コンピューター RPG の源流、Ultima(ウルティマ) と Wizardry(ウィザードリィ)。
ウルティマが 2D 視点のフィールド型 RPG の元祖、ウィザードリィが 3D 視点のダンジョン型 RPG の元祖と言われています。
そのウルティマはシリーズ4作目で、人間の持つ8つの「徳」を探求する哲学的なテーマを持つようになり、多くのシリーズ作と派生作品を生み出しました。
日本では MMORPG(大規模多人数型オンライン RPG)の元祖である Ultima Online(ウルティマ オンライン)の方が知られているかもしれませんね。
そんなウルティマは、創始者のロードブリティッシュことリチャード・ギャリオット氏が宇宙に飛んでったため、シリーズとしては完結してしまったのですが、その版権は EA が保持しており、そこで作られた新しいウルティマが先月から運営を開始、日本での公開も始まりました。
「ウルティマ フォーエバー Quest for the Avatar」です。
開発したのは EA の子会社となっているアメリカの開発スタジオ Mythic で、2000 年代の後期から Dark Age of Camelot など、割と有名な MMORPG の開発を行っているメーカーです。
一応、昨今のウルティマオンライン(以下 UO)の開発にも携わっているようで、ウルティマシリーズを作るのは今回が初めてですが、その世界観をできる限り再現しようとしているのは伺えます。
なお、今作は「オンライン要素があるウルティマ」なので、UO に近いゲームのように紹介されている場合も多いのですが、内容としてはディアブロのような MO アクション RPG(少人数のオンライン RPG)であり、さらに本編のウルティマシリーズの番外編のような感じであるため、UO とは全く別物です。
その点はご注意下さい。
グラフィックは 3D ですが、真上から見た 2D 視点のアクション RPG です。
街や城で NPC と会話して情報を集め、クエストを請け負い、ダンジョンに移動して敵と戦い、ボスを倒して目的を達成するという、RPG らしい RPG ですね。
ストーリーも本格的かつ長編で、街のグラフィックなどもかなり細かく書き込まれています。
操作は仮想スティックではなく、画面をタップした場所に移動する形で、敵と戦うのも攻撃対象を直接タップします。
しかしこの操作は画面のあちこちをタップする必要があるためプレイしやすいとは言えず、特に画面の大きな iPad だと面倒に感じます。
おまけに壁の向こうをタップすると迂回してくれずに壁に引っかかってしまうなど、お世辞にも操作性は良くありません。
街の中やフィールド上には、同時にプレイしている他のプレイヤーの姿も表示されます。
街の中を多くの他プレイヤーがうろついている様子はいかにも MMORPG らしくて良いですね。
しかし一緒にダンジョンに入れるのは、その時にパーティーを組んでいるメンバーのみです。
つまり戦闘は完全な MORPG(少人数型)であり、MMO ではありません。
パーティーは募集ボタンを押すだけで、近くの人が自動的に誘われて結成できます。(もちろん誘いを断ることもできます)
簡単に募集することができますが、しかしダンジョンには「適正レベル」があって、そのレベル外だと入ることができません。
もちろんストーリーがそこまで進んでいない場所にも入れません。
おまけにスマホ / タブレットのゲームですからメッセージの入力はパソコンのキーボードのように簡単ではなく、日本語の入力は可能ですが大半が海外のプレイヤーなので英語ができないと会話は難しいです。
定型文の簡易入力ボタンなんてものもありません。
こんな状態ですから野良パーティーはかなり厳しく、最大4人でオンライン RPG を楽しめるのは良いのですが、知人とプレイしないと多人数でやるのは困難ですね。
また、アカウント(プレイヤー登録)はフェイスブックアカウントを利用するため、フェイスブックがあまり普及していない日本においては、これも難点と言えます。
ゲストアカウントでのログインも可能ですが、この場合は他の端末とのデータ共用などが出来ません。
