空母から飛び立つ艦載機を操り、敵の駐屯地や軍艦などを空襲する、レトロゲームを復刻した横スクロールのシューティングゲームが登場し、ランキング上位になっています。
Wings Of Valor」です。

1989 年に Apple II で発売されていた「Wings of Fury」というゲームをベースにしており、よって正確にはリメイクと言うより続編になります。
iOS 版は昨年すでに発売されていたのですが、口コミで噂が広まったのか、某ジブリ映画の影響なのか、今になって日本でヒットしています。

昔のゲームを再現しているので、グラフィックはシンプルだし、内容もそんなに凄いという訳ではないのですが、延々とやり続けてしまう中毒性があります
とても丁寧に作られていて、難易度のバランスも良く、ゲームの根本的な面白さがあるのが、このハマりやすさの理由でしょうか。

Wings Of Valor

まず発進の仕方が解りにくいので、そこを解説しておきましょう。

ステージが始まったら、下部にあるプロペラのボタンを「数回」押します
昔のエンジンなので、何回か押さないとかかりません。

エンジンが動いてプロペラが回り始めたら、左にレバーを倒し、そのまま「余計なことはせずに」まっすぐ走りましょう
まっすぐ走っていれば揚力を得られるだけのスピードが出るので、そのまま空母の端から出れば、飛び立つことができます。

途中で余計なことをして減速すると揚力を得られるだけのスピードが出ず、海にポチャンと落ちます。
また右に行くと滑走路の長さが足りなくてスピードが出ず、やっぱりポチャンと落ちます。
左に移動して助走距離を取り、それから右に走れば右方向に飛び立つことも出来ますが、左に飛び立ってからターンした方が早いです。

飛び立ったら車輪のボタンを押し、脚を引っ込めます。 引っ込めないとスピードと揚力が落ちます。

以上が離陸の方法で、この説明でこれがどんなゲームなのかが解ると思います。
こういう「手間をかける面白さ」があるゲームは、昔の海外の PC ゲームにはよくありました。

着艦の方法は、まず車輪ボタンで足を出し、それから甲板の上にそっと(水平に近い角度で)降ります。
そんなに難しくはありませんが、甲板には飛行機にブレーキをかける「ワイヤー」が付いていて、このワイヤーの場所でなければ減速が行われません

ワイヤーは艦の右側に付いているので、右から降りた場合、ワイヤーの手前で降りないとそのまま走っていってしまいます。
左側から降りれば右にあるワイヤーまで距離があるので、そのまま走っていればブレーキがかかります。

着艦後は格納庫の上まで移動し、そこでスティックを下に倒せばエレベーターで艦内に格納され、帰投や補給、修理や換装などを行えます。

Wings Of Valor
※離陸前の状態。 まずはプロペラボタン。 それからまっすぐ左に移動し、そのまま飛立ちぬ。
プスン、プスン、ウィーン、ブルブルブル・・・ っていうローテクなエンジン音が良いです。


Wings Of Valor
※こちらは着艦した時の様子。 緑の矢印の部分に「よーく見ると」突起があり、そこに着艦用のワイヤーがあります。
格納庫の右側にあり、行き過ぎるとそのまま走っていってやり直しになるので注意。
なお、任務完了しても着艦し、エレベーターの上に移動して、格納庫に入るまで終わりになりません。 家に帰るまでが作戦です。


ゲームにはステージクリア型の「キャンペーン」と、敵の襲撃にどれだけ耐えられるかを競う「ディフェンス」がありますが、メインになるのはキャンペーンですね。

開始時に日本とアメリカのどちらでプレイするかを選択でき、日本だとゼロ戦(A6M ZERO)、アメリカだとヘルキャット(F6F HELLCAT)になります。
ゼロ戦は機動力に勝り、ヘルキャットは耐久力に勝ります。

