専門家によって選出されるボードゲームの表彰「ドイツ年間ゲーム大賞」で 2008 年度の大賞ノミネート作となり(ちなみに大賞はケルト)、愛好家の投票によって決まる「ドイツゲーム賞」では2位となった、石器時代の人類の営みをテーマにしたドイツゲーム(ボードゲーム)の iPhone アプリ版が登場しています。
Stone Age: The Board Game」(ストーンエイジ)です。

このゲームは Caylus(ケイラス)のような、労働者を派遣して物資を調達し、それを使って建物の建築などを行って勝利点を稼ぐという内容です。
ただ、ルールが旧来のものより簡略化されていて、遊びやすくなっています

また、ダイスを振って収穫量を決めるので、ある程度サイコロ運にも左右されます。
よってケイラスよりも戦略性は低いのですが、そのぶんルールは解りやすくなっていますね。
1プレイにかかる時間は 30 分前後と、ケイラスと同じぐらい長めです。

開発したのは Campfire Creations というアメリカの新興の小メーカーで、ボードゲーム好きが集まって作られた会社のようなので、今後もドイツゲームのアプリを発売してくれるかもしれません。

Stone Age: The Board Game ストーンエイジ

ゲームが始まると各プレイヤーが順番に、各施設に村の住民をドラッグで配置していきます。
配置場所は「村の施設」「物資の収穫場」「大工小屋」「船着場」の4つに分かれています。

1回のフェイズ(自分の順番)で住民を配置できるのは1ヶ所のみ。
また収穫場を除き、他のプレイヤーが配置した施設には住民を置けません。
つまり施設の利用は早い者勝ちです
配置すると次の人の番になり、全員が手持ちの住民を全て配置し終えるまで繰り返します。

各施設の概要は以下の様になっています。

Stone Age: The Board Game ストーンエイジ

村の施設」では人口が増えたり、麦や道具を手に入れる事ができます
それぞれ最大 10 で、人口が増えれば配置できる住人の数が増えるので、生産力の拡大になります。

ただしターン終了後、人口の数だけ「食料」が減ります
食料が足りない場合は物資で補いますが、物資もない場合は勝利点が大幅に減らされます。
「麦」を持っていればその数だけ必要な食料が軽減されるので、麦と人口はバランス良く増やしていった方がゲームはラクになりますね。
麦は恒久的な食料で、使ってもなくなることはありません。

収穫場」では、ターン終了後(収穫フェイズ)に配置した住民の数だけサイコロを振って、出た目に応じて物資を獲得できます
物資と収穫場には「食料」「木材」「粘土」「石材」「金塊」の5つがありますが、食料は出た目の合計÷2、木材は÷3、粘土は÷4、石材は÷5、金塊は÷6しか入手できません。 端数切り捨てです。
つまり上位のものほど入手し辛くなり、多くの住民を派遣しないと手に入らない可能性もあります。

ただ村で手に入る「道具」があれば、その分だけサイコロの目をプラスできます
道具も麦と同じく恒久的なアイテムで、使っても次のターンになれば使用できる数は復活します。

Stone Age: The Board Game ストーンエイジ
※食料以外の収穫場には、全プレイヤー合わせて7人までしか住民を配置できません。
よって満員になると、他の人はそこに配置することはできなくなります。
なお、ここで説明しているのは4人プレイ時のもので、人数が少ないとややルールが変わります。
3人プレイだと(食料以外の)同じ収穫場に住民を配置できるのはプレイヤー2人まで。
2人プレイだと同じ収穫場に配置できるのはプレイヤー1人のみ、さらに村の施設は2ヶ所までしか使えません。


食料以外の物資は、大工で建物を建てたり、船着場で交易に使用します。
大工小屋」は4つあり、それぞれ看板に必要となる物資が書かれています。
茶色は木材、ピンクは粘土、灰色は石材、黄色は金塊を表わします。

必要な資材を持っていれば、それを消費して建物を建てられます。
ただ、建物と言っても「内部的に建てたことになった」という感じで、ケイラスサンファンみたいにそれが何らかの効果を持つ訳ではありません。
建てると勝利点が得られるので、「資材を勝利点に変換する施設」と言っても良いかもしれません。

