各メディアで報じられているのでご存じの方が多いと思いますが、人間とコンピューターが将棋で対局する「電脳戦」の第二局で、現役プロ棋士の方が初めてコンピューター将棋に敗れました。

持ち駒を使えないチェスでは 15 年も前にコンピューターが人間のプロを破っていますが、持ち駒がある将棋は展開が複雑かつ豊富なため、コンピューターが人間のプロを破るのは難しいと言われていました。
しかし将棋プログラム「Bonanza」が 2007 年にプロを追い詰めて以降、その差は急速に縮まり、女流棋士や引退名人はすでに敗れており、そろそろ時間の問題だったのかもしれません。

そんなプロ棋士を破った将棋プログラムの名前は「Ponanza」(ポナンザ)。
Bonanza と関係ありそうな名前ですが、名前をリスペクトしただけで、中身は全く別物だそうです。
その Ponanza とも対戦できる、オンライン対戦がメインの将棋アプリが公開されています。
将棋ウォーズ 【日本将棋連盟公認】 将棋ゲーム」です。

また兄弟アプリとして、子供向けのシンプルなルールでありながら、なかなか奥深い簡易将棋が楽しめる「どうぶつしょうぎ」のオンライン対戦アプリも登場しています。
どうぶつしょうぎウォーズ」です。

この2つは別アプリでありながら同じアカウントを使用し、利用権なども共有するため、ここでは合わせて取り上げたいと思います。

将棋ウォーズ

まずは「将棋ウォーズ」から。

操作は駒をタップして、動かす先をタップすると言う一般的なもの。
駒を選ぶとその駒が浮き、さらに移動可能なマスが明るく光るため、視認性は良好です
拡大縮小はないため、ややタップミスしやすい面もありますが、操作性も悪くありません。

スマホらしい多彩な演出とサウンドを持つアプリで、対局開始時と終了時には音声が流れ、アニメーションしている背景は数パターン用意されており、駒を打つと閃光が走り、良手だと衝撃波が飛び、進行に合わせて BGM が変化します。
ちゃんとした「ゲームらしさ」を持っているアプリですね。

前述したようにオンライン対戦がメインですが、内蔵のコンピューター AI と戦う「練習対局」も用意されています。
通信を行わないため回線が繋がっていない時でもプレイできますが、練習対局の難易度は「簡単」「普通」「難しい」の3段階のみで、それほど強くありません。
「簡単」は本当に弱いので、将棋が苦手な方でも楽しむことが出来ますが、1人でやるだけなら 金沢将棋レベル100 の方が良いでしょう。

メインとなる「対局開始」(オンライン対局)は自動マッチングでの対戦になります。
独自サーバーを介しての対戦であり、Android 版とも対戦できることからプレイヤーはかなり多く、マッチングにはそれほど時間はかかりません。

オンライン対局での持ち時間は3分か10分(開始前に選択可能)で、時間切れになるとその時点で敗北です。
そのため「早差し」が必要で、その分サクサクと対戦できるのが良いですが、将棋に慣れてない方だと辛いですね。
対戦中のレスポンスは非常に良好で、回線の状態にもよると思いますが、ほとんど遅延は感じません。

マッチングするプレイヤーが見つからなかった時は、サーバー上のコンピューターとの対戦になります。
このコンピューターは電脳戦で勝利した「Ponanza」ですが、Ponanza にもたくさんの種類があって、弱いものから強いものまで様々です
プレイヤーのランクに合わせたコンピューターが現れるので、いきなり強い AI との対決になる事はありません。
Ponanza は相当な早差しで、待ち時間は非常に短いです。

対戦相手のレベルやコンピューター対戦の有無は、アカウント設定を行う「マイページ」で選択できます。
コンピューターが出てこない設定や、マッチングされる対戦相手の強さも選択できるので、好みに合わせたマッチングを実行させることができます。

将棋ウォーズ
※オンライン対局中に特定の「囲い」や「戦法」が発生すると、それを示す表示が現れ、マイページの「コレクション」に追加されていきます。
発生時には「カニガコォーイ!」とかいうボイスも流れます。 とにかく演出が良いですね。
右は Ponanza が5手だけ代打ちしてくれる課金アイテムを使用したところ。 対戦でこんなの使うのはズルいと思いますが、使用中のグラフィックはすごく綺麗です。


