RPG の戦闘を手軽に楽しめるパズルゲームにした、2012 年のスマートフォン最大のヒットゲーム
それが「パズル&ドラゴンズ」です。

空前のヒットにより、今ではゴールデンタイムにテレビ CM まで流している程なので、iPhone / Android ユーザーなら知らない人はほとんどいないでしょう

当方でも本家 iPhone AC に攻略ページを作る予定だったのですが、あまりの大ヒットのため各サイト / ブログにこぞって特集記事が掲載され、攻略ブログも多数登場、Wiki(非公式Wiki,攻略Wiki)のデータも非常に充実しているため、もはやうちが扱う必要もないと思い、取り上げるのを見送っていました。

しかし 2012 年の総括をするにあたり、このゲームを外す訳にはいかないので、今更ですがご紹介しておこうと思います。
一時のフィーバーを過ぎた今になってわかる、パズドラが与えた影響も見直してみたいと思います。

パズル&ドラゴンズ

まずはゲームの基本的な部分を説明しておきましょう。
「モンスター5体+助っ人モンスター1体」でパーティーを組み、敵モンスターのいるダンジョンに向かいます。
ダンジョンと言っても自動で進行し、やることは敵モンスターとの戦闘のみです。

戦闘は俗に「マッチ3ゲーム」と呼ばれるパズルになっており、任意のコマを動かして、同じ色のコマを縦か横に3つ以上並べれば消すことが出来ます。
モンスターには の5つの属性があり、それぞれ のコマに対応していて、消したコマの属性のモンスターが攻撃を行います。

ただしズーキーパービジュエルドと違い、1つのコマを何マスでも動かすことができます
動かせる時間は決まっていますが、その時間内なら一筆書きの要領でいくらでもコマを移動させられ、それによって周囲のコマの位置を変えられます。

このため慣れれば3連鎖・4連鎖を自在に組むことができ、連鎖が続くほど敵に与えるダメージもアップしていきます。
これがシンプルながら他のマッチ3ゲームにはない、奥深いゲーム性・パズル性を生んでいます。

敵にはカウンターが付いており、コマを1度動かすごとに減っていき、0 になると攻撃してきます。
それによりこちらの HP が 0 になると敗北しますが、ハートのパネルを消すことで回復することが出来ます。
また、カウンターは時間ではなく、こちらがコマを動かすことで減るため、コマを動かさなければ敵は攻撃してきません
よって時間に追われることなく、じっくり考えながらプレイする事ができます。
おかげでアクションが苦手な人でも楽しめますね

以下はコマの動かし方の一例です。

パズル&ドラゴンズ
※「L字型」のコマは、そのコマの上をなぞるように動かすと一列に並んでくれます。
これは多用する並べ方なので覚えておきましょう。


パズル&ドラゴンズ
※右の緑をそろえたいのですが、そこは画面の端。
間にある赤いコマを左に動かしてもそろえられるのですが、青いコマを右の画像のように一回転させてもそろえることが出来ます。
こうしたそろえ方をいくつマスターしているかで腕前に差が出ます。


パズル&ドラゴンズ
※紫のオーブを左に移動させている図。 一回転させるように動かすと、どんどん横にズラすことが可能です。 これはやっていればすぐ解るはず。
上記の例だと、その後に右の画像のように動かすと3連鎖が成立します。
連鎖は重ねるほど攻撃力アップ。 1連鎖ごとにダメージが 25 %上乗せされますが、一度に多くのコマを消しているとさらに威力は増えます。
同じ色を5つ繋げると全体攻撃になりますが、これは一列でなくても「T字型」や「十字型」で OK です。


指定された回数の戦闘に勝利し、最後にボスを倒すとステージクリア。
敵を倒すとたまに「タマゴ」が現れ、これを入手してクリアすると新しいモンスターをゲット出来ます。

モンスターは編成に加えられるのはもちろん、「合成」してモンスターをレベルアップさせるのにも使えます。
レベルが最大になったモンスターは「素材モンスター」を集めて上位種に「進化」させることもできます。

モンスターはそれぞれ固有の「スキル」を持っており、その活用も鍵になります。
また攻撃力や体力だけでなく回復力という数値もあり、これが高いモンスターがいないとハートのコマを消しても HP を回復しきれません。

加えてモンスターの属性には「に強く水に弱い、に強く火に弱い、に強く木に弱い。 は互いに強い」という「相性」があり、強い属性にはダメージ2倍、弱い属性にはダメージ半減となります。

これらを加味してパーティーを編成する必要があるため、その組み合わせは色々考えられ、どんなパーティーを作って育成するかもゲームの楽しみですね。


このゲームには「ソーシャルゲーム」の要素もあり、ダンジョンに行くと「スタミナ」を消費し、なくなると回復するまで待つか、課金通貨の「魔法石」を使うまでプレイできなくなります。(実時間 10 分でスタミナ1回復)
また「ガチャ」が存在し、強力なモンスターは魔法石(課金通貨)を使うガチャでなければ入手困難です。

しかしゲームを進行させることである程度の魔法石を入手できるようになっていて、イベント等でも魔法石は割と頻繁に配布されています
また課金ガチャ以外の方法でも強力なモンスターを手に入れる手段もあり、(無理に最強とか目指さない限り)無課金でも十分にゲームを進行させることが出来ます

