2012 年度の総括となる、iPhone ゲームアプリの各ジャンルの優秀作のご紹介。
大晦日にお送りする4回目の今回で、この特集も最後となります。
今回は「無料アプリ部門」「ソーシャルゲーム部門」「パズドラ系部門」「その他部門」「クソゲー部門」をお届けいたします。
これまでの記事は以下のリンク先をご覧下さい。
その1:ショートゲーム、RPG、戦略 SLG、開発/運営 SLG、タワーディフェンス
その2:アクション、格闘、シューティング、FPS/TPS、レース
その3:パズル、カード/ボード、音楽ゲーム、ノベル/アドベンチャー、スポーツ
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【 無料アプリ部門 】
ここでは本体無料で、追加課金がないか、課金があってもゲームを進行させる上で必須とは言えない、無料で延々と遊べるゲームを対象としています。
この部門で最初に取り上げるべきはもう、コレしかないですね。
「なめこ栽培キットDeluxe」です。 知名度、話題性、共に MAX。
何の手違いか日本中に大ブームを巻き起こしてしまった「なめこ」が、「デラックス」になったものです。 でも太ってません。
非常に手軽に楽しめる栽培ゲーム(?)で、以前の遊びやすさを維持しつつ、演出とボリュームを強化し、システムの改良が行われています。
食玩やらストラップやらグッズも多数発売され、もう飛ぶ松茸を落とす勢いのなめこ。
アプリ自体は無料、課金も一切なしですが、この物販販売によって収益を得られているようで、そういうスタイルが成り立っている事自体がもう特別です。
もう一つの話題作は、パズドラで有名になったガンホーの出世作「ケリ姫」の最新版。
「ケリ姫スイーツ」です。 何度見てもスイーツって名前が笑えます。
姫が主人公や兵士達を「蹴っ飛ばし」、モンスターと戦わせるというユニークな内容で、Angry Birds のような投射系ゲームではありますが、放り込んだ兵士達が自主的に戦う点が大きく異なります。
今回は RPG としての育成要素も強化されました。
「課金があるじゃないか」と言われそうですが、ゲームを進行するうえでほとんど課金は必要ありません。
やってみれば解りますが、「これで利益が得られるのか?」と思うほどの内容で、無理に課金を強要しないガンホーの「ポカポカ運営」を体現しているゲームと言えます。
また、「話題の無料ゲーム」という点で上記2つに勝るとも劣らないアプリだったのが「ぐんまのやぼう」。
作者の方がこのアプリがきっかけで、なんと群馬県の観光特使に任命されてしまったというゲームです。
「なめこ」風の収穫システムでポイントを貯め、近隣の県を制圧し、日本全土を「群馬県」にするという手軽に楽しめるおバカゲー。
ウゴウゴルーガ風の絵柄と収穫時の「グンマー」という声に味があり、さらに「コンプガチャ問題」が話題になっていた時期に(無料の)コンプガチャを導入するというナナメ上なアップデートを公開。
RucKyGAMES クオリティが爆発しているネタゲーですね。
他の個人や中小メーカーのゲームでは、海戦ゲームが「ずっと俺のターン」になった「トレジャーサブマリン」、プロモーション用だけど本編並みに楽しめるバーテンダーシミュレーター「Bar Oasis 1.5」、ゲームは面白いのにあらぬ疑いをかけられてしまった「ぴよ盛り」などが注目作でしょうか。
人気のズーキーパーのオンライン対戦版「対戦ズーキーパー」や、テレビで話題の数当て推理ゲーム「Numer0n [ヌメロン]」なども無料で手軽にオンライン対戦ができるゲームとして人気ですが、これらは課金要素がやや強いですね。
【 ソーシャルゲーム部門 】
行き過ぎた運営方法にとうとう行政のメスが入り、そのインフレ傾向に終息の気配が見えているソーシャルゲーム。
