ハリウッドのホラー SF アクション映画「エイリアン」と「プレデター」。
その両者が対決する設定のコミックや映画「エイリアンVSプレデター」は大きな人気となり、今では独自のシリーズとして発展しています。

そのエイリアンVSプレデターを題材にしたゲームが iPhone でも発売されています。
AVP: Evolution」です。
「AVP」というのは「Alien VS. Predator」の略ですね。

販売元はエイリアンとプレデターの供給元である映画会社 20 世紀フォックス(Fox Film)ですが、開発元は Muffin KnightGuerrilla Bob などを開発している Angry Mod Games。
これまでに公開したゲームとは似ても似つかない内容なので、ちょっと意外なのですが、実績のあるメーカーであることは確かです。

このゲーム、残虐な表現があるためここで紹介するかどうか迷っていて、そのままスルーの状態だったのですが、題材が題材だけに一定の人気を保ち続けているため、今回取り上げておこうと思います。

なお、日本で「エイリアン VS プレデター」というと、カプコンの横スクロールアクションゲームを思い浮かべる人が多いと思いますが、それとは何の関係もありません。 念のため。

AVP Evolution

3D のフィールドを移動しながら、次々出てくる敵を格闘攻撃で倒していくアクションゲームです。
ゲームのスタイルとしては「鬼武者」や「デビル・メイ・クライ」のようなタイプで、既存の iOS のゲームで言うとワイルドブラッドのようなタイプですね。

ステージは「プレデターステージ」と「エイリアンステージ」の双方があって、それぞれ異なる主人公を操作します
ずっと一方で戦う訳ではありません。
また、このゲームにおける人間は単なるやられ役です。

狩猟を文化とする宇宙の残虐な戦闘民族「プレデター」は、腕に付けたツメのような武器で攻撃を行います。
バランス型のキャラで、ステージが進むとプラズマガンや槍なども使用可能になり、さらにサーモグラフィーや光学迷彩などのハイテク電子装備も使用できます。

他の生物に幼虫を寄生させる不気味な宇宙生物「エイリアン」は、スピード型の特殊攻撃を持つキャラです。
連続攻撃が速く、幼虫を出して敵を襲わせるなどのユニークな攻撃が可能で、細いダクトを進んだり、壁に張り付いて進行するなど、一風変わったアクションを行えるのが特徴です。

なお、AVP シリーズのエイリアンは、プレデターが狩猟のために繁殖させている「獲物」ですが、このゲームでは人間が研究のために捕らえている様子もあります。

操作は画面左側をスライドして移動し、Aボタンで攻撃、連打すると1セットの攻撃を行います。
Bボタンは汎用のボタンで、立ち止まっている時に押しっぱなしにするとガード、スティックを傾けながら押すとその方向にジャンプ+飛びかかり攻撃、Aボタンでの攻撃中に押すと派生技を繰り出します。

この他、エイリアンなら幼虫を出すボタン、プレデターなら銃や装備を使うボタンなどが、ゲームの進行に合わせて追加されます。

AVP Evolution
※プレデターの電子装備「サーモグラフィー」。 これで赤外線センサーのトラップなどを感知できます。
トラップはプラズマガンで破壊可能で、ガンは押しっぱなしにすることで対象をロックオンできます。
他に暗視装置の「サーマルビジョン」なども利用でき、ステージが進むとスピア(槍)も使えるようになります。


AVP Evolution
※ヘリからの銃撃を走ってかわすエイリアン。 序盤ステージのエイリアンは幼虫の状態で、壁に張り付いて炎を避けながら進む場面があるなど、ちょっと変わったステージ構成になっています。
プレデターが終始戦闘メインなのに対し、エイリアンはアスレチック的ですね。


AVP Evolution
※最初は人間との戦いが続きますが、徐々にプレデターとエイリアンの戦いに移行していきます。
メインステージ以外に、経験値とお金(Honor)を稼ぐサブミッションがあって、そちらは狭いフィールドで敵と戦い続ける形になっています。


ゲームの大きな特徴は、残酷なフィニッシュ攻撃があることでしょう。
敵にある程度ダメージを与えるとドクロマークが付き、右下にドクロボタンが現れます。
このボタンを押すとその敵を掴み、表示される矢印の方向に指をスライドすると、首を切断したり、頭をかじったり、体を真っ二つにするなどの残酷な攻撃でトドメを刺します。

ただ、このゲームは血が出る表現がほとんどありません
よって海外の残虐ゲームにありがちな、血がドバー、床に血溜まりがビシャー、みたいなものは意外にありません。
しかしプレデターのフィニッシュ攻撃の中に、首を切断してそれを持ち上げ、首から脊髄が垂れ下がっていてブラブラ揺れるものがあり、これだけ特別に残酷表現がキツイ気がします