※ゲーム開始前にはタロットを使った質問が出されます。
ここはすごーくウルティマっぽくて良いのですが、職業は「戦士」と「魔法使い」しかなく、好きな方を選べるので、タロットの結果が影響するのは初期ステータスのみ。
ウルティマっぽい雰囲気を出す演出やシステムはあるんだけど、それがゲームには影響してないという感じですね。
※国の支配者はロード・ブリティッシュではなく、「レデイー・ブリティッシュ」に変わっています。
この時点で旧来のウルティマファンとしてはガッカリなのですが、でも「本人」がいないんだからしょうがないよなぁ・・・
※ちょっと解りにくいのですが、3人パーティーでダンジョンを攻略しているシーン。
やっぱりこういうオンラインプレイは、解る人にしか解りませんが、「ガントレット」や「ダンジョンエクスプローラー」的な面白さがあって良いですね。
ボスはためた後で強力な攻撃を繰り出し、その後にバテると言うような、アクションゲーム的な(ちゃんと攻略要素のある)行動パターンを持ちます。
ダンジョンでの戦闘は前述したように、ウルティマと言うより「ディアブロ」です。
野良でパーティーを組むのは難しいですが、ソロでも十分にプレイしていくことが出来ます。
敵は割と多く出現し、それをバシバシ倒しまくるディアブロっぽい「無双感」があり、スキルを使った特殊攻撃もチャージが数秒で終わるため、割と連発できます。
操作性の問題で回避などはやり辛いのですが、アクション RPG として楽しめるものになってますね。
ダンジョンには宝箱があるのですが、これを開けるには「鍵」が必要です。
この鍵は敵を倒していると手に入るのですが、鍵には普通の「銅の鍵」、銅の鍵3つ分の「銀の鍵」、課金通貨である「金の鍵」があり、どれで開けたかで出てくるアイテムのレアリティーが変化します。
金で開ければレア確定、たまにエピック(スーパーレア)出現。
銀の鍵はアンコモンで、たまにレア。 銅で開けるとコモンかアンコモンしかまず出ません。
つまりここが課金ガチャみたいになっている訳で、この「宝箱の鍵が課金通貨になっている」というパターンは海外には良くあります。
ガチャは法律で禁止されている国が多いのですが、「売っているのは鍵であり、ガチャや宝箱自体ではないから、法律には違反しないよ」という訳ですね。
装備は戦っていると痛んでくるのですが、その修理にも鍵を使います。
つまり鍵は鍵と言うより、様々な用途に使える「通貨」です。
※宝箱はこんな風に、使う鍵によって出てくるアイテムが変わります。
レベルアップである程度の「金の鍵」が手に入るので、それでいくつかレア装備を手に入れておけば、ソロでもスムーズにゲームを進められるはず。
ただ、無課金だとだんだん鍵が足りなくなって来ますが・・・
※鍵の購入画面。 金の鍵は最低でも 850 円というのがかなり厳しい。
銀の鍵は右下の「鍵の変換」のボタンを押せば、銅の鍵 18 個を銀の鍵に 6 個に変換できるため、無課金でも入手できます。
しかしそれでも十分な数が手に入る訳ではないので、宝箱を無視する必要も出てきます。
でも宝箱を開けないとクエストアイテムが手に入らず、おまけにクエストアイテムにもレアリティがあって、銀の鍵を使わないと入手困難なものも・・・
一応「ウルティマ」を名乗っているため、旧来のウルティマにあった「徳」の概念や世界観は受け継いでいます。
「徳」とは 慈悲・誠実・武勇・名誉・献身・正義・霊性・謙譲 の8つの人徳で、それぞれが 愛・勇気・真実 の「原理」の組み合わせで作られます。
例えば、名誉は勇気と真実から成り立つ、という具合ですね。
そして8つの街と神殿がそれぞれ1つの徳を尊重しており、8つの徳と相反する 軽蔑・卑劣・虚偽 などの名が付けられたダンジョンがあり、さらに愛や勇気などの原理を司る施設も存在します。
この辺りの徳の話が頻繁に出てくるストーリーになっていて、その点はやっていて「あぁ、ウルティマだなぁ」と感じます。
