「圧倒的クオリティのソーシャルゲーム」という宣伝文句が決して誇大広告ではない、派手な 3D グラフィックのバトル演出と、ちゃんとカードゲームとして作られている戦闘システムを持つ、完成度の高いソーシャルゲームが登場しています。
ギルティドラゴン」です。

このアプリはゲーム・アニメ・漫画・小説など、複数のメディアで展開している大プロジェクト「.hack」シリーズの一作品です。
仮想の MMORPG(大規模多人数型オンラインRPG)「The World」で起きる様々な事件を描いた作品群で、そのためカードに描かれているキャラクターは .hack シリーズに登場するキャラクター(正確には .hack の物語の中で The World というゲームをプレイしている人が、そのゲームの中で作ったキャラクター)になっています。

このアプリは昨年の夏に発表され、その夏のうちに公開される予定だったのですが、発売がズルズルと伸びまくり、私もすっかり忘れていました。
昨年末に iOS / Android 共にスタートしていたようですね。

販売元はバンダイナムコですが、開発元は「サイバーコネクトツー」というメーカーで、PS2 や PSP の .hack シリーズの他に、ナルトやジョジョの 3D 格闘ゲームなどを開発しているところです。

ギルティドラゴン

冒険シーンは、他のソーシャルゲームとなんら変わりません
俗に言う「ポチポチゲー」(ボタンをポチポチ押すだけで進行するゲーム)です。

「進む」のボタンを押すたびに WP と呼ばれるポイントが減り、「進行度」と経験値&ゴールドが増え、進行度が 100 %になったら次のクエストに進みます。
WP が尽きたらしばらく待つか、課金アイテムを使わなければなりません。
WP は3分で1回復しますが、WP の最大値が 80 あると4時間待たなければ全快しないため、この手のソーシャルゲームとしては回復にかかる時間は長めです。

システム的に特筆すべき点はないのですが、グラフィックはかなり綺麗です
中央部にマップ、下部に進行している様子が表示されるのですが、進行の様子は 3D グラフィックで表現されており、滑らかにスクロールして、背景もちゃんと書き込まれています。

カード発見時の演出なども過剰なぐらいきらびやかで、そこいらのショボいソーシャルゲームとは違います。
いわゆる「リッチなソーシャルゲーム」の中でも、グラフィックや演出はトップクラスですね。

ストーリーも一風変わっていて、冒頭で述べたように架空の MMORPG での出来事を模しているため、「謎のキャラクターに襲われて『キャラクターデータがおかしくなって』腕が動かなくなった」とか、「正体不明の『仕様にない』敵に襲われた」とか、ちょっと他のゲームでは見られない設定やセリフが連発されます 。

そしてこのゲーム最大の特徴がバトルシーン。
バトルにはストーリーのボス戦と、他プレイヤーキャラとお宝(秘伝書)をかけて戦う「デュエル」があるのですが、ドリランドやロワイヤルのような半自動の簡易的な戦闘ではなく、ちゃんとしたカードゲームらしいものになっています

さらにバトル演出は 3D 格闘ゲームのワンシーンのような、ソーシャルゲームに似つかわしくないハイレベルなものになっています。

ギルティドラゴン
※デュエルは怪盗ロワイヤル型のお宝争奪要素です。
デュエルをするには DP というポイントが必要ですが、DP は1分で1回復するので WP より増加は早いです。
デュエルをやらない場合は単なるポチポチゲーなので、デュエルをしてナンボのゲームと言えますね。


バトルでは 32 枚のカードで構成されたデッキ(山札)を使います
そしてバトルが始まると、自分のデッキから8枚の手札が引かれます。

まずその中から、そのターンの攻撃の「リーダー」にするカードを選びます。
リーダーのカードは、カードごとに用意されている「スキル」が発動します。

ギルティドラゴン
※スキルには攻撃力アップやダメージの軽減、回復などの他に、「手札をシャッフル」「相手のドロー数を減らす」などの特殊なものも存在します。
他のソーシャルゲームよりトレーディングカードゲームっぽい効果のものが多いです。


その後、残りの手札から「サポートカード」を4枚選びます。
カードには赤(重装)緑(軽装)青(魔装)の3種類があり、リーダーの色と同じカードを出せば、そのカードの攻撃力(パワー)がそのターンの総攻撃力に加算(チャージ)されます。
リーダーと異なる色のカードを出した場合は、何も起こらず単なる捨て札になります。

