スマートフォン最大の、いや昨年最大のヒットゲーム「パズル&ドラゴンズ」。 通称パズドラ。
その成功に続けとばかりに、ロード・トゥ・ドラゴンズ冒険クイズキングダムドラゴンコインズ などのパズドラ型の秀作ゲームが次々と登場し、いつしか「パズドラ系」と言うべきジャンルが作り上げられました。

そんな訳で、今年に入ってもその流れは続いている訳で・・・
今回はそんなパズドラ系の後発ゲーム3つを、まとめてご紹介したいと思います。

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運命のパズルビースト(iTunes 起動)

セガポケラボが共同で設立した「SPG labo」という開発会社の「パズル+RPG」。
ポケラボ(Pokelabo)は主に DeNA(モバゲー)の元でソーシャルゲームを作っていた会社(SAP、ソーシャル・アプリ・プロバイダー)です。
代表作は「三国インフィニティ」などですね。

注目なのは、この会社は 2010 年に当時最大規模となる 10 億円の資金調達を行い、有力開発会社として有名になったのですが、昨年(2012年)10 月に 138 億円でグリーに買収されていること。
そのため巷で「DeNA に捨てられたのか?」などと言われていたようですが、翌月の 11 月に以前から業務提携のあったセガと前述の共同会社を設立
「あれ? グリーに買収されたんじゃ?」と思ってた矢先に、先日セガの運営の元でこのゲームを公開するに至りました。

リアル経営 SLG をやっている偉い人の思惑は解りませんが、深慮遠謀とか偽書疑心とか敵中作敵とかあったりするんでしょうかね。

運命のパズルビースト

ゲームの方は、ズーキーパー型のマッチ3ゲームとパズドラを組み合わせたような感じです。
ただ、コマの色の種類が少なく、時間内に何度でも動かせるため、連鎖しまくれるのが特徴です。

パズドラのように1つのコマをいくらでも動かせる訳ではありませんが、複数のコマを連続で動かして、時間内に連鎖した数だけ敵にダメージを与えられます
ズーキーパーの「アクティブ連鎖」を簡単にした感じですね。
パズドラよりも手軽で、その分ゲーム性は劣るのですが、誰でも楽しめるシステムなのが利点でしょう。

ただ残念なのは全体的に、ガラケーのグリー&モバゲー型ソーシャルゲームのインターフェイスや演出を引きずっていること。
一応ネイティブアプリ(スマホ専用アプリ)ではあるのですが、明らかにガラケーソーシャル的な雰囲気で固められていて、こういう表現は的確でないかもしれませんが、一言で言うと「ダサイ」。

先日、新技術のネイティブアプリでありながらガラケーのインターフェイスを踏襲した Wizardry 戦乱の魔塔 を紹介しましたが、それとは違い、こちらは技術やノウハウ、センスなどが足りなくてネイティブアプリに成りきれていないという感じです。
残念ながら、まだまだグリー / モバゲーの開発会社だなぁ、という感じですね。
パズドラの後発でありながらこの作りでは、スマホユーザーは満足できないでしょう。
とは言え最初から、メインターゲットはスマホユーザーではなく、元ガラケーのソーシャルゲームユーザーなのだろうとは思いますが。

なお、ソーシャルゲームの業界は最近になって再編が進んでいる模様です。
同じく DeNA(モバゲー)側の開発会社だった「グループス」も、オンラインゲーム会社「ネクソン」に 365 億円で買収され、こうした動きが加速しているようです。(参考資料:日経新聞 2012/10/24

どうやら中途半端なソーシャルゲームではもう儲からない状況になっているようで、ソーシャルバブルが弾けて付いていけないメーカーや、先行き不透明なグリー&モバゲーが、今後の形振りを考えているようです。
このゲームもそうした中で出て来たものかもしれませんが、まあパズドラ系を含む普通のゲームは、ソーシャルゲームほど簡単に作れる訳じゃないですよねぇ。


バウンドモンスターズ(iTunes 起動)

ブシモ(ブシロード)が公開した、ボールを弾いてモンスターにぶつけるパズドラ系ゲーム
ブシモ」はブシロードのモバイルゲームブランドで、「ブシロード」はトレーディングカードゲームやアニメ系のゲーム、オンラインゲームなどの提供を行うほか、新日本プロレスの興行も行うなど、多方面の活動をしている企業です。
このゲームはテレビ CM なども盛んに行われているため、そちらで見たことがある人も多いかも。

