ただ、個人的にこのゲームに 2500 円の価値があるかと言われると・・・ 「私にとっては」あります。
もちろんこう思うのは、私が初代 FF からのプレイヤーだからですね。
しかし FF を 7 以降しか知らない人には、2500 円は辛いでしょう。
ここはもう「人による」としか言えません。

以下は Youtube で公開されている(海外版の)ゲームプレイ動画です。



本体は無料で公開されていますが、そのままでは序章しかプレイできません。
全章で 2500 円、切り売りだと1章が 250 円で、2章~4章が 850 円です。
切り売りで全章購入すると 2800 円になりますが、序章だけではジョブチェンジが利用出来ないため、ゲームの面白い部分は体験できません。
あえて1章(250円)だけ課金して、それから2章以降の購入を判断するのも手だと思います。

※現在は2~4章は 600 円になっています。 全章購入だと 1700 円です。

2章から価格が高くなっていますが、ボリュームも価格と比例しています。
2章以降は1章の3倍ぐらいあって、序章の10倍近くあります。
それが4章まで続くので、相応に長いゲームであり、価格に見合ったボリュームはありますね

なお、600 円で「チップチューンBGM」と言うものが売られていますが、これはファミコン風の BGM です。
音質が良くなるのではなく、むしろレトロ風になるので勘違いしないようにして下さい。
ファミコン音源が用意されているところにこのゲームのコンセプトが伺えますが、「BGM だけで 600 円とかフザケルナ!」と言っている人もいるようで、これもまた批判される理由なっているようです・・・

なにか iTunes レビューを見ても、このゲームを支持する人の意見を支持しない人は理解できず、逆に支持しない人の意見を支持する人は理解しない、そんな感じが見受けられます。
まあいずれにせよ、今のスマホでこのグラフィックでこの価格では、ユーザーの意見は厳しいということでしょうね。

FINAL FANTASY LEGENDS 光と闇の戦士 (iTunes が起動します)