まあ「徳」と言っても、このゲームでは単なる経験値に過ぎず、ダンジョンをクリアしたりテキトーに受け答えすれば上がるものになっていて、ウルティマIV のようにそれを行動で示さなければならないような哲学的なものにはなっていないのですが、この辺は簡略化されるのも仕方ないでしょうか。
全体としては、かなり本格的な RPG になっています。
ソーシャルゲームが宣伝文句として大げさに「本格 RPG 登場!」と言ったりするのとは違う、ちゃんとした意味での本格長編 RPG です。
ただ問題なのは、そんな本格長編 RPG に課金通貨である「鍵」のシステムがあるため、クリアまで一体どれだけの課金が必要になるのか解らない、先の見えない不安感が付きまといます。
鍵は開始直後は余裕があるのですが、宝箱を開けるのに必要なのはもちろん、定期的に行わなければならない装備の修理にも必要なため、徐々に減ってきます。
ソーシャルゲームの課金ガチャやエネルギーと違い、普段のプレイでも確実に減っていき、自然回復もしないので、いずれは尽きます。
宝箱を無視して短いダンジョンを繰り返して稼ぐことも出来ますが、そうした短いダンジョンの戦いでも装備は痛むため、そう簡単には増えません。
そんな「鍵」があるゲームが、いつまで続くのか解らない「本格長編 RPG」であるために、「最終的にどれだけの鍵が必要になるのか」「課金するとしてどのぐらい払えばスムーズにクリアできるのか」「このまま進行しても途中で断念する事にならないか」などの「将来の不安」を抱えることになります。
長編ストーリーのゲームにこういう課金があると、こんな先行き不安を持つ事になるんだというのを、このゲームで初めて理解しましたね。
さらに「アイテム所持枠の拡張に金の鍵 10 個」とか、「補助装備の枠の追加に金の鍵 15 個」とか、色々な課金要素がてんこ盛りです。
特にレベルアップしてスキルの装備枠が増えても、「それをアンロックするには金の鍵が 25 個必要! 銀の鍵 10 個で1回だけ使わせてあげるよ」と言うのを見た時は、「どんだけセコいんだこのゲーム」と思いました。
献身の逆である「貧欲」の徳を極めています。
もう1つの難点が、重いことと、不安定なこと。 ロード時間も長い。
iPad 3 だとカク付くことが多く、事前に本体の再起動をしておかないと落ちることもあります。
前述した操作の問題もあるので、iPhone 5 推奨のゲームと言えそうですね。(ただ 5 でも落ちる時は落ちる)
また、ゲーム進行がやや遅いのも難点でしょうか。
前述したように挑戦できるダンジョンにレベル制限があるため、同じダンジョンを繰り返し、ある程度の経験値稼ぎをすることが必須になっています。
まあ常に適正レベルにしてから次に進むことになるので、こちらの方が「課金ゲー」と言われにくいというのもあると思いますが・・・ でもそれが強制ってのもなぁ・・・
※装備が全て痛んでいる状態。 耐久力が尽きても壊れてなくなることはありませんが、痛み具合に応じて性能が低下していきます。
修理には銀の鍵が必要で、状況によっては使い捨てにする装備で簡単なダンジョンに行き、鍵を稼ぐことも必要。
もちろん課金すればすぐ調達できるのですが・・・
※ブリテイン~スカラブレイあたりの全体マップ。 マップは旧来のウルティマを模していて、シリーズ作をやったことがある方ならちょっと懐かしくなりますね。
フィールドは小さく簡略化されていて、移動に時間はかかりません。 このマップ画面で銅の鍵2個を使い、瞬間移動することも可能です。
なお、内部的にはいくつかサーバーがあって、異なるサーバーのプレイヤーとはフィールドや街で出会えません。
相手の名前を検索してフレンドにすれば、その人がいるサーバーに移動できるようになります。
価格は無料。 ただし(快適に進みたい場合)最終的にいくらかかるのか解らないゲームでもあります。
無課金でも(少なくとも序盤は)普通に遊べますが、鍵の残り数を常に気にしながらプレイする事になりますね。
日本のソーシャルゲームよりはお金はかからないと思いますが、しかしなにか底が見えない「底なし沼」的な印象も受けます・・・
これはこういう海外で主流の課金スタイルに慣れていないからなのでしょうか・・・?
