第二次世界大戦をテーマにした、いかにも玄人向けな雰囲気の戦略シミュレーションゲームが登場しています。
Strategy & Tactics: World War II」です。

このゲームは第二次世界大戦をテーマにした戦略級 SLG の定番 Hearts of Iron(ハーツ・オブ・アイアン)シリーズの戦闘部分だけをピックアップしたような作品です。
似たシステムのゲームには 欧陸戦争/世界の覇者 シリーズ がありますが、内容をボードゲーム風にアレンジしていた 欧陸戦争/世界の覇者 に対し、こちらはハーツ・オブ・アイアンの戦闘をそのままターン制にしたような形です。

ハーツ・オブ・アイアンの戦闘は非常にシンプルで、兵器や兵士がドンパチするようなシーンは表示されません。
単に攻めたら結果に応じてユニットが移動するだけの簡易的なものです。
よって物足りなく感じる方もいると思いますが、ハーツ・オブ・アイアンを知っている人だと、むしろしっくり来るかもしれませんね。

Strategy & Tactics World War II

ゲームはステージクリア制の「キャンペーンモード」と、1つの大きなマップでプレイする「シナリオモード」「マルチプレイモード」がありますが、メインとなるのはキャンペーンです。

キャンペーンにはチュートリアルと、大戦前半のドイツキャンペーン、大戦中盤のソビエトキャンペーン、大戦後半のアメリカ&イギリスキャンペーンの3つがあり、それぞれ数ステージで構成されています。
キャンペーンごとに担当国が変わるのが特徴ですね。

ゲームはマップ上のユニットを選択し、移動先と何部隊移動させるかを指示するのみ
移動先が敵地ならそこを占領し、敵部隊がいるなら戦闘になります。

戦闘は前述したように、戦闘シーンが表示されるものではありません。
結果が内部的に算出され、進攻側が勝ったらその土地が占領され、負けた側は他の土地に撤退します。
そして結果に応じて部隊の「士気」が減少します。

このゲームは部隊が負けてもすぐに消滅することはありません
よほどの大差にならない限り、負けても士気が減るだけで、撤退可能な土地(味方の土地か部隊がいない土地)があるならそこに移動します。
また、士気は行動せずに終了すると、次のターンにある程度回復します。
よって正面から攻め合うと、双方とも部隊数が減らないまま一進一退が続きます。

ただし撤退先がない状態で負けた部隊は、そのまま壊滅、投降します。
よって基本戦略は逃げられないように相手を囲ってから、一斉攻撃で袋叩きにすること。

このゲームには勝つとその場所に移動する「通常攻撃」の他に、その場所から動かずに近くの戦闘に参加する「支援攻撃」があります。
支援攻撃を使えば複数の土地から1ヶ所の部隊を総攻撃できるので、これをうまく使うのが攻略のポイントですね。

Strategy & Tactics World War II
※敵の後方を遮断してから、孤立した敵を包囲殲滅する。 いわゆる「鎚と金床戦術」です。
装甲車や戦車は自軍の領土なら1ターンに2マス動けるので、これを使って回り込むのがポイント。
また部隊は分けて動かせるので、歩兵で攻めて領土を取って、それから装甲車を走らせて遠くまで一気に動く、といったことも可能です。


オリジナルのハーツ・オブ・アイアンとは異なり、リアルタイム制ではありません。
部隊は戦闘か移動を行うと「行動終了」になります。

ただ、まとめて全部動かす必要はなく、2つ動かしてから時間を進めて、その後にまた3つ動かしてから時間を進めて・・・ と言うように少しずつ進攻することが可能です。
上記の「後ろに回って集中攻撃」も、このシステムだから出来る戦法ですね。

ユニットには歩兵、装甲車、戦車があり、1つの土地に混成して配置することが可能です。
ただし1つの土地に配置できる部隊数は最大 12 まで
よって 12 部隊いる敵を有利な状況で攻撃したい場合は、他の土地からの支援攻撃が必須になります。

他に戦闘機と爆撃機もあり、反撃を受けずに敵を攻撃できますが、あまり遠くには飛べません。
ただ、このゲームには「空港」の概念はないので、自軍の土地なら好きな場所に移動/配備できます。

戦闘機は任意の土地で「パトロール」を実行でき、敵爆撃機のルート上でパトロールしていれば爆撃の効果を落としたり、敵爆撃機を撃墜したり出来ます。
ただ、航空機は配備中の土地が占領されると全滅するため、戦闘機での撃墜を狙うより、配備されている土地を車両で一気に狙った方が有効です。

土地を占領していると毎ターン「物資」を入手でき、それを使って「援軍」を呼ぶことが出来ます。
これは生産に似ているのですが、「歩兵1あたり物資5」みたいな感じではなく、「歩兵2を物資10で呼ぶ」「歩兵6を物資25で呼ぶ」と言うように呼べる数が決まっています。

そして実行したコマンドは、しばらく再実行できません
再度援軍を呼びたい場合は、しばらく待つか、物資を貯めて他のコマンドを実行するかになります。
物資さえあれば好きな部隊を好きなだけ買える、と言う訳ではないのがポイントですね。

Strategy & Tactics World War II
※援軍(生産)はちょっと変わったシステム。 1度実行したコマンドは7ターンの間は使用できません。
また、1度にたくさん呼ぶコマンドの方が、物資あたりの部隊数は多くなります。
いずれにせよ援軍はそんなに多く呼べないので、初期部隊をやりくりして突破するのがメインになります。


Strategy & Tactics World War II
※作戦を説明するドイツのハルダー将軍。 キャンペーン中はステージ間にこんな会話シーンが挿入されます。
英語なので日本人だと解り辛いのですが・・・ 第二次世界大戦に詳しい人ならなんとなく解るでしょうし、別に解らなくてもゲーム的には問題ありません。
ドイツ軍のキャンペーンはとにかく進撃すれば良いのですが、ソ連軍のキャンペーンは防衛戦なので、「一定ターン耐える」「敵を一定数撃破する」などが勝利条件になっている事が多いです。


アプリ本体は無料なのですが、無料のままでは3ステージしかプレイできません。
そして完全版にするには 600 円の課金が必要になります。
正直、600 円というのは・・・ ちょっと高く感じますね

ゲームのクオリティーは 欧陸戦争 や 世界の覇者 に劣るため、その 欧陸戦争 や 世界の覇者 が 250 円である事を考えると、この値段は辛いです。
ただ、iPhone には第二次世界大戦を扱った戦略シミュレーションゲームは少ないので、この手のゲームで新しいものをやりたいという人だと、見逃せないゲームかなと思います。

こう言っては何ですが、「iOS の簡易ハーツオブアイアン」です。
こうしたゲームを好む人は少ないと思いますが、私的には好きなジャンルで、硬派な SLG がやりたい人なら悪くないと思います。

Strategy & Tactics: World War II (iTunes が起動します)