やたらつっけんどんなのになぜか人気がある謎の錬金術師がお店を経営する、「○○のアトリエ」風のパソコン用フリーソフトが iOS に移植されています。
レミュオールの錬金術師」です。

フリーソフトの名作」と言われていたゲームで、ダイソーで 100 円ゲームとして売られていた事もあり、2006 年には DS 版も発売されていました。
内容的にはカイロソフトのコマンド型のゲーム(施設配置型ではないもの)に似ています
Android 版も同時に公開されています。

ハマるといつまでもやってしまう中毒性の高い内容ではあるのですが、スマホ版は操作に問題があり、ゲームシステムにも解り辛い点があって、見た目もイマイチなので、私的には手放しでオススメはできません。
ただ、非常にファンの多いゲームですね。

レミュオールの錬金術師

市場で商品を購入し、売り棚に並べ、時間を進行させ、売れるのを待つ。
これを繰り返すシンプルな経営シミュレーションゲームです。

「○○のアトリエ」や 不思議の国の冒険酒場 と同じように、郊外で素材を「収集」したり、商品を「加工」することも出来るのですが、このゲームはそれらを有効活用できるのはかなりゲームが進んでからです
例えば、冒険者に素材の収集を依頼しても、失敗が多くて費用も高く、どう転んでもまず赤字です。
加工はその商品を合計 200 個売らないと実行できず、そこまでいくのが結構大変なので、最初は実行自体が出来ません。

この辺で既存のアトリエシリーズとの差別化を図っているようですが、そのためアトリエシリーズと同じようにプレイすると行き詰まるので注意して下さい

最初は売り棚に置ける商品は3つしかなく、出来ることも少ないので、退屈な展開が続きます。
しかしイベントが多く起こるので、それでゲームを保たせている印象ですね。

ある程度ゲームが進み、名声が上がってお客さんが増え、売り棚と倉庫も拡張し、自動仕入れや商品加工も出来るようになると、ようやくやれることが増えてきます。
しかし自動仕入れは配達料がかかるためか仕入れ値が割高になるので利益が出辛く、倉庫や売り棚の拡張費用もどんどん増加し、さらに月末には税金の支払いまであるので、経営難は続きます。

カイロソフトのアプリのような甘いゲームではなく、ある程度のリトライを前提にした作りになっていると思われ、お店が軌道に乗るには相応の経験が必要になります。
ただ、この試行錯誤しながら徐々に店を大きくしていくところが、このゲームの面白さとも言えますね。

レミュオールの錬金術師
※ゲーム序盤はお金もお客も少ないので、商品の「需要指数」に注目し、売れやすいものを優先して仕入れましょう。
同じ商品を 200 個売ると加工できるようになり、米は焼き飯やおむすびに、小麦粉はパンやお菓子に出来るので、これでまともな利益が出せるようになりますが、技術と販売数が少ないうちは加工効率は良くありません。
加工には体力も使いますが、薬草系を使うと回復できるので、薬草は自分の回復のためにも仕入れておきましょう。
右の画像は飼っている動物の一覧。 鶏と牛は最初から牧場で購入可能で、鶏からはタマゴを、牛からはミルクを、毎日タダで得られます。
このゲームで仕入れ額がタダってのは大きいです。


レミュオールの錬金術師
※冒険者に探索させると確実に赤字。 よって「探索でしか得られない特定の素材を狙う」という明確な目的がないと使えません。
冒険させてレベルを上げることも必要ですが、初期の金欠の時に漠然と雇うのは厳禁。
冒険者は2人いますが、同じ採集地でも取ってくるものがそれぞれ違うので、その点にも注意。
ちなみに「鴨牛のお肉」と「シオのおやつ」という商品を使うと冒険者のレベルを上げられます。
右の画像は税金の支払い。 毎月25日の朝、先月の純利益の 20 %を税金として支払います。
もしお金が足りない場合は「全額没収+全商品没収」で、リカバーできる手段がないとゲームオーバーになります。
このゲームはこうした即死トラップが割とあって、結構ヒドイです。
毎月23日頃には必ずセーブしておくこと。 また、利益は情報の「お店」で見られるので、黒字額が多くなりそうな時は何かに使って純利益を抑えましょう。


しかしこのゲームの難点と言えるのが「倉庫」。
倉庫は商品を8種類まで一時的に保管しておく場所で、画面を左右にスライドすることで切り替えられ、ここから売り棚に商品を出したり、販売する商品を交換したりできます。

そのこと自体は良いのですが、その回りの操作やシステム、用語などがことごとく解り辛い
商品を選んで「整理」を選ぶと、売り棚と倉庫の商品の交換を行えるのですが、この時に最初に選択していた商品がなぜかキャンセルされ、再びその商品を選び直さないといけません。
さらに交換した後で画面下の「CANCEL」を押さないと整理モードが終わらず、操作方法が煩雑。

