クラシックの名曲とオーケストラをテーマにした音楽ゲームが、スクウェアエニックスより発売されています。
SYMPHONICA グランド・マエストロ」です。

販売はスクエニですが、開発は DS のリズムゲーム「押忍!闘え!応援団」で知られている iNiS(イニス)
この組み合わせは先月発売された「DEMONS' SCORE」と全く同じな訳ですが、ゲーム内容はそれとは正反対です。
曲がロック調で声優とムービーがメインだった DEMONS'S SCORE に対し、SYMPHONICA は楽曲とストーリーがメインです。
ゲーム内容も(解る人にしか解らない説明ですが)、DEMONS' SCORE が「応援団」的なシステムだったのに対し、こちらは「ビートマニア+リズム天国」と言った感じのシステムですね。

今作は曲作りを noisycroak というゲーム音楽専門の製作会社が行っており、そのためか非常に音に広がりがある、重厚でオーケストラらしいサウンドになっています。
そのためイヤホンを付けてプレイするのを推奨します

なお、iTunes には「動かない」「起動しない」という意見も多いようですが、当方で試した限りではそういった症状は(iPhone / iPad 共に)発生していません。
もし起動しない方は本体再起動を試してみて下さい。 iPhone 5 が発売されたばかりなので、ご存じない方が増えているのだと思いますが、インストールしたアプリが起動しない、及びすぐに落ちる時に、本体を再起動するのは iPhone の『常識』です

SYMPHonICA

演奏だけを楽しむモードもありますが、メインとなるのは「ストーリーモード」です。
「音楽都市」で新人の指揮者が小さな楽団と共に上位のコンサートホールを目指す内容で、1つの章はストーリーの合間に入る2度の練習と1度の演奏で構成されています。

曲は誰もがどこかで聞いた事がある名曲ばかりで、それが深みのある音色で鳴るため聴き応えがあります。
このゲームの魅力はこのサウンドだと思うので、改めてになりますがイヤホンを付けてのプレイが必須ですね。

ゲームの内容は、iTunes の解説文には「まったく新しい音楽ゲーム」という表記がありますが・・・
ぶっちゃけ既存の音楽ゲームのシステムであり、目新しい部分はほとんど見られません
ライン上を流れてくるマークが目印の位置に来た時に画面をタップするというおなじみのもので、マークによってはフリックしたり、弧を描くように指をスライドさせたり、押しっぱなしにする必要がありますが、これらも音ゲーとしては良くあるものですね。

しかしゲームとして面白くない訳ではなく、むしろ iPhone / iPod touch や iPad でも非常に遊びやすいシステムになっていて、音ゲーとして十分に楽しめます
タップやフリックをする場所は画面上のどこでもよく、そのためプレイ中に指が邪魔になる事はありません。
タイミングもシビア過ぎずユル過ぎずのちょうど良いバランスです。
やはりタッチパネルの場合、単にタップやフリックするだけのリズム天国系の操作の方がマッチしていますね。 グルーヴコースターも同様のシステムでしたし。

SYMPHonICA
※コンボを重ねると演奏者が光るようになり、100 Combo や 200 Combo を越えると輝くようになります。
コンボはプレイ中のスコアには影響せず、プレイ後に最大コンボ数に応じてスコアが 1.05 ~ 1.2 倍されるようになっています。
弧を描いているマークや並んでいるマークなどは楽譜の記号を思わせますね。


SYMPHonICA
※曲名を見てもさっぱり解らないと思いますが、聞いてみると「あぁ、これかぁ」という曲が多い。
収録曲数は 20 で、それぞれに3つの譜面が用意されています。
ただしストーリーモードではそれぞれの譜面の1つ目しか使われません。
2つ目、3つ目の譜面は演奏モード専用の譜面ですね。


ストーリーは全 10 章。 ただしエピローグの章とクリア後にプレイできる特別エピソードがあるため、合計で 15 の章があります
単なるリズムゲームを繰り返すだけでなく、こうしたストーリーがある方がゲームとしても面白いですね。

ただ1つの章は 10 分~ 15 分で終わるため、そんなに長く続くゲームではありません。
ストーリーのボリュームはそれほどではないので、そこが欠点と言えば欠点でしょうか。
しかしクリア後でなければプレイできない譜面も用意されているため、音ゲーとしてやり込む場合はクリア後もまだまだ遊べます。

ただ、なぜか Game Center に対応していないので、ハイスコアを出してもランキングを見たり知人とスコアを競ったりする楽しみはありません。
この規模の音ゲーで Game Center に対応していないのは、ちょっと不可解ですね。

もう1つ個人的に気になったのは、これは私の勝手な思い込みなのですが・・・
「指揮者になるゲーム」と言うから、てっきり指揮によって演奏をコントロール出来るのかと思ったら、そういうことはない単なる音ゲーだったこと。
過去の「指揮者」を扱ったゲームは、例えば Wii Music のように演奏速度などがプレイヤーの指揮によって変わるものが多かったので、ちょっと指揮者という設定が生きていないのが残念な気もします。
(ちなみに iPhone には、本体の振り方によって曲の速度や強弱が変わる String Trio という疑似演奏アプリがあります。 こっちの方が指揮っぽい感じは味わえます)

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



アプリ本体は無料。 ただし無料のままでは体験版に過ぎず、チュートリアルの章と1~3章までしかプレイできません。
ただ、その3章だけでもゲームの雰囲気は十分に解るし、相応に遊べるので、とりあえず試してみるのをオススメします。

クリア後の特別エピソードを含めた「全エピソードセット」は 1300 円の課金が必要になります。(バラ売りだと1章 250 円、4章セット 600 円)
問題は前述したように1章が 10~15 分で終わるので、全エピソードをプレイしても4時間ほどで完結すること。
ストーリーだけで終わった場合は、コストパフォーマンスが良くないのは否めません。

しかし個人的には高評価のゲームです。
著作権を気にする必要がなく、新曲を作る必要もない昔のクラシックを使った音楽ゲームは結構ありますが、そのためにイマイチなものが多いのが実情でした。
やっぱりクラシックと言うものはオーケストラで演奏されるのを想定して作られているので、オーケストラらしい重厚なサウンドが必要で、中途半端な音色で演奏されても全く魅力がありません。

しかしこのゲームはかなりオーケストラらしいサウンドで演奏され、ストーリーや雰囲気もオーケストラらしさを醸し出しているので、それらが非常にマッチしています。
クラシックを使った音楽ゲームで、私が「いい」と思ったのはこれが始めてですね。

SYMPHONICA (iTunes が起動します)
SYMPHONICA for iPad (iPad 専用版。価格は同じです)