2012年9月21日、Apple は iPhone 5 の発売と同時に最新OS「iOS6」を公開しました。
そこには Google Map に代わる、全く新しい Apple 独自のマップが搭載されていました。

それは利便性のみを追求した従来の地図とは全く異なる構想で製作されており、人々に笑顔と娯楽をもたらす新時代の地図として、大きな驚きを持ってユーザーに迎えられています。
「パチンコガンダム駅」などの斬新な地名、ところどころが潰れている立体マップなどは多くの人にもっと面白い場所がないかという好奇心を湧かせ、白黒の航空写真は古き良き時代へのノスタルジーを感じさせます。
最小限に抑えられた情報表示は Apple らしいシンプルな美しさを表現しており、多くの寺院に「商店」のアイコンを付けている事には深い哲学さえ感じます。

この地図は Apple が合理的な結果のみを提供していた時代から、心の豊かさを提供するフェーズに移行したことを物語っていると言えるでしょう。

しかし残念なことに一部の人々は、人類に対する Apple の崇高な理念をくみ取れず、この地図に大きな不満を募らせています。
今回はそんな人々のために、ちょっと趣向を変えて、現在公開されている代替のマップアプリをご紹介したいと思います

※以下のアプリ名のリンクは iTunes が起動します。
※マップ系アプリは現在アップデートが頻繁です。 表記しているのは 10/10 時点の情報です。


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Maps+ - IZE, Ltd. (無料。 250円の課金をしていない間は一部制限あり)

今のところ、最も活用されている iPhone マップの代替はこの「Maps+」でしょう。
Google map を快適に利用できるアプリで、使用感は旧マップ(iOS5 マップ)と大きく変わらず、画面いっぱいに地図が表示されるためむしろこちらの方が見やすいです。
アイコンを好きな並びで配置できるインターフェイスも優れています。

Maps+

ルート検索やトレース(移動ルートの記録)機能、アラーム機能などを内蔵しています。
以前の iPhone マップと同じように、画面を押しっぱなしにするとその場所に「ピン」が刺さり、そのピンを保存したり、ピンの場所を結ぶルートの検索を実行することが出来ます。
検索したルートは紙芝居形式の径路確認も可能です。
また現在地の確認ボタンを2度押せば、コンパスを利用した地図の回転(ヘディングアップ)も行われます。

難点は「周辺検索」が出来ないこと。
例えば「ラーメン」と入力すると、通常のマップは近隣のラーメン店を一通り確認できますが、そうしたお店の周辺検索は(少なくとも日本では)ほとんど使えません。
また、ストリートビューには非対応です。

250 円で完全版にすることができ、未課金の間はピンの登録は3つまで、ルートの記録は1つまで、トレースできるのは 2km まで、ツイッター連携は使用不可、などの制限があります。
しかし未課金のままでも普通に使う分には問題ないでしょう。 起動時に毎回課金を要求する画面が出るのがちょっと面倒です。

完全とは言えませんが、とりあえず地図を見るだけなら、これでほぼ事足りますね。


mapipo 6(無料、広告非表示6ヶ月85円)

ストリートビューを活用したい人にオススメできるマップアプリです。
Google map をベースにした地図を確認でき、ルート検索やナビ機能なども備えていて、ミュージックプレイヤーも付加されている多機能なアプリです。

mapipo6

ストリートビューの確認は画面を押しっぱなしにして行います。
ストリートビュー閲覧時には画面下に方向と移動のボタンが付いたサークルが表示され、画面をドラッグして周囲を見渡すことも出来ます。 ストリートビューの使い勝手は良好ですね
ルート検索は有料道と一般道を別々に検索でき、ナビ中のオートリルート(径路再検索)にも対応していて、渋滞情報も表示できます。

難点は、ヘディングアップ(向いている方向に合わせて地図を回転させる機能)に対応していないこと。
コンパスのボタンはあるのですが、これをタップしても地図が回転してくれないため方向を確認し辛いです。(ナビ中のみ進行方向を上に表示する)
またルートや検索位置の表示はぼやけた線や円などで表示され、ちょっとダサいです。 ルート検索も現在位置からしか行えません。(出発地点の指定はできない)
ミュージックプレイヤーもそれほど洗練されたものではなく、そして何より、メニュー表示中にデカデカと表示される広告が邪魔。

ちょっと垢抜けない部分のあるアプリですが、広告は6ヶ月 85 円で非表示に出来ますし、ストリートビューはやはり便利なので、Maps+ で出来ないことを補ってくれるアプリですね。


ロコサーチ Yahoo!ロコ (無料)

周辺検索を活用するなら、この Yahoo!ロコ がベストでしょう
様々な飲食店や各種のショップをカテゴリ別に細かく検索でき、Yahoo! に寄せられたお店の評価や写真まで確認できます。
以前からお店の検索についてはこのアプリの利用価値が高かったのですが、iOS6 でマップが変わった影響で、なおさら必須になったと言えます。

地図 Yahoo!ロコ

マップは Google map ではなく、Yahoo 独自のマップです。
Google map ほど見やすい訳ではありませんが、拡大すれば相応に細かく表示され、ビルの名前などもちゃんと記入されています。
またルート検索機能もあり、ちょっとルートが大通りを優先しすぎていて遠回りな印象もありますが、ナビの機能も付加されています。
ただし重いのがたまにキズで、メインで使うマップとしては使い勝手が良いとは言えません。 コンパスにも対応しておらず、ヘディングアップもありません。