この首を切って脊髄が付いた頭を持ち上げるという表現は、アメリカで大ヒットした残酷格闘ゲーム「モータルコンバット」で広まったもので、そのためアメリカではそれなりに有名で、モータルコンバットのパロディーなのかもしれません。
ただ、アメリカ以外ではちょっとどうかと思う表現ですね・・・ 題材的に残酷な表現があるのは当たり前ではあるのですが・・・

※この表現は元々はプレデターの映画第一作目で登場したものだったようです。
ですからこちらの方が元祖だったようですね。


ゲーム的には、この残酷フィニッシュを決めると体力が回復するため、非常に重要です。
出てくる敵の全てでフィニッシュ攻撃を決めていけば、体力は全然減りません。
攻撃しすぎてフィニッシュを出す前に倒してしまうことも多いですが、この「フィニッシュで回復」があるために、難易度はこの手のアクションゲームとしては低めです

ステージをクリアすると、結果に応じて Honor(名声)ポイントが貰えます。
これは装備を購入するための通貨になっていて、これでプレデターなら装備、エイリアンなら体のパーツを購入できます。
装備やパーツを買えば見た目も変化し、攻撃の種類も増えていきます。

AVP Evolution
※腕に付けたツメで首を斬り落とそうとするプレデター。 この後モータルコンバット的な頭+脊髄シーンに・・・
ただ、それ以外の残酷アクションは血の表現が一切ないために結構ライト。
この辺は若干のアンバランスさも感じます・・・


AVP Evolution
※こちらはエイリアンの残酷アクション、無理やり幼虫寄生アタック。
どんなフィニッシュアクションでも体力は1マス分回復するので、常に狙っていくのがゲームのコツです。


AVP Evolution
※装備購入画面。 エイリアンとプレデターにはそれぞれ個別のレベルと Honor があります。
通貨である Honor Point は課金購入も出来るのですが、レベルが高くならないと上位の装備は買えません。
なお、プレデターでスピアを購入した後は、右上に表示されるボタンで装備変更を行えます。


画像を見て解るようにグラフィックはかなり細かく書き込まれていて、(iPhone 5 や iPad 3 なら)動作も滑らか、技術的なレベルはかなり高いです
背景はやや単調で、同じような景色が続きますが、エイリアンが仲間を逃がしたり、変わったトラップや光学迷彩の敵が出るなど、展開は豊富ですね。

また日本人にとって嬉しいのは、オプションで言語を「日本語」に出来ること。
翻訳にはおかしい点も見られますが、そんなに解り辛い翻訳ではなく、ストーリーも日本語で読むことが出来ます。

難点は、3D の格闘アクションゲームとして、ややイマイチ感が否めないこと・・・
大きな欠点がある訳ではないのですが、細かい難点が多く、明らかにこのタイプのゲームとしては「爽快感」に劣ります。

まず、敵の数が少ない。 メインステージは後半になるまで、敵が同時に2体しか出現しません。
敵1体の耐久力は高めですが、多くのザコをバシバシ倒すような感じのゲーム性ではなく、アクションもやや地味です

また連続攻撃に間が空くことがあり、連続技が途中で止まったり、特殊技に派生させ辛い場合が多いです。
さらに敵の攻撃で頻繁にのけぞるため、連続技が中断されてしまうことも多いです。
敵に攻撃を当てた時のヒット感が少なく、バシバシと攻撃を決める気持ちよさも乏しいです。

これらが相まって、決して悪い訳ではないのですが、同タイプのゲームと比べるとアクション面で見劣りしますね。

サブミッションでは同時に4体以上の敵が出現し、難易度も高いので、メインミッションが簡単で敵も少ないことについては、遊びやすさを優先してワザとこうしているのだと思いますが、全体的にライトユーザー向けの印象が強いです。

レベルを上げて Honor も稼ぎ、強力な装備を買うと、技が増えて連続攻撃のスピードも上がり、後半戦やサブミッションで格闘アクションらしい戦いが出来るようになって来るのですが、そこまで時間がかかり過ぎな気がします。
前半から利用できる装備がもっと欲しかったところですね。

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



価格は 450 円。 クオリティーを考えると高くない値段だと思います。
(4/30 現在はセールで 250 円になっています)

私的にはゲーマーであることもあってか、この難易度やゲーム性では、決して悪くはないんだけど、今一歩な感じが否めません。
ただ、同じ 3D 格闘アクションの ワイルドブラッド は難易度がゲーマー寄りであるがために、ライトユーザーにはやや難しいゲームだったので、誰でも楽しめる難度のアクションゲームとして考えると、これはこれでも良いのかな、という気もします。

非常に有名な題材ですから、幅広い層がプレイすることが考えられるため、それも加味してのゲームバランスなのかもしれません。

残酷な表現が多いこともあり、オススメかどうかは微妙なところです
ただ、ハイクオリティーな 3D グラフィックのゲームであることは間違いありません。

AVP: Evolution (iTunes が起動します)


【 おまけ 】

以下の場面はちょっと解りにくいです。 迂回路があるので暗視モードにして探してみましょう。

avp