ドイツゲーム(近年のボードゲーム)の製作者の第一人者 Reiner Knizia(ライナー・クニツィア)博士
彼のゲームは iOS のアプリになることが多く、iOS 専用ゲームもいくつか作られています。

そんなライナークニツィア氏の新作が、ボードゲームと iPad アプリで「同時に」公開されました。
Reiner Knizia's Qin」(ライナークニツィアの『秦』)です。

残念ながら iPhone / iPod touch 版は公開されておらず、iPad のみのゲームなのですが・・・
iPad mini も出ることだし、今回扱っておこうと思います。

紀元前の中国の国「秦」の領地の取り合い・拡大をテーマにした、マス目状のボードを使うドイツゲームです。
マスの上に3色に色分けされたタイルを置いていき、同じ色のタイルを繋げて自分の領地とし、そこに目印としてパゴダ(仏塔)を設置していきます。
ぶっちゃけ「パゴダはミャンマーの仏塔で中国とは関係ねぇ」「そもそも秦に仏教は伝来してねぇ」とか思うのですが、この辺はあくまで雰囲気だと思いましょう。

中華風の落ち着いた BGM と洒落た画面を持ち、ルールがシンプルで適度な時間で終わる、完成度の高いボードゲームです。

Reiner Knizia's Qin ライナークニツィアの秦

2~4人でやるボードゲームで、各プレイヤーには3枚の手札となるタイルが配られます。
自分の番になったら、すでに置かれているタイルに隣接させる形で、手持ちのタイルを1枚置きます。
タイルは2マス1組になっていて、マスごとに 赤・青・黄 の3色に色分けされています。

タイルを置いて同じ色のマスを2マス以上繋げたら、そこに自分の「パゴダ」(仏塔)を置いて領地とします。
ゲームは自分のパゴダを先に全部使い切れば勝利となります。
最初にパゴダを何個持っているかは、参加しているプレイヤーの人数によって異なります。

パゴダ(仏塔)が置かれている同じ色の領地が接した場合、それが同じプレイヤーの領地なら合体しますが、異なるプレイヤーの領地の場合はマスの数で勝敗を決め、少ない方のパゴダが取り除かれます
例えば、Aさんの赤色の領地3マスと、Bさんの赤色の領地2マスが接した場合、Bさんのパゴダは取り除かれて手持ちに戻され、Aさんの大きな赤色の領地1つになります。
そして領地の大きさが5マス以上になると、そこにはパゴダ2つ分の「大きなパゴダ」が置かれます。

もし双方のマスの数が同じになる場合(引き分けになるようなケースの場合)は、そこにタイルは置けません。
(2マスとも同じ色のタイルは置けますが、この時は置いた側の負けになります)

Reiner Knizia's Qin ライナークニツィアの秦

ボード上には、灰色の枠で囲まれた「」も存在します。
この村に隣接した領土を作ると、その村にも自分のパゴダ(仏塔)を置いて、占領することが出来ます。
これはつまり、1つ余分にパゴダを消費できることになります。
(1マス分の村と2マス分の村がありますが、効果は変わりません)

もし複数のプレイヤーの領土が村に隣接した場合は、隣接している領土のパゴダの数で所有者が決まります
例えば、Aさんが先に村に隣接した場合、その村にはAさんのパゴダが置かれます。
その後、Bさんの領土が村に隣接しても、パゴダが同数の場合は所有者は変わりません。
しかしBさんの領土が2つ村に接するか、Bさんの領土のパゴダが大パゴダ(パゴダ2つ分)になると、Bさんのパゴダの方が多くなるので、村に置かれていたAさんのパゴダは返却され、代わりにBさんのパゴダが村に置かれます

ここで重要なのは「パゴダの数」で所有者が決まることで、領土の大きさは無関係です。

Reiner Knizia's Qin ライナークニツィアの秦

基本的には、みんな自分のパゴダを置けるようにタイルを配置していくので、そのまま進むとパゴダは平均的に減っていきます。
村を占領したり、他のプレイヤーの領土を取り込んだりすることでパゴダの数に差が出ますが、そんなに独走できるルールではないので、常に接戦になります。
そして終盤、パゴダ1つ、村1つを巡る攻防になり、このギリギリのところで勝負が決まるのが面白い点ですね。

パゴダの残り数がそのまま各プレイヤーの優劣になるので、ゲームの状況を把握しやすく、解りやすいのも良い点です。

ゲームのコツは、村から2マス離れた場所を取らないこと。
そこを取ってしまうと、相手が2マスとも同色のタイルを持っている場合、それを置かれて村を取られてしまいます。
また、2マスとも同色のタイルは色々な使い道があるので、無駄使いしないことが大切です。

難点は、単に1ゲームをプレイするだけの内容で、長期的に遊べる要素に乏しいこと。
キャンペーンモードのようなものはなく、コンピューターキャラは4種類、ゲームボードは2種類で、こちらもそんなに多い訳ではありません。
(また一番強いコンピューターキャラは思考時間が長めで、ゲームのテンポが落ちます)
オンライン対戦はありますが、iPad のみという事もあってプレイヤーは多くなく、おまけにゲームが落ちてしまう問題も発生します。
(対戦ゲームを立ち上げた後、まだ誰も来ていない状態でそのゲームを選択すると落ちます。 なお、1人用のゲームでは落ちることはありません)

また、このゲームのオンライン対戦はリアルタイムの対戦ではなく、1手進めたらゲームを終了し、しばらく後に相手が進めていたらゲームを起動して、また1手進めて終了するという手順を繰り返すメール形式の対戦です。
よって進行には非常に時間がかかります・・・
(双方がずっとゲームを起動している状態なら、リアルタイムの対戦になりますが・・・)

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



価格は 450 円。 ドイツゲームのアプリの一般的な価格ですね。
この手のアプリとしてはグラフィックやサウンドは高水準です。

まだ(2012/10 時点では)iPhone / iPod touch で登場していないのが残念ですが、良質のドイツゲームなので iPad を持っているプレイヤーにはオススメできます
欲を言えば、もっと遊びやすいオンライン対戦や、もうちょっと凝った戦績表示が欲しいところですが・・・ 1人でもじっくり遊べる内容ではありますね。

ボードゲーム、ドイツゲームが好きな人なら押さえておくべきアプリでしょう。

Reiner Knizia's Qin (iTunes が起動します)