本日から数回に渡り、2012 年度の iPhone ゲームアプリのレビューの総括として、各ジャンルの優秀アプリをまとめてご紹介していきたいと思います。

昨年・一昨年は「ゲーム大賞 2010」「ゲーム大賞 2011」が実施されていたため、それが総括になっていたのですが、今年はまだ具体的な動きがないため、iPhone AC の独断で各部門の優秀アプリを賞賛していきたいと思います。
(もし「ゲーム大賞 2012」が実施されることになったら、ここで紹介したアプリがそのまま当方からのノミネートとなる予定です)

今回は「ショートゲーム部門」「RPG 部門」「戦略シミュレーション部門」「開発/運営シミュレーション部門」「タワーディフェンス部門」の5部門をご紹介いたします。

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【 ショートゲーム部門 】

短時間で終わるシンプルな、携帯アプリらしいアクションゲームをここでは扱います。

この部門で特にオススメなのは、インディージョーンズのような冒険活劇をシンプルなラン系ゲームにアレンジした作品「PITFALL!」ですね。

PITFALL!

昨年大ヒットした Temple Run の亜種ですが、カメラワークや演出に優れていて、しかけも非常に豊富です。
旧機種だと動作がひっかかる問題がありますが、iPhone 5 などの最新機種ならその問題も起こりません。
このタイプのアプリの中では決定版と言っても良いでしょう。

他には、シンプルながら奥深いゲーム性を持つ「ネコアップ2」「こねこあっぷ」の2作品と、定番のチャリ走が大幅にパワーアップした「チャリ走DX」などが注目作でしょうか。

ネコアップ2 こねこあっぷ チャリ走DX

かわいい犬が集団で大脱走する「Off the Leash」もかなりオススメだったのですが、残念ながらこの作品は現在非公開となっています。

また、今年は「ファンタジーxランナーズ」のヒットも興味深いところでした。
ゲーム的には特別秀でている程ではなかったと思うのですが、センスの良いグラフィックとアイコンでユーザーの目を引き付けた作品でした。
やはりデザインセンスも大事だよなぁ、というのを改めて知ったアプリですね。

世界的には「Angry Birds Space」と「Angry Birds Star Wars」の2作品が中心だったと言えますが、そろそろアングリーバードは飽きてきた方が多いと思います。 新規の方にはお勧めですが。
Catapult King」は 3D のアングリーバードというのがユニークです。

他にはラン系ゲームの秀作「Ski Safari」、ゲームはシンプルだけどグラフィックと題材が秀逸な「Babel Rising 3D」、ヘタレ主人公に魅力がある「フミンズナイト」などが注目作だったと言えます。


【 RPG 賞 】

今年は「PRG+パズル」の パズドラ の大ヒットが注目でしたが、ここではそうした RPG の亜種ではなく、純粋な RPG を取り上げます。

まずはなんと言っても CHAOS RINGS_II (ケイオスリングス2)。
このシリーズを賞賛するとお決まりのように批判も受けるのですが、しかしスマホの域を超えているグラフィックと重厚なストーリー、携帯機器に最適化されたゲームシステムは賞賛されて然るべきものであり、やはり「良いものは良い」と言いたいですね。

CHAOS RINGS_II ケイオスリングス2

スクエニが送る本格的な RPG で、前作からの改善点も多く見られ、おまけ要素も豊富です。
定期的なアップデートで長く楽しめた作品でもありました。

ただ、個人的に今年一番登場が嬉しかった RPG は、「すばらしきこのせかい Solo Remix」ですね。

すばらしきこのせかい Solo Remix

元々 DS のタッチパネルに最適化されたゲームだったので、スマートフォンでプレイしても違和感はなく、グラフィックやサウンドも大幅にグレードアップ
「iOS で出てくれればいいのに」とずっと思っていたゲームですが、この完成度を見る限り、内部ではかなり早くからプロジェクトが進められていたのでしょう。

もっとライトな RPG として今年人気だったのは、「不思議の国の冒険酒場」と「魔女と勇者」です。

不思議の国の冒険酒場 魔女と勇者

不思議の国の冒険酒場 は、「○○のアトリエ」系の生産 RPG です。
操作性に問題がありましたが、アップデートで改善され、初期のアトリエシリーズの面白さをそのまま残しています

