今日から勝手に「黒い主人公シリーズ」のアプリを紹介していきたいと思います。
今回取り上げるのは、社畜の主人公がそんな生活に嫌気が差し、会社からエスケープするゲーム。(たぶんちがう)
Vector for iPhone」です。

障害物をかわしながらひたすら走り続ける「ラン系」や「ランニングゲーム」と言われるタイプのゲームですが、キャラクターの動きがとにかく滑らか
プリンス・オブ・ペルシャ」のような、リアルでぬるぬる動くキャラのモーションが特徴です。
また、フリーランニングのように様々なアクションで障害物をかわしていくのも特徴で、「アサシンクリード」や iOS 版「Mirror's Edge」のようなゲーム性と言えます。

グラフィックや雰囲気は Canabalt に非常によく似ていて、アクションが増えてスピードが遅くなった Canabalt という感じもありますね。

ただ、このゲーム・・・ 中盤からは非常に難しく、あまりライトユーザー向けとは思えません。
途中からはパターンを作らないとクリア出来ないほどの高難度になっていきます。

なお、開発したのはロシア・モスクワのメーカーで、メーカー名の Nekki は「熱気」から取っているそうです。

Vector for iPhone

ステージクリア制のゲームで、スタートすると主人公は自動で走り続けます
上にフリックでジャンプ、下にフリックでスライディングしますが、壁にジャンプするとそのままよじ登り、よじ登り中に上にフリックすると早く上がります。

よじ登るモーション、着地モーション、ジャンプモーションなどがとにかくリアルで、しかも動きが豊富です。
単に台を飛び越えるだけでも、普通に跳ぶ場合もあれば、手を付いて乗り越えることもあり、タイミングが悪いとつまづく事もあります。
キャラクターは黒一色ですが、その動きは非常に人間的で、それがこのゲームの大きな魅力と言えますね。

後方からは追っ手が迫って来て、追い付かれるとスタンガンでシビレさせられミスになります。
主人公は落ちそうになっても崖につかまったり出来るのですが、そうしていると追い付かれてミスになるため、出来るだけスピードを落とさずに走り続ける必要があります。

追い付かれずにゴールまで到達するとステージクリア。
次のステージがアンロックされます。

Vector for iPhone
※キャラのモーションは本当に多彩! 障害物をものともせずに走る姿はまさにサスケやフリーランニングの世界。
クリアすると得られる資金で新モーション(トリック)を買う要素もあります。
動きを遅くしたり追っ手を撃退する Gadgets(ガジェット)というアイテムも買えますが、使い捨てなので注意。


しかしこのゲーム、気持ちよく疾走できるのは最初のエリアを一通りクリアするまで。
1つのエリア(ロケーション)に 11 のステージがあるのですが、全てクリアしても次のロケーションに進むには、クリア評価の「★」を 25 個集めなければなりません。

しかし各ステージの評価は、普通にクリアしただけでは★1つしか貰えません。
これでは全ステージクリアしても 11 しか集まらないので、全然足りない。

そして各ステージで★3つの最高評価を得るには、得点アイテムをすべて回収し、特殊モーションも全て成功させなければなりません
ところが得点アイテムの中には、事前に(まだそのアイテムが画面に出てないうちから)ジャンプして、真上に着地しないと取れないようなものもあり、逃さず取るには得点アイテムの位置と取り方を、全て覚えなければなりません。

つまり次のエリアに進もうと思ったら、急に「覚えゲー」「マゾゲー」と化すのです。

得点アイテムを1つでも逃したら★2つ、2つ逃したらもう★1つしか貰えないのでやり直し。
幸いリトライのボタンがあるので、やり直しはすぐ行えるのですが、何度も繰り返して完全に「パターン」を作らないといけないゲームとしては、1つのステージはやや長めです。

一応、1つのエリアを全てクリアすると「ボーナス」のステージをプレイでき、そこでも★を獲得できるのですが、これはボーナスと言うより「上級者用の裏ステージ」で、ただクリアするだけでも表ステージでパーフェクトを取るより難しい。
ますます暗記とパターン化が必要になります。

そのゲーム性は最近のものではなく、ファミコン時代の高難度アクションゲームのようで、既存の iOS のアプリで言うと「ねじ巻きナイト」によく似ています。
ねじ巻きナイトは「骨太アクション」というコンセプトで作られていましたが、こちらもかなりの骨太ですね。
私的には、アクションが非常にリアルで滑らかなので、出来ればこのアクションで軽快に疾走したかったなぁ、というのが本音です。

なお、エリアの終盤ステージになると、ちょっとしたストーリーシーンが入ります。
このシーンがなかなか燃える展開で、かなり先が気になるのですが・・・ その先を見るのは、前述したようにかなり大変ですね・・・

Vector for iPhone
※ブラック企業の社員がニートと言う名の自由の空に飛び立つ!(チガウ!
この手のゲームには珍しく、深そうなストーリーがあるのが特徴。 センスあるグラフィックも良いですね。


Vector for iPhone
※最初のエリアの終盤シーンの一コマ。 行く手を塞がれた! と思ったら上からロープが伸びてきて・・・
この後の展開もまた良いです。 サクサク進める内容にして、ストーリー重視で展開してくれた方が楽しめたと思うけどな・・・


Vector for iPhone
※★3を獲得したければ全てのボーナスを獲得しなければならない。 1つでも逃したらやり直し。
そのステージで行える特殊モーションも事前に全部買っておく必要があります。
11 ステージで ★25 個ってことは、全ステージ★2以上、かつ★3クリアも3つ以上必要。 正直言って厳しい。
しかし裏ステージをやるぐらいなら、表ステージで集めた方がまだマシです・・・


価格は 85 円ですが、無料版も用意されています。
双方のゲーム内容に違いはないようですが、無料版は初期資金が少なく、ステージクリアごとに広告が表示され、さらにボーナスステージ(裏ステージ)がありません。
しかし通常ステージは無料版でも問題なく遊べます。
(ただし資金がなくて特殊モーションを当分買えないので、序盤はクリア評価を得られません)

中盤以降はかなりマゾくなりますが、安くてセンスが良いのでコストパフォーマンスは高いです
その滑らかで人間的な動きを見るだけでも一見の価値がありますね。

ただ、iTunes での評価が非常に高いのは、初見で付けられる場合が多いためだと思われます。
オープニングとモーションが素晴らしく、序盤はサクサク進むので、確かに高評価は頷けるのですが、中盤からの難易度が知られたら、ここまで評価にはならない気もします。

欧米(特にヨーロッパ)では、このような「リトライを繰り返してパターン化していく高難度のゲーム」は割と好まれるので、全体の雰囲気的にも欧米的な印象を受けるゲームですね。(ロシアだけど)

Vector for iPhone (iTunes が起動します)
Vector for iPhone Free (こちらは無料版です)


最後になりましたが、以下は Youtube で公開されているプレイ動画です。
このゲームはその動きが最大の魅力なので、動画で見た方が内容が伝わりますね。