対戦格闘ゲームの定番シリーズの1つ「鉄拳」。
その鉄拳をカードゲームにして、3D グラフィックのバトルシーンを付け加えたアプリが公開されています。
Tekken Card Tournament」(鉄拳カードトーナメント)です。
パラパラマンガではないです。

鉄拳はナムコの格闘ゲームですが、このゲームはフランスにあるバンダイナムコのヨーロッパ支社「NBGE」(ナムコ バンダイ ゲームス ヨーロッパ)で作られたもののようで、今年の夏に欧米で発売される予定の同名カードゲームのプロモーションを兼ねているようです

日本のナムコは直接関わっていないようで、そのためゲーム内のメッセージも英語(とフランス語)のみ。
カードゲームとしてはシンプルで遊びやすい反面、トレーディングカードゲームとしての戦略性は低く、課金形態やシステム設計も洗練されていない印象を受けます。
海外の未発達ソーシャルゲーム」という感じも受けますね。

Tekken Card Tournament

鉄拳らしいバトルシーンはありますが、あくまでカードゲームなので対戦格闘は遊べません。 念のため。

ゲームは 15 枚+1 のカードで「デッキ」(山札)を組んでプレイします。
初めてプレイする際には選択したキャラクターのカードを1セット貰えます。(いわゆるスターターデッキ)

ゲームが始まったらターンごとに、以下の3つ中からコマンドを選びます。

FOCUS : デッキからカードを1枚引いて場に出す
STRIKE : 場に出しているカードで相手を攻撃する
BLOCK : 相手の攻撃を2枚防御する

FOCUS を2回行って、10 と 15 のカードが出たら、その後に攻撃(STRIKE)をすれば相手に 25 ダメージを与えられる訳ですね。
ただし攻撃時に相手が BLOCK していると2枚のカードが無効化されるので、場に2枚しかなかった場合は与えるダメージは 0 です。
3枚出ている場合は最後の1枚だけ有効です。

基本ルールとしてはこれだけ。 非常にシンプルです。
マジック・ザ・ギャザリングとか、遊戯王とか、その類のトレーディングカードゲームではないので悪しからず。
戦略云々ではなく「読み合い」のゲームで、トランプのようなスタイルですね。

追加のルールとして、一方が STRIKE して相手が FOCUS だった場合、FOCUS 側は攻撃を受けたのに加え、1枚目のカードが破棄されます。
また、FOCUS で貯められるカードは5枚までです。

カードの中には特殊効果が付いているものもあって、例えば「攻撃が成功するとカードを1枚引く」「攻撃時に相手も攻撃していれば HP 15 回復」などがあり、「カードが場に出ている時に Block 成功時、相手のパンチ系攻撃を1度回避」といったものもあります。
カードが十分に増えれば、これらの特殊効果が勝敗を分けることになると思われます。

Tekken Card Tournament
※互いがコマンドを入力したら、それが同時に公開され、その結果に応じてキャラクターがアクションします。
まずは FOCUS を選んでカードを貯めないとどうしようもありませんね。
キャラクターごとに「威力が高いカードが多い」「威力は低いが特殊効果の付いたカードが多い」などの特徴があります。


Tekken Card Tournament
※ BLOCK が成功しても、防げるのは最初の2枚だけ。 残りのカードは食らってしまいます。
上記の例だと、相手の残り HP は 28 で、3枚目と4枚目のカードの攻撃力合計は 28。
つまり1枚目と2枚目が防がれても相手はダウンする状況なので、もう勝利は確定しています。


ただ問題なのは・・・ カードバトル以外の部分。

まずソーシャルゲームのように「スタミナ」があって、1ゲームごとに1つ減少し、最大は5です。
よって5回プレイしたら、しばらく待つか課金通貨で回復させないと継続して遊べません

さらに通貨にはゲーム内通貨の「ゴールド」と、課金通貨の「クレジット」がありますが、ゴールドは1回の勝利で 100 G ぐらいしか貰えないのに、基本パックの購入(いわゆるガチャ)に 3000 G(勝利 30 回分)も必要になります。
これはさすがにしんどい!
おまけに 3000 G のパックにカードは3枚しか入っておらず、しかもどのキャラのカードが出るか解りません。

クレジットのカードパック(いわゆる課金ガチャ)だと3人のキャラクターのカードが1枚ずつ入っていますが、必要なクレジットの価格は 200 円分で、3枚のうちレアが出る確率があるのは1枚のみです。

そして最初に選択したキャラクター以外のカードは初期には1枚も持っていないので、他のキャラを使おうと思ったらこんな状態で他キャラのカードを 15 枚も集めないといけません。 それはさすがに厳しい。
と言うことは、当分の間はメインキャラのカード以外はまったく不要です。(一応カードの売却は可能)

この状況で使えるカードを集めていこうと思ったら、どれだけの課金やゲームプレイが必要になるのか、途方に暮れてしまいます

プレイヤーレベルが上がると Card Fusion(カード合成)も出来るのですが、同じカードを集めないと合成できないので、不要カードを利用できる訳ではありません
しかもカードの合成に必要なゴールドが 5000 G とかメチャ高い
簡単に強化できるようだと対戦ゲームとしてのバランスが崩れてしまうかもしれませんが、この状態だとやってられません。

加えてスターターデッキには特殊効果が付いているカードは少ししか含まれていないので、前述したように特殊なカードが増えれば戦略性も増しそうですが、そういうレベルにいつなるのか見当が付かない

ゴールドは 50000 G(つまり勝利 500 回分)が 850 円の課金で売られていますが、これ+課金パックを買いまくらないと、このカードゲームの面白さは体験できない印象です。
「こんなゲームの面白さが体験できないアプリ、プロモーションになってねーよ」と思ってしまいますね・・・

オンライン対戦に関しては、マッチングが早い上に CPU 戦やメニュー画面などで「乱入」が発生することもあるので、プレイしやすくなっています。(断ることも出来る)
ルールがシンプルなのでオンライン対戦向きでもあり、この点は悪くありませんね。
ただ、オンライン対戦で勝利しても経験値が少し多いだけで、ゴールドが増えたりクレジットが貰えたりすることはありません。

以下は Youtube で公開されているベータ版のプレイ動画です。(正規版とほぼ同じです)



アプリ本体は無料。 一応ゲームは無課金でも相応に楽しめます。
ただ、カードゲームとして本格的に楽しむのは微課金では無理で、相当に課金する必要があるでしょうね。
そして相当に課金するレベルのゲームかと言われると、かなり疑問です・・・

カードゲーム自体は、ゲームとして簡易的すぎる日本のソーシャルカードゲームよりは良いと思います。
ただそれ以外の、プレイヤーを継続的に遊ばせる要素や、長期的に楽しめる要素、課金しても良いかなと思わせる設計など、バトル以外の面で日本のソーシャルゲームに劣ります。
ソーシャルゲームの課金誘導が良いとは言わないけど、これはちょっとなぁ・・・
この辺については、やっぱりまだ海外は弱いのかもしれませんね。

本格トレーディングカードゲームほど重くなく、手軽にカードゲームのオンライン対戦を楽しめるアプリではあるので、グラフィックも綺麗だし、全く勧められないゲームではありません。 一見の価値はあります。
ただ、「もっと遊べるものになるはずなのに」という残念な感じも受けますね。

Tekken Card Tournament (iTunes が起動します)