2004 年にカードゲーム最高の表彰「アラカルト・カードゲーム賞」を受賞し、ドイツゲーム/ボードゲームの表彰である「ドイツ年間ゲーム大賞」や「ドイツゲーム賞」でも上位となった、大航海時代の開拓地をテーマにしたカードゲームが iOS で登場しています。
San Juan」(サンファン)です。

このゲームは 2002 年にドイツ年間ゲーム大賞(専門家による表彰)とドイツゲーム賞(ユーザー投票による表彰)をダブル受賞した「Puerto Rico」(プエルトリコ)というゲームを、カードゲーム用に簡略化したものです。
この Puerto Rico も iPad 用のアプリ(iTunes 起動)になっているのですが、iPad 用しかないうえに、グラフィックなどがイマイチで、当ブログでは扱っていませんでした。
しかしこの San Juan(サンファン)は iPhone / iPod touch 版も存在しており、グラフィックやサウンドも良く、完成度が高いです。

iPad 版の Puerto Rico(プエルトリコ)は Codito というメーカーが開発していて、ここは iOS の Ra(ラー)Tikal(ティカル)Medich(メディチ)Tigris & Euphrates(チグリス&ユーフラテス)などを作っているメーカーです。
ドイツゲームアプリの定番メーカーではありますが、グラフィックはやや劣ります。

一方 San Juan(サンファン)を作った Revensburger というメーカーは、高い完成度で知られる iOS 版 Scotland Yard(スコットランドヤード)を作ったところで、その技術力の高さはこのアプリでも見て取れます。
カードの動きがリアルでインターフェイスも見やすく、BGM も Carcassonne(カルカソンヌ)のようなアコースティックギターの落ち着いたサウンドになっており、非常に良い雰囲気を醸し出していますね。

San Juan (サンファン)

2~4人でプレイするカードゲームです。
ゲームが始まると各プレイヤーに手札が配られ、そして自分のターンの人が「役割」(そのフェイズで実行する行動)を選択します。

役割(行動)には Builder(建築)、Producer(生産)、Trader(売却)、Councillor(市政)、Prospector(採掘)の5種類があり、選ばれた行動を全員が実行します。
例えば、建築が選ばれたらそのフェイズは建築フェイズ、生産が選ばれたら生産フェイズになる訳ですね。

全員がその行動を実行したら、次の人が残っている役割から、次のフェイズの行動を選択します。
それぞれのプレイヤーが役割を選択し終えたら、そのターン(ラウンド)は終了。
次の人のラウンドになり、また改めて各種の行動(役割)を順番に選択していきます。

各行動の詳細は以下の様になっています。

Builder(建築)
手札の建物を建てることが出来ます。 建物には「コスト」があり、そのコスト分だけ手札を建設費として支払う必要があります。
例えば、コスト3のタバコ農場を建てるには、それとは別に3枚の手札を捨てる必要があります。(つまり合計4枚以上の手札が必要になります)
Builder を選択した人は、建物を建てるためのコストが1つ減ります。

Producer(生産)
農場で生産を行えます。 インディゴ(染料)、砂糖、タバコ、コーヒー、銀を産出する建物のどれか1つに生産を行わせることができ、生産した農場には「在庫マーク」が表示されます。
Producer を選択した人は、さらにもう1ヶ所(つまり2ヶ所)で生産を行うことが出来ます。

Trader(売却)
農場で生産された製品を1つ売却して、手札を引くことが出来ます。
「在庫マーク」がある農場しか選択できません。
売却時に製品ごとの相場が表示され、その相場の枚数だけカードを貰えます。
Trader を選択した人は、さらにもう1つ(つまり2つ)の売却を行えます。

Councillor(市政)
カードを2枚ひき、そのうち1枚を手札に加えます。(もう1枚は捨て札になります)
Councillor を選択した人は、+3枚(つまり合計5枚)のカードをひいて、その中から1枚を手札に加えます。

Prospector(採掘)
この行動のみ、Prospector を選択した人にしか効果がありません。
山札からカードを1枚ひき、手札に加えます。

San Juan (サンファン)
※トレードフェイズに交易品を売っているシーン。 左下に表示されているのが相場で、農場の色と対比していますが、砂糖と銀はどちらも白色なので注意して下さい。
カードは7枚しか保持できず、8枚以上持つとターン(ラウンド)終了時に余剰分を捨てることになります。 よって売却はその点も加味して行いましょう。
建物の「塔」があれば 12 枚まで保持できるようになります。


ゲームは各種の行動で手札を貯めて、その手札を使って建物を建てるのを繰り返します。
カードゲーム版の Caylus(ケイラス)、と言っても良いでしょうか。

農場以外の建物にはそれぞれ特殊効果が存在し、さらに「勝利点」が付加されています。
誰かが 12 の建物を建設するとゲームは終了となり、勝利点が一番高い人が勝者となります。

ゲームの勝敗を左右するのは、建物ごとの特殊効果ですね。
「生産数が1つ増える」「一度に売れる商品の数+1」「建築コストを軽減する」「市政フェイズにカードを2枚受け取れる」などの様々な効果があり、それらを組み合わせることで多くのカードを補充出来るようになります。
さらに高コストですが多くの勝利点を得られる建物もあり、高めた生産力でそれらを建築することで逆転を狙う事も可能です。

一方で、誰かが 12 の建物を建てた時点で終了なので、効果的な建物だけを選んで建設を行っていると建物を建てきれずに終わってしまい、そのぶん勝利点を稼げなくなってしまいます。
ゲーム中は「欲しい建物を建てるためにカードを貯めるか」「他プレイヤーの建設スピードに遅れないためにとりあえず建てられるものを建てるか」の選択を繰り返し迫られ、ここがゲームの面白さであり戦略のポイントにもなっています。