先日 GREE(グリー)や DeNA(モバゲー)、NHN Japan(ハンゲーム)など主要6社が作った「ソーシャルゲーム協会」(JASGA)が発足しましたが、相変わらず未成年者の高額課金問題が続いていて、そのモラルが問われています。
スマホにおいては、急速にスマホ専用アプリ(ネイティブアプリ)への移行が進んだのが注目でしょう。
ショボいガラケーブラウザのゲームをスマホでやっても、物足りないのは当然です。
そんなネイティブアプリ化を急速に推し進めた、今年かなり大きな話題となったソーシャルゲーム。
それがスクエニの「拡散性ミリオンアーサー」です。
グリー / モバゲー とは一線を画した演出とグラフィック、著名なラノベ作家を起用したストーリー、話題のコンポーザーが作成したサウンドなど、新時代のソーシャルゲームを予感させる内容でした。
しかしゲーム自体は従来のグリモバ型のソーシャルゲームに過ぎず、予定されていたアップデートも進まず、昨今はその運営にユーザーの批判が集中するなど、様々な問題点も見られます。
いずれにせよ、1年を通して話題満載のアプリでしたね。
開発系のソーシャルゲームでは「ハッピーストリート」が、かわいい動物たちと綺麗なグラフィックで大きな人気となりました。
欧米のキャラクターデザインはアジアではウケない場合も多いのですが、このゲームのデザインは日本人が見ても可愛らしく、全く違和感はありません。 メッセージも日本語化されています。
遊びやすい内容で演出も豊富、この手のソーシャルゲームとしては完成度は突出しています。
また昨年ヒットした「Tiny Tower」を元にした、ビル開発系のゲームが2つ登場して人気になりました。(と言っても一方は地下ですが)
「りとるキングダム」と「Crazy Tower」です。
りとるキングダムは立体感のある 3D グラフィックが凄いです。
遠近法が活用されていて、片目をつぶってスクロールさせると本当に奥行きを感じる程です。
こうした開発系のゲームは見た目も重要なので、ここはポイント高いですね。
Crazy Tower はガンホーが開発したコミカルホラーテイストの開発ゲームで、タワーディフェンス風のモンスター撃退モードがあるのが特徴です。
タワーディフェンス風と言っても戦略性は乏しいのですが、ゲームのアクセントにはなっていますね。
また日本製なこともあり、他の同タイプのゲームより遊びやすいです。
他には、キャラクターデザインが硬派なスクエニの2つ目のソーシャルゲーム「ガーディアンクルス」や、汎用的なドリランド型ソーシャルゲームだけどグラフィックはソシャゲ NO.1 の「メタルギア ソリッド ソーシャル・オプス」などが注目作だったと言えるでしょう。
【 パズドラ系部門 】
パズル&ドラゴンズのような「○○+RPG」のゲームをどう扱うか悩んだのですが・・・
この際、「パズドラ系」でまとめてしまおうと思います。
まずはなんと言ってもパズドラ系の元祖、「パズル&ドラゴンズ」を紹介しなくてはなりません。
2012 年度の最大の成功作と言って良いでしょう。
手軽に楽しめるパズルゲームと、継続して楽しめる RPG の面白さ、さらに多様なモンスターを集める収集要素を組み合わせたメガヒットアプリです。
「ガチャ」があったり、プレイ時間に制約があるなどのソーシャルゲーム的なシステムもありますが、過剰な課金誘導を行わない「ポカポカ運営」により無課金でも十分に楽しむことが出来ます。
知名度や売上は圧倒的で、広告と課金演出を重視したシンプルなソーシャルゲームでなくても成功できる実例となったことで、業界に大きな影響を与えました。
そんな訳で、今年の年末には続々と他のパズドラ系のアプリが登場する事になります。