他に「観戦」の機能があり、進行中の他プレイヤーの対戦の「棋譜」を見ることができます。
棋譜閲覧モードには BGM や演出はありませんが、進行状況はリアルタイムで更新され、前の手に戻したり、最初から閲覧することも可能です。

どうぶつしょうぎウォーズ」は将棋ウォーズのどうぶつしょうぎ版ですが、現時点(2013/4)では練習対局はありません
よって通信環境がないとプレイできません。

「どうぶつしょうぎ」は駒が「ひよこ」「きりん」「ぞう」「らいおん」の4種類しかなく、ひよこは前のみ、きりんは上下左右、ぞうはナナメ、ライオンは8方向に1マスだけ進めます。
将棋と同じく取った相手の駒は「持ち駒」になり、ひよこは一番奥まで進むと「にわとり」に成れます。
相手のらいおんを取るか(キャッチ)、らいおんが一番奥まで進むと(トライ)勝利になりますが、一番奥まで進んでもその直後に取られる状態だとトライにはなりません。

プレイヤーの数は将棋ウォーズより少ないのですが、ボードが小さく、ルールが簡単で、短時間でプレイできるため、将棋が苦手な方でもこちらなら遊べますね
持ち時間は2分間ですが、状況を簡単に把握できるので、そんなに時間に追われることはないと思います。

マッチングできない時はコンピューターが相手になります。 こちらのコンピューターの名前も Ponanza と名付けられているようです。
ただ、レベルの低いコンピューターは取られる場所にらいおんを突っ込ませるぐらい弱いので、ちょっと弱すぎかなーという印象も。 まあ、子供向けであることを考えるとこんなものでしょうか。
もちろんオンライン対戦は相手が人間なので、ホントに子供だと辛い訳ですが。

演出やサウンドはこちらも優れていて、数は少ないですが「囲い」や「戦法」のコレクションも用意されています。

どうぶつしょうぎウォーズ
※こちらは「どうぶつしょうぎウォーズ」の様子。 ちゃんと公式ライセンスを得ている模様です。
見た目はシンプルですが「持ち駒」があるため、相応に将棋っぽい展開になりますね。
かわいらしい感じのサウンドやボイスも良いです。


アプリ本体の価格はどちらも無料
ただし「将棋ウォーズ」は無料のままだと1日3局、「どうぶつしょうぎウォーズ」は1日10局しか対戦できません。
ただ、対局数は状況によっては 0.5 局分しか減らなかったりすることもあります。
(途中で回線が切れたり、早期に終わったりした場合?)

「練習対局」はこの対局数に含まれないので、無料でいくらでも遊べます。
また友達登録した人と対戦を行う「友達対局」も用意されています。

課金は「30日パスポート 350 円」「90日パスポート 1000 円」というように期限付きのフリー対戦権を購入する形になっていて、1回いくらという形式ではありません。
期限付きではありますが、期限内なら何度でも対戦できます。
またパスポートは「将棋ウォーズ」と「どうぶつしょうぎウォーズ」で共有しており、将棋ウォーズでパスポートを買えば、期間中はどうぶつしょうぎウォーズもフリーで対戦できます。

対戦相手を「かなり弱い」にできる課金や、Ponanza に代打ちして貰う「棋神」という課金アイテムもありますが、棋神は価格が高いので、乱用されるような事はないと思います。

こうしたオンライン対戦将棋には、現在コンピューター最強と言われる「GPS 将棋」を搭載する「i将棋サロン」がありますが、将棋ウォーズの方が演出的に優れているので、やっていて楽しいのはこちらですね。
なお、将棋ウォーズはサーバー側のコンピューターの強さを自由に選べないため、他の将棋アプリと対戦させてみることは出来ませんでした。

Ponanza はともかく、アプリ自体の完成度も高いため、将棋アプリとしては(現時点では)決定版だと思います
オンライン将棋であるため、集まっているのは腕に自信のある人が多いので、やはり初心者には辛いのですが、「どうぶつしょうぎウォーズ」と合わせて、オススメできるアプリです。

将棋ウォーズ (iTunes が起動します)
どうぶつしょうぎウォーズ (iTunes 起動、将棋ウォーズとアカウント共有)