まあ、ガチャも十分底なしではあるんですが・・・
しかしゲームとしてのボリュームやクオリティーは十分に高いです。
知人とプレイ出来る環境なら、オンラインのパーティープレイが出来るため楽しめそうですね。
インストール後の容量が約 1GB あるので、その点はご注意下さい。
「これがウルティマの続編だ!」と言われたら「フザケンナ」と言いたくなりますが、ウルティマのスピンオフ作品として考えるなら、これもアリかなと思います。
・ウルティマ フォーエバー Quest for the Avatar (iTunes が起動します)
ウルティマが 2D 視点のフィールド型 RPG の元祖、ウィザードリィが 3D 視点のダンジョン型 RPG の元祖と言われています。
そのウルティマはシリーズ4作目で、人間の持つ8つの「徳」を探求する哲学的なテーマを持つようになり、多くのシリーズ作と派生作品を生み出しました。
日本では MMORPG(大規模多人数型オンライン RPG)の元祖である Ultima Online(ウルティマ オンライン)の方が知られているかもしれませんね。
そんなウルティマは、創始者のロードブリティッシュことリチャード・ギャリオット氏が宇宙に飛んでったため、シリーズとしては完結してしまったのですが、その版権は EA が保持しており、そこで作られた新しいウルティマが先月から運営を開始、日本での公開も始まりました。
「ウルティマ フォーエバー Quest for the Avatar」です。
開発したのは EA の子会社となっているアメリカの開発スタジオ Mythic で、2000 年代の後期から Dark Age of Camelot など、割と有名な MMORPG の開発を行っているメーカーです。
一応、昨今のウルティマオンライン(以下 UO)の開発にも携わっているようで、ウルティマシリーズを作るのは今回が初めてですが、その世界観をできる限り再現しようとしているのは伺えます。
なお、今作は「オンライン要素があるウルティマ」なので、UO に近いゲームのように紹介されている場合も多いのですが、内容としてはディアブロのような MO アクション RPG(少人数のオンライン RPG)であり、さらに本編のウルティマシリーズの番外編のような感じであるため、UO とは全く別物です。
その点はご注意下さい。
グラフィックは 3D ですが、真上から見た 2D 視点のアクション RPG です。
街や城で NPC と会話して情報を集め、クエストを請け負い、ダンジョンに移動して敵と戦い、ボスを倒して目的を達成するという、RPG らしい RPG ですね。
ストーリーも本格的かつ長編で、街のグラフィックなどもかなり細かく書き込まれています。
操作は仮想スティックではなく、画面をタップした場所に移動する形で、敵と戦うのも攻撃対象を直接タップします。
しかしこの操作は画面のあちこちをタップする必要があるためプレイしやすいとは言えず、特に画面の大きな iPad だと面倒に感じます。
おまけに壁の向こうをタップすると迂回してくれずに壁に引っかかってしまうなど、お世辞にも操作性は良くありません。
街の中やフィールド上には、同時にプレイしている他のプレイヤーの姿も表示されます。
街の中を多くの他プレイヤーがうろついている様子はいかにも MMORPG らしくて良いですね。
しかし一緒にダンジョンに入れるのは、その時にパーティーを組んでいるメンバーのみです。
つまり戦闘は完全な MORPG(少人数型)であり、MMO ではありません。
パーティーは募集ボタンを押すだけで、近くの人が自動的に誘われて結成できます。(もちろん誘いを断ることもできます)
簡単に募集することができますが、しかしダンジョンには「適正レベル」があって、そのレベル外だと入ることができません。
もちろんストーリーがそこまで進んでいない場所にも入れません。
おまけにスマホ / タブレットのゲームですからメッセージの入力はパソコンのキーボードのように簡単ではなく、日本語の入力は可能ですが大半が海外のプレイヤーなので英語ができないと会話は難しいです。
定型文の簡易入力ボタンなんてものもありません。
こんな状態ですから野良パーティーはかなり厳しく、最大4人でオンライン RPG を楽しめるのは良いのですが、知人とプレイしないと多人数でやるのは困難ですね。
また、アカウント(プレイヤー登録)はフェイスブックアカウントを利用するため、フェイスブックがあまり普及していない日本においては、これも難点と言えます。