開発はブシロードではなく、すでにクイズ+パズドラ系の 冒険クイズキングダム をヒットさせている「面白法人 カヤック」。
メディア展開で実績のある会社と、アプリ開発で実績のある会社がタッグを組んだ形です。

バウンドモンスターズ

投石機のようにモンスターを後ろに引いて離すことで、ボールが発射されます。
ボールはバウンド(反射)しながら画面中を跳ね回り、当たった敵モンスターにダメージを与えます。
全てのモンスターを倒せばステージクリアとなりますが、ボールを撃つごとに敵モンスターに付いているカウントが減っていき、0 になると攻撃してきます。

ボールをうまくバウンドさせまくれば一投で多くのモンスターをまとめて倒すことができ、それがこのゲームの楽しさになっています。
ボールを弾いて当てるだけなので、ゲームとしてはシンプルで、こちらも他のパズドラ系より難易度は低めですね。

アプリの完成度自体は、今回ご紹介する3つの中では一番高いです
パズドラドラコイほど優れている訳ではありませんが、インターフェイスや演出などは既存のパズドラ系のゲームと比べて、大きく劣っている訳ではありません。

ただ、これは個人的な好みもあるかもしれませんが・・・ ぶっちゃけ、やっててあまり面白くない・・・
全く面白くない訳ではないし、もうちょっと工夫があればもっと楽しめる気がするのですが、今の時点ではほとんど考える要素がなく、アクション性がある訳でもなく、演出や展開に派手さもなく、淡々とボールを打ち込むだけで、イマイチ感が否めません

ただ、中には「パズドラが難しい」と言っている人もいますし、そうした方だとこのぐらいシンプルで解りやすい方が、楽しめるかもしれませんね。
私的には「ポチポチゲー」より良いと思いますが、物足りないのが本音です。


● ブロックモンスター(現在非公開)

テトリス+パズドラ系」というゲームで、今回ご紹介するパズドラ系の中ではもっとも早く登場したアプリです。
しかも「テトリス」を組み合わせてきたという事で、メディアでは結構紹介されていたゲームですね。

ただ、このゲームは開発元・運営元が正体不明です
開発者は名前からして中国系の方のようですが、どう言う人なのか全く解らず、運営会社の Rapid Games なるメーカーも詳細不明。
メッセージなどは全て日本語で表示されていますが、どういう経緯で出て来たのか解りません。

ブロックモンスター

ゲーム内容は、テトリスでラインをそろえるごとに敵にダメージを与えるという方式です。
ブロックの色が味方モンスターの属性に対応しており、消した色のブロックの分だけ対応モンスターの攻撃力がアップします。
ブロックを落とすごとに敵モンスターのカウントが減っていき、0 になると攻撃してきます。

やることはそのまんま「テトリス」なので、ゲームの面白さという点では今回紹介した3つの中では一番です。
普通にテトリスの楽しさですからね。 操作性も悪くありません。

インターフェイスには洗練されていない部分もありますが、小メーカーの作品と考えると及第点でしょう。

ただ、本家のテトリスには存在しない1マスや2マスのブロックがあり、落とした後に位置をズラせないなど、パチモノ感があるのは否めません
特に落とした後にズラせないのはテトリスのゲーム性に影響する残念な点です。

そして最大の問題は、その「パチモノテトリス」であるということ。
テトリスの版権は現在、それを取り扱う専門の企業によって厳しく管理されています。
無許可で作られたテトリスは、この企業や公式ライセンスを得ている EA によってライセンス違反として報告され、iTunes ストアでも片っ端から削除されてきました

そしてこのブロックモンスターは、どう考えても公式のライセンスは得ていません。 テトリスのガイドラインにも沿っていません。
おまけに開発者もメーカーも正体不明。 それは文句を言われないために潜んでいるようにも見えます。

そんなゲームですからいつ消されるか解らない訳で、そんなゲームを長期間プレイしたり、課金したりすることは、それが全て無駄になるリスクを伴います
これではさすがに不安感、不信感が否めず、そんなゲームは私には勧められませんね。

まあ一番悪いのは、開発者でもない第三者が勝手に決めて、多くのテトリス系のゲームを葬ってきたテトリスのガイドラインだとは思いますが。

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と言う訳で、昨年末から今年初頭にかけて登場したパズドラ系アプリ3種類でした。

結論としては、パズドラはもちろん、昨年後期に登場したロードラドラコイなどには及ばない印象です。
当たり前ですが、パズドラのシステムを真似たからと言って、良くなるとは限らないですね

ただ、パズドラのシステムは汎用性や発展の余地があると思うので、引き続き注目していきたいと思います。