開発メーカーのガンホーは、この過剰な課金誘導を行わない運営を「ポカポカ運営」と称しており、他のソーシャルゲームとは一線を画すスタイルを取っています。
こうしたユーザーフレンドリーな運営も人気に大きく影響していると思われます。

パズル&ドラゴンズ
※回復力のあるモンスターは攻撃力が低い傾向にあるのですが、回復力がないとボスの攻撃に耐えられないので、回復役も1体は欲しいですね。
また、ボスの攻撃で即死してしまうとクリア出来ないので、攻撃力だけでなく HP も重視しましょう。
合成は同じ属性のモンスターを素材にすれば経験値が 1.5 倍になります。
また合成費用はベースモンスターのレベルで決まるので、ちびちびレベルを上げるより、5体合成して一気に上げた方が費用効率は良いです。
お金は主に土曜日と日曜日に現れる限定ダンジョン「土日ダンジョン」で稼ぎましょう。


さて、そんなパズドラですが、私はこれが発売されたことが今年のスマートフォンのゲーム市場、いやゲーム業界全体のもっとも大きなニュースではなかったかと思います。

昨年末のゲームの話題と言えば「ソーシャルゲーム」の話ばかりで、どこのメーカーもそれに傾倒していました。
「ゲームの内容より課金演出の方が大事」とセミナーなどで堂々と明言され、ゲームの面白さではなく「いかにユーザーに金を出させるか」「どれだけ低コストで高い売上を記録できるか」のみが追求され、ガチャの内部確率の変更や、解析ツール(KPI ツール)を使ったレアの放出率の調整などが「テクニック」として講演会で当たり前のように紹介されるなど、マナーやモラルの低下が著しい状況となり、それがおかしいとさえ思わないような風潮となっていました。

結果的にそれが詐欺まがいのシステムと射倖心を過剰に煽る演出、未成年者の多額の課金を招き、警察や消費者庁などが監視を強め、例の「コンプガチャ規制問題」に発展していった訳ですが、そうした社会的な問題は別としてゲーム的な視点で見ても、ドリランド型・ロワイヤル型のような簡易的なソーシャルゲームが破格の利益を上げ続けた結果、各メーカーの開発力はソーシャルゲームのみに向き、既存ゲームの衰退はユーザー視点からも明らかでした。

当時は「グラフィックやサウンドはゲームに必要ない」「携帯アプリにゲーム性は不要」「限りなくシンプルに作ることが利益を上げるコツ」とインタビューなどでも繰り返し語られており、つまり「ゲームの否定」がゲーム業界に蔓延していた印象です。

しかしパズドラはソーシャルゲームのシステムと、ゲーム性の高い内容を両立させたものであり、前述したソーシャルゲームの作り方とは正反対のものと言えます。
そんな「ゲーム的なソーシャルゲーム」が爆発的なヒットとなり、多くの利益を上げ続けたことで、「ゲーム性を否定したソーシャルゲームでなくても儲けを出せる」という実例を作ることになりました
これによりソーシャルゲーム(ポチポチゲー)に急速に傾いていった流れは、かなり押し止められたのではないかと思います。

また、パズドラは前述したように過剰な課金演出を伴わない「ポカポカ運営」を行っていました。
それは「長く遊んでいるユーザーはいずれ課金してくれます」というスタイルであり、課金を急がせず、無料でも長く楽しめるゲームを提供することで、もっと長期的な視野で課金に誘導していこうというものでした。

これについては「結局課金させようとしているのは変わらないだろ」という意見もありますが、それまで主流だった射倖心を煽りまくる演出と小細工により、早急に高額課金に導こうとするやり方とは大きく異なっています。
しかもそれは単なる提言ではなく、実際に結果を出したものであったため、業界に与えたインパクトは非常に大きいものでした。

最近は ロード・トゥ・ドラゴン冒険クイズキングダムドラゴンコインズ といった「パズドラ系」と言って良いゲームが数多く登場しています。
これらもパズドラがなかったら、ロード・トゥ・ドリランド や 冒険クイズロワイヤル、ドラゴンコインレクションになっていたかもしれません。

ソーシャルゲームが全て問題だと言う訳ではありませんが、昨年末の時点では色々な意味で極端でした。
パズル&ドラゴンズはそんな状況を改善し、「ゲームでユーザーを楽しませてお金を貰う」という、かつては当たり前だったゲームの考え方を、スマホの市場に幾分か取り戻したアプリではなかったかと思います。

以下は Youtube で公開されている公式のプロモーションビデオです。



と言う訳で「パズル&ドラゴンズ」、激しく今更な紹介でしたが、「もしこのゲームがなかったら、今頃どうなってたかなぁ」と思うアプリですね。

このゲームは本来両立が困難なソーシャルゲームと普通のゲームの中間に位置するもので、内容としては完全に「ゲーム」ですが、ソーシャルゲーム並みに万人がプレイできるシステムとなっています。
それは奇跡的なバランスで、それを真似ろと言っても難しいのですが、来年はさらにこの系統のゲームが出てきて、「パズドラ系」と言えるジャンルを築くことになるかもしれません。

まぁ、あれこれ書きましたが、パズドラが成功したのは単純に「面白いから」というのが一番の理由でしょう。
このレビューを書くにあたって久々にプレイしたのですが、やっぱり楽しいですね。
短時間やっただけでもそのままハマりそうになります。

アプリ本体は無料なので手軽に始められますし、スマートフォンを持つなら、1度はやっておくべきアプリでしょう。

パズル&ドラゴンズ (iTunes が起動します)