さらにリーダーのカードの「ドロー数」の分だけ、デッキからカードが引かれます。
もし引いたカードの中にリーダーと同じ色のものがあれば、そのパワーも総攻撃力にチャージされます。

ギルティドラゴン
※各カードには「色(属性)」「攻撃力」「ドロー数」「スキル」の4つのステータスがあります。
強いカードがあっても同色の手札が少ない場合は出せませんし、スキルが強くてもドロー数が少ないというカードもあって、何を出すかなかなか悩みます。
なお、攻撃力に加算されなかったカード(リーダーの色と違うカード)が4枚場に出ると、ドロー数が残っていてもそれ以上カードを引けなくなります。 これは俗に「チャージ詰まり」と呼ばれています。


以上が終わるとバトル演出となりますが、さらに攻撃力には修正が加わります。

まずカードの色には強弱があって、赤(重装)緑(軽装)に強く、緑(軽装)青(魔装)に強く、青(魔装)赤(重装)に強いです。
そしてリーダーの色が強い方は、「武器属性ボーナス」として攻撃力が 1.2 倍になります。

ギルティドラゴン
※今回は緑と青なので、緑の方が強いです。 よって 1683 は 1.2 倍の 2019 になります。
あいこの場合は変化なし。 スキルの中には、この武器属性を無効化するものも存在します。


さらにリーダーにチャージされたカード(リーダーと同色のサポートカードとドローカード)の枚数によって、「コンボボーナス」が加えられます。

コンボボーナスはチャージされたカードが1枚だとなしですが、2枚だと 1.1 倍、3枚だと 1.2 倍、4枚だと 1.3 倍、そして5枚以上だと 1.5 倍になります。

ギルティドラゴン
※サポートカードは4枚しか出せないので、5コンボ以上の 1.5 倍ボーナスを出すにはドローカードで同色を引くか、コンボを増やすスキルを活用しなければなりません。
武器属性で勝っていた場合、それで加算された攻撃力にコンボボーナスが上乗せされるのも重要です。 属性で勝ってコンボ 1.5 倍なら合計で攻撃力は 1.8 倍になります。


そして算出された双方の総攻撃力の差が、相手に与えるダメージとなります。
ただしダメージを軽減するスキルや、総攻撃力に修正を加えるスキルが発動している場合は、その効果によってダメージが変わります。
さらに装備している防具によっても軽減されます。

なお、総攻撃力の差がダメージになるため、攻撃力が低い方は相手にダメージを与えられません

ギルティドラゴン
※格ゲーばりに動きまくるハデな攻撃シーンの後にダメージ確定。 今回は 589。
これでは相手にトドメを刺すことはできないので、そのまま2ターン目に移行します。


以上を繰り返し、一方の HP が 0 になったら決着が付きます。
カードゲームなので運の要素も強く、一撃で決まることも多いのですが、スキルが豊富でどれを出すか悩みますし、2ターン目以降は出たカードから相手の属性を予測することも可能です。

例えば、相手が赤で攻撃した場合、そのぶんデッキにある赤のカードは減っていますから、次は緑か青で攻撃してくる確率が高く、と言うことは緑と青のどちらに対しても不利にならない緑のカードで攻撃した方が有利という事になります。(あくまで確率の話ですが)
ドローカードの色や相手の捨て札もよく見ておいた方が、残りのカードを予想する材料になります。

デッキのカードが尽きた場合は、そのまま次のラウンドになるのではなく、「ファイナルブロウ」と呼ばれる必殺技が発動します。
これは必ず相手にダメージを与えられる強力な技で、攻撃力はデッキの全カードと装備している全武器から算出されます。
ただし双方が同時にファイナルブロウを発動させた場合、攻撃力の高い方から攻撃します。

それでも決着が付かなければデッキが切り直されて新しいラウンドになりますが、大抵はファイナルブロウが出れば決着が付くので、デッキのカードを早くなくして(つまりドロー数の多いカードを優先して)、ファイナルブロウを急いで発動させるのも戦略の1つとなりますね。

なお、以上の解説は「デュエル」(他プレイヤーキャラとの戦い)の場合です。
ストーリーモードのボス戦はシステムが異なっており、相手に属性がありません。
双方が総攻撃力の分だけ毎ターン相手にダメージを与えるシンプルなものになっています。

