iPhone / iPod touch と横スクロールのシューティングゲームはあまり相性が良くなく、有名な作品は ダライアス バーストSPデススマイルズToon Shooters ぐらいしかないのですが・・・
先日、遊びやすい 2D の横スクロールシューティングゲームが発売されました。
Vritra」 です。

日本の小メーカーの作品で、そんなにボリュームがある訳ではないのですが、オーソドックスで遊びやすい内容と、美しいグラフィック、スコアアタックが楽しいシステムで、中小メーカーのシューティングとしてはなかなかの秀作と言えます。

Vritra

ライフ制+残機制のシューティングゲームで、自機は「相対移動」です。
(画面のどこをなぞっても、指を動かした方向と速度で移動します)

ノーマルショットは自動で連射されますが、BOOST のボタンを押しっぱなしにすると太いレーザーが出る「ブーストショット」を発射できます。
ブーストショットを撃っていると画面上部のゲージが減少し、なくなると撃てなくなりますが、ゲージは時間と共にどんどん回復していきます。
また、ブーストショットで敵を倒すと得点倍率が上昇していくため、ブーストを多用する事が攻略にも点稼ぎにも重要になります。

4種類のウェポンアイテムがあり、は追尾オプションを2つ装備、はレバーの反対方向に攻撃、は自機の周囲を回る光球を装備、黄色は扇状に弾を発射します。
アイテムを取ることでこれらの武器を変えることができますが、これらはパワーアップアイテムではなく、たくさん取っても強くなるという事はありません
ただ、ウェポンアイテムは相応に得点が高いので、スコアアタックをしている場合は出来るだけ回収していくことになりますが。

最後に待ち受けるボスを倒せばステージクリア。
3ステージ+ラスボス戦」でオールクリアとなり、そんなに長い訳ではないで、手軽に楽しめる反面、短く感じるのは否めません
ただ、これはこれで手軽に楽しめて良いかもしれませんね。

Vritra
※ステージ2のボス、大蜘蛛。 ボスの周囲を鉄板のようなものが旋回していて、ボスを攻撃する妨げになりますが、ボスの攻撃を防ぐ盾にもなります。
タイトルの「Vritra」(ヴリトラ)とはインドの神話に出てくる漆黒の邪龍(蛇神)で、このゲームではラスボスとして登場します。 そのシーンのグラフィックは本当に綺麗です。


iPhone の横スクロールのシューティングゲームは操作性と視認性が大きな問題ですが、このアプリはスクリーンサイズをピンチ操作で自在に拡大・縮小できます
またスクリーンの位置も自由に動かせるので、サイズを少し小さくして画面の右上に持っていくことで、iPhone / iPod touch でもプレイしやすい形にカスタマイズすることができます。

難易度は EASY、NORMAL、HARD、INSANE の4つが用意されていますが、各難易度の差がやたら激しい印象です。
EASY だと敵は弾を少ししか撃ちませんが、HARD だと弾を連射しまくるうえに、撃ち返し弾(やられた時に出す弾)まで撃ってきます。

ここまで差があるのはどうかと思いますが、3ステージ+1しかないので、上位の難易度でも慣れてしまえば攻略できるのは早いでしょうから、それを加味しているのかもしれません。

Vritra
※スクリーンレイアウトの画面。 スクリーンの大きさはいくつかのサイズから選ぶのではなく、ピンチ操作によりドット単位で変えることが出来ます。
iPhone 5 だと画面が横長なので、以前よりも横シューがプレイしやすくなっていて、それも操作性に影響しているかも。
もちろん一番遊びやすいのは画面が大きい iPad ですが。


ブーストショットで高めた得点倍率(RATE)はステージクリアしても引き継ぐため、ゲームに慣れてノーミスで進めるようになると、スコアは飛躍的に上がっていきます。
敵のパターンが解ってくると、多数の敵が出る場面でブーストショットを活用し、一気に倍率を稼ぐということが出来るようになるので、こうなるとスコアを狙う楽しさがさらに増していきます。
どちらかと言うと DODONPACHI MAXIMUM のようにスコアアタック重視のゲーム性と言えるでしょう。

リプレイデータの保存をしたり、アップロードする事も可能で、公開されているハイスコアラーのリプレイを手軽に見れるので、この辺もスコアアタックを重視している作りと言えそうです。


やや難点なのは、やられると倍率がリセットされてしまうため、1機やられた時点でそれまで貯めてきた倍率が全てなくなり、スコアアタック的にはゲーム終了なこと。
ライフ制なので3回被弾するまではやられず、ステージクリアするとライフは回復するので、1ミスでアウトという訳ではないのですが、一機やられた時点でやる気は大幅にダウンですね。

あとは、この手のゲームでは良くあるのですが、知っていないと回避不可能な「初見殺し」のトラップがいくつか見られます。
また、指が邪魔になりやすい、後方や下から敵が出てくる場面も存在します。
ただ道中が3ステージ分しかないゲームなので、そうした場面を覚えやすく、一度見れば対処法が解るため、あまり大きな問題にはなっていない感じではありますが。

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



定価は 350 円。 ボリュームを考えると微妙なところですが、現在は 170 円で販売されています。
また「ダイジェスト版」と称されている無料版も存在します。

ストイックな楽しみ方をするシューティングであり、「EASY で1回クリアして終わり」と言うのでは楽しめないゲームなので、あまり一般向けではない気がします。
しかし歯応えのある難易度と、狙ってプレイすればどんどんスコアが上がっていくシステムのおかげで、シューターにはオススメできるゲームです。

こういう表現はおかしいかもしれませんが、「良く出来た同人シューティング」と言った感じでしょうか。
対応機種は iPhone 4S 以降、及び iPad 2 以降なのでご注意下さい。
シューティングが好きな人なら、押さえておいて損のないアプリです。

Vritra (iTunes が起動、iPhone / iPad 共用です)
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