「欧陸戦争」や「世界の覇者」シリーズで有名な、硬派なストラテジーゲーム(戦略/戦術シミュレーションゲーム)を開発している中国のメーカー Easy Tech。
そこが第二次世界大戦を舞台にした、新しい大戦略型の戦術シミュレーションゲームを公開しています。
将軍の栄光」です。

日本で第二次世界大戦がテーマの戦術 SLG と言えば、セガの「アドバンスド大戦略」シリーズが知られていますが、このゲームはそれを簡略化し、欧陸戦争シリーズのエッセンスを少し加えつつ、スマホ向きにまとめたもの、という感じですね。

今作は 欧陸戦争3世界の覇者2 のような RISK(Lux)をベースとした SLG とは全く違いますのでご注意下さい。
これで Easy Tech のゲームは、RISK 型、大戦略型、RTS 型(要塞包囲)の三大ストラテジーが全部そろったという事になるでしょうか。

将軍の栄光

大戦略やファミコンウォーズのようなターン制の戦術シミュレーションゲームであり、マスはヘックス(六角形)で区切られています。
ユニット(コマ)をタップして移動力の分だけ動かし、敵に接近して攻撃を行い、都市や工場を占領していきます。

攻撃しても戦闘シーンに切り替わる事はなく、マップ画面のままで爆発が発生し、耐久力が増減します。
よって戦闘はややあっさりしていますが、そのぶんゲームはサクサク進行しますね。

大戦略やファミコンウォーズのような日本で一般的な戦術 SLG とは、以下の点が異なっています

・ユニットは耐久力制
・索敵ルール(ユニットの視界)がある
・ZOC(敵に接すると移動が妨害されるルール)はない
・航空ユニットはない
・空港から一定範囲内の敵を爆撃可能(資金が必要)
・都市や工場は歩兵でなくても占領できる
・歩兵は工兵も兼ねていて、塹壕や要塞を設置できる
・移動だけして、攻撃は後でするといった行動が可能
・敵を前後から挟むと士気ダウン。包囲するともっとダウン
・戦車は敵にトドメを刺すと再攻撃可能
・1ターンに1回、資金を使ってユニットを1つ回復できる
・ユニットに将軍を付加してパワーアップ出来る

どのステージも最初から、ある程度のユニットが用意されており、生産することも可能ですが、初期ユニットをうまく使って進攻するのが基本となります

歩兵でなくても都市を占領できるので、歩兵の利点は「山や森でも移動力が下がらない」「塹壕や要塞を設置できる」という点になりますが、塹壕や要塞の設置には費用がかかるので、作りまくることは出来ません。

攻略する上で重要なのは「移動と攻撃を別に行える」「敵を挟むと士気ダウン」の2つ
例えば、移動力のある装甲車や装甲歩兵(自動車化歩兵)を使って敵の背後に回り、相手の士気をまず下げて、それから周囲のユニットで総攻撃を行うといったことが可能です。
また、戦車は敵を倒すと再攻撃が可能なので、これを上手く使えば1ターンに複数回の攻撃を行えます。
これらが他の大戦略系にはない、このゲーム特有の戦略と面白さを生み出しています

ZOC(敵に接すると移動できなくなるルール)は、見えている敵にはありません。
しかし見えていない敵(索敵範囲外の敵)には存在し、見てない場所に突っ込んで近くに敵がいると、そこで止まってしまいます。

将軍の栄光
※こんな風に敵を前後から挟むことで「士気ダウン」が発生し、その敵の攻撃力と防御力が下がります。
また、敵にトドメを刺した部隊には「士気アップ」が発生して一時的に能力が上がる場合もあります。
移動してすぐ攻撃しなくても良いので、戦車で背後を取って敵の士気を下げる → その敵を遠距離砲撃して弱める → それからさっきの戦車で攻撃 という手順も可能です。


将軍の栄光
※作戦を説明するマンシュタイン将軍。 他の将軍の部隊はコンピューターが担当し、自分が操作するのは自分の指揮下にあるユニットのみです。
戦車は敵にトドメを刺すと再攻撃できますが、ルールがちょっと解り辛く、「再移動」はできません。
移動 → トドメ攻撃 → 再移動は無理で、トドメ攻撃 → 移動 → 再攻撃 は可能です。


