今月の初めにサッカーゲームの決定版と言える「FIFA 13 by EA SPORTS」が発売され、現在も世界的な人気が続いているのですが・・・
実はほぼ同じタイミングで、もう1つの iPhone 定番のサッカーゲームシリーズの新作が公開されていました。
ゲームロフトの「リアルサッカー2013」です。

しかしこの「リアルサッカー」、完全に FIFA 13 の陰に隠れてしまい、話題にすらなりません
日本はもちろん、サッカーが盛んなヨーロッパにおいてもイマイチな模様。

なんだか見てて不憫なので、何がダメなのか、FIFA 13 と比べて何が足りないのか、その辺りをレポートしたいと思います。

リアルサッカー2013

今回のリアルサッカーは開発シミュレーション的なゲームモードが付加されているのが特徴です。
試合だけでなく、スタジアムや練習施設の拡張を行う要素が加えられていて、選手やチームの人気、スポンサー契約などの要素も加わっています。
また病院やスパ(温泉)などの施設もあり、負傷したりスタミナが下がった選手はここで治療する必要があります。

試合は練習試合に近い「フレンドリーマッチ」と、総当たりの「リーグ戦」、トーナメントの「カップ戦」があり、事前に組まれているスケジュールに沿って進行します。
最初はリーグもトーナメントも最下層の「ルーキーズ」から始まり、参加チームは4チームしかないので、リーグ戦3試合、カップ戦は2試合のみ。 これにフレンドリーマッチ2試合を含んだ7試合で1シーズンが終了します。
優勝や施設レベルなどの条件を満たすと上のリーグに参加できるようになり、徐々にステップアップしていく楽しみがありますね。
この辺りの長期的なゲーム構成は悪くなく、FIFA 13 よりもやり甲斐があるものになっています。
ただしオンライン対戦や Bluetooth 対戦などは今回はなく、1人プレイのみです。

試合の方は、左スティックと3ボタンで行います。
オフェンス時は「シュート」「パス」「ダッシュ」、ディフェンス時は「タックル」「プレス」「ダッシュ」になり、選手の切り替えは自動ですが、任意の選手を直接タップしての切り替えも可能です。
シュートやパスはレバーを入れている方向に行い、ボタンを押す長さによって強さが決まります。 長すぎると強く蹴りすぎてしまいますのでご注意を。
この辺の基本的な操作は FIFA 13 と変わりません。

選手のグラフィックはなかなか綺麗で、演出も良いですね。
ズームは3段階に調整可能で、FIFA 13 ほど細かい設定が出来る訳ではありませんが、ボールが見やすい近距離視点から周囲を把握しやすい遠距離視点まで選べるので、不満はありません。

リアルサッカー2013
※ゴールシーン。 このゲームはキーパーの精度が高く、ロングシュートはまず入らないと思った方が良いです。
ペナルティーエリア内まで入ってからシュートする事が必要ですが、慣れないうちは相手のディフェンスをかわし辛く、そう簡単には得点できません。


ここまで聞いた限りでは、そんなに悪くないゲームに思えるでしょう。
では何が悪いのか?

試合については、私的にはそんなに悪くないと思います。 と言うか及第点以上です。
選手の動きはリアルですし、ボールや選手がクッキリ大きめに描かれているため、FIFA 13 のように選手が密集した時にボールを見失うというケースもあまりありません。
シュートを決めたときの演出は以前より控えめになっていますが、リアルな表現を優先しているのだと思います。

ただ FIFA 13 と比較すると、細かい部分で気になる点が多いです。
まずなんと言ってもディフェンスし辛い。 「プレス」のボタンを押しっぱなしにすることで自動的に競り合ってくれるのは良いのですが、完全に抜かれても操作する選手がチェンジしないうえに、チェンジボタンがなくて選手を直接タップしないといけないので、素早い切り替えがし辛いです。
おまけに操作していない選手はボールを全く取りに行ってくれないので、なおさら操作は忙しくなります。

加えて操作感覚が FIFA 13 と比べるとやや劣ります。
サッカーゲームとしては決して悪くない操作感なのですが、同時に登場した FIFA 13 がかなりコントロールしやすかったので、両方やってしまうと少しやり辛く感じますね。