ゲストアカウントでのログインも可能ですが、この場合は他の端末とのデータ共用などが出来ません。
※ゲーム開始前にはタロットを使った質問が出されます。
ここはすごーくウルティマっぽくて良いのですが、職業は「戦士」と「魔法使い」しかなく、好きな方を選べるので、タロットの結果が影響するのは初期ステータスのみ。
ウルティマっぽい雰囲気を出す演出やシステムはあるんだけど、それがゲームには影響してないという感じですね。
※国の支配者はロード・ブリティッシュではなく、「レデイー・ブリティッシュ」に変わっています。
この時点で旧来のウルティマファンとしてはガッカリなのですが、でも「本人」がいないんだからしょうがないよなぁ・・・
※ちょっと解りにくいのですが、3人パーティーでダンジョンを攻略しているシーン。
やっぱりこういうオンラインプレイは、解る人にしか解りませんが、「ガントレット」や「ダンジョンエクスプローラー」的な面白さがあって良いですね。
ボスはためた後で強力な攻撃を繰り出し、その後にバテると言うような、アクションゲーム的な(ちゃんと攻略要素のある)行動パターンを持ちます。
ダンジョンでの戦闘は前述したように、ウルティマと言うより「ディアブロ」です。
野良でパーティーを組むのは難しいですが、ソロでも十分にプレイしていくことが出来ます。
敵は割と多く出現し、それをバシバシ倒しまくるディアブロっぽい「無双感」があり、スキルを使った特殊攻撃もチャージが数秒で終わるため、割と連発できます。
操作性の問題で回避などはやり辛いのですが、アクション RPG として楽しめるものになってますね。
ダンジョンには宝箱があるのですが、これを開けるには「鍵」が必要です。
この鍵は敵を倒していると手に入るのですが、鍵には普通の「銅の鍵」、銅の鍵3つ分の「銀の鍵」、課金通貨である「金の鍵」があり、どれで開けたかで出てくるアイテムのレアリティーが変化します。
金で開ければレア確定、たまにエピック(スーパーレア)出現。
銀の鍵はアンコモンで、たまにレア。 銅で開けるとコモンかアンコモンしかまず出ません。
つまりここが課金ガチャみたいになっている訳で、この「宝箱の鍵が課金通貨になっている」というパターンは海外には良くあります。
ガチャは法律で禁止されている国が多いのですが、「売っているのは鍵であり、ガチャや宝箱自体ではないから、法律には違反しないよ」という訳ですね。
装備は戦っていると痛んでくるのですが、その修理にも鍵を使います。
つまり鍵は鍵と言うより、様々な用途に使える「通貨」です。
※宝箱はこんな風に、使う鍵によって出てくるアイテムが変わります。
レベルアップである程度の「金の鍵」が手に入るので、それでいくつかレア装備を手に入れておけば、ソロでもスムーズにゲームを進められるはず。
ただ、無課金だとだんだん鍵が足りなくなって来ますが・・・
※鍵の購入画面。 金の鍵は最低でも 850 円というのがかなり厳しい。
銀の鍵は右下の「鍵の変換」のボタンを押せば、銅の鍵 18 個を銀の鍵に 6 個に変換できるため、無課金でも入手できます。
しかしそれでも十分な数が手に入る訳ではないので、宝箱を無視する必要も出てきます。
でも宝箱を開けないとクエストアイテムが手に入らず、おまけにクエストアイテムにもレアリティがあって、銀の鍵を使わないと入手困難なものも・・・
一応「ウルティマ」を名乗っているため、旧来のウルティマにあった「徳」の概念や世界観は受け継いでいます。
「徳」とは 慈悲・誠実・武勇・名誉・献身・正義・霊性・謙譲 の8つの人徳で、それぞれが 愛・勇気・真実 の「原理」の組み合わせで作られます。
例えば、名誉は勇気と真実から成り立つ、という具合ですね。
そして8つの街と神殿がそれぞれ1つの徳を尊重しており、8つの徳と相反する 軽蔑・卑劣・虚偽 などの名が付けられたダンジョンがあり、さらに愛や勇気などの原理を司る施設も存在します。
この辺りの徳の話が頻繁に出てくるストーリーになっていて、その点はやっていて「あぁ、ウルティマだなぁ」と感じます。
まあ「徳」と言っても、このゲームでは単なる経験値に過ぎず、ダンジョンをクリアしたりテキトーに受け答えすれば上がるものになっていて、ウルティマIV のようにそれを行動で示さなければならないような哲学的なものにはなっていないのですが、この辺は簡略化されるのも仕方ないでしょうか。
全体としては、かなり本格的な RPG になっています。
ソーシャルゲームが宣伝文句として大げさに「本格 RPG 登場!」と言ったりするのとは違う、ちゃんとした意味での本格長編 RPG です。