将軍の栄光
※歩兵は様々な施設をマス上に建築できます。 この辺は欧陸戦争や世界の覇者っぽいですね。
ただ、相応の資金と工業力を使うので、収入が少ないうちに建築していると資金を圧迫します。
バンカーやトレンチ(塹壕)とかの防御施設は効果を感じにくいのも難点。
1ターンに1回、資金 80 で回復を行えるので、その分のお金は常に確保するようにしましょう。


ステージをクリアすると、次のステージがアンロックされると共に戦果に応じた「勲章」を獲得できます。
勲章はタイトルメニューの「ヘッドクォーター」の画面で、プレイヤーである「指揮官」のパワーアップや、新しい将軍の雇用に使えます

将軍が付加されているユニットは、将軍の能力に応じて戦力がアップするのですが、この新将軍の雇用がこのゲームの難点です・・・
必要な勲章が多すぎるのです。

1ステージで得られる勲章は大勝利しても 50 程度、通常勝利だと 10~30 程度です。
にも関わらず、新将軍の雇用には高ランクだと 2000 前後、低ランクの将軍でも 500 前後かかります。
しかもクリア済みのステージを再クリアしても、得られる勲章はわずかです。
勲章は課金購入も出来るのですが、これはもう課金前提と言って良いですね。
しかも高ランクの将軍を雇うには数千円の課金に相当する勲章が必要になります。

将軍の要素もこのゲームの楽しみだと思うので、出来ればもう少し利用しやすい値段になっていた方が、ゲームをより楽しめ、課金する人も増えると思うのですが・・・
現状、おいそれと手が出せるようなものにはなっていません。
選んだ将軍が必ず手に入るため、ガチャよりはマシかもしれませんが・・・

ただ、プレイヤー指揮官のレベルアップはステージクリアで得られる勲章でもやっていけますし、それ以外の将軍はあくまで付加要素です。
基本的には「1部隊に将軍1人」という形であり、そこにさらに将軍を加えるのは本来の仕様ではないというか、追加分であって、それがなくてもゲームは普通に進められます。

後半ステージの難易度はかなり高く、ターン制限も厳しいので、追加の将軍がいないと難しく感じますが、この手のゲームは高難度なのが普通ですしね。
でも、もうちょっと遊びやすくして欲しかったというか、ステージを繰り返して勲章を稼げたり、無課金でも利用できる将軍を加えて欲しかったのも本音です・・・

将軍の栄光
※指揮官の仕様は 欧陸対戦3 や 世界の覇者2 を踏襲しています。 まずは階級を上げましょう。
左下の○○軍団とかのレベルを上げると、生産したユニットのレベルが最初から高い状態になります。
ただ、生産ユニットより初期ユニットが主力のゲームなので、そちらは後回しで構いません。
追加の将軍に関しては、残念ながら「課金要素」(しかも相応に高額)だと割り切った方が良いですね。


将軍の栄光
※シナリオモードの他に、好きな作戦を好きな部隊でプレイできる「軍団モード」もあります。
その中にはヨーロッパ全域を舞台とする広大なシナリオも。
通常シナリオは枢軸と連合に分かれており、基本的に史実に沿っていますが、架空戦記のステージも含まれています。


価格は 250 円。 前述したように課金要素がありますが、必須ではありません。
メッセージも日本語化されており、やや翻訳におかしい点もありますが、普通に読める文章です。

難易度的にも内容的にも玄人好みのゲームで、しかも欧陸戦争シリーズとは大きく違うため、欧陸戦争が好きな方が、こちらも楽しめるとは限りません。
しかしこの手のストラテジーゲームが好きな方なら見逃せない作品ですし、うまい具合に欧陸戦争らしさも入っていると思います。

シナリオは現在「西部戦線」と「北アフリカ戦線」だけですが、西部戦線だけでも枢軸と連合を合わせて十分なステージ数で、後半ステージは1つクリアするのに1時間以上かかったりするので、ボリュームはかなりあります

私はかなりヘビーな「アドバンスド大戦略」シリーズのプレイヤーで、コレ とか コレ とかのサイトも作ってたりするので、その視点から見ると「兵器の種類がない」(戦車は戦車でひとまとめ)、ユニットの長期的な育成や開発の要素がない、などの点で物足りなさも感じますが・・・
ただ、これはこれで解りやすいし、サクサク感もあり、複雑にすりゃ良いってものでもないので、スマホのゲームである事を考えるとこんなものかなとも思います。

大戦略タイプの戦術 SLG が好きな方には、間違いなくオススメです。

将軍の栄光 (iTunes が起動します)