ただキーワード検索やジャンル検索に優れているおかげで、出張先でお店を探す際にはとても重宝します
無料なので、とりあえず入れておくとイザというときに便利ですね。


MapFan for iPhone (2300円)

ローカル(本体)に地図データを全て保存してしまうマップアプリ
そのため容量が非常に大きく 1.73GB 必要で、価格もかなり高いのですが、通信なしでも地図を閲覧できるのが他にない特徴です。
ルート検索とナビ機能も付加されていて、音声案内も盛り込まれています。 地図と言うよりナビに近いですね。

MapFan for iPhone

地図は独自のものですがカーナビ風の画像で、Google map ほど詳細ではありません
キーワード検索は一応可能ですが検索力は弱く、周辺検索はあまり頼りになりません
またマップをローカルに保存する影響で、最新の地図ではないため、情報がやや古い場合があります。
ただナビ機能は使いやすく、地図は自由に回転させられ、ヘディングアップも可能です。 ただしナビゲーション中は当然通信が必要になります。

価格が高いためオススメとは言えませんが、通信の有無に関わらず使えるのは状況によっては便利です
東北関東大震災の時に支援を兼ねて一時無料になっていたので、その時に入手した方が多く、確かにオフラインで使えるのは災害時に強いですね。


地図マピオン (無料)

マピオンが提供している地図アプリで、そのため Google map ではない独自マップです。
Google map 並に軽いのが特徴で、建物の形も相応に詳細です。
やや広い縮尺でもビルやお店の名前、番地などを確認できる特徴があります。

地図マピオン

ユニークなのは 3D 風の表示があることで、これで山間部を見ると山が立体的に見えます。
海抜表示もあるため、移動先が山道なのかどうかも解ります。

ルート検索はなく、キーワード検索やジャンル検索もまともに機能せず、住所以外の検索は頼りになりません
ただ、広範囲の番地を一目で確認できるため、仕事でマップを使っている人にとっては便利なアプリだと言えるでしょう。


NAVITIME for iPhone (180日で1500 円)

ナビゲーション用のアプリの中で、今一番使いやすいのはこの NAVITIME でしょう。
地図は他のアプリほど詳細ではありませんが、ナビアプリの中ではかなり細かい方で、十分に地図として活用できるレベルです。
ルート探索の際には電車やバスの乗り換えも考慮されるため、特に地下鉄などでの移動が中心となる都心部で非常に便利です。

NAVITIME for iPhone

周辺検索の機能も優れていて、任意のジャンルのお店を探しやすくなっています。 ただ、マップ上に該当するお店の場所をまとめて表示する機能はありません。
地図はコンパスの利用や任意のヘディングアップが可能です。
ナビの案内はかなり詳細で、電車なら駅のホームの番号や、降りてからの駅の出口まで案内されます。
カーナビ用の「ドライブサポーター」という別アプリもあり、こちらはガソリンスタンドとその料金、近隣の駐車場などが地図に優先して表示されます。

難点は180日で1500円という価格
出張が多いなど、マップを継続して頻繁に利用する人でないと利用し辛いですね。


● ClassicMap (無料)

このアプリは現在(10/10) iTunes から削除されています。
見た目があまりに iOS5 以前のマップに酷似していたため、規約に抵触したのでしょうか・・・?
よって今はダウンロード出来ないのですが、復帰するかもしれないので一応ご紹介しておきます。
その特徴は前述したように、旧マップに非常に似せて作られていることです。

classicmap

見た目が同じ、使用感も同じなので、以前と同じように使っていけるのが利点ですね。
ただ、画面を押しっぱなしにしてもピンが刺せないし(メニューからは刺せる)、ルート検索は無し、周辺検索もなしで機能性は低く、本当に「似ているのは見た目だけ」という感じです。
(削除されたのはこの辺が理由かもしれません?)

地図を標準(Apple map)とクラシック(Google map)で使い分けられるのは一応利点と言えるでしょうか。

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以下はかつての定番、現在は Apple map 化してしまったアプリです。
(今後アップデートで Google map に対応する可能性はあります)

マイマップ+ (85円)

センスの良いインターフェイスで必要な機能も一通りそろっていた、人気だったマップアプリ。
しかし iOS6 以降 Apple map になってしまったので、現時点(2012/10)では利用価値は下がりました。

Map+ (170円)

マップにピンや目印、写真などを付けて保存することに特化したアプリ。
しかし iOS6 にすると Apple map になってしまうので、現時点(2012/10)では地図としては使えません。

※これらもアップデートで Google map に対応しました。 詳細は こちら で解説しています。

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Apple のマップも徐々に改善されていくと思いますが・・・ 現状を見る限り、少なくとも日本では半年や1年でマシになるとは思えません。
ただ優秀なマップアプリは多くありますし、これを機に新アプリの登場や、既存アプリの改良が進むと思います。
とりあえず iPhone らしく、アプリを利用してカバーしていきましょう。

iPhone マップアプリ紹介 その2 に続きます。 マイマップ+ や Mappin! などを紹介しています。