魔女と勇者 はお値段も内容も難易度もお手軽で、スマホにベストマッチと言えます。
iTunes レビューでも★5評価の割合が非常に高く、とにかく遊びやすいアプリですね。
ただ、は操作性に難がありますが。

他の注目作は、名作と呼ばれたファミコン版ウィザードリィ、及びゲームボーイのウィザードリィ外伝を再現した Wizardry外伝 ~戦闘の監獄~、アクション RPG としては完成度の高い イノティア戦記4~ベルケルの暗殺者~ などでしょうか。

FINAL FANTASY IV も発売されましたが、先日出たばかりなので一旦保留。
新作だけど古いファイナルファンタジー FINAL FANTASY LEGENDS 光と闇の戦士 もかなりの話題作と言えますね。


【 戦略シミュレーション部門 】

ここではターン制、及びリアルタイム制で、戦闘が含まれる戦略/戦術シミュレーションゲームを取り上げています。
オンラインではない戦術シミュレーションゲームは、「Great Big War Game」の完成度が突出していましたね。

Great Big War Game

ファミコンウォーズ風の戦術 SLG に様々な独自ルールを加味した内容で、コミカルな兵器デザインや綺麗なグラフィック、豊富なステージなど、非常にクオリティーの高い作品です。

戦略級の SLG としては、手軽さと本格さを併せ持つ硬派な歴史シミュレーションゲーム「欧陸戦争3」、及び「世界の覇者2」が注目の作品でした。

欧陸戦争3 世界の覇者2

ただ、サイコロを使ったボードゲーム風の前作とは違い、本格的なシミュレーションゲームになったため、解りやすさは薄れ、ヘビーユーザー向けのゲームになってしまった印象は否めません。
そのぶんミリタリー SLG が好きな人なら、いつまでも楽しめる内容に進化したとも言えますが・・・

他には、今年の作品ではないのですが、手軽な戦術シミュレーションゲーム「New World Colony」や「Slay」に大型のアップデートが行われ、再び人気となっています。

一方、オンライン要素がある戦略級シミュレーションゲームは、先日スタートしたばかりですが、やはり「Kingdom Conquest II」(キンコン2)が本命ですね。

Kingdom Conquest II キングダムコンクエスト2

世界的なヒットとなった前作を大幅に改修し、様々な問題点を解消すると同時に、内容をさらにグレードアップしており、この系統のゲームとしては決定版と言っても良いでしょう。
他にもキンコン1のチームが開発した ドラゴンアーク が、今年初頭からの注目作と言えました。

また、戦略ゲームとはちょっと違うのですが、RTS(リアルタイム・ストラテジー)の亜種である「ヒーローズ・オブ・オーダー&カオス」が、戦略ゲームとアクション RPG とオンライン対戦の面白さを良いとこ取りしていて、かなり完成度の高い作品に仕上がっています。
まあ、他のゲームの模倣作ではありますが・・・


【 開発シミュレーション部門 】

この部門では開発や運営を中心としたシミュレーションゲームを取り上げています。

この部門は昨年は「カイロ無双」でした。
しかし今年はカイロソフトのゲームは少なめで、内容もライトユーザー向けのものが多く、私的には物足りない印象がありました。

そんな中、ヤバイぐらいハマりかけたのが「パズル+村開発 SLG」の「Puzzle Craft」です。

Puzzle Craft

Dungeon Raid 型の一筆書きパズルで資源を集め、それで村の施設を建設していく内容で、設備が充実するほどパズルも有利になっていくのが特徴です。

このゲーム、軽い気持ちで始めたらそのまま止められなくなってしまい、一日中やってました
「お城の建設」という目標があり、それを達成すると一段落付くので、それで終わる事が出来たのですが、延々と続くシステムだとヤバかったです。 それぐらい没頭できるゲームですね。
価格も安いし(と言うか無料が続いてたし)課金も必要ないし、かなりオススメです。

