1994 年にスーパーファミコンで発売された、ノベルゲームの金字塔「かまいたちの夜」。
スキー場のペンションで殺人事件に巻き込まれる、ホラーサスペンス・ノベルです。
恐怖を醸し出す優れた効果音とグラフィック、多彩に分岐するシナリオ、推理サスペンスとしての謎解き、そして豊富なおまけ要素を併せ持つ、有名な傑作サウンドノベルですね。

そんなかまいたちの夜が「電子書籍+サウンドノベル」という新しいスタイル「スマートサウンドノベル」として iOS でリメイクされました。
かまいたちの夜 Smart Sound Novel」です。

Android ではすでにオリジナルを移植したアプリが配信されていましたが、この Smart Sound Novel は新たに作り直された新バージョンです。
グラフィックには高解像度の写真が使われており、サウンドも高音質のアレンジバージョンに一新。
サムネイル形式の章選択なども導入されており、スマホに最適化された内容になっています。

シナリオはオリジナルのものを踏襲していますが、携帯電話がスマホになってたり、登場人物がネットをやってたり、主人公が大学生ではなく契約社員になってたり、一部が現代風の設定に修正されています
もちろんユニークなおまけ(?)シナリオも全編収録されています。

かまいたちの夜 Smart Sound Novel

従来のノベルゲーム、アドベンチャーゲームと大きく違う点は、インターフェイスが「電子書籍」のようになっていること。
文字が少しずつ現れるのではなく、1ページ分の文章が最初から全部表示されています
横書き+縦スクロールの形式で、画面を上下にスライドしながら自分のペースで読み進めていくことが出来ます。
ウェブページやブログのような感じで意外に読みやすく、サクサク進めていくことができますね

ページ最下部でさらにスクロールするとページがめくられます。
また、既読ページは画面上部の左右の端をタップする事で、いつでも戻ることが出来ます。
これら操作性もかなり良好で、読み返しも簡単に行えます。

もちろん「サウンドノベル」ですから、各場面に合わせた背景が表示され、BGM や効果音が鳴ります
電子書籍っぽいですが、その場に合わせた音が鳴るため、やはり単なる小説ではなく、ちゃんとゲームらしいと言えますね。

BGM はオリジナルのものを踏襲しているため、スーファミ版を知っている人だと懐かしいのですが、オーケストラバージョンなどにアレンジされていて、一部の BGM にはコーラスのようなものも付いています。
このゲームはそのサウンド演出もウリなので、イヤホンを付けてのプレイを推奨します。 恐さも倍増しますが。

「かまいたちの夜」の特徴は、ゲーム中に出てくる選択肢が非常に豊富なこと
ストーリー分岐も多いため、繰り返しプレイすることができ、しかもエンディングに到達する度に登場する選択が増えていきます。

かまいたちの夜のもう一つの特徴であったのは、登場人物がシルエットで描かれていたことですが、これは今回のバージョンでは廃止されました。
グラフィックは写真のみで、この点には批判もあるようですが、画像や効果音がリアルになっているおかげで臨場感が上がっているし、シルエットがなくても気になることはなかったですね。

かまいたちの夜 Smart Sound Novel
※こんな風に文章はまとめて表示される形に。 ダーっと読めるのでむしろ快適。
画像はほとんど写真になったので、モデルになったペンション「クヌルプ」のまんまっぽいですね。
右の画像は登場人物が「ネットを使いたい」と言ってるシーン。 もちろんオリジナルにはありませんでした。
オリジナルは 1994 年発売ですから、まだ Windows 95 さえ存在していなかった頃。 時代も変わりましたね・・・


機能面では、画面を二本指タップする事でメニューが開き、これまでの章に自由に移動できるのが特徴です。
任意に好きな場面まで戻ったり、また元へ返ることができ、さらにセーブ/ロードも可能です。

ページ移動も手軽に行えるため、これだと簡単に真相を究明できてしまいそうですが、初代かまいたちの夜は真相に辿り付けなかった人も多かったらしいので、これはこれで良いのかもしれません。
また、クリア後のおまけシナリオへの移動や選択肢チェックなども簡単に出来ます。

メニューの「設定」で文字や背景の明るさ、文字サイズを変更でき、フォントも明朝とゴシックが選択可能。
電子書籍としての機能も一通りそろっています。

かまいたちの夜 Smart Sound Novel
※左はシナリオ選択画面。 通過した章に自由に戻れるので、選択もやり直せますが、とりあえず最初は一通りラストまで進めてみましょう。
2度目以降のプレイでは、選んだことがある選択肢は暗く表示されます。
何気ない部分が伏線だったりヒントだったりするので、真相が解らない方は注意しながらやり直せばピンと来るかも・・・
右は本編を解決した後に行けるおまけシナリオの1つ「不思議のペンション編」に入る選択。
おまけシナリオも複数存在し、おまけとは言えないぐらいのボリュームがあります。


価格は 1000 円と iOS アプリとしては高額。
ただ、名作のブラッシュアップ版であり、ボリュームや内容は十分に価格に見合ったものがあると思います。

オリジナルをプレイしていた人にとっては懐かしくも新鮮なアプリとして、オリジナルを知らない人にとっては普通に新しいサウンドノベルとして、オススメできるアプリですね。
私もオリジナルの全シナリオをプレイしていた訳ではなかったため、今回初めてやった部分もあり、改めて楽しめています。
深夜に読むのがお勧めなのですが、片手で手軽に操作できるので、場所を選ばずプレイできるでしょう。

「かまいたちの夜」は続編や派生作品も登場していますが、今でも初代のシナリオがベストと言われています。
私的にも単なるホラーになってしまった続編より初代の方が好みです。
まさか iOS のかまいたちがこういう形になるとは思っていなかったので、嬉しい驚きですね

かまいたちの夜 Smart Sound Novel (iTunes が起動します)