世界的な大定番ボードゲーム「モノポリー」(MONOPOLY)
そのモノポリーの派生バージョンが、2012 年に発売されていました。
MONOPOLY Millionaire」(モノポリー ミリオネア)です。

これは世界中に多数存在する、地名や見た目を変えただけの「ご当地モノポリー」や「キャラ物モノポリー」ではなく、ゲームのルール自体に大幅な改変を加えている、本当の意味での別バージョンです
販売元もモノポリーの正式な権利を持つ、アメリカの玩具メーカー「ハスブロ社」です。

このモノポリーミリオネアの iOS 版が、昨年末にすでに公開されていました。
名前はそのまま「MONOPOLY Millionaire」です。

内容としては、家庭用ボードゲームとしては時間がかかり過ぎるモノポリーを大幅に短縮化したもので、カード運の要素が強かったり、独占(モノポリー)がまともに発生していない状態でもアッサリ終わるなど、ちょっと物足りない点もあるのですが、オリジナルほどダラダラ続かず、手軽に短時間でプレイできます。
スマホやタブレットではこちらの方が向いているかもしれませんね。

なお、iTunes レビューの評価が非常に低いのですが、これはほとんど「英語だから★1」というものばかりです。
まともなレビューはほとんどなく、確かに日本語には(現時点では)対応していませんが、ゲームはそこまで劣悪な訳ではないのでご安心下さい。

ただ、iTunes のアプリ説明文が日本語で、スクリーンショットにも日本語の宣伝文句が書かれているため、それで勘違いしてしまう人が多いようです。
EA のアプリには他にもこういうものがありますが、紛らわしいので「英語版です」と明記して欲しいですね。

MONOPOLY Millionaire モノポリー ミリオネア

「モノポリー」は狭いコースを何周もしながら、土地(マス)を購入し、そこに止まった他のプレイヤーから料金を徴収しつつ、資産を蓄えていくボードゲームです。
同じ色の土地を独占(モノポリー)すると、その土地に家やホテルを建てられるようになり、それによって他のプレイヤーから徴収できる料金が大幅に高まります。

この辺りのモノポリーの基本ルールはご存じの方が多いと思うので、ここでは改めて説明しません。
オリジナルのモノポリーをご存じない方は、詳細解説をしている こちらのページ をご覧下さい。
「億万長者ゲーム」や「いただきストリート」など、多くのボードゲームの原型にもなっています。

そして、この「モノポリー ミリオネア」が原作と違う点は、以下の通りです。

・鉄道会社、電力/水道会社、所得税、物品税のマスがない
一辺が2マス少ない7マス(角を含めると9マス)で構成されている
・全ての土地のマスの上に「フォーチューンカード」が置かれている
・カードの内容は全て一新されている
・周回した時やカードの効果によってコマがグレードアップする
・勝利条件が「他プレイヤーが破産」から「一定の金額を稼ぐこと」になった

他にも土地名が変わった、共同募金カードの呼び名がライフスタイルカードになった、などの細かい違いがあります。
家やホテルの建設、刑務所、取引交渉、オークションなどに関するルールは変わっていません。

マスの数が少なくなったおかげで、オリジナルより早く周回することが出来ます
また物品税や所得税のマスがないため、ゲーム序盤の不意の出費は少なめです。

コマのアップグレード」はスタート地点(GO のマス)で $50 で実行でき、周回ボーナスが増えたり、お金が貰えるカードの金額が増えたりします。
また見た目も変化し、例えば飛行機なら「紙飛行機→小型機→旅客機」と変わっていきます。

特に大きな変更点は「フォーチューンカード」と「勝利条件の変化」でしょう。
フォーチューンカードはそれぞれの土地に1枚ずつ置かれていて、最初に止まった人が引けるもので、「家を1件無料で建てられる」「お金が貰える」といったものの他に、「その土地と次の空いた土地を両方購入できる」という強力なものも存在します。
ただし、「その土地の購入が強制的にオークションになる」というマイナスカードも存在します。

勝利条件は「一定の金額を所持すること」になったので、家を一軒も建てず、ただ周回しているだけでも運が良ければ勝利できてしまいます。
あっけなく終わるのでモノポリーのダイナミックな展開が薄れていて、ちょっとどうかと思うのですが、逆に誰も破産せずに延々と続くこともありません。

勝利条件は $1000 と $2000 が選べて、初期設定は $1000 なのですが、これだと土地の独占や家の建築がほとんどゲームに影響しないまま、何の盛り上がりもなく終わったりするので、私的には $2000 でのプレイを推奨します。
$2000 でもオリジナルと比べたらはるかに早く終わります。

