寂寥感のあるモノトーンのグラフィックで話題になり、Apple によるアプリの表彰で Design Award(デザイン賞)を受賞した、雰囲気重視のワンキーアクションゲーム。
それが「BADLAND」です。

先に結論を言ってしまいますと、モノトーンのグラフィックは非常に良いのですが、最近はこうした「黒いキャラクターのゲーム」は割と多いので斬新な感じは受けず、ゲームとしても良くあるスタイルです。
ワンキーゲーム(ボタン1つのゲーム)なのでタッチパネルでも遊びやすく、間違いなくスマホ向けの良作ではあるんだけど、そこまで絶賛されるほどでは・・・ といった感じも否めませんね。
全体としては「雰囲気ゲー」であり、それを楽しむのがメインという印象です。

ただ、非常にシンプルなシステム、センスの良いグラフィック、雰囲気重視の内容は、いかにも「Apple が評価しそうなゲーム」であり、そういう意味では iTunes でやたら推されているのは頷けます。

先日ご紹介した LIMBO と同じく、鬱な雰囲気のゲームであり、キャラがノコギリでバラバラになるようなシーンもあるので、残酷というほどではありませんが、子供向けではないのでご注意下さい。

BADLAND

操作は画面をタップするだけ
主人公の謎の生物には羽が付いていて、画面を押しっぱなしにすると上昇し、離すと下降します。

画面は強制的に横スクロールしていき、画面外に押し出されたり、危険なトラップに触れてしまわないよう、障害物をかわしながら進んでいきます。
ステージクリア制のゲームで、ゴールすれば次のステージへ。

ステージ内には仲間(クローン)が増えるアイテムがあり、これを取ると主人公が増殖します
まとめて 10 体ぐらいに大増殖するアイテムもあり、大群で移動できるのがユニークですが、大抵はステージのしかけでどんどん潰されていき、数体しか残りません。
ただ、1体でもゴールできればクリアになるし、仲間を犠牲にしながら進んでいく様子がゲームの寂寥とした雰囲気をさらに高めています

他にもサイズ変化やスピードアップ、回転などのユニークなアイテムが存在します。
大きくなれば障害物を体当たりで破壊できるようになり、小さくなれば狭いすき間に入れます
回転アイテムを取れば地面や天井をコロコロ転がって移動できます。

ただ、アイテムはほぼ全て取る必要があり、使い方を考えるようなパズル性はあまりありません。
あくまでアクションゲームで、そこは無理に難しくしていない印象です。

BADLAND
※アイテムで巨大化中。 物体の動きは物理シミュレートされていて、巨大化すれば質量も増え、ぶつかって壁を壊したり出来ます。
ただし主人公は巨大化してもモロいので、岩の下敷きになったりしたら、あっさり潰れてしまいます。


BADLAND
※こちらは縮小&増殖して、坂道を集団でコロコロ転がって移動中。
でも何体か回転ノコギリでバラバラにされてますね・・・ しかし脱落した仲間に構っているヒマはありません。


序盤の難易度はそれほど高くなく、サクサクと進行できます。
というか、最初のうちはあまりにも簡単すぎて、ゲームとして面白くありません。

しかしある程度進むと難しくなってきて、巨大化と縮小化を駆使したり、大量に増殖した仲間を二手に分けないとクリア出来ないようなシーンも出てきます。
中盤からは何度もリトライを繰り返さないと突破できない、洋ゲーらしい高難度の場面も多く出てくるようになります。
ただ、リトライのポイントはかなり小まめに用意されており、マゾゲーというほど難しくはない印象で、ゲームとしてはこの辺りから面白くなってくる感じですね。

高速で回転する歯車に飛ばされ、大量の仲間が画面中をボンボン跳ね回るような派手なしかけが出てくるのも中盤からなので、序盤だけで判断するのは勿体ないゲームです

ただ、それでもゲームとしては盛り上がりが少なく、淡々と進行する感じは否めません
ユニークなしかけやアイデアは多いのですが、アクションゲームでありながらスピード感や爽快感のようなものがなく、ストーリー性や思考性が高い訳でもないので、良く出来ているんだけど「面白い!」と感じる要素に乏しい印象もあります。

BADLAND
※道が二手に分かれている場面。
分裂した味方を上と下の双方に誘導し、下でスイッチを押して、上の通路を開くシーンもあります。
この場合、スイッチ側の味方はそのまま見捨てるしかありませんが・・・ そういうゲームです。


BADLAND
※ステージ選択画面はサムネイル形式で、ビジュアル的に良いですね。
各ステージの評価にあたる「タマゴ」は、ステージ評価というよりは、条件の達成数を表しています。
しかしこの条件は初回プレイ時には表示されず、クリア後にそのステージを再プレイした時のみ表示されます。
「最初は条件とか気にせずプレイして欲しい」ということでしょうか。
1回のプレイで全ての条件を満たすことは不可能な場合が多く、やり込み要素と言えますね。


価格は 350 円。 クオリティーを考えれば、高すぎない価格だと思います。
(現在は App Store 5 周年記念で無料で提供されています)

何だかネガティブなレビューになってしまいましたが、高レベルなアプリであることは間違いありません。
ルールが解りやすく操作もシンプルですから、ライトユーザーにもオススメできるゲームです。
やり込み要素のバランスもなかなか練り込まれています。

ただ、盛り上がりに欠ける「雰囲気ゲー」なので、私的には「言われているほどでは・・・」というのも本音。
冒頭でも述べましたが Apple デザインアワードの受賞作らしい作品という感じです。

BADLAND (iTunes が起動します)