パズドラと同じ「パズル+RPG」ですが、登場キャラクターが人間で、奧深いバックストーリーを持つ「ロード・トゥ・ドラゴン」。
「クイズ+RPG」という iOS では初のスタイルで、ガチャが存在しない「脱ガチャ」を遂げている「冒険クイズキングダム」。
実機のコイン落としゲームの老舗セガが送る、一風変わった「コイン落とし+RPG」の「ドラゴンコインズ」。
これらはどれも完成度が高く、すべて人気のアプリとなっています。
今年登場したパズドラ系のゲームは、ことごとく秀作でした。
来年はどうなるか解りませんが、この成功に続こうとするアプリはさらに増えると思われ、このシステムをアレンジしたゲームも出てくることでしょう。
【 その他部門 】
この部門では、ここまでのジャンルに含まれない、今年注目と言えたアプリを取り上げます。
まずは「空気読み。2」。 「ひたすら空気を読む」というテーマが秀逸な「おバカゲー」です。
表示される状況を素早く把握し、空気を読む行動を取るという瞬間的な判断力が要求されるゲームで、問題数は実に 100 問。 中には一般常識が試されるものも存在します。
操作が解りにくい問題もありますが、その辺も空気を読んで推理するのが面白さでしょう。
また、スマホの機能を生かした演出と、ファミコン風のゲームが徐々に壊れていく表現で恐怖感を煽る、独特な雰囲気のホラーゲーム「ナナシ ノ 或プリ」もかなりの話題作でした。
ゲームとしてはどうかと思う部分も多いのですが、そういうことを云々言うようなアプリではないですね。
恐怖を与えるためのアイデアに満ちた内容で、ホラーが好きな人なら見逃せない一品です。
また、脳トレ系のゲーム「アインシュタインの脳トレ」が、スマホの脳トレ系のアプリとしては完成度が高く、オススメできます。
レトロゲームとしては、ナムコ黄金期のゲームがカップリングされた「NAMCO ARCADE」(ナムコアーケード)が注目だったのですが、操作性に問題があり、iPhone でプレイするにはゲーム画面も小さく、難点も多いです。
iPad なら割とプレイしやすいのですが・・・
【 クソゲー部門 】
ラストにお届けするのは裏のゲーム大賞、ユーザーの失意のどん底に叩き落としたゲームをピックアップする「クソゲー部門」です。
ただ、先にフォローしておきますが、ここで紹介するものよりクソゲーなアプリは数多く存在します。
しかし誰も知らないようなクソゲーを取り上げてもしょうがないので、ここで扱うアプリは「話題だったのに内容が伴っていなかった」という「ガッカリアプリ」が中心です。 この点をご了解下さい。
まず、今年最初のガッカリアプリは、数々の伝説的な作品を手がけてきた有名な「巨匠」たちが集まって開発された、iOS オリジナルのアクションアドベンチャーゲーム「ボーダーウォーカー」です。
そのオールスターっぷりに各ゲーム情報サイトがこぞって特集を組んだのですが、フタを開けてみるともう突っ込みどころ満載でした。
面白くない上に時間だけはかかる戦闘、パッとしないインターフェイス、ほとんど育成要素がない退屈なシステム、文字をタップするだけのショボいクエスト、死ぬほど面倒でやってられないダンジョン・・・ 何もかもがゲームの楽しさに繋がっていません。
シナリオや BGM は非常に良く、ここだけは「巨匠らしさ」を感じるのですが、それがこのゲームに使われている事が勿体なく思えてしまうレベルです。
しかし「今年のクソゲー大賞はもう決まりか?」と思っていた矢先、それを越えるアプリをスクエニが投げ込んできました。
「アナタ図書館」です。
短編小説集のゲームブックで、登場人物の名前を、登録した身近な人の名前に置き換えるシステムがあり、このコンセプト自体は悪くありません。
しかし肝心の小説がくだらない! マジで読むに耐えない!