※倉庫の操作はアップデートで若干改善されました。

在庫が多い品物をまとめて売り棚に並べる「ソート」というコマンドもあるのですが、在庫数が少なくて優先して売りたい品物があるときは、やはり手動で交換しないといけません。

また商品在庫を捨てるのを「破棄」と呼ぶのは良いのですが、商品の出し入れは「整理」、リストから削除するのは「廃棄」と、呼び名が解り辛い。
特にリストから消すのを「廃棄」と呼ぶのは違和感があるというか、勘違いしやすい。

さらに在庫が 0 になっても倉庫のリストから商品が消えず、「廃棄」で自分でそれを消し、手動でスペースを空けないと新しい仕入れができません。
また加工する時、すでに持っている商品を作る場合でも、なぜかリストに空きを作っておかないと作成できません
すでに持っている商品を追加購入するときも同様です。

在庫が 0 の商品を自動的に廃棄する「全廃棄」のコマンドもありますが、廃棄してしまうと自動仕入れされなくなってしまうので、自動仕入れしたい在庫 0 の商品があると困ることになります。

とにかく、解り辛く、使い辛く、融通が利きません。
プレイヤーに快適にプレイして貰おうという配慮が一切ない感じです
操作に関しては、マウス時代の操作をまだ引きずっている印象。

そしてもう1つの難点が、即死トラップが多すぎる
突然やって来たギャンブラーが賭けを持ちかけてきて、失敗すると倉庫を埋め尽くすガラクタを大金で買うハメになって実質ゲームオーバーになったり、家の修繕費と称して十数日かかって貯めた資金がほとんどなくなったり、序盤に起こると大被害になる事故が突発で発生します
もちろん前述の税金もミスると即死級です。

オートセーブがあるので、発生したときにすぐタイトルに戻ってそこからやり直すか、小まめなセーブで対応することも出来るのですが、さすがに面倒。
また税金に関してはオートセーブ直後の朝に発生し、仕入れでお金が減ったタイミングを狙ってくるので、もはや悪意さえ感じます。

さらにもう一つの難点が・・・ 見た目ですね。
画面の大部分が商品棚とメッセージ欄。 つまり文字欄ばかりで、いかにも「フリーソフト」って感じです。

ちなみにパソコン版の画面はこんな感じでした。

レミュオールの錬金術師

この画面をスマホのサイズに、読みやすい文字の大きさを維持して縮小したとすると、確かにこんな感じになるのは解ります。

でも流石に絵が小さく、画面の変化がほとんどないゲームなので、似たタイプのゲームが数多くあるスマホにおいては、これではちょっとショボく感じてしまいますね。
それでもフリーソフトならと思うけど、スマホ版は有料ですからね・・・
まあ画面はしばらくやってれば慣れるけど・・・

これらを加味して考えると、パソコンでは「名作」と呼ばれていたのかもしれませんが、スマホ版はとても名作とは言えないというのが本音です。

レミュオールの錬金術師
※左画像のキャラが色々な災厄をもたらしてくれるギャンブラー「シバ」。
商品がなくなって倉庫が空いたタイミングでやってきて、空いた倉庫にガラクタを詰め込んで、さらに多額の売上金を巻き上げていくイベントは序盤に起こると即死であり、まさにキングボンビーです。
そんなのがランダムで発生する経営 SLG ってアリかと思ってしまいます。
右は錬金術師見習いのキャラで、ゲーム序盤から登場しますが、活躍(?)するのはエンディング後。
最初のエンディングはこのゲームでは通過点に過ぎません。


価格は 250 円
ぶっちゃけ、パソコン版は「フリーソフト」であり Vector で公開されているので、「じゃあパソコン版でいいんじゃね?」というのもあったりします。
スマホやタブレットでプレイ出来るのがアプリ版の利点ですね。

色々と文句を言ってしまいましたが、それでも慣れてしまえば、このタイプの簡易経営シミュレーションゲームが好きな人なら十分楽しめる内容です
私も最初は倉庫のシステムに文句タラタラでしたが、気が付いたら徹夜でプレイしていました
それだけハマれるゲームと言うことですね。

ゲーム展開が遅く、やり辛さもありますが、長く遊べる内容なので、一応お勧めではあります。
ただしカイロソフトのゲームで苦戦している人だと、このゲームは辛いでしょう。
色々と試行錯誤をしながら、自分なりの攻略を見つけつつ地道にプレイしていける、やり込み派の人向けのゲームと言えるでしょうか。

レミュオールの錬金術師 (iTunes が起動します)