ただ問題なのは、そんな本格長編 RPG に課金通貨である「鍵」のシステムがあるため、クリアまで一体どれだけの課金が必要になるのか解らない、先の見えない不安感が付きまといます。
鍵は開始直後は余裕があるのですが、宝箱を開けるのに必要なのはもちろん、定期的に行わなければならない装備の修理にも必要なため、徐々に減ってきます。
ソーシャルゲームの課金ガチャやエネルギーと違い、普段のプレイでも確実に減っていき、自然回復もしないので、いずれは尽きます。
宝箱を無視して短いダンジョンを繰り返して稼ぐことも出来ますが、そうした短いダンジョンの戦いでも装備は痛むため、そう簡単には増えません。
そんな「鍵」があるゲームが、いつまで続くのか解らない「本格長編 RPG」であるために、「最終的にどれだけの鍵が必要になるのか」「課金するとしてどのぐらい払えばスムーズにクリアできるのか」「このまま進行しても途中で断念する事にならないか」などの「将来の不安」を抱えることになります。
長編ストーリーのゲームにこういう課金があると、こんな先行き不安を持つ事になるんだというのを、このゲームで初めて理解しましたね。
さらに「アイテム所持枠の拡張に金の鍵 10 個」とか、「補助装備の枠の追加に金の鍵 15 個」とか、色々な課金要素がてんこ盛りです。
特にレベルアップしてスキルの装備枠が増えても、「それをアンロックするには金の鍵が 25 個必要! 銀の鍵 10 個で1回だけ使わせてあげるよ」と言うのを見た時は、「どんだけセコいんだこのゲーム」と思いました。
献身の逆である「貧欲」の徳を極めています。
もう1つの難点が、重いことと、不安定なこと。 ロード時間も長い。
iPad 3 だとカク付くことが多く、事前に本体の再起動をしておかないと落ちることもあります。
前述した操作の問題もあるので、iPhone 5 推奨のゲームと言えそうですね。(ただ 5 でも落ちる時は落ちる)
また、ゲーム進行がやや遅いのも難点でしょうか。
前述したように挑戦できるダンジョンにレベル制限があるため、同じダンジョンを繰り返し、ある程度の経験値稼ぎをすることが必須になっています。
まあ常に適正レベルにしてから次に進むことになるので、こちらの方が「課金ゲー」と言われにくいというのもあると思いますが・・・ でもそれが強制ってのもなぁ・・・
※装備が全て痛んでいる状態。 耐久力が尽きても壊れてなくなることはありませんが、痛み具合に応じて性能が低下していきます。
修理には銀の鍵が必要で、状況によっては使い捨てにする装備で簡単なダンジョンに行き、鍵を稼ぐことも必要。
もちろん課金すればすぐ調達できるのですが・・・
※ブリテイン~スカラブレイあたりの全体マップ。 マップは旧来のウルティマを模していて、シリーズ作をやったことがある方ならちょっと懐かしくなりますね。
フィールドは小さく簡略化されていて、移動に時間はかかりません。 このマップ画面で銅の鍵2個を使い、瞬間移動することも可能です。
なお、内部的にはいくつかサーバーがあって、異なるサーバーのプレイヤーとはフィールドや街で出会えません。
相手の名前を検索してフレンドにすれば、その人がいるサーバーに移動できるようになります。
価格は無料。 ただし(快適に進みたい場合)最終的にいくらかかるのか解らないゲームでもあります。
無課金でも(少なくとも序盤は)普通に遊べますが、鍵の残り数を常に気にしながらプレイする事になりますね。
日本のソーシャルゲームよりはお金はかからないと思いますが、しかしなにか底が見えない「底なし沼」的な印象も受けます・・・
これはこういう海外で主流の課金スタイルに慣れていないからなのでしょうか・・・?
まあ、ガチャも十分底なしではあるんですが・・・
しかしゲームとしてのボリュームやクオリティーは十分に高いです。
知人とプレイ出来る環境なら、オンラインのパーティープレイが出来るため楽しめそうですね。
インストール後の容量が約 1GB あるので、その点はご注意下さい。
「これがウルティマの続編だ!」と言われたら「フザケンナ」と言いたくなりますが、ウルティマのスピンオフ作品として考えるなら、これもアリかなと思います。
・ウルティマ フォーエバー Quest for the Avatar (iTunes が起動します)
動作の重さ、不安定な通信、ローディングの長さと三重苦なのでプレイは初日以降やってませんが…。
あと、同じ操作系列のDS版ゼルダでも迂回とかできませんので、
最適解かは解りませんが、バーチャルパッドでやるよりはずっといい操作性だと思います。