素人が書いたとしか思えない文章を延々と読ませられ、読んだ後の「時間を無駄にした」感がすごいです。
これが個人や小メーカーのアプリならまだ納得できるのですが、天下のスクエニのアプリであり、おまけに課金が結構高い。
何を考えてこれを販売するに至ったのか、ぜひ聞いてみたいものです。
一方、ゲーム自体はともかく、その販売スタイルで墓穴を掘ったのが大名作の復刻版「Sorcerian for iOS」(ソーサリアン)。
パソコンのアクション RPG の移植で、その移植度は悪くないのですが、2500 円という高額設定だったにも関わらず、キャラスロット課金、アイテム倉庫課金、復活課金、薬課金、ゴールド課金など、至るところで課金課金。
さらに「不老不死」という多くのプレイヤーが活用していた裏技を、高額課金しないとまともに実行できなくするアップデートを導入し、それでなくても炎上している状況に油を注ぐという、ユーザーの怒りを買いまくったアプリです。
現在は多くの課金が廃止され、シナリオも追加されるなど、状況が改善されているのですが、運営や販売方針を失敗するとこうなるという一例となりましたね。
そして年末、多くのユーザーをガッカリさせたアプリが「ロックマン Xover」(ロックマン クロスオーバー)です。
あのアクションゲームの王道ロックマンが「ソーシャルゲーム」になるという時点でガッカリムードが漂っていたのですが、それでも一部のユーザーはロックマンらしいアクション性のあるソーシャルゲームになるのではと期待していました。
しかし出て来たものは、アクションとは名ばかりのショボい戦闘、攻撃方法を選択するだけのボス戦、戦略性皆無のカード装備など、ロックマンファンの期待を完膚無きまでにぶち壊す内容でした。
それはまさに「ロックマン Xo ver」(ロックマン クソ バージョン)。
シンプルなソーシャルゲームを楽しんでいる人にはこれでも良いのかもしれませんが、少なくとも従来のロックマンファンは喜ばないし、中途半端なアクションがむしろ邪魔な簡易ソーシャルゲームになってしまいました。
と言う訳で、今年もいくつかの目立ったガッカリゲーが出て来た訳ですが、個人的にもっともクソゲーだと思ったのは「アナタ図書館」ですね。
ただ、アナタ図書館はお試しのストーリーを無料で読むことが出来ます。
よって無料でどれだけダメなのかを手軽に確認できます。
気軽に踏める地雷なので、ぜひ話のタネに踏んでみることをオススメいたします。
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今年の iPhone ゲームアプリの総括は、これで以上です。
「ゲーム大賞」ではないので、大賞の発表みたいなものはしませんが、巷の人気や話題的には「今年はパズドラの年」と言って良かったのではないでしょうか。
2013 年はどんなアプリが我々を楽しませてくれるのか、iOS とスマホ市場の更なる発展を期待したいですね。
その1:ショートゲーム、RPG、戦略 SLG、開発/運営 SLG、タワーディフェンス
その2:アクション、格闘、シューティング、FPS/TPS、レース
その3:パズル、カード/ボード、音楽ゲーム、ノベル/アドベンチャー、スポーツ
その4:無料アプリ、ソーシャルゲーム、パズドラ系、その他、クソゲー
大晦日にお送りする4回目の今回で、この特集も最後となります。
今回は「無料アプリ部門」「ソーシャルゲーム部門」「パズドラ系部門」「その他部門」「クソゲー部門」をお届けいたします。
これまでの記事は以下のリンク先をご覧下さい。
その1:ショートゲーム、RPG、戦略 SLG、開発/運営 SLG、タワーディフェンス
その2:アクション、格闘、シューティング、FPS/TPS、レース
その3:パズル、カード/ボード、音楽ゲーム、ノベル/アドベンチャー、スポーツ
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【 無料アプリ部門 】
ここでは本体無料で、追加課金がないか、課金があってもゲームを進行させる上で必須とは言えない、無料で延々と遊べるゲームを対象としています。
この部門で最初に取り上げるべきはもう、コレしかないですね。
「なめこ栽培キットDeluxe」です。 知名度、話題性、共に MAX。
何の手違いか日本中に大ブームを巻き起こしてしまった「なめこ」が、「デラックス」になったものです。 でも太ってません。
非常に手軽に楽しめる栽培ゲーム(?)で、以前の遊びやすさを維持しつつ、演出とボリュームを強化し、システムの改良が行われています。
食玩やらストラップやらグッズも多数発売され、もう飛ぶ松茸を落とす勢いのなめこ。
アプリ自体は無料、課金も一切なしですが、この物販販売によって収益を得られているようで、そういうスタイルが成り立っている事自体がもう特別です。
