海外で人気の「基本無料+課金型」ゲームの特集、2回目。
今回はいわゆる「農園ゲーム」、作物を作って農場を拡大していく開発型ソーシャルゲームをご紹介したいと思います。
Hay Day」です。

※現在は日本語化され、アプリ名も「ヘイ・デイ」になっています。

欧米各国で高い人気を保っているゲームで、特にヨーロッパの国々で無料アプリランキングの上位をキープし続けています。
世界的には大定番のアプリと言って良いでしょう。

開発したのは Supercell というフィンランドのメーカーで、先日ご紹介した Clash of Clans もこのメーカーの作品です。
少人数の新興メーカーですが、「ゲームを作るには規模は小さい方が良い」というポリシーを持っている会社で、家庭用ゲーム機での開発経験があるメンバーで構成された、少数精鋭のメーカーです。
発売した2作(Clash of Clans と Hay Day)がどちらも大ヒットしているため、一躍注目を浴びています。

Hay Day

いわゆる Zynga 型、スマーフビレッジ 型の農園ゲームです。
畑を設置し、作物を植えて、しばらく時間が経つと成長しているので、タップで刈り取って収穫物を得ます。
収穫したらまた作物を植えて・・・ この繰り返しですね。

収穫時には「鎌」をドラッグし、作物をなぞって刈り取ります。
その際には刈り取られた作物が飛んでいく演出があり、なめこ栽培キット のような気持ちよさがあります。

他のソーシャル農園ゲームと違うのは、「加工」の要素もあること
例えば、麦とトウモロコシを収穫したら、それを製粉機で鳥のエサにしたり、パン焼き釜でパンやコーンブレッドにすることが出来ます。

農作物だけでなく畜産の要素もあり、鶏小屋でニワトリを飼ってタマゴを収穫したり、牛を飼って牛乳を採ることもできます。
ニワトリや牛も収穫後はエサを与える必要があり、農作物の「収穫 → 種まき」と要領は同じですが、エサは専用のものを用意する必要があります。

さらに収穫物はすぐ換金される訳ではなく、出荷が必要になります
農場の掲示板に注文書が張り出されていて、そこに書かれているものを集めて出荷ボタンを押すことで、トラックに商品が積み込まれ、お金と経験値になります。

ソーシャルの農園ゲームと言うよりは、「牧場物語」などの農場経営ゲームをソーシャル化した感じですね。

Hay Day
※牛をなぞって牛乳を回収中。 この辺の「なぞって回収」はなめこ的で良いです。
農作物の場合、収穫後に同じ作物を苗として植える必要があるので、収穫物を全部使ってしまうと植える分がなくなるので注意して下さい。
ブタからは肉が取れますが、肉を取ってもブタはいなくなる訳ではなく、謎のダイエットマシン(?)で肉だけ吸い取って、ブタはそのまま残ります。


Hay Day
※こちらはエサを生産中。 チーズやベーコンなどの畜産関係の商品を作るには、農作物を収穫→それでエサを作成→家畜にエサをあげて肉や牛乳を収穫→その材料で商品を生産、という手順が必要です。
手間はかかりますが、そうしたものほど多くのお金と経験値を得られます。


作れるものは農場のレベルが上がることで徐々に増えていきます。
農作物の種類が増え、牛や豚、羊の放牧場を建てられるようになり、乳製品の工場やバーベキューグリルなどを使えるようになります。

施設の種類はかなり多く、さらにゲームを進める過程でノコギリや斧などが手に入り、これで周囲の森を切り開いて農地を拡大していくことも出来ます

開発ゲームとして長期的に楽しめるものになっており、先日紹介した Clash of Clans が戦闘メインで施設の種類も最低限だったのとは対照的です。
同社の2つのゲームで、差別化を図っているのでしょうね。

収穫物や加工品はサイロや納屋に収められますが、保管数に上限があります
この上限はクギやトンカチなどの工具を集めれば拡張できますが、なかなか手に入りません。
課金通貨である宝石を使えばすぐ手に入るので、これが課金要素と言えます

