数年前、何を思ったのか建設会社が立ち上げたゲームメーカー Si-phon 。
高齢者向け(?)の硬派な戦略シミュレーションゲームばかり公開しているメーカーで、元々マニアックな印象があったのですが、さらにアナログゲーム(戦略級ボードゲーム)のブランドを立ち上げ、ますますマニアックな方面に突っ走っていました。
そんなメーカーが発売した、戦国時代をテーマにしたソリティア(1人用)ボードゲームのスマホ版が、先日 iOS で公開されました。
「信玄上洛」(信玄上洛 ~武田の御旗を打ち立てよ~)です。
最初に言ってしまいますがこのゲーム、見た目も演出も地味で、インターフェイスも特に優れている訳ではないのに、値段は 1600 円という高額設定です。
信長の三段銃陣に突っ込む勝頼のような強気な値段ですね。
ただ、このご時世にウォーボードゲームを発売するという、ある意味で信念や気骨のあるメーカーです。
私的には好きなジャンルのゲームですし、色々な意味でうちぐらいしかレビューするところはないでしょうから、今回ご紹介したいと思います。

基本のゲームシステムは「戦略シミュレーションゲーム」ですが、前述したようにこのゲームは実際に販売されているボードゲームを元にしています。
ですから兵士や武将はボード上に置く「コマ」で表現されており、戦闘結果やイベントの発生判定にはサイコロが使われます。
1つのターンは「軍備」「移動」「合戦」の3つのフェイズで進行します。
と言っても軍備は失った兵力の回復を行うだけで、開発とか生産とかの要素はないので、やることは移動フェイズに武将と兵士のコマを動かして攻め込み、合戦フェイズでサイコロを振って戦いを進行させるのみです。
色々と細かいルールがあり、シンプルという訳ではないのですが、基本システムはそれほど複雑ではありません。
武将や兵士のコマは自国内ならどんなに離れていても好きな場所に動かせます。
ただし、それぞれの領地に1つは兵士を残しておかなければなりません。
また、敵国に進攻する場合は事前に隣のマスに移動しておく必要があります。
移動したコマは行動終了となります。
敵国に進攻してから「フェイズ終了」すると、互いのコマが攻撃し合う合戦シーンになります。
この時はサイコロが1つ振られ、攻撃する兵士の戦力値より低い目が出ると攻撃成功となります。
兵士には 槍兵、山岳兵(弓兵)、僧兵、騎馬、鉄砲 の5種類があるのですが、どれも戦力は2です。
与えるダメージも常に1で、1発食らったら戦力が1になり、もう一発食らうと壊滅です。
この辺はかなりシンプルな形になっていますね。
ただ、攻撃する順番は兵士の種類によって違い、基本的には攻撃側の方が早いのですが、守備側の山岳兵(弓兵)・僧兵・鉄砲は攻撃側より先に動けます。
また、鉄砲は防御側なら2回の攻撃が可能で、騎馬は勝利した後にそのまま隣の土地に進軍が可能です。
武将には「指揮」「戦術」「生産」の3つの能力値があって、戦術の分だけ兵士の戦力値が足されます。
例えば、戦術が2なら戦力2の兵士は戦力4になります。 よって、サイコロを振った時に攻撃が成功する確率は 4/6 になります。
また、指揮が2なら2つの兵士ユニットにその効果を与えられます。

※武将の戦術は最大でも上杉謙信の3で、ほとんどは1か2。 指揮も1~3で、生産は1か0のみ。
つまり武将の能力はそんなに細かい数値にはなっていません。
戦術は0の人もいて、そういう武将は基本的に回復作業専門です。
右は織田信長が長島一向一揆に進攻中の模様。 武将のグラフィックは意外と「今風」な感じで、なかなかカッコイイですね。
参加している全兵士の攻撃が終わったら、まだ戦力が残っていても合戦は一旦終了。
どちらかが全滅するまで戦う訳ではありません。
そのままにしていれば次のターンに続きが始まりますが、部隊を他の国に移動させれば撤退することもできます。
ただ、損害がある場合は「敗走判定」が行われ、場合によっては強制的に撤退+次のターン行動不能になる場合もあります。
よほどの戦力差があるかサイコロの出目が良くないと、合戦が1ターンで終わることはまずなく、後から援軍を追加することもできるので、場合によってはかなり長引きます。
ただ、このゲームはターン制限があるので、あまりダラダラやっているとタイムオーバーになるため、この辺はかなりシビアですね。
ダメージを受けたり壊滅した部隊がいる場合は、軍備フェイズにその部隊の出身地に武将を置いて、戦力の回復を行えます。
このゲームの兵士のコマは全て出身地と結びつけられていて、ほとんどの領地は兵士を2つ生み出せます。
各領地にはその土地の兵士を最低1つ置いておかなければならないので、遠征に持って行ける兵士は領地1つあたり1部隊ということになりますね。
つまり「領土数=最大兵力」です。
回復も内部的にダイスを振って成否が判定され、失敗する場合もありますが、武将に生産の能力があれば成功率が高まります。
成否に関わらず実行した武将は行動終了になります。
また、新たに占領した土地の兵士も、同様の手順で回復させないと使うことはできません。
(その土地の豪族などを信服させないと使えないという解釈らしい)
領土が増えると、新しい武将も得ることが出来ますが、逆に領土を失うと、武将も1つ失うことになります。
この辺りは武将の知行(武将が大名から与えられた土地)を反映しているとのこと。