そして大きな問題なのはチーム運営の部分。 ここは完全にソーシャルゲーム的になっています
選手にはスタミナがあり、1試合すると 1/4 ほど減りますが、これを回復するには「休息」のコマンドを実行させても2時間ぐらいかかります。
2試合したら4時間以上、3試合したら6時間以上待たないと次の試合は出来ません
スタミナが少ない状態で試合させると怪我をしてしまう確率が上がり、怪我すると治療に 24 時間ほどかかります。

おまけに休息は「スパ」の施設のレベルが上がらないと3人しか実行できず、休息を実行できない選手のスタミナはほとんど回復しません。
さらに施設の拡張にも資金に加えて4時間とか8時間とかの時間がかかります。
選手のトレーニングも資金+時間経過が必要で、6時間~12時間ぐらいかかります。 この間、その選手は使えません。

リアルサッカー2013
※選手管理画面。 スタミナの回復には実時間の経過が必要で、だいたい2~3試合したら8時間ほどプレイできなくなります。 よって課金を繰り返さないと自由に遊ぶことは出来ません。
こうしたゲームは最近増えてきましたが、このゲームはあまりにも待ち時間が長すぎる印象。 ソーシャル系のゲームの中でも最長クラスです。
もちろん、課金を繰り返せば好きなだけ遊べますが・・・


とにかく何から何まで実時間の経過が必要で、「キャッシュ」を使えば時間は短縮できますが、もちろんキャッシュを得るには追加課金が必要になります。
選手のスカウトも★3以上の選手は 150 円、★4以上の選手は 300 円分のキャッシュが必要で、つまり「ガチャ」で得るシステム
1日1回の無料ガチャもありますが、ほぼ★1~★2の顔なし選手しか出て来ません。

こんなシステムですから試合できる数は限られていて、最初はなかなか難しく、ある程度慣れないと点は取れないのですが、その練習さえも自由に出来ません。
おまけに難易度設定がなく、最初は選手の能力も低いので、これではサッカーゲームにある程度慣れている人でないとお話にならないですね。

加えてライセンスの問題なのか、チームは「似ている」だけですべて架空
FIFPro(国際プロサッカー選手会)のライセンスを受けているため、実在の選手が写真付きで登場するのですが、FIFA や各国リーグのライセンスは受けていないようで、各チームの所属選手は適当です。
日本のリーグも用意されていますが、それっぽい名前とユニフォームなだけで、選手は全員架空の外国人なのでガッカリ感が否めません。
もちろん最初から有力選手がそろっていたのではチームを強化していく楽しみがありませんが、せめて日本チームは日本人の顔と名前にしといて欲しいものです・・・

なお、試合のスキップはありませんので、チーム運営はありますが、純粋なシミュレーションゲームとして遊ぶ事は出来ません。
ちなみに試合を「放棄」した場合、強制的に負けになり、さらに選手のスタミナもボロボロにされ、怪我人も高確率で発生するので、負け確定でも絶対に放棄しないようにして下さい。

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



アプリ本体は無料。 ただし俗に言う「フリーミアム」で、前述したように課金要素が多くあります。
無課金で進行する場合、かなりゆっくりとしたものになりますね。

ゲームロフトはゴルフが「レッツ!ゴルフ3」で、ダーククエストも「Dark Quest 3」でフリーミアム化し、ユーザーから賛否両論(と言うか大半は批判)を受けた訳ですが、サッカーシリーズも「リアルサッカー2012」以降はフリーミアム化しています。
今回シミュレーション要素が入ったことで、そのソーシャルゲーム的な部分がさらに強化されたと言えます。

ただ、じゃあこのゲームは課金を厭わない人にオススメなのかと言われると・・・ むしろ逆です。
これに課金を繰り返すぐらいなら 600 円で FIFA 13 を買った方が良いでしょうから、「アプリにお金をまったく払いたくない」という人にこそオススメで、実際にそうした人からの支持を受けているようです。
一応、タダでクオリティーの高いサッカーゲームが出来るアプリでもありますからね。

FIFA 13 よりは、日本人向けのゲームである気がします
しかし私的にはアクションゲームやスポーツゲームにソーシャル的なプレイ制限を加えて欲しくないのが本音で、ここまで課金要素と待ち時間が多いと、さすがに人に勧めたいとは思えませんね。

ともあれ、このアプリの最大の不幸は FIFA 13 と発売日が重なってしまった事でしょう。
やっぱりスポーツゲームで EA VS Gameloft になると、EA が強いよなぁ。

リアルサッカー2013 (iTunes が起動します)