ゆでたまごをむいたら、それは「おっさん」だった。
「いま、おっさんがじわじわ来ている!」という全く意味不明なコンセプトで作られた、たまごのおっさんを集める放置型ゲームが今年4月から公開されています。
おっさんたまご」です。

このゲームは日本の著名なゲームクリエイターの一人「稲船敬二」さんが起業したメーカーで作られたものです。
稲船さんは「ロックマン」シリーズや「鬼武者」シリーズのプロデューサーとして知られる元カプコンの方で、他にもバイオハザード2やモンスターハンター3、ストリートファイター4など、そうそうたるゲームに携わってきた方です。

その方が 2010 年末にカプコンを退社し、新しいゲーム会社 comcept を設立。
さらに 2011 年末にはスマホゲームのメーカー DiNG も起業し、その comcept と DiNG で新しい iOS アプリの開発が行われた結果・・・
出来てしまったのが、なぜかコレです。

しかも意図的に「プロモーションをまったくかけずに」サービスするという、よく解らない公開スタイルを取っています。
テストケースだとは思うのですが、にしても一体どんな判断だったのでしょうか?
金をドブに捨てたかったんでしょうか?

世の中なにがどうナナメ上の方向に飛んでいくか解りません。

おっさんたまご

一言で言うと なめこ栽培キット のなめこが「おっさんたまご」になったものです。

鍋の中にタマゴを放り込み、一定時間が経つと茹であがります。
茹でられたタマゴをタップで取り出し、指でなぞって殻を剥くと様々な「おっさん」が登場。
このおっさんたまごをコレクションしていく内容です。
ゲームシステムには取り立てて特筆すべき事はありません。

タマゴには 15 分、30 分、1時間など、茹であがる時間が異なる数種類があり、早く茹であがるものは腐る時間も早くなります
ただ、腐ったおっさんたまごも「裏鍋」のコレクションとして蓄えられていきます。

鍋には「昭和」や「青春」などの名前が付いていて、鍋ごとに現れるおっさんが異なります
その鍋のおっさんの大半を集めると次の鍋が登場するという形で、この辺は「なめこ栽培キット デラックス」の「原木」と似ていますね。

なめこの栄養剤にあたる「」というアイテムがあり、例えば「あら塩」ならゆであがる時間が短縮され、「くさらずの塩」なら腐るまでの時間が長くなります。
茹であがったらお知らせが表示される「おしらせの塩」という変わり種もあります。

おっさんたまごを入手するごとにお金が手に入り、タマゴや塩はこれで補充します。
外観を変える「スキン」なども購入できますが、明確に設備と言えるものはありません。

おっさんたまご
※タマゴをなぞってパリパリ剥くのは結構気持ちがいいです。 なめこの収穫にあたる部分ですね。
タマゴにはそれぞれ解説文が付いていて、オッサンのしがない人生を垣間見ることができます。
右の画像はたまに出現する「レアたまご」の1つで、どう見てもモデルはあの人。
次の鍋を出現させるにはレアもいくつか集めないといけないので、レア出現率をアップさせる塩を併用したいところです。


おっさんたまご
※左はタマゴを産んでくれるニワトリ。 タマゴは個別に購入する事も出来ますが、ニワトリに産んで貰うと種類がランダムになる代わりに、塩がおまけで手に入ります。
貴重な塩が手に入ることもあるので、欲しいタマゴがない時以外はニワトリの方がお得。
茹で時間は何もない場所をタップすることで確認可能です。
あら塩は普通のものはゆで時間を 1/4 短縮、大盛りは 1/2 短縮します。


このアプリの特徴と言えるのは、このタイプのミニゲームとしては無駄に高いクオリティーでしょうか。
ゲームクリエイターが代表を務めるメーカーだけあって、演出やサウンドが良いです。

鍋はボコボコと泡立っていて、ゆでている時にはタマゴがグルグルと滑らかに回ります。
BGM や殻を剥いたときのおっさんの声なども良いですね。

一方、難点というか、「なめこ」と比較して劣っているように感じるのは、タマゴのゆで時間がきっちり決まっていること。

なめこは 30 分の「なめこフード」を使っても、必ずしも 30 分待つ必要はありませんでした。
急用で 20 分後にログインし、その後はログイン出来ないという状況になっても、20 分後に見たら 20 分ぶんのなめこが生えていて、それを収穫した後に4時間のなめこフードに変えるなど、自分の都合に合わせてプレイすることが出来ました。

なめこ のヒットはこの携帯電話にマッチした融通の利くシステムであったことも理由だと思うのですが、おっさんたまごは 30 分のたまごなら 30 分後にログインしないと収穫できません。
途中で何かやれることや確認できることもありません。
それがこの手のゲームでは一般的だし、半熟たまごで揚げるとか難しいとは思うのですが、なめこ系・放置系としては古く思えますね

そして何よりアレなのは・・・ 「おっさんたまご」ってのはどうなんだ・・・

なめこなら、まあ「なめこ」ってのも結構意味不明だけど、見た目がかわいいし、キャラクターとして人気になるのは頷けます。
でも、「おっさん」ですよ? 「おっさんたまご」ですよ? ウケるのかそれ?
マジでこれでイケると思うのはどんな判断だ?

まあインパクトはあるし、ありがちな動物キャラとかじゃ話題性がないし、「サザエボン」とか「うんこさん」とか訳の解らないものがヒットする世の中ではあるのですが・・・ でも、これはどうなのかなぁ。
私の知らない世界ではこれが「キャーカワイー」ってなったりするのでしょうか・・・

おっさんたまご
※左は「設備」の画面ですが、設備と言うよりは課金要素。 一度にゆでられるタマゴを増やす火力強化は課金しないと利用できません。 腐ったタマゴをコレクションできる裏鍋も2つ目からは有料。
からむき爆弾は殻を一瞬で吹き飛ばせますが、指で殻を剥くのが良いゲームなのに・・・
右はゲームで貯めたお金で買える「壁紙」。 なにか独特なデザインのものがそろってます。


アプリ本体は無料。 課金要素はありますが必須ではありません。
広告はありますが iPhone アプリに絞った広告になっているし、そんなに邪魔になる配置ではありません。

とりあえずタダだし、この手のミニゲームとしてはデキが良いので、試してみるのをオススメします
なんだかんだ言って、私も結構続けてたりします。

でも、稲船敬二さんに求められているものって、こういうものなのか・・・?

おっさんたまご (iTunes が起動します)


最後になりましたが、以下は Youtube で公開されている公式の CM ムービーです。