※兵士の回復・調達ができる土地には、緑色の●マークが付きます。 生産能力が1の武将を派遣してターンの最初に回復を実行しましょう。
ただし1つの国に置けるのは武将3つ、兵士6つまでですので、すでにいっぱいだと回復できません。
右の画像の左上にあるのは「本願寺」の枠。 一揆勢力である本願寺には兵士が勝手に生み出される特別枠があって、ここの兵士を自由に配置できます。
ゲームは規定ターン以内に勝利条件の達成を目指すものになっていて、単純に天下統一を目指すものではありません。
規定ターン数に条件を満たせなかった場合、ゲームを1年延長できますが、その期限も尽きた場合はゲーム終了です。
シナリオは現時点(2013/4)ではチュートリアルと、武田信玄の上洛を扱ったもの、武田勝頼が主人公のもの、そして親子二代の長編のものの4つ。
各シナリオに「武田と北条は敵対しているがある程度ダメージを与えると同盟する」「長島一向一揆が攻められると雑賀衆が援軍として現れる」などの史実を元にした特別ルールがあり、さらに「最初に上杉家は越中を、織田家は長島を優先する」というような固有の行動パターンも決められています。
ただ、最後のシナリオ以外は制限ターンは 10 ターンほどで、そんなに長時間続く訳ではありません。
信玄上洛のシナリオは 13 ターンで、1年延長しても 19 ターン。
ですからこの手のゲームとしては1プレイは短めですね。
そしてこの部分が、このゲームの難点でもあります。
制限ターンがかなり短いので、手軽にプレイできる反面、かなりの速攻プレイを要求され、サイコロ運にも大きく左右されます。
そして戦いが佳境に入って面白くなっている時でも、ターンオーバーになると強制的に中断されてしまいます。
このゲームはあくまで「ソリティア」(1人用のテーブルゲーム)ということでしょうか。
元がボードゲームですし、ソリティアとして考えれば、クリア条件が厳しいのも、パズル的な攻略が必要になるのも、運に左右されるのも頷けます。
ただ、もうスマホのアプリになっている訳ですから、十分な時間がある中で自由にプレイして、最終的には「天下統一」を目指したいものです。
最後のシナリオは 26 ターンあるので相応の長さですが、でも出来ればターン延長は1年ではなく、無期限にして欲しいのが本音ですね。
後はやっぱり、チュートリアルを除くと(現時点で)シナリオ3本というのは、この内容だと少なく感じるのは否めません。
他の勢力でプレイできるシナリオの追加を期待したいところです。

※基本的に各大名家は史実に沿った行動をし、特定の条件で歴史イベントが発生する場合もありますが、サイコロの出目によっては史実と大きく違う展開になる場合もあります。
特に織田家と長島本願寺の戦い、上杉家と北条家の戦いがどう転ぶかで、展開や有利不利が変わってきます。
右はタイムオーバーになった時の引き分け画面。 延長が1年しかないのが・・・
価格は冒頭でも述べたように 1600 円・・・
ハッキリ言って、スマホのアプリで、この内容で、この価格ではお勧めできませんね。
BGM は良いのですが、演出やインターフェイスを含む全体の完成度で見ても、1600 円の iOS アプリのレベルではありません。
ゲーム自体は万人向けではないものの、戦略シミュレーションゲームが好きな人なら楽しめると思います。
また、オリジナルのボードゲームや Windows 版は 5000 円前後の値段のようですから、それと比べると一応安くしているのだと思います。
ただ、どう考えても iPhone アプリの相場じゃないよなぁ。
とは言え、あまりにマニアックなその作りは「好きな人だけ買ってくれればいい」みたいな雰囲気も感じます。
このメーカーのソフトはそういったものばかりのようですから、最初からニッチ市場狙いで、そして自分たちが作りたいモノを作るというポリシーなのかもしれませんね。
私自身は、戦略 SLG 好きでボードゲーム好きで戦国好きですから、結構楽しめています。
・信玄上洛 (iTunes が起動します)
高齢者向け(?)の硬派な戦略シミュレーションゲームばかり公開しているメーカーで、元々マニアックな印象があったのですが、さらにアナログゲーム(戦略級ボードゲーム)のブランドを立ち上げ、ますますマニアックな方面に突っ走っていました。
そんなメーカーが発売した、戦国時代をテーマにしたソリティア(1人用)ボードゲームのスマホ版が、先日 iOS で公開されました。
「信玄上洛」(信玄上洛 ~武田の御旗を打ち立てよ~)です。
最初に言ってしまいますがこのゲーム、見た目も演出も地味で、インターフェイスも特に優れている訳ではないのに、値段は 1600 円という高額設定です。
信長の三段銃陣に突っ込む勝頼のような強気な値段ですね。
ただ、このご時世にウォーボードゲームを発売するという、ある意味で信念や気骨のあるメーカーです。
私的には好きなジャンルのゲームですし、色々な意味でうちぐらいしかレビューするところはないでしょうから、今回ご紹介したいと思います。