キャンペーンの序盤は、敵の島に空襲をかけるステージが続きます。
上から爆弾をポイポイ落としていれば撃破できますが、破壊した建物から歩兵が出てきて、壊された設備を応急修理してしまいます
島を制圧するには建物を全て破壊し、さらに敵兵も全滅させなければなりませんが、爆弾の搭載数には限りがあるため、機銃で敵兵を狙う必要もあります

対空砲でダメージを受けたり、爆弾がなくなったりした時は、空母に戻って格納庫に入れば修理・補給できます。
またゲームが進んで別の機体や装備を手に入れていれば、そちらに変更することも可能です。

ただ、ステージによっては何度も補給に戻らなくてはならないため、それが面倒なのが難点ですね。
しかしこの「面倒さ」がゲームの良さだったりもするので、難しいところですが。

作戦を完了して帰還すればスコアが入り、さらにスコアに応じて Valor Point を得られます。
このポイントでパワーアップや新装備、新機体などを購入する事が出来るのですが・・・ 新しい装備の方が良いとは一概に言えません。

例えば、最初に買える「AP Bullet」は装甲貫通力のある機銃弾ですが、連射性能は下がるため、建物などを狙うのには良いのですが、空中戦や歩兵の掃討にはあまり向いていません。
「ROCKET」は強力なロケット弾を前方に撃てますが、どちらかと言うと空中戦用であり、爆撃には使いにくいです。
パワーアップも用途に合わせて使う感じでしょうか。

なお、「DIVE BOMBER」というパワーアップを購入すると、日本だと九七式艦攻(B5N KATE)、アメリカだとドーントレス(SBD DAUNTLESS)という攻撃機 / 爆撃機も使えるようになります。
スピードに劣りますが、爆弾の搭載量が多めです。

Wings Of Valor
※発進前の装備選択画面。 ちょっと解りにくいのですが、各装備欄がダイヤルのようになっていて、上下にスライドすることで装備品を変更することが出来ます。
アップグレードのリストも上下にスクロールするので見逃さないように。
購入に必要な Valor Point はやられると 10 %失ってしまうので、貯めている時は無理は禁物です。


最初は敵の島を1つ制圧するだけのステージが続きますが、次第に制圧する島の数が増えていき、敵戦闘機も迎撃してくるようになります。
ステージ 15 からは敵の軍艦も登場し、ステージ 20 からは敵編隊がこちらの空母を襲撃してくる防戦ステージも発生するようになります。

全体的に派手さはないのですが、適度なパワーアップ要素と遊びやすいゲームバランス、シンプルなのになぜか飽きの来ないゲーム展開で、冒頭でも述べましたが、延々とやってしまうゲームです
グラフィックや演出ではなく、ゲーム性で勝負している感じでしょうか。

iPhone だとキャラがすごく小さいのが難点ですが、それほどやり辛いということはありません。
iPad の方がプレイしやすいとは思いますが。

エンディングはなくひたすら続くようですが、100 ステージクリアのゲームセンターの実績があるので、これが1つの目標と言えるでしょう。
ディフェンスモードはスコア(撃墜数)を競う、普通のシューティングゲームに近い形です。

Wings Of Valor
※敵の軍艦を空襲している様子。 爆弾でも倒せますが、魚雷があればそれが一番有効です。
味方の駆逐艦を購入することもでき、対空砲で援護してくれます。
空母や駆逐艦の対空射撃は結構強いので、ワザと敵を引き寄せれば有利に戦えます。


価格は 170 円。 課金要素はありません。
この販売スタイルもレトロ(?)な感じで良いですね。
iTunes の説明文でも「ゲーム内購買(IAP)無し」というのが「ゲームの特徴」として紹介されています。

私はこのゲームの原作を知らないので、いわゆる「思い出補正」はないのですが、にも関わらずここまでハマれるってのは、やはり良く出来ているということなのでしょう。

良い意味で、限られたハードウェアでゲーム性を追求していた頃の、「レトロゲームらしい」内容です。

Wings Of Valor (iTunes が起動します)
Wings of Valor for iPad (iPad 専用版です)