世界でもっとも有名なドイツゲーム(近年のボードゲーム)の1つ、Catan(カタン)
それを2人用の対戦カードゲームにしたものが iOS で発売されています。
Rivals for Catan」です。

カタンをカードゲーム化したものは、実は複数発売されています。
Catan は 1995 年にドイツゲームの表彰を総ナメにして有名になりましたが、翌年には初期バージョンの2人対戦カードゲーム(The Settlers of Catan Card Game)が登場しています。
このカードゲームも本家ほどではありませんが人気になり、拡張セットがいくつも発売されました。

そして 2010 年、それを改良して新バージョンとして発売されたものが、この「Rivals for Catan」です。
本家の Catan が日本では「カタンの開拓者たち」と呼ばれているのに対し、このゲームには「カタンの領主たち」という名が付けられています。

自分の開拓地を徐々に大きくしていく内容で、カタン風の設定ではありますが、ゲームのスタイルは Agricola(アグリコラ)の方に近いですね。

Rivals for Catan ライバル カタン カタンの領主たち

まず最初に、テーブル上に1つのと2つの集落が置かれ、集落のナナメの位置には資源を産出する土地が配置されます。
各プレイヤーは画面上部にある山札を1つ選び、そこから3枚の手札を引いてゲームをスタートします。

プレイヤーは自分の番になったらダイスを2つ振ります。
このうちの1つは絵が書かれている「イベントダイス」と呼ばれるものですが、これについては後述します。
もう1つは普通の1~6のサイコロで、その目が3なら、3のダイスの目が書かれた土地から資源が産出されます
対戦相手も、自国の3の目の土地から資源を得られます。

土地にはを産出する森、を産出する土堀場、を産出する牧場、を産出する畑、を産出する山があり、さらにを産出する川があります。
金以外は、オリジナルのカタンでおなじみのものですね。

資源の産出が行われると、その土地のカードがクルっと回って、資源数の数値が1増えます
ただしどの土地も、資源は3までしか保持できません。

Rivals for Catan ライバル カタン カタンの領主たち
※ゲーム開始直後の配置。 Basic Game の場合はすべて自動で決められますが、それ以外のゲームでは土地の位置を入れ替えることが可能です。
画面右下の「進む」のボタンを押すことで、ダイスを振ったり、行動を終了したりします。


ダイスを振って資源を入手したら、建物を建設したり、手札を使用するフェイズになります。

画面右下の工具アイコンをタップすると、必要な資源がそろっていれば、基本となる3つの施設「道路」「集落」「街」を建設できます。

道路集落や街の横に設置し、その先に新しい集落を作れるようになります。
集落(開拓地)を作るには多くの資源が必要ですが、土地カードが追加されるので資源の産出量が増えます。
さらに後述する「建物カード」の建設場所も増えます。
は集落をアップグレードするもので、建物を作れる範囲が拡大し、さらに街でないと作れない建物があります。

集落を新設したり、集落を街に拡張すると、勝利点が増えます
Basic Game の場合、この勝利点を7点にすると勝ちとなります。

必要な資源が足りない場合は、矢印のアイコンをタップすることで資源の交換を行えます。
ただし出す資源3つに対し、得られる資源は1つだけで、交換レートは悪いです。

建設フェイズには手札の使用も可能で、その場で効果が発揮されるアクションカードと、街の施設となる建物カードがあります。
建物カードは必要な資源を払って、集落の上か下のマスに配置します
街の場合は、さらに上下2マス先にも配置できます。

自分の国のステータスを上げるヒーローカードや、交換レートを改善する交易船カードなどもありますが、これらも使い方(設置の仕方)は建物カードと同じです。

建物には周辺の土地の生産力をアップさせるものや、手札の保持上限を増やすものなど、様々な効果のものがあり、どの施設を優先するかがゲームのポイントになります。

Rivals for Catan ライバル カタン カタンの領主たち
※カタンでおなじみの道・集落(開拓地)・街。 必要な資源や勝利点はオリジナルと一緒。
建物を優先するか、集落を増やすのを優先するか、街を作るのを優先するかが最初のポイントですね。


Rivals for Catan ライバル カタン カタンの領主たち
※これは少し開発が進んだ状態。 建物を建てられるスペースは限られているので、それがなくなったら集落を増やすか街を作らないと、新しい建物は作れません。
建設と拡張はバランス良く行っていきましょう。
川で取れる「金」は Basic Game では取引にしか使えません。


建物の建設などを終えて、右下のボタンでゲームを進めると、消費した手札を補充するフェイズになります。
山札は複数あり、どの山札からカードを補充するかを選択可能で、手札は毎ターン最大数まで補充します。

さらにその後、「手札交換フェイズ」になります。
いらない手札を1枚、任意の山札に戻して、さらに好きな山札からカードを1枚引けます。
この時、資源を2つ支払うと、山札の中にある好きなカードを選ぶことが出来ます