基本のゲームシステムは「戦略シミュレーションゲーム」ですが、前述したようにこのゲームは実際に販売されているボードゲームを元にしています。
ですから兵士や武将はボード上に置く「コマ」で表現されており、戦闘結果やイベントの発生判定にはサイコロが使われます。
1つのターンは「軍備」「移動」「合戦」の3つのフェイズで進行します。
と言っても軍備は失った兵力の回復を行うだけで、開発とか生産とかの要素はないので、やることは移動フェイズに武将と兵士のコマを動かして攻め込み、合戦フェイズでサイコロを振って戦いを進行させるのみです。
色々と細かいルールがあり、シンプルという訳ではないのですが、基本システムはそれほど複雑ではありません。
武将や兵士のコマは自国内ならどんなに離れていても好きな場所に動かせます。
ただし、それぞれの領地に1つは兵士を残しておかなければなりません。
また、敵国に進攻する場合は事前に隣のマスに移動しておく必要があります。
移動したコマは行動終了となります。
敵国に進攻してから「フェイズ終了」すると、互いのコマが攻撃し合う合戦シーンになります。
この時はサイコロが1つ振られ、攻撃する兵士の戦力値より低い目が出ると攻撃成功となります。
兵士には 槍兵、山岳兵(弓兵)、僧兵、騎馬、鉄砲 の5種類があるのですが、どれも戦力は2です。
与えるダメージも常に1で、1発食らったら戦力が1になり、もう一発食らうと壊滅です。
この辺はかなりシンプルな形になっていますね。
ただ、攻撃する順番は兵士の種類によって違い、基本的には攻撃側の方が早いのですが、守備側の山岳兵(弓兵)・僧兵・鉄砲は攻撃側より先に動けます。
また、鉄砲は防御側なら2回の攻撃が可能で、騎馬は勝利した後にそのまま隣の土地に進軍が可能です。
武将には「指揮」「戦術」「生産」の3つの能力値があって、戦術の分だけ兵士の戦力値が足されます。
例えば、戦術が2なら戦力2の兵士は戦力4になります。 よって、サイコロを振った時に攻撃が成功する確率は 4/6 になります。
また、指揮が2なら2つの兵士ユニットにその効果を与えられます。

※武将の戦術は最大でも上杉謙信の3で、ほとんどは1か2。 指揮も1~3で、生産は1か0のみ。
つまり武将の能力はそんなに細かい数値にはなっていません。
戦術は0の人もいて、そういう武将は基本的に回復作業専門です。
右は織田信長が長島一向一揆に進攻中の模様。 武将のグラフィックは意外と「今風」な感じで、なかなかカッコイイですね。
参加している全兵士の攻撃が終わったら、まだ戦力が残っていても合戦は一旦終了。
どちらかが全滅するまで戦う訳ではありません。
そのままにしていれば次のターンに続きが始まりますが、部隊を他の国に移動させれば撤退することもできます。
ただ、損害がある場合は「敗走判定」が行われ、場合によっては強制的に撤退+次のターン行動不能になる場合もあります。
よほどの戦力差があるかサイコロの出目が良くないと、合戦が1ターンで終わることはまずなく、後から援軍を追加することもできるので、場合によってはかなり長引きます。
ただ、このゲームはターン制限があるので、あまりダラダラやっているとタイムオーバーになるため、この辺はかなりシビアですね。
ダメージを受けたり壊滅した部隊がいる場合は、軍備フェイズにその部隊の出身地に武将を置いて、戦力の回復を行えます。
このゲームの兵士のコマは全て出身地と結びつけられていて、ほとんどの領地は兵士を2つ生み出せます。
各領地にはその土地の兵士を最低1つ置いておかなければならないので、遠征に持って行ける兵士は領地1つあたり1部隊ということになりますね。
つまり「領土数=最大兵力」です。
回復も内部的にダイスを振って成否が判定され、失敗する場合もありますが、武将に生産の能力があれば成功率が高まります。
成否に関わらず実行した武将は行動終了になります。
また、新たに占領した土地の兵士も、同様の手順で回復させないと使うことはできません。
(その土地の豪族などを信服させないと使えないという解釈らしい)
領土が増えると、新しい武将も得ることが出来ますが、逆に領土を失うと、武将も1つ失うことになります。
この辺りは武将の知行(武将が大名から与えられた土地)を反映しているとのこと。

