1984 年(初代ファミコンが登場した翌年)、まだコンピューターゲームが黎明期の頃、実際に空手をたしなんでいた開発者が Apple で作った、モロに「洋ゲー」の和風格闘ゲーム「Karateka」(カラテカ)
それがなんと 28 年の時を経てリメイクされました。
名前はそのまま「Karateka」(カラテカ)です。

リメイクと言ってもゲーム内容は一新されており、再現されているのは雰囲気だけです。
XBOX、Steam(パソコン)でも配信されていますが、ゲームシステムはスマホを基準としているようで、操作は画面タップのみの「ワンキーゲーム」(ボタン1つのゲーム)です。
よって手軽に楽しめるシンプルな内容になっており、原作のゲーム性はなくなっています。

ですから原作の内容を期待すると肩すかしを受けますが、原作はスペランカーも真っ青の代表的な「死にゲー」であり、現代で受け入れられるような内容ではないので、これはこれで良いと思います。
全く別のゲームとして見た場合、映画的な演出と遊びやすいシステムで、なかなかの秀作と言えますね。

karateka

敵の攻撃をタップで防ぎ、その後にタップで攻撃するという、タップのみで攻撃も防御も行う1対1の格闘ゲームです。
いきなり攻撃しても通用せず、まず相手の攻撃を防いで、その後に反撃をする必要があります。
相手の攻撃ターンとこちらの攻撃ターンが明確に分かれているシステムで、インフィニティブレードなどと同じですね。

最初は単発の攻撃をする敵しか出て来ませんが、徐々に2連発、3連発の攻撃をしてくるようになります。
その時は相手の攻撃回数の分だけ、画面をタイミング良くポンポンと押さなければなりません。
連打ではダメなので、相手の攻撃に合わせる必要があります。

一方、こちらの攻撃は連打でも構いません。
適当に押していれば勝手に華麗な連続技を出してくれます。

敵を倒すと移動シーンになり、画面を押しっぱなしにすれば前進していきます。
完全な一本道で、後退などは出来ません。
たまに光る花が咲いていて、タップすると体力が回復しますが、パワーアップやアイテムなどはなく、シンプルに「進む→戦う」を繰り返すのみで進行します。

karateka
※カラテカと言えば「礼」。 二本指タップすると礼を行い、敵がいれば礼を返してくれます。
礼をせず挑発や構えを取る敵も多いですが、敵と言えど礼をするのが洋ゲー的カラテ道。
ボスが連続で出てくるシーンもありますが、決して集団で襲いかからず、常に1体1で戦うのもカラテ道。
兜と甲冑で身を固めた敵も登場しますが、決して武器は使いません。 だってカラテ道だから。


karateka
※黄色い枠の中に注目。 これが敵の攻撃回数とタイミングを表しています。
マークが中央に1つなら単発攻撃、3つなら3連続攻撃。 画像の場合はやや遅れたタイミングで1発、その後に少し間を開けて3発の攻撃が来ます。
こういう複雑な攻撃は少ないのですが、ボス戦では変わったパターンも出してきます。
また、1発の時は「ペン」、2発の時は「ペペン」、3発の敵は「ポポポン」という音が鳴るので、これも相手の攻撃回数の目安になります。
ただし敵によっては3連続攻撃に見えて、2発目と3発目のあいだに微妙な間があったりするので、防ぎ辛いなぁと思ったら相手の動きをよく見ましょう。


背景は崖の上、城壁、屋敷内、長い廊下、日本庭園など、純和風で変化に富んだシーンが用意されています。
滝が流れ、海岸では波しぶきが立っているなど、演出にはかなり力が入れられていますね
このゲームは内容がシンプルな割にインストール後の容量が約 950 MB もあるのですが、その大半はこの背景に使われていると思われます。
シーンごとのカメラワークもなかなか映画的で良いです。

キャラクターデザインはあまり日本風ではなく、どちらかと言うとディズニー風で、建物にもやや違和感があるのですが、カラテカは欧米の人にとっては「和風の雰囲気を楽しむもの」で、日本人にとっては「ちょっとヘンな日本観を楽しむもの」でもあるので、これはこれでカラテカらしいです。

主人公は体力がなくなるとやられてしまいますが、1人目のカラテカがやられても、2人目のモンクが登場します。
2人目のモンクがやられても、さらに3人目の木こりが登場します。
モンクはカラテカより体力が多く、さらに木こりは攻撃力が2倍ぐらいあるので、ゲームは割とラクにクリア出来ます。
この点は、「誰でもクリア出来るように」と言う、カラテカらしくない配慮が行われているようです。
これも時代の流れに合わせたということなのでしょうね。

ゲームは 30 分ほどでクリアできるため、「ボリューム不足」「難易度が低すぎる」と言う人もいるようですが、真のエンディングは1人目のカラテカでクリアしないと見れないため、それは目指す場合は相応に難しく、何度も挑戦しなければならないでしょう。

karateka
※やられると崖から転落するシーンになりますが、すぐに次の主人公が登ってきて続きから始まります。
新しい主人公の登場時には姫に一目惚れする回想シーンも。
難易度的に、やられる度に HARD から NORMAL、EASY に落ちていくというシステムになっています。
カラテカが実は最弱ってのがアレですが、まあ・・・ 弱いよな、カラテカ。


karateka
※モンクの必殺技「お坊サマー」炸裂! (勝手に命名)
戦っていると徐々に「CHI」(気?)というメーターが貯まっていき、最大になると必殺技を使えます。
使用時に相手の攻撃を必ずガードできるので、かわし辛い攻撃をキャンセルするのにも使えます。
画面下部のゲージ辺りをタップすると発動するので、上の方を押すようにしないと暴発するので注意。


定価は 250 円。 現在(2013/1)は発売セールで 85 円で販売されています。
iPhone / iPod touch と iPad の両対応で、PC 版(Steam 版)は$ 9.99 、XBOX Live は 800 ポイントでの販売なので、 実は iOS 版が一番お得です。

対応は iPhone 4S 以降、及び iPad 2 以降。 iPod touch は第5世代が対象なのでご注意下さい。
また、前述したようにインストール後は 1GB 近いデータ量があるので、残り容量に注意。
割とシンプルなゲームなのに約 1GB ってのが最大の難点でしょうね。

私的には、雰囲気を楽しむゲームという印象です。
と言っても「雰囲気だけのクソゲー」ではなく、ゲームとしてちゃんと楽しめて、そしてゲームより上に雰囲気があるという感じですね。
ゲームとしてはそんなに深い訳ではありませんが、こういう作り方もアリなのではないでしょうか。

原作のカラテカとは似ても似つかない内容ですが、手軽に遊べて価格も手頃なので、お勧めできるアプリです。

それにしても、PITFALL が 3D のランニングゲームになったり、KARATEKA が 3D のワンキーゲームになったり、そろそろ時代が一巡して、過去の名作が 3D 化される時期になってるんですかね?

Karateka (iTunes が起動します)


以下は Youtube で公開されている、一風変わった感じの公式のトレーラーです。
ある意味、気合い入ってます。