以上が終わったら自分の番は終了です。
相手のターンになり、以後はこれを交互に繰り返します。

建物の建設(およびヒーローや交易船の配置)によって、自分の国のステータスが上がっていきます。
これには以下の5種類があり、高めることで様々な恩恵を受けられます

Rivals for Catan ライバル カタン カタンの領主たち

勝利点はすでに述べたように、一定以上になると勝利です。
進歩ポイント(Progress)は、その数だけ手札の枚数がアップします。

軍事ポイント(Strength)と商業ポイント(Commerce)は、3点以上になり、かつ相手よりも高い場合、軍事アドバンテージ、商業アドバンテージを得られます。
これは特定のイベントなどで有利になるもので、勝利点も1点増えます。
技術ポイント(Skill)もイベントに関連します。

「イベント」はターンの最初に振る、絵が書かれたサイコロ「イベントダイス」によって発生します。
イベントダイスの目には以下の5種類があります。

赤い棍棒盗賊の襲来 : 資源が合計8つ以上の場合、羊と金をすべて失う。
木の葉収穫 : 双方のプレイヤーが好きな資源を1つ得られる。
竪琴祝祭 : 技術ポイントが高い方は好きな資源を1つ入手。 同点の時は両者入手。
天秤取引 : 商業アドバンテージがある方は相手の資源を1つ奪える。
イベント : イベントカードを引き、その指示に従う。

イベントカードには進歩ポイントの数だけ資源を貰えたり、軍事アドバンテージを持つ人が相手の建物を破壊できるものなどがあります。
基本的に、国のステータスが高いほど有利なイベントが起こる訳ですね。

Rivals for Catan ライバル カタン カタンの領主たち
※赤い棍棒はカタンおなじみの盗賊襲撃マーク!
でも今回の盗賊は羊と金しか取らないので、以前ほどのダメージではないし、羊と金がなかったり、それらが盗賊を防ぐ「倉庫」で守られている場合は影響を受けません。
むしろ商業アドバンテージを取られている時の交易マークの方が厄介です。


ゲームには基本ルールである「Basic Game」の他に、交易がテーマの「Era of Gold」、発展がテーマの「Era of Progress」、紛争と混乱がテーマの「Era of Turmoil」の3つがあり、さらに「全部入り」の「Duel of the Princes」の5種類があります。

基本ゲーム(Basic Game)は本当に基本的すぎて、アッサリ終わってしまうし、カードの種類が少ないので運に左右されがちで、面白さとしてはイマイチです。
やはり本格的に楽しめるのは全部入りですが、人とやる場合は妨害の応酬になる Era of Tumoil が面白そうです。

難点は、演出などがアッサリし過ぎていること
プレイ中のカードの動きなどは良いのですが、勝敗が着いても「You won. Game is over」とメッセージ欄に小さく表示されるだけで、なんの演出もサウンドもなし。
もうちょっとこう、「ヤッター」とか「オメデトー!」的なものはないのかと言いたくなります
戦績の記録なども一切ありません。

コンピューターの AI も8人用意されているのですが、どれも変わり映えしません
本家のカタンは結構 AI ごとの性格がハッキリしていたのですが、今作は全員似たような感じです。
集落を増やすより街を作るのを重視し、重要な建物を抑えようとする戦法を、「ほぼ全員が毎回」取ります。
さらに2人対戦なので、4人対戦の本家カタンと比べると、やや同じ展開になりがちですね。

もう1つの難点は、かなり時間がかかること
iOS のドイツゲームとしては最長クラスで、慣れていないうちは1時間ぐらいかかります。
各処理をコンピューターが行ってくれるアプリ版であるにも関わらず。

この Rivals for Catan は元々あったカードゲーム版カタンをプレイしやすく短縮化したものらしいのですが、おそらくそれは Basic Game に限っての話だと思います。
それ以外のモードだと、かなり重量級のドイツゲームですね。
ただ、そのぶん本格的な街作りを行えるゲームになっていますが

対戦は Game Center を通して行うものと、1つの本体を交互に使って行うものの2つが用意されています。

Rivals for Catan ライバル カタン カタンの領主たち
※ゲーム終了画面。 と言っても何も変化はありません。
普通のゲーム画面のまんま、特別なサウンドも何もなく終了し、ゲームから抜けるのもメニューで「Go to main menu」を自分で選ばなければなりません。
この達成感の無さは何とかならないものか・・・


価格は 350 円。 このクオリティーと知名度のドイツゲームとしては安めですね。
これで iPhone と iPad の双方に対応しており、iPhone の画面でも不自由なく遊べるので、ボードゲーム / ドイツゲームのファンなら抑えておくべきアプリでしょう
なにせ「カタン」だし。

開発ゲームとしても、Agricola(アグリコラ)より本格的な街作りが出来るので、San Juan(サンファン)のようなカードゲームらしい手軽さはありませんが、ゲームとしてはかなり面白いと思います。
さすが 15 年近くに渡って遊ばれてきたゲームを改良した、後発の開発カードゲームだけありますね。

ちょっとした空き時間に楽しむというようなゲームではありませんが、じっくり型のボードゲームとして、オススメできる内容です

欲を言えば、本家の海カタンにあったような「キャンペーンモード」が欲しい所ですが・・・
Rivals for Catan には拡張パックもあるし、今後のアップデートに期待でしょうか。

Rivals for Catan (iTunes が起動します)


なお、すべてのカードの日本語訳を作成したので、ここに掲載したかったのですが・・・
ブログの文字数制限に引っかかるため、別の記事で公開しています。
Rivals for Catan カード効果の日本語訳一覧