もう一つの話題作は、パズドラで有名になったガンホーの出世作「ケリ姫」の最新版。
「ケリ姫スイーツ」です。 何度見てもスイーツって名前が笑えます。
姫が主人公や兵士達を「蹴っ飛ばし」、モンスターと戦わせるというユニークな内容で、Angry Birds のような投射系ゲームではありますが、放り込んだ兵士達が自主的に戦う点が大きく異なります。
今回は RPG としての育成要素も強化されました。
「課金があるじゃないか」と言われそうですが、ゲームを進行するうえでほとんど課金は必要ありません。
やってみれば解りますが、「これで利益が得られるのか?」と思うほどの内容で、無理に課金を強要しないガンホーの「ポカポカ運営」を体現しているゲームと言えます。
また、「話題の無料ゲーム」という点で上記2つに勝るとも劣らないアプリだったのが「ぐんまのやぼう」。
作者の方がこのアプリがきっかけで、なんと群馬県の観光特使に任命されてしまったというゲームです。
「なめこ」風の収穫システムでポイントを貯め、近隣の県を制圧し、日本全土を「群馬県」にするという手軽に楽しめるおバカゲー。
ウゴウゴルーガ風の絵柄と収穫時の「グンマー」という声に味があり、さらに「コンプガチャ問題」が話題になっていた時期に(無料の)コンプガチャを導入するというナナメ上なアップデートを公開。
RucKyGAMES クオリティが爆発しているネタゲーですね。
他の個人や中小メーカーのゲームでは、海戦ゲームが「ずっと俺のターン」になった「トレジャーサブマリン」、プロモーション用だけど本編並みに楽しめるバーテンダーシミュレーター「Bar Oasis 1.5」、ゲームは面白いのにあらぬ疑いをかけられてしまった「ぴよ盛り」などが注目作でしょうか。
人気のズーキーパーのオンライン対戦版「対戦ズーキーパー」や、テレビで話題の数当て推理ゲーム「Numer0n [ヌメロン]」なども無料で手軽にオンライン対戦ができるゲームとして人気ですが、これらは課金要素がやや強いですね。
【 ソーシャルゲーム部門 】
行き過ぎた運営方法にとうとう行政のメスが入り、そのインフレ傾向に終息の気配が見えているソーシャルゲーム。
先日 GREE(グリー)や DeNA(モバゲー)、NHN Japan(ハンゲーム)など主要6社が作った「ソーシャルゲーム協会」(JASGA)が発足しましたが、相変わらず未成年者の高額課金問題が続いていて、そのモラルが問われています。
スマホにおいては、急速にスマホ専用アプリ(ネイティブアプリ)への移行が進んだのが注目でしょう。
ショボいガラケーブラウザのゲームをスマホでやっても、物足りないのは当然です。
そんなネイティブアプリ化を急速に推し進めた、今年かなり大きな話題となったソーシャルゲーム。
それがスクエニの「拡散性ミリオンアーサー」です。
グリー / モバゲー とは一線を画した演出とグラフィック、著名なラノベ作家を起用したストーリー、話題のコンポーザーが作成したサウンドなど、新時代のソーシャルゲームを予感させる内容でした。
しかしゲーム自体は従来のグリモバ型のソーシャルゲームに過ぎず、予定されていたアップデートも進まず、昨今はその運営にユーザーの批判が集中するなど、様々な問題点も見られます。
いずれにせよ、1年を通して話題満載のアプリでしたね。
開発系のソーシャルゲームでは「ハッピーストリート」が、かわいい動物たちと綺麗なグラフィックで大きな人気となりました。
欧米のキャラクターデザインはアジアではウケない場合も多いのですが、このゲームのデザインは日本人が見ても可愛らしく、全く違和感はありません。 メッセージも日本語化されています。
遊びやすい内容で演出も豊富、この手のソーシャルゲームとしては完成度は突出しています。
また昨年ヒットした「Tiny Tower」を元にした、ビル開発系のゲームが2つ登場して人気になりました。(と言っても一方は地下ですが)
「りとるキングダム」と「Crazy Tower」です。
りとるキングダムは立体感のある 3D グラフィックが凄いです。
遠近法が活用されていて、片目をつぶってスクロールさせると本当に奥行きを感じる程です。
こうした開発系のゲームは見た目も重要なので、ここはポイント高いですね。
Crazy Tower はガンホーが開発したコミカルホラーテイストの開発ゲームで、タワーディフェンス風のモンスター撃退モードがあるのが特徴です。
タワーディフェンス風と言っても戦略性は乏しいのですが、ゲームのアクセントにはなっていますね。
また日本製なこともあり、他の同タイプのゲームより遊びやすいです。
他には、キャラクターデザインが硬派なスクエニの2つ目のソーシャルゲーム「ガーディアンクルス」や、汎用的なドリランド型ソーシャルゲームだけどグラフィックはソシャゲ NO.1 の「メタルギア ソリッド ソーシャル・オプス」などが注目作だったと言えるでしょう。
