※発表された「iPad 4」(iPad Retina ディスプレイモデル)は、今後発売される新しいモデルとして発表された訳ではなく、現行の新 iPad(iPad 3rd)に置き換わるものでした。(つまり今から製造される iPad は第4世代です)
この件について表記を修正/追加しています。

まだ iPhone 5 発売の熱気も冷めやらぬ中、本日未明 Apple が新たな発表会を行い、iPad の新バリエーションモデルを公表いたしました。
iPad mini」です。

Wi-Fi モデルの予約開始は10月26日から、発売は11月2日から。
電話回線などを通じて通信が可能なセルラーモデルは11月下旬の発売予定です。

iPad mini は iPad の7インチモデルであり、従来のものより一回り小さいのですが、そのぶん持ち運びに便利で軽量薄型、価格も安くなっています。
既存のモデルと画面サイズを比較すると以下のようになります。

並べて比較
iPhone iPad 画面サイズ比較

重ねて比較
iPhone iPad 画面サイズ比較

と言う訳で今回は、ここでも少し iPad mini について記載しておきたいと思います。

まずハードウェアのスペックは以下の様になっています。

【 iPad mini 】 2012年10月発表
CPU:Apple A5 (Cortex-A9 世代、1GHz、2コア)
メモリ:?
データ容量:16GB と 32GB と 64GB
画面:7.9 インチ、1024x768 px
カメラ:500 メガピクセル
グラフィック:(おそらく iPad 2 と同じ)
大きさと重さ:200 x 134.7 x 7.2 mm、308g
その他:Lightning コネクタ、ビデオ出力
価格:16GB 28800円、32GB 36800円、64GB 44800円
セルラー版は 16GB 39800円、32GB 47800円、64GB 55800円

まず CPU については、「iPhone 5 と同じ A6 が搭載されるのでは?」という希望的観測があった訳ですが、iPad 2 と同じ A5 になりました。 まあ「mini」ですからね。
同時に第4世代の新 iPad も発表されて、そちらには A6X が搭載されると告知されたのですが、私的にはこれは「本家の iPad に A6 乗せるから、こっちは A5 で当然だろ」という裏の主張があったような気もします。

また、7インチのタブレット市場は Nexus7 や Galaxy Tab などのライバル製品が安く、16GB モデルだと2万円前後のものが多いので、最新 CPU を乗っけて価格を高騰させる訳にいかなかったのだろうと思われます。

メモリについては例によって未発表
うーん、不安ですね・・・ たぶん 1GB だとは思います。 思いたい。 そうに違いない。
でも iPad 2 が 512 MB で、CPU や解像度がそれと同じである以上、こちらも 512 MB である可能性は高く、前述したように価格を抑える必要もありますからね・・・

画面は 7.9 インチ、解像度は非 Retina で iPad 2 と同じ 1024x768 px
「ほとんど8インチじゃん」と言いたくなる人も多いと思いますが、ディスプレイのインチサイズというのは対角線の長さであり、iPad は他より少し横幅が広いので、インチ数は大きめになります。
縦幅は他の7インチタブレットと変わりません。 (インチ数の詳細については こちら を)

解像度については「Retina じゃなくてガッカリ」という意見が巷では多いようですが、画面サイズが小さくなってるのに解像度は据え置きなので、実際の見た目は iPad 2 より高精細になるはずです
単純にディスプレイサイズと解像度を考えると、画質は iPad 3 と iPad 2 の中間になりますね。
iPad 2 でも十分綺麗だったから良いと思います。

もしこれで Retina ディスプレイを搭載すると解像度が2倍になって、処理能力を維持するにはグラフィック性能も2倍必要になります。
すると CPU / GPU は A5 じゃダメで、iPad 3 と同じ A5X が必要になります。
でも A5X にしたらコストがかかって価格は上がる訳で、そうしたらどうせ「7インチタブレットなのにたけーよウガァー」って言われるでしょうから、非 Retina が妥当と判断したのでしょうね。
って言うか、現状でも「たけーよウガァー」って言われてるし。

※あと、工場の都合(CPU のプロセスルールの世代交代)の影響で A5X の生産が終了し、すでに世代交代を終えている A5 を使うことにしたけど、A5 じゃ大画面の Retina を動かすにはグラフィック性能が足りない、という話もあるようです。

一方、カメラについては 500 万画素で、iPod touch 第5世代や iPhone 4 と同等。(iPhone 4S と 5 は 800 万画素)
スマートフォンと同じく携帯することを前提としているでしょうから、カメラを重視するのは当然でしょうか。
バッテリー持続時間は公称 10 時間で iPad 2 や 3 と変わらず。