もう1つの注目作が、DERBY OWNERS CLUB です。
ソーシャルゲームの要素と、本格的なレース要素、そして競走馬の育成シミュレーション要素が合わさったゲームで、「ダービースタリオンのような競馬 SLG がやりたいなぁ」と思っていた私にはジャストヒットでした。

DERBY OWNERS CLUB

ソーシャル要素によるプレイ制限はありますが、調教や生産を行え、トレーニングセンターの拡張も可能で、レースシーンもかなり本格的です
開発/運営 SLG とはちょっと違うかもしれませんが、ダビスタ好きにはかなりオススメできるゲームですね。

カイロソフトの中では、多店舗経営が可能な 大盛グルメ食堂 が個人的にはオススメです。
あと、アストロ探検隊 もゲーム自体はとても面白いのですが、マップが固定されているため、一度クリアすると探索する楽しみがなくなってしまうのが残念でしたね。

そしてもう一つ、これを「開発/運営 SLG」と言って良いのか解りませんが・・・
疫病で人類を滅亡させる Plague Inc. が世界的なヒット作となっています。
題材が題材なので強くお勧め出来ないのですが、これが良く出来ていて、面白かったりするんですよねぇ・・・


【 タワーディフェンス部門 】

昨年(2011年)はタワーディフェンス不作の年で、目立った作品がほとんどなかったのですが、今年は秀作のタワーディフェンスが続々と発売されました

その中でも本命は Fieldrunners 2(フィールドランナーズ2)でしょう。
安定性が悪く、アプリがよく落ちるのが難点ですが、TD としての完成度はやはり突出しています。

Fieldrunners 2

数々の表彰を受けた前作をさらに拡張し、タワーの数も大幅に増加、戦闘もますますハデになっていて、無数の敵で画面が埋め尽くされるステージも存在します。
ステージも大幅に増加し、やり込み要素も十分。

ただ、Fieldrunners 2 に匹敵するほどの完成度を誇るタワーディフェンスが、もう1つ登場していました。
Spice Bandits です。

Spice Bandits

こちらもフィールドランナーズと同じオープンフィールド型の TD(タワーの設置によって敵の進行ルートをコントロール出来るタイプ)で、グラフィックが良くタワーの数も豊富、オンライン対戦まで完備されている高クオリティーのゲームでした。

ただ Fieldrunners 2 が発売された後は、そちらに注目が移ってしまった印象がありますね。
また、キャラデザインはちょっと日本やアジア向きではありません・・・

秋には定番シリーズである Bloons TD の最新作 Bloons TD 5 も登場しました。
こちらもステージが大幅に増加、多種多様なアップグレードも追加され、見た目と違って高い戦略性を持ちます。
圧倒的な攻撃で無数の風船を割りまくる派手な展開も健在です。

日本では絵巻物風のグラフィックが印象的な、直進型タワーディフェンス「アレクサンドリア大戦絵巻」と「百鬼大戦絵巻」が人気となりました。

Bloons TD 5 アレクサンドリア大戦絵巻 百鬼大戦絵巻

大戦絵巻シリーズは新作が出るごとに良くなっています。
現在はアップデートを重視しているようですが、次回作も期待したいところですね。

注目のタワーディフェンスの1つ「Defender Chronicles II」も発売されていましたが、初期に経験値とお金を稼ぎまくれるバグが存在し、興醒めしてしまいました・・・
現在は修正されていますが、少しずつキャラを強くしていくのが楽しいゲームだったので、影響が大きかったですね。
他には昨年末の作品ですが、Jelly Defense が秀作と言えるでしょうか。

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今回ご紹介するのは以上です。

次回は「アクション部門」「格闘ゲーム部門」「シューティング部門」「FPS/TPS 部門」「レース部門」をお届けいたします。

その1:ショートゲーム、RPG、戦略 SLG、開発/運営 SLG、タワーディフェンス
その2:アクション、格闘、シューティング、FPS/TPS、レース
その3:パズル、カード/ボード、音楽ゲーム、ノベル/アドベンチャー、スポーツ
その4:無料アプリ、ソーシャルゲーム、パズドラ系、その他、クソゲー