【 パズドラ系部門 】
パズル&ドラゴンズのような「○○+RPG」のゲームをどう扱うか悩んだのですが・・・
この際、「パズドラ系」でまとめてしまおうと思います。
まずはなんと言ってもパズドラ系の元祖、「パズル&ドラゴンズ」を紹介しなくてはなりません。
2012 年度の最大の成功作と言って良いでしょう。
手軽に楽しめるパズルゲームと、継続して楽しめる RPG の面白さ、さらに多様なモンスターを集める収集要素を組み合わせたメガヒットアプリです。
「ガチャ」があったり、プレイ時間に制約があるなどのソーシャルゲーム的なシステムもありますが、過剰な課金誘導を行わない「ポカポカ運営」により無課金でも十分に楽しむことが出来ます。
知名度や売上は圧倒的で、広告と課金演出を重視したシンプルなソーシャルゲームでなくても成功できる実例となったことで、業界に大きな影響を与えました。
そんな訳で、今年の年末には続々と他のパズドラ系のアプリが登場する事になります。
パズドラと同じ「パズル+RPG」ですが、登場キャラクターが人間で、奧深いバックストーリーを持つ「ロード・トゥ・ドラゴン」。
「クイズ+RPG」という iOS では初のスタイルで、ガチャが存在しない「脱ガチャ」を遂げている「冒険クイズキングダム」。
実機のコイン落としゲームの老舗セガが送る、一風変わった「コイン落とし+RPG」の「ドラゴンコインズ」。
これらはどれも完成度が高く、すべて人気のアプリとなっています。
今年登場したパズドラ系のゲームは、ことごとく秀作でした。
来年はどうなるか解りませんが、この成功に続こうとするアプリはさらに増えると思われ、このシステムをアレンジしたゲームも出てくることでしょう。
【 その他部門 】
この部門では、ここまでのジャンルに含まれない、今年注目と言えたアプリを取り上げます。
まずは「空気読み。2」。 「ひたすら空気を読む」というテーマが秀逸な「おバカゲー」です。
表示される状況を素早く把握し、空気を読む行動を取るという瞬間的な判断力が要求されるゲームで、問題数は実に 100 問。 中には一般常識が試されるものも存在します。
操作が解りにくい問題もありますが、その辺も空気を読んで推理するのが面白さでしょう。
また、スマホの機能を生かした演出と、ファミコン風のゲームが徐々に壊れていく表現で恐怖感を煽る、独特な雰囲気のホラーゲーム「ナナシ ノ 或プリ」もかなりの話題作でした。
ゲームとしてはどうかと思う部分も多いのですが、そういうことを云々言うようなアプリではないですね。
恐怖を与えるためのアイデアに満ちた内容で、ホラーが好きな人なら見逃せない一品です。
また、脳トレ系のゲーム「アインシュタインの脳トレ」が、スマホの脳トレ系のアプリとしては完成度が高く、オススメできます。
レトロゲームとしては、ナムコ黄金期のゲームがカップリングされた「NAMCO ARCADE」(ナムコアーケード)が注目だったのですが、操作性に問題があり、iPhone でプレイするにはゲーム画面も小さく、難点も多いです。
iPad なら割とプレイしやすいのですが・・・
【 クソゲー部門 】
ラストにお届けするのは裏のゲーム大賞、ユーザーの失意のどん底に叩き落としたゲームをピックアップする「クソゲー部門」です。
ただ、先にフォローしておきますが、ここで紹介するものよりクソゲーなアプリは数多く存在します。
しかし誰も知らないようなクソゲーを取り上げてもしょうがないので、ここで扱うアプリは「話題だったのに内容が伴っていなかった」という「ガッカリアプリ」が中心です。 この点をご了解下さい。
まず、今年最初のガッカリアプリは、数々の伝説的な作品を手がけてきた有名な「巨匠」たちが集まって開発された、iOS オリジナルのアクションアドベンチャーゲーム「ボーダーウォーカー」です。
そのオールスターっぷりに各ゲーム情報サイトがこぞって特集を組んだのですが、フタを開けてみるともう突っ込みどころ満載でした。
面白くない上に時間だけはかかる戦闘、パッとしないインターフェイス、ほとんど育成要素がない退屈なシステム、文字をタップするだけのショボいクエスト、死ぬほど面倒でやってられないダンジョン・・・ 何もかもがゲームの楽しさに繋がっていません。
シナリオや BGM は非常に良く、ここだけは「巨匠らしさ」を感じるのですが、それがこのゲームに使われている事が勿体なく思えてしまうレベルです。
しかし「今年のクソゲー大賞はもう決まりか?」と思っていた矢先、それを越えるアプリをスクエニが投げ込んできました。
「アナタ図書館」です。
短編小説集のゲームブックで、登場人物の名前を、登録した身近な人の名前に置き換えるシステムがあり、このコンセプト自体は悪くありません。
しかし肝心の小説がくだらない! マジで読むに耐えない!