※兵士の回復・調達ができる土地には、緑色の●マークが付きます。 生産能力が1の武将を派遣してターンの最初に回復を実行しましょう。
ただし1つの国に置けるのは武将3つ、兵士6つまでですので、すでにいっぱいだと回復できません。
右の画像の左上にあるのは「本願寺」の枠。 一揆勢力である本願寺には兵士が勝手に生み出される特別枠があって、ここの兵士を自由に配置できます。
ゲームは規定ターン以内に勝利条件の達成を目指すものになっていて、単純に天下統一を目指すものではありません。
規定ターン数に条件を満たせなかった場合、ゲームを1年延長できますが、その期限も尽きた場合はゲーム終了です。
シナリオは現時点(2013/4)ではチュートリアルと、武田信玄の上洛を扱ったもの、武田勝頼が主人公のもの、そして親子二代の長編のものの4つ。
各シナリオに「武田と北条は敵対しているがある程度ダメージを与えると同盟する」「長島一向一揆が攻められると雑賀衆が援軍として現れる」などの史実を元にした特別ルールがあり、さらに「最初に上杉家は越中を、織田家は長島を優先する」というような固有の行動パターンも決められています。
ただ、最後のシナリオ以外は制限ターンは 10 ターンほどで、そんなに長時間続く訳ではありません。
信玄上洛のシナリオは 13 ターンで、1年延長しても 19 ターン。
ですからこの手のゲームとしては1プレイは短めですね。
そしてこの部分が、このゲームの難点でもあります。
制限ターンがかなり短いので、手軽にプレイできる反面、かなりの速攻プレイを要求され、サイコロ運にも大きく左右されます。
そして戦いが佳境に入って面白くなっている時でも、ターンオーバーになると強制的に中断されてしまいます。
このゲームはあくまで「ソリティア」(1人用のテーブルゲーム)ということでしょうか。
元がボードゲームですし、ソリティアとして考えれば、クリア条件が厳しいのも、パズル的な攻略が必要になるのも、運に左右されるのも頷けます。
ただ、もうスマホのアプリになっている訳ですから、十分な時間がある中で自由にプレイして、最終的には「天下統一」を目指したいものです。
最後のシナリオは 26 ターンあるので相応の長さですが、でも出来ればターン延長は1年ではなく、無期限にして欲しいのが本音ですね。
後はやっぱり、チュートリアルを除くと(現時点で)シナリオ3本というのは、この内容だと少なく感じるのは否めません。
他の勢力でプレイできるシナリオの追加を期待したいところです。

※基本的に各大名家は史実に沿った行動をし、特定の条件で歴史イベントが発生する場合もありますが、サイコロの出目によっては史実と大きく違う展開になる場合もあります。
特に織田家と長島本願寺の戦い、上杉家と北条家の戦いがどう転ぶかで、展開や有利不利が変わってきます。
右はタイムオーバーになった時の引き分け画面。 延長が1年しかないのが・・・
価格は冒頭でも述べたように 1600 円・・・
ハッキリ言って、スマホのアプリで、この内容で、この価格ではお勧めできませんね。
BGM は良いのですが、演出やインターフェイスを含む全体の完成度で見ても、1600 円の iOS アプリのレベルではありません。
ゲーム自体は万人向けではないものの、戦略シミュレーションゲームが好きな人なら楽しめると思います。
また、オリジナルのボードゲームや Windows 版は 5000 円前後の値段のようですから、それと比べると一応安くしているのだと思います。
ただ、どう考えても iPhone アプリの相場じゃないよなぁ。
とは言え、あまりにマニアックなその作りは「好きな人だけ買ってくれればいい」みたいな雰囲気も感じます。
このメーカーのソフトはそういったものばかりのようですから、最初からニッチ市場狙いで、そして自分たちが作りたいモノを作るというポリシーなのかもしれませんね。
私自身は、戦略 SLG 好きでボードゲーム好きで戦国好きですから、結構楽しめています。
・信玄上洛 (iTunes が起動します)
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