ワイヤーフレーム(線画)のみで構成された独特なグラフィックを持つ、レトロでサイバーな雰囲気の 3D シューティングゲームが登場しています。
ベクトロス」(VECTROS)です。

このゲームは「ベクタースキャン」と呼ばれる古い技術のグラフィックを模しています。
これは 1980 年頃に普及していたもので、線画しか描けないのですが、空間の中にレーザー光線を投影しているような映像になるため、独特の光彩と立体感がありました。

普通のテレビ映像の技術(ラスタースキャン)が進歩したため、ベクタースキャンは短期間で消えていったのですが、「スターウォーズ」などいくつかの名作ゲームが存在します。
このアプリはその当時のゲームを模したものです。

内容としては、解る人にしか解らない説明ですが、「(ベクタースキャン版)スターウォーズ+ナイトストライカー」と言った感じです。
「ナイトストライカー」はタイトーの 3D のシューティングゲームですが、それをベクターグラフィックにしたようなインターフェイスとゲーム性を持ち、BGM も元タイトーサウンドチーム ZUNTATA の OGR こと小倉久佳さんが作曲されています

ベクトロス VECTROS

このゲーム、静止画にすると妙に汚く見えるんですが・・・
実際のゲーム画面はもっと綺麗です。 スクロールにより目で補正されるんですかね?

操作はティルト操作(傾き操作)のみで、ボタン押しっぱなしでショットを連射。 他にホーミングミサイルのボタンが付いています。
ティルト操作のみなのは賛否あると思いますが、操作した感じは悪くありません。
独特の浮遊感があり、動きやすいとは言えませんが、これはこれでゲーム性の一部でしょう。
キャリブレーション(水平位置)の調整はポーズ画面で行えます。

敵を倒しながらトンネル状の空間を進み、最後にボスを倒せばステージクリア。
自機には5つのシールドがあり、ダメージを受けてもその分だけ耐えられますが、やられるとコンティニューしてもステージの最初からやり直しとなります。
コンティニューは2回しか出来ません。

3D なので敵弾の回避は難しいです。 敵の攻撃が激しい時は、ひたすら画面をグルグル回るのが攻略法ですね。
ホーミングのボタンを押すと 10 発のホーミング弾が発射され、敵をまとめて撃破できます。
敵を狙い辛いゲームなので、ヤバそうな時は惜しまずにホーミング弾を撃つのが攻略と言えます。

高速弾を撃ってくる敵もいて、覚えないと厳しい場面が多いので、ややパターンゲーの印象もありますが、敵の攻撃タイミングやホーミングで対処すべき場所を覚えていけば、難しい弾避けが出来なくても徐々に進めるようになるでしょう。

ベクトロス VECTROS
※このボスはたびたび登場します。 中央から弾を撃ってくる場合と、周囲の護衛機が高速弾を撃ってくる場合がありますが、いずれにせよホーミングで対処するのが安全。
ホーミング弾は敵が1体の場合、その1体に 10 発の弾が集中するので、威力も十分です。


ベクトロス VECTROS
※この水色の敵は要注意! 間近から高速弾を撃ってくるので、撃つタイミングで動いてないとかわせません。
これがたくさん出て来る場面はホーミング弾で一掃した方が無難です。
このゲームの基本は「チキンボム」(危なそうならすぐボムを使うこと)ならぬ「チキンホーミング」です。


現在は全5ステージ。 ボリュームは少なめです
ただアップデートでステージが追加されることが告知されていて、エンドレスモードの搭載なども予告されています。
現時点(2013/1)では演出的にもあまり盛り上がりがないまま終わるので、この辺りは今後に期待したいところですね。

ゲームとは直接無関係ないのですが、個人的に思うのは「あまりベクタースキャンらしくないかなぁ」ということ・・・
ちょっとモヤがかかった部屋にレーザー光線を照射すると、一本の光の筋が見えます。
それで立体形を作ったものがベクタースキャン的な画像ですが、でもそんな感じではない、単なるワイヤーフレーム。

手前の光がぼやけている演出はあるのですが、もうちょっと一本一本の線に光を照らしている感じや、立体感のようなものが欲しかった印象もありますね。
もしくは、あえてレーザーの美しさを過度に表現するか・・・
まあ、そこまで要求するのは酷だし、雰囲気は十分出ているとは思いますが。

ベクトロス VECTROS
※ステージ3の連続障害物を回避しているシーン。 このステージは初心者の大きな壁。
ティルト操作であることもあり、急な旋回が難しいので、早め早めに動く必要があります。
「上・下・上・下」や「左・右・左・右」といった感じで交互にかわす場合が多いので、先読みで回避しましょう。


ベクトロス VECTROS
※ステージ4は「スターウォーズ」風。
海外ウケを狙っているのか、それとも名作に対するリスペクトなのか。
この手の 3D シューティングにスターウォーズ風のシーンがあるのは、ある意味「お約束」ですね。


価格は 450 円
やや高めですが、このゲームを好む人に向けた価格なのかなぁ、と思います。

「ベクタースキャン風」という時点で対象となるユーザーは限られる訳で、さらにティルト操作の 3D シューティングですから、かなりニッチな層を狙ったアプリと言えますね。

正直、この作り方では大ヒットを狙うことは出来ない訳で、その意味では「作り手が作りたいモノを作ったゲーム」だと思います。
でも、あえて流行に媚びないその姿勢は、似たようなゲームが氾濫している昨今、評価されるべきではないでしょうか。

万人にオススメできる内容ではないですが、この画像や設定を見て、「これはやってみたい!」と思う昔ながらのゲーマーは少なくないはず。 そうした方にお勧めです。

ベクトロス (iTunes が起動します)