素人が書いたとしか思えない文章を延々と読ませられ、読んだ後の「時間を無駄にした」感がすごいです。
これが個人や小メーカーのアプリならまだ納得できるのですが、天下のスクエニのアプリであり、おまけに課金が結構高い。
何を考えてこれを販売するに至ったのか、ぜひ聞いてみたいものです。
一方、ゲーム自体はともかく、その販売スタイルで墓穴を掘ったのが大名作の復刻版「Sorcerian for iOS」(ソーサリアン)。
パソコンのアクション RPG の移植で、その移植度は悪くないのですが、2500 円という高額設定だったにも関わらず、キャラスロット課金、アイテム倉庫課金、復活課金、薬課金、ゴールド課金など、至るところで課金課金。
さらに「不老不死」という多くのプレイヤーが活用していた裏技を、高額課金しないとまともに実行できなくするアップデートを導入し、それでなくても炎上している状況に油を注ぐという、ユーザーの怒りを買いまくったアプリです。
現在は多くの課金が廃止され、シナリオも追加されるなど、状況が改善されているのですが、運営や販売方針を失敗するとこうなるという一例となりましたね。
そして年末、多くのユーザーをガッカリさせたアプリが「ロックマン Xover」(ロックマン クロスオーバー)です。
あのアクションゲームの王道ロックマンが「ソーシャルゲーム」になるという時点でガッカリムードが漂っていたのですが、それでも一部のユーザーはロックマンらしいアクション性のあるソーシャルゲームになるのではと期待していました。
しかし出て来たものは、アクションとは名ばかりのショボい戦闘、攻撃方法を選択するだけのボス戦、戦略性皆無のカード装備など、ロックマンファンの期待を完膚無きまでにぶち壊す内容でした。
それはまさに「ロックマン Xo ver」(ロックマン クソ バージョン)。
シンプルなソーシャルゲームを楽しんでいる人にはこれでも良いのかもしれませんが、少なくとも従来のロックマンファンは喜ばないし、中途半端なアクションがむしろ邪魔な簡易ソーシャルゲームになってしまいました。
と言う訳で、今年もいくつかの目立ったガッカリゲーが出て来た訳ですが、個人的にもっともクソゲーだと思ったのは「アナタ図書館」ですね。
ただ、アナタ図書館はお試しのストーリーを無料で読むことが出来ます。
よって無料でどれだけダメなのかを手軽に確認できます。
気軽に踏める地雷なので、ぜひ話のタネに踏んでみることをオススメいたします。
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今年の iPhone ゲームアプリの総括は、これで以上です。
「ゲーム大賞」ではないので、大賞の発表みたいなものはしませんが、巷の人気や話題的には「今年はパズドラの年」と言って良かったのではないでしょうか。
2013 年はどんなアプリが我々を楽しませてくれるのか、iOS とスマホ市場の更なる発展を期待したいですね。
その1:ショートゲーム、RPG、戦略 SLG、開発/運営 SLG、タワーディフェンス
その2:アクション、格闘、シューティング、FPS/TPS、レース
その3:パズル、カード/ボード、音楽ゲーム、ノベル/アドベンチャー、スポーツ
その4:無料アプリ、ソーシャルゲーム、パズドラ系、その他、クソゲー
そこまでつまらなくも、面白くもない。絶妙な空気っぷりが凄かった。
クソゲーハンターと良作ハンターのどちらにもスルーされた真の不遇作。