そしてなんと言っても注目なのは薄さと軽さ。
7.2 mm という薄さは iPhone 5 以下で、他のタブレットと比較しても薄い。 重さも従来の iPad の約半分の 308g。
まあ体積が半分だから重さも半分なのは当たり前なんですが、でもやっぱり軽いですね。

コネクタは iPhone 5 と同じ Lightning になりました。
よって従来の周辺機器との互換性がありませんが、まあこれは時代の流れでしょう。

ちなみに「USB カメラアダプタ、SD カードアダプタ、モニター接続端子(DVI、HDMI 等) が Lightning ケーブルになる」という発表もあったようです。
ライトニングの兄貴分(?)の端子 Thunderbolt はモニター接続が可能なので、こういう端子の登場は予想されていましたが、これがあればテレビとかディスプレイに直接繋げて映像を映したり出来るんでしょうか?
ただし iPhone 5 はビデオ出力には未対応ですのでご注意を。
SD カードアダプタってのも気になりますね・・・

価格は 16GB で 28800 円。 32GB は 36800 円、64GB は 44800 円
iPad 2 や 3 は 16GB で 42800 円、32 GB は 50800 円、64 GB は 58800 円です。
つまり通常モデルの 14000 円引きがミニ。 16GB 版だと約半額になってますね。

ちなみに mini の発表に合わせて iPad 3rd の公式の呼称が「iPad Retinaディスプレイモデル」に変わりました。 なげーよ。

※「iPad Retina ディスプレイモデル」は iPad 3 の名称変更ではないようです。
Apple 公式サイトの「現行の」iPad の CPU 表記が A6X に変更されており、つまり iPad 3 の製造は終了し、これから製造される iPad は A6X 搭載の第4世代モデルになるようです。
現在(10/25)Apple 公式ストアでの iPad の販売は停止されており、iPad mini と iPad Retina ディスプレイモデル共に 10/26 から予約開始、11/2 より販売という表記になっています。
つまり公式ストアで販売されるモデルは 11/2 より iPad 4 になります
ただ、店舗には iPad 3 の在庫も残っているでしょうから・・・ 今後の iPad の購入には注意が必要ですね。


最後に個人的な感想としては・・・ 自分としては「必要ないかな」という感じです。
iPad の9インチサイズは外に持ち出すには大きすぎで、7インチだとバッグにも入るし、かなり軽いし、携帯しやすいのは確かです
よってタブレットを外で使う人にはとても使いやすいモデルだと思います。

しかし7インチだと電子書籍や書類などを見た時のサイズは文庫本ぐらいになります
9インチだとちょうど単行本サイズになるので漫画などは読みすいのですが、それより小さくなると拡大しなければ読み辛くなります。
さらに雑誌は A4 サイズをベースに作られているので9インチでも小さく、7インチだとかなり厳しいです。
小説なら文庫本サイズでも問題ないのですが、それ以外の本を読む場合は、電子書籍リーダーとしては見やすいサイズとは言えません

また持ち運びに便利なのは確かですが、私的には「持ち運ぶんならスマートフォンの方がいいや」というのがあるので、ちょっと微妙な印象。
ポケットに入らないし、カバンに入れるなら普通の iPad でもいいし。

スペック的には iPhone 4S や iPad 2 と同等のものがあれば既存のアプリは全て快適に動くので問題はないと思いますが、ハード的な位置としては「iPad の小さいやつ」ではなく「iPod touch のデカいやつ」なので、iPod touch 第4世代が後期に動かないアプリが多かった事を考えると、長期的にはやや心配になる面もあります。

また、iPad を買う人は「高スペックで快適に豊富なアプリを楽しみたい」というのもあると思います。
そうでないなら安い Nexus 7 や Galaxy Tab でも良いわけで、そのため「中間コスト、中間性能の新製品」というのは、果たして iPad の新モデルとして正解だったのか、という疑問もなきにしもあらずです。

でも「7インチが使いやすい!」という方も多いと思いますし、「バリエーションが増えて用途に合わせて選択できるようになった」のは良いですね。

私的には iPad 4 の発表の方が嬉しかったです。 こちらはまだ詳細が解らないけど

※前述したように iPad 3 は、近日中に A6X を搭載した iPad 4 と入れ替わります。
公式サイトの iPad の仕様情報 によると、セルラーモデルは LTE に対応し、コネクタは Lightning に変更、カメラは iPad 3 と同じ 500 万画素でパノラマ撮影はなし、しかし iPad mini と同じく Lightning ケーブルによるビデオ出力に対応しており、「単に iPad 3 の CPU が変わっただけ」というものではないようです。

なお、一部で「来年早々に iPad 5 が出る」という記事が見られるのは、iPad が 3 から 4 に「今すぐ」変わったので、来年は 5 が出るから、4 のピークは短いだろう、という意味のものです。
まあ、そりゃそうでしょうね・・・