ゲームセンターの対戦格闘ゲーム、及び SNK のゲーム機 NEO GEO が絶頂期だった 1993 年。
「斬り合い」をテーマにした、和風のダークファンタジーな世界観を持つ、異色の対戦格闘ゲームが登場しました。
「サムライスピリッツ」(SAMURAI SPIRITS)です。 通称サムスピ。 海外名は SAMURAI SHODOWN。
そのシリーズ2作目、1994 年に公開された続編が iOS に移植されました。
「真SAMURAI SPIRITS」(SAMURAI SHODOWN II)です。
開発を担当したのはレトロゲームの移植を専門に行い、昨今は METAL SLUG シリーズや雷電シリーズの移植で注目されていたフランスのメーカー DotEmu。
このサムライスピリッツは海外でも人気で、特にフランスでの人気が高かったので、ネオジオからの移植を行っている DotEmu がこのゲームを扱うのは必然だった言えるでしょう。
販売は SNK の知的財産権を引き継いでいる SNK プレイモアです。
ただ先に言っておきますが、タッチパネルでの操作性は最悪とまでは言わないけど、良いとも言えません。
ストIV や KOF クラスの操作性は期待しないで下さい。
レバーと6つのボタンで戦う対戦格闘ゲームですが、ネオジオはボタンが4つしかなかったので、強攻撃はボタン同時押しになっています。
それではやり辛いので、iOS 版は「同時押しボタン」が別に用意されていますが、ゲーム開始時の設定で「ボタン数」を 6 にしないと同時押しボタンが出てこないので注意して下さい。
他に iPhone 用の格闘ゲームでおなじみの、必殺技が簡単に出せる SP ボタンも用意されています。
サムライスピリッツは操作は他の格闘ゲームと似ていますが、プレイスタイルはかなり異なります。
まず、「強斬り」がすごく強いです。
攻撃は弱・中・強の「斬り」と「蹴り」があるのですが、強斬りの破壊力は通常攻撃でありながら、キャラによっては1発で体力を 1/3 近く奪います。
ジャンプ強斬り→立ち強斬りが連続で決まると、それだけで体力が半分以上減ったりします。
一方、「蹴り」はかなり弱く、判定が強い技もありますが、普段はあまり使いません。
キャラによっては無視してもいいぐらいで、よって6ボタンのゲームではありますが、実際に使うボタンは少なめだったりします。
また、必殺技が他のゲームより弱いのも特徴です。
便利な技もありますが、スキの大きな技が多く、大斬り一発でバッサリやられるこのゲームでは、不用意に必殺技を出して空振るのは致命的です。
攻撃力も控えめで、スト2の波動拳のように連発するものではありません。
よって戦い方は、弱や中の攻撃で相手を牽制しつつ、いかに強斬りを入れるかという、一撃勝負な形になります。
このシステムのため逆転が起こることも多く、斬り合いらしい緊張感のある展開が続きますね。
また強斬り重視で連続攻撃はそれほど重要ではないので、難しい連続技を習得しなくても楽しめるのも良い点です。
もう1つの特徴的なシステムは「怒ゲージ」。
攻撃を受けるとこれが蓄積されていき、最大になるとしばらく攻撃力がアップします。
よくマンガとかで怒ゲージの表現が出て来ますが、それはこのゲームが元ネタですね。
※覇王丸の怒りゲージ MAX 大斬りが炸裂! カウンターならこれ一発で半分ぐらい減ります。
このゲームは大斬りが必殺技で、必殺技は特殊技ですね。
怒り MAX 時は超必殺技に相当する「武器破壊技」を出すこともでき、iOS 版は体力ゲージタップで簡単に繰り出すことが出来ます。
ただし出すと怒り MAX はそこで終わります。
※ボタンは「キー設定」で自由に配置することが可能。 大きさも調整できます。
上の画面は斬りと蹴りをスト2風に並べていますが、蹴りはあまり使いません。
ゲーム中はボタンがほとんど見えないぐらい透明になるのですが、これはちょっと解り辛いので、出来ればボタンの透明度は設定させて欲しかったですね・・・
格闘ゲームには珍しく、ストーリーや世界観が重視されていることも、このゲームの特徴でしょう。
オープニングやステージの合間には物語の流れを語るデモが挿入されます。
背景も真っ赤な海に鳥居が並ぶ海岸や、地蔵が立つ荒れ果てた古戦場など、薄暗くて退廃的な和風の景色が多く、戦闘前に眼の赤いカラスが飛び交うなど、凝った演出もあります。
この辺の古い黒澤映画的な雰囲気も、海外でウケた理由のようですね。
※枯れすすきの荒野、血のように赤い空、山の上の満月。
花札の「ぼうず」を模していると同時に、他のゲームではあまり見られない和風ダークな雰囲気が漂います。
さりげなく月に NEO GEO とか書いてるけど。
※ステージクリア後には遺体搬送のシーンが。 明確な死亡表現がある格闘ゲームは珍しいですね。
初代サムスピにあった体が真っ二つになる残虐演出は CPU 戦では起こらず、対戦時のみ発生します。