ただ、やってみれば解りますが、このゲームはほとんど課金の必要がありません
サイロや納屋が小さいとすぐ上限に達してしまいますが、加工や出荷をすれば数は減らせますし、最初の拡張は無課金でも行えます。
2度目の拡張は課金したくなりますが、必須という訳ではなく、170 円の課金で必要な宝石は調達できます。
3度目の拡張は当面必要ありません。

宝石は加工施設の拡張や時間の短縮などにも使えますが、ゲームの進行でも少しずつ増えますし、宝石でないと建てられない施設もごく一部の装飾品以外ありません

Hay Day
※森を切り開いたり納屋を拡張するための工具は、収穫時にたまに得られますが、上の画像のような赤い箱(ミステリーボックス)の中からも得られます。
箱は敷地内のどこかに出現するので、たまに探してみましょう。 他プレイヤーの村で見つかる事もあります。
ただし、短時間に連続で開けようとすると宝石が必要になるのでご注意を。


Hay Day
※出荷用のトラックとお客さん。 注文書は破棄すれば一定時間で入れ替わるので、達成困難なものや数量が厳しいものは捨てた方が良いでしょう。
やって来たお客さんに収穫品を売ることでもお金と経験値は得られます。


このゲームは同じ「ソーシャルゲーム」でも、日本のものとはかなり違うのを感じます。

欧米では大定番、日本ではそれほどでもない スマーフビレッジ 型という時点でまず違いがある訳ですが、他にも加工と出荷、エサやりなどの要素があることが、極力シンプルにしようとしている日本のソーシャルゲームとは異なるように感じます

ただボタンを押すだけで進んでいく「ポチポチゲー」が多く、農園ゲームも出来るだけ手間を省いている日本のものとは違い、こちらは若干の「作業」をあえて加えています。
そこまでゲーム性が高いものではありませんが、たとえソーシャルゲームでも、こうした手間やゲーム性を面倒と思わないユーザーが中心なのが伺えます

また課金アピールが少なく、課金しなくても長期的に楽しめるものになっているのも特徴でしょう。
これは現在欧米でヒットしている「本体無料+課金型」のゲームに総じて言えます。

ただスマーフビレッジの頃は、海外のソーシャルゲームも結構な「課金ゲー」でした。
課金アピールが相応にあり、課金通貨でないと得られない施設や仕様もてんこ盛りでした。
しかしそれでは長期的に高い評価と売上は得られないという考えに、徐々に変わっていったのだと思われます

日本でもガンホーが パズドラケリ姫 で成功し、課金アピールを減らして長期運営によって収益をあげる「ポカポカ運営」を提唱してから流れが変わってきていますが、それ以前はグリーとモバゲーが課金アピールと射倖心を煽ることを最優先するよう指導し、それがセミナーなどでも提唱されていました。

海外ではそうしたものがなかったので、自然とポカポカ運営的なスタイルに変化していったのでしょうね。
Angry Birds が薄利多売で大成功していることも、欧米では影響していると思われます。
そんな市場でガチャ1回 300 円のゲームが流行るとか、とても思えないですよねぇ。

以下は Youtube で公開されているゲームチュートリアルの動画です。



価格はすでに述べたように、本体無料で、追加課金のある形式です。
課金はこの手のゲームとしてはやや安めの 170 円からで、ゲームの進行に必須となる課金はない印象。
よって手軽に遊べます。

やや難点なのは、他プレイヤーと商品を売買できる「売店」の要素があるのですが、あまり機能していないこと。
自分で作れるものは買ってもしょうがないし、貴重品は他の人にとっても貴重品ですからね。
また、Facebook との連携を求められますが、日本では Facebook は今イチなので活用し辛いです。
一応 Game Center のフレンドも訪問先にできるし、知人とのアイテム交換には使えると思いますが。

しょせんはソーシャルの農園ゲームですから、ゲーマーが楽しむようなアプリではありません。
しかし農園ゲームが嫌いでない人には、十分にオススメできるアプリです

私的には、課金専用の施設がほとんどないというだけで、「お金を払わないと絶対手に入らないものがある」というストレスがないため、遊びやすく感じます。
「頑張れば最終的に全ての施設が整う」という、ゲームでは本来当たり前のゴールに、当たり前に向かっていくことが出来ますからね。

Hay Day (iTunes が起動します)