MONOPOLY Millionaire モノポリー ミリオネア
※ゲームボードの全体図。 オリジナルより一回り狭いです。
土地の所有者はボードの外周に置かれている四角いブロックで表されています。
ダイヤモンドのマークは物品税ではなく、オリジナルの共同募金に相当するカードマスです。
コマの移動の演出はなかなか凝っていて、コンピューター/プレイヤーを問わずタップで演出をカットすることも出来ます。


MONOPOLY Millionaire モノポリー ミリオネア
※土地独占(モノポリー)後の家建設シーン。
今作は収支バランスも変化していて、家がなくても他のプレイヤーが止まれば相応の料金を徴収できます。
ただ、家の建設額はオリジナルの半分になっていて、無料で家を貰えるカードもあるので、建設時の負担も減っています。
今回はあくまで「お金を貯めること」が目標で、「資産を高めること」が目標ではないので、建設して現金が減ると勝利から一時的に遠ざかります。


MONOPOLY Millionaire モノポリー ミリオネア
※コマがアップグレードすると見た目も変わります。
このチャンスカードは2つサイコロを振って運が良ければお金が貰えるものですが、キックボード(グレード1)だとゾロ目、スクーター(グレード2)だと8~12、ハーレー(グレード3)だと5~12で成功となり、コマのグレードが高いほど成功率が高まります。
周回ボーナスはグレードによって $150、$200、$250 と上がっていきます。


ちゃんとモノポリーしていて、それでいて早期にケリが付くので、スマホでやるには良いですね。
3D で表現されたボードはリアルだし、コマの動きもユニークで見ていて楽しいです。

ただ、私的には「フォーチューンカード」が強すぎて、カード運に左右されすぎるゲームになっている印象も否めません。
フォーチューンカードの中には保持しておいて好きな時に使えるカードがあるのですが、その中に他プレイヤーの(まだ未独占の)土地を1つ奪う「SLY DEAL」(悪徳取引)と、土地の交換を無理やり成立させる「FORCED DEAL」(強行取引)のカードがあり、これがあまりに強すぎます
モノポリーを知っている人なら、このカードの有無がどれだけ影響するか説明しなくても解るでしょう。
これらを拒否する「JUST SAY NO!」というカードもあるのですが、このカードが得られるかどうかも運次第です。

空いている土地を連続で買うフォーチューンカードも、それで一気に独占、及び独占にリーチできるので強力で、これらが引けなかった場合はかなり無理な展開になります。
さらに勝利条件が初期設定のまま $1000 だと、短時間であっさり終わるので、もはや対処のしようがありません。
$2000 ならまだ逆転の余地がありますが、それでもカード運が強すぎることは否めず、フォーチューンカードが各土地に一枚ずつ配置されているルール上、序盤に土地に止まれない展開になるとオリジナルにも増して辛いことになってしまいます

ゲームが早く進むため、これらのカードで独占が早期に起こるようにしないと独占(モノポリー)のルールが意味を無くしてしまうのは解るのですが、でもちょっと早急すぎる解決策かなぁ、という気がしてしまいますね。

MONOPOLY Millionaire モノポリー ミリオネア
※保持可能なフォーチューンカードはこの4種類。 このうち SLY DEAL がチートすぎる。
高額な土地を取られたらそれだけで大損害で、ゲームから脱落しかねない。
FORCED DEAL もいらない土地と欲しい土地を交換してしまえるので、ほぼ同じような効果を持つ。


以下は Youtube で公開されている AppSpy.com によるゲーム動画です。



価格は 250 円。 この値段なら悪くないアプリだと思います。
iPad 版は 450 円とやや高めですが、iPad ならそれをゲームボードにして、複数のプレイヤーで楽しむことも出来るでしょう。

モノポリーらしさはあるのですが、私的にはルール設定が極端な気もします。
オリジナルのモノポリーはカードをあえて弱くして、その影響を最小限に抑え、運ではなく戦略や交渉を重視したゲームデザインだったと思いますからね。
この一回り小さいボードで、強すぎるカードを是正して、「1人が破産したら終わり」というルールを追加すれば、ファイナルアンサーだと思うのですが・・・

いずれにせよ、モノポリーが好きな人なら、試してみて損のないアプリだと思います。

MONOPOLY Millionaire (iPhone / iPod touch 版)
MONOPOLY Millionaire for iPad (iPad 専用版)