San Juan (サンファン)
※最終スコアの画面。 ゲームの目的はあくまで勝利点を稼ぐことで、生産力を高めるのは手段に過ぎないので、その点を忘れないようにしましょう。
もし勝利点が同じ場合は、最後に持っていた手札と生産品の合計が多い方が上位になります。


San Juan (サンファン)
※2人対戦の場合はルールがやや異なります。 1ラウンドが2フェイズではなく、自分・相手・自分の3フェイズになります。 つまり先に行動を選択した人は、ラウンド終了前にもう一回行動を選択できます。
これは通常とは違う戦略をもたらします。 例えば自分のターンに生産品を売ってカードを8枚以上にしても、その後の行動で建物を建設してカードを7枚以下にすれば、余剰分を破棄しなくて済みます。
オンライン対戦の「クイックマッチ」は2人プレイになるので、この点を覚えておきましょう。


難点は、このようなシステムのため、ややカード運に左右されやすいこと。
例えば「農場の数×2の勝利点を得る」という効果のギルドホールという建物がありますが、農場を多く建て、このギルドホールの建築を狙っていても、カードの種類が多いため、「最初から最後までギルドホールが来なかった」なんてこともあり得ます。

しかし適度なランダム性があった方が展開が毎回異なるためゲームは楽しめますし、繰り返していれば確実に勝率は上がっていきます。
コンピューターも3段階の難易度に分かれたキャラクターが3人ずつ用意されているので、自分のレベルに合わせて遊ぶ事が出来ます。

以下は Youtube で公開されている公式のゲームトレーラーです。



価格は 600 円で、ドイツゲームのアプリとしてはやや高め。
ただ冒頭でも述べたように、グラフィックやサウンドは高水準で全体の雰囲気も良く、アプリの完成度は高いです。

キャンペーンモードのようなものはなく、1回1回のゲームを楽しむのみで、オンライン対戦も Game Center を通してのマッチングのみ。
しかしオンライン対戦は1手 60 秒の制限時間のあるリアルタイム対戦なので、マッチングさえされれば快適に楽しむ事が出来ます。
ただ戦績やランキング、レートのようなものはないので、そこはやや残念ですね。

総合的には、ドイツゲームのアプリの中では上位に位置する内容だと思います。
ボードゲームが好きな方には十分オススメできるアプリです。

San Juan (iTunes が起動します)


【 ちょこっと攻略 】

各建物の効果の和訳です。 プレイされる方は参考にして下さい。
私的には Prefecture(庁舎)、Library(図書館)、Guild hall(ギルドホール)が強い印象です。

○ 農場
Indigo Plant (インディゴ、染料)
Sugar mill (砂糖)
Tabaco storage (タバコ)
Coffee roaster (コーヒー)
Silver smelter (銀)
※これらは生産と売却を行える

○ コスト1の施設
Smithy (鍛冶屋)
農場を建てるときのコスト -1
Gold mine (金鉱)
誰かが採掘をするとカードを4枚ひく
その4枚のコストが全部違う場合、その中から1枚を貰える
Archiv (書庫)
市政フェイズにカードを選ぶ時、手札も混ぜた中から必要なものを選べる

○ コスト2の施設
Poorhouse (救貧院)
次のターンから、手札が1枚以下になった時、カードを1枚貰える
Black market (闇市)
建設時に商品の在庫を2つまで、支払うカードの代わりに使える
Trading post (交易所)
売却フェイズに売れる商品の数 +1
Well (井戸)
生産フェイズに商品を2つ生産するとカードを1枚貰える
Market stand (売店)
売却フェイズに商品を2つ売却するとカードを1枚貰える
Crane (クレーン)
建設済みの建物の上書きが可能
上書きして建設する場合、必要なコストは差額分となる

○ コスト3の施設
Chapel (教会)
ラウンド開始時、カードを1枚寄付すると勝利点 +1
Tower (塔)
ラウンド終了時のカード保持上限が7枚から 12 枚になる
Aqueduct (水路)
生産フェイズに生産できる商品 +1
Carpenter (大工)
施設(紫色のカード)を建設するごとにカードを1枚貰える
Prefecture (庁舎)
市政フェイズに貰えるカードが2枚になる
Statue (石像)
勝利点 +3、モニュメント

○ コスト4の施設
Market hall (中央市場)
売った商品1つにつき、カードを1枚貰える
Quarry (採石場)
施設(紫色のカード)を建てるときのコスト -1
Victory column (勝利の円柱)
勝利点 +4、モニュメント

○ コスト5の施設
Library (図書館)
自分が選択した役割のボーナスが2倍になる
Hero (英雄像)
勝利点 +5、モニュメント

○ コスト6の施設
Guild hall (ギルドホール)
勝利点が「農場の数×2」増加
City hall (シティーホール)
勝利点が「施設(紫の建物)の数」増加
Triumphal arch (凱旋門)
勝利点が「モニュメントの数×2+2」増加
ただしモニュメントが1つもない場合は 0 点
Palace (宮殿)
建物による勝利点4点あたり、勝利点1増加

※施設の効果などで建設コストが 0 以下になるときは、タダで建設できます。
※(2012/11 時点では)コンピューターの行動中にコンピューター側のカードをダブルタップで確認するとゲームが進行しなくなる不具合が発生する場合があります。
この時はメニューで Quit game を選んでタイトルに戻り、ゲーム再開(Continue で Yes)を選べば復帰できます。