1980 年代前半、まだテレビゲームが普及したばかりの頃に登場した、アクションパズルゲームの大ヒット作「ロードランナー」。
そのロードランナーの初期作品が、当時の雰囲気そのままに iOS で復刻されました。
Lode Runner Classic」(ロードランナー クラシック)です。

日本でロードランナーと言うと、ボンバーマンの主人公が敵キャラだったファミコン版(ハドソン版)や、やたら明るい BGM と穴を掘った時の「カーン」という音が印象的なアーケード版(アイレム版)を思い浮かべる人が多いと思いますが、今回移植されたのは最初期のパソコン「Apple II」で発売されたオリジナル版(ブローダーバンド版)です。
iPhone は Apple 社のものですから、ある意味、里帰りですね。

ファミコンが出る前のゲームですから、さすがに今見るとグラフィックは古いのですが、これはこれでレトロ感に溢れており、一方で今風の BGM が流れ、動きも滑らかになっているため、意外に新旧融合な印象を受けます

ちなみに、私はずっと「Road Runner」(道を走る人)かと思ってたんですが、「Lode Runner」(坑道を走る人)だったんですねぇ。 今知ったよ・・・

Lode Runner Classic (ロードランナー)

追ってくる敵兵から逃げながら、画面内にある「金塊」を全て拾い、脱出用のハシゴで画面上部に逃げるとステージクリアとなるアクションゲームです。

主人公は敵を直接攻撃することはできませんが、左右の足下にあるレンガブロックに穴を掘ることができ、これに敵を落として追っ手をかわす事ができます。

また、床に穴を掘って自分が落ち、その場から脱出したり、レンガの中にある金塊を取りに行くなど、「穴を掘る」という行為を攻撃以外の用途に使用することもできます
ただし掘られたレンガは一定時間で復活します。

敵につかまったり、穴に落ちて生き埋めになったりするとミスになり、そのステージは最初からやり直しになります。
逆に穴が埋まるタイミングで敵を落とし、生き埋めにすると倒すことができます。
ただし敵は倒しても、すぐに画面上部で復活します。

操作は仮想方向キーと、タップ操作傾き操作の3つが用意されていますが、このゲームの方向キーは特徴的です。
キーの横に「今どの部分を押しているか」を示す表示があり、これのおかげで入力方向を視覚的に確認できます。
方向キーの感度も悪くなく、ナナメに入力していれば横に移動しつつ、ハシゴがあった場合はそれを昇っていくなど、スムーズな動きが可能です。

タップ操作は画面全体をボタンに見立てるもので、私はあまり操作しやすいとは思えませんでしたが、ゲーム画面が大きく表示される利点があります。

Lode Runner Classic (ロードランナー)
※矢印の部分に注目。 これが現在の指の位置と入力されている方向を表しています。
この配慮はすごく嬉しく、他のゲームでも真似て欲しいですね。
ゲーム画面は古いですが、その周囲のインターフェイスは今風の表示で、ある意味オシャレ。


Lode Runner Classic (ロードランナー)
※タッチ操作は外周をボタンとして使用します。 穴を掘るのは下にフリック、メニューは上フリックで表示。
このアプリはタッチ操作を推奨していて、画面も大きくなりますが、画面の端が指で隠れてしまうのと、ナナメに入力しようとして指を上にスライドさせると意図せずしてメニューが開いてしまうため、私的には使用感はイマイチ。
ただ、タッチパネルでも操作しやすい方法を模索しているのは見て取れます。


基本的にはアクションゲームなのですが、ロードランナーは「アクションパズルゲームの古典」として知られています。

掘った穴が一定時間で復活することを利用した「時間差堀り」や、敵兵の頭の上に乗れるのを利用して渡れない場所を渡る技、敵兵が金塊を持ち歩くことを利用して敵に金塊を持って来させるなど、さまざまなテクニックがあります。

例えば、「時間差堀り」は以下のようなものです。

Lode Runner Classic (ロードランナー)

このゲームのオリジナルにはプレイヤーがステージを作成できる「エディットモード」があって、これを使って多くのプレイヤーが様々なテクニックを使うパズルステージを編みだし、公開していきました。

結果、当時としては珍しいユーザー参加型ゲームとなったロードランナーは、アクションパズルゲームとして広く知られることとなります。

ただ今回 iOS に移植されたのは、そうなる前のオリジナルのロードランナーであって、パズル性の強くなった上級者用バージョン「チャンピオンシップ ロードランナー」ではないので、上記のようなパズル的なステージは少なめですね。
基本的には固定画面の古典的アクションゲームと思えば良いでしょう。

ステージ数は合計 150! ボリュームはなかなかのものです。
当時のステージがそのまま再現されているので、人によっては懐かしく思うことでしょう。

Lode Runner Classic (ロードランナー)
※ステージ選択画面はこのようなサムネイル画像になっていて、クリア済みのステージには王冠マークが付きます。
「タイムアタックモード」があり、クリアタイムがステージごとに記録され、オンラインランキングにも対応しています。
メインモードの「冒険モード」は、各ステージを1から順にクリアしていきます。


価格は 250 円。 内容を考えると妥当な値段ではないかと思います。
当時のままの外見のため、パッと見はショボいのですが、やってみるとスマートフォンに最適化した、そつなくまとめられたアプリに仕上がっています

基本的にはオリジナルをプレイしたことがある人のためのアプリで、さすがに「思い出補正なし」では内容的にもグラフィック的にも厳しいのですが、こうした過去の名作を携帯で楽しめるのも iOS の良いところと言えますね。

操作性についてはまだ完璧という程ではなく、ファミコン版やアーケード版をプレイしていた私としては「ボタン押しっぱなしで動いても連続で掘れない」というのに違和感を感じるのですが、それ以外は目立った不満はありません。

ロードランナーをやったことがある方は、久々に遊んでみる価値のあるアプリだと思います。

Lode Runner Classic (iTunes が起動します)