ただ、暗いシーンばかりじゃなく、コミカルな演出やキャラも多いです。 特に審判役の黒子は色々ユニーク。
後ろを走っている飛脚は体力回復の食べ物や爆弾を落とします。
戦闘中にじっとしていると、待っている側に爆弾が、攻めている側に食べ物が落とされ、「待ち戦法」を防止する役割があります。
ゲーム自体は、オリジナルの真サムスピがほぼそのまま移植されています。
よってオリジナルのファンの方なら十分楽しめる出来栄えです。
って言うかぶっちゃけ、ほぼエミュレーターでしょう。
ただ、問題は操作性。
悪いという程ではありませんが、やはりタッチパネルではやり辛いのは否めず、操作ミスが起こりがちで、反応もどうしても鈍くなります。
カプコンの iOS 版 ストIV Volt はプレイヤーの操作の予測や先読みなども行って調整していたそうですが、さすがにそのレベルに慣れてしまうと、このゲームは操作しにくく感じますね。
元々 DotEmu のゲームは操作に難があるものが多く、メタルスラッグの時は回を重ねるごとに良くなっていったのですが、まだ格ゲーに手を出すレベルではなかったかな、という気もしてしまいます。
後はやっぱり、ストIV Volt や KOF 2012 などに比べると・・・ 古くさいのは否めません。
レトロゲームの移植ですから当たり前の話なのですが、基本的には「経験者向け」のアプリですね。
以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。
価格は 800 円。 iOS アプリとしては高めですが、ファン向けの価格でしょう。
(昨今は 400 円に値下げされているようです)
メタルスラッグが 350 円だった事を考えても高く感じますが、追加課金のない買い切りゲームですし、ファンなら出せない額ではない、といったところでしょうか。
通信対戦は Bluetooth のみで、オンライン対戦はありません。
上記のトレーラーにも出て来ますが、このゲームは Android 版も発売されていて、そちらは物理コントローラーに対応しています。
iPhone も iOS7 で物理コントローラーが登場する予定なので、それが出れば操作性の問題はなくなるはず。
それを見越して買っておくのも良いかもしれません。
真サムスピは、サムライスピリッツが一番サムスピらしかった頃のゲームです。
私的にもゲーセンでかなりやったゲームなので、移植されたことは嬉しいですね。
対戦できなくても、各キャラクターごとに異なるエンディングが用意されており、コンティニューは無限ですが COM 戦の難易度は高いため、全キャラで攻略していく楽しみがあります。
格闘ゲーム好きの方にはお勧めできますが、でもセール待ちしたいところかなぁ・・・
・真SAMURAI SPIRITS (iTunes が起動します)
コメント一覧 (6)
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- 2013/06/29 19:27
- 操作性以上に格ゲーでオン対戦未対応は致命的だと思う。
物語がこっててもやはり格ゲーは対人戦に限る。
比較的移植が少ない真サムをセレクトしたのは評価。
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- 2013/06/29 22:35
- この会社はエミュレータ専門だからオン対戦となると専門外なんじゃないかな。
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- 2013/06/30 13:48
- >>隠しキャラクターは存在するのですか?
プレイヤーが使える隠しキャラは存在しないですね。
ただキャラは 15 人もいるので、十分な数ではあると思います。
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- 2013/06/30 21:37
- 家庭用(ネオジオCD)だと隠しで黒子が使えましたね。
移植版限定みたいですから、このアプリ版では使えないのかな。
ストーリーモードでも条件満たせば戦えましたけど、複雑で達成したことがないです・・・。
あと、ミツキ強すぎ。
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- 2013/07/06 21:39
- バックステップつばめ返しが出来ぬ…
>>家庭用(ネオジオCD)だと隠しで黒子が使えましたね。
NEOGEOでも出来ますよ?
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サムライスピリッツは名前程度しかご存知ないのですが、格ゲーの定番ではありますが、隠しキャラクターは存在するのですか?