ボスは攻撃力は低いのですが、体力が非常に多いため、回復スキルなどを活用して持久戦を行う必要があります。
ただ、倒せなくても HP は減ったままなので、再戦していればいずれは倒すことが出来ます。

ストーリーモードのボス戦はシステムが簡略化されており、おそらく難しいゲームが苦手な人でも、メインストーリーは進められるようにしているのだと思われます
デュエルも「セミオート」や「フルオート」が用意されているので、ゲームが苦手な方でもプレイできるよう配慮しているのが伺えます。(オートでの勝率が高いかどうかは別として)

ギルティドラゴン
※デュエルの結果は「デュエルログ」で確認でき、挑まれた状況もチェックできます。
グリーやモバゲーのソーシャルゲームはプレイヤーを負けさせないよう、弱い相手を選べるようになっていたり、プレイヤーが有利な状態で連戦できたりする場合が多いのですが、このゲームは対戦相手は同レベルのプレイヤーから選ばれます。
この点も既存のソーシャルゲームとは違う部分ですね。
右はストーリーのボスを倒したシーン。 コインが降ってきますが、これは単なる演出ではなく、なぞってキャッチするとお金が増えるので忘れないように!


冒頭で述べたようにデッキは 32 枚のカードで構成されているため、つまりバトル用にセットできるカードは 32 枚もあることになります
これはおそらく、ソーシャルゲームとしては最多でしょう。 普通にトレーディングカードゲームの域です。

この 32 枚のうち、赤・緑・青のカードはそれぞれ8枚ずつ含めなければなりません
よって1つの色に偏らせることは出来ない訳ですが、これとは別に好きな色を加えられる「フリー」の枠が8枚分あります。
ここにどんなカードを入れるかがポイントになりますね。 基本は同色で固める形だとは思いますが。

デッキ構築があるゲームですから、どんなデッキにするかが攻略上もっとも重要になります。
数の多い色に攻撃用のスキルを、数の少ない色に防御用のスキルを入れた方が有効になる場合が多く、手札をシャッフルするスキルも数の多い色に含めた方が、いざと言う時にカードが来る確率が高まります。

カードは「合成」でレベルアップさせて、攻撃力を高めることが出来ます。
このゲームの場合、(特殊なカードを除き)合成にかかる費用は合成によって得られる経験値と同額です。
また、属性は合成に影響しません。
他のゲームのように「同じ属性の方が有利」「ベースユニットのレベルが合成価格に影響」みたいな仕様はないので、いらないカードを好きなカードに合成して構いません。

レベルアップ合成以外に、同じカードを合成してスキルのレベルを高める「スキルアップ合成」もあります。
スキルはレベルが上がると効果が倍増していくので、スキルレベルの低いレアカードより、使いやすいスキルを持っているノーマルカードの方が、スキルレベルを高めやすいおかげで役に立つこともあります。

ギルティドラゴン
※デッキは重装(赤)ポケット、軽装(緑)ポケット、魔装(青)ポケット、フリーポケットの4つに分かれていて、それぞれ8枚ずつ入れられます。
この「ポケット」というのはあくまでデッキ構築時の区分けで、実際のゲームでは全部のカードが混ぜて使われます。
カードは前述したように「.hack」に登場するキャラクター。 ゲームやアニメで馴染みがある人もいるはず。
このゲームが .hack シリーズにおいてどういう位置付けなのかは不明ですが、「The World:Armed conflict」のサブタイトルが付けられています。


ソーシャルゲームとしてはグラフィックと演出がハイレベルで、バトルのゲーム性も高いので、「ゲーマーでも楽しめるソーシャルゲーム」になっていると思います。

課金ガチャやイベントガチャのチケットも割と頻繁に入手できるので、無課金でも相応にレアカードを集められ、「11連ガチャ」はありますが、それほど過剰な課金演出は見られません。
ただ、デッキにカードを 32 枚も入れる上に、スキルを上げるのに同じカードが必要なので、レアカードがいくらあっても足りないゲームではあるのですが・・・

内容としては、グリーやモバゲーのソーシャルゲームではなく、ミリオンアーサーの影響を受けているような印象です。
ゲームメーカーによるソーシャルゲーム」という感じですね。

ミリオンアーサーを見た時、「今後はこのクラスのソーシャルゲームが続々出てくるのでは」と思ったのですが、実際にはあまり出て来ませんでした。
このゲームはようやく出て来た、ポストミリオンアーサーになり得るアプリだと思います。

ギルティドラゴン (iTunes が起動します)