4色の丸いマークが看板に書かれている場合は、どんな資材を使っても構いません。
ただし「3種類の資材が合計4つ必要」みたいな条件があります。
建設で得られる勝利点は使った資材に応じており、木材は3点、粘土は4点、石材は5点、金塊は6点です。

Stone Age: The Board Game ストーンエイジ

船着場」には4隻の船があって、下から順に物資が1つ、2つ、3つ、4つ必要です。
ただ、食料以外はどんな物資を使っても構いません。 よって入手しやすい木材を出した方がお得ですね。

船には2つの荷物が積まれていますが、左は物資、右は「専門職」か「文化」です

専門職」には「シャーマン」「農民」「道具屋」「建築家」の4人がいて、ゲーム終了時にシャーマンは人口を、農民は麦を、道具屋は道具を、建築家は建物の建築数を勝利点にします。
例えば、麦を5つ持っていて、農民がいれば勝利点 +5 ですね。
専門職がたくさんいればボーナスは倍増するので、もしシャーマンが5人いて人口が 10 になっていれば、ゲーム終了時に勝利点は +50 されます。

文化」は8種類あって、ゲーム終了時に集めた種類の2乗、勝利点が増えます
3種類集まっていれば 3x3 で 9 点、5種類あれば 5x5 で 25 点ですね。

船には物資の代わりに変わったものが積まれている事もあり、以下のような効果があります。

Stone Age: The Board Game ストーンエイジ

ゲームは大工小屋の残り建築数がなくなるか、船着場の交易船が全部なくなることで終了します。
通常、交易船がなくなることは滅多になく、大工の建築数が尽きることで終了します。

残り建築数は大工小屋ごとに違うので、1つの小屋が集中的に使われると早期に終了します。
よって終了のタイミングはゲームごとに変わります。

最後に全ての勝利点の計算を行い、もっとも点数が高かった人が勝利です。
なお、余った食料以外の物資は1つ1点になります。

Stone Age: The Board Game ストーンエイジ
※船の数字は自分が取った交易船の数で、残り数ではありません。
交易船の残り数の表示はその周囲にあるタイマーのような部分です。


ゲームの概要は以上です。
「この建物にはこんな効果が」とか、「このカードのスキルはこういう風に・・・」みたいな複雑なルールがないので、基本ルールだけ覚えれば遊べるようになっています

それでいて勝利のための方法が複数あり、建物をひたすら建築するのも良いし、交易船を取りまくって文化を集めるのも良いし、特定の専門職を集めて必要なアイテムを貯め込む手もあります。
ある程度狙いを決めてプレイする方が良いので、その点はボードゲームらしい戦略があると言えますね。

難点は、やはり ケイラスサンファン をやった後だと、やや簡易的に思えること。
特に建築を行っても建物がボード上に現れず、建築数と勝利点が増えるだけなので、「町作りをしている」みたいな楽しさはないですね。

また、施設の利用が早い者勝ちとは言え、明確な妨害や競走のようなものは少ないので、ゲームとしては対戦というより「徒競走型」です。
にも関わらず最後まで誰が勝っているか解りにくいルールなので、ちょっと競走感が乏しい印象があります。

以下は Youtube で公開されているレビュー動画です。



価格は 450 円。 ドイツゲームのアプリとしては標準的な価格ですね。

ドイツゲームのアプリには珍しく、現在は iPhone / iPod touch 版しか発売されていないのですが、書き込みが細かいので iPad で2倍に表示にしても粗く見えません。
よって iPad 版がなくても問題はない印象です。

プレイ時間が長めなので手軽さはありませんが、さすが「ドイツゲーム賞」で2位になっただけあり、ルールが解れば楽しめるゲームです。
あまり複雑ではなく、人にルールを説明しやすいゲームなので、対戦しやすいのも良い点でしょうか。

対戦は本体を交互に使うものと、Game Center のフレンドと対戦するもの、ランダムマッチングによるオンライン対戦の3つが用意されています。
ただしオンライン対戦はリアルタイムではなく、時間無制限で一手ずつ進めていくメール形式の対戦なので、遊びやすいとは言えません。

ドイツゲーム / ボードゲームが好きな方なら、見逃せないアプリと言えます
iOS のドイツゲームアプリの中では、中の上と言ったところでしょうか。

Stone Age: The Board Game (iTunes が起動します)