カプコンが音ゲー!? しかも音ゲー+パズドラ系?
ということで話題になっている、ユニークな「音楽ゲーム+ソーシャルゲーム」が登場しています。
オトレンジャー」です。

このアプリは「音楽ゲーム」と称されていますが、音楽というより「リズムゲーム」と考えた方が良いです
グルーヴコースター や 太鼓の達人 のように曲を疑似演奏するものではなく、短い繰り返しのフレーズに合わせてボタンを押す、という感じのものですね。
ボーカル入りの長めの曲もありますが、ゲームとしては リズム天国 に近い内容で、同じ「音ゲー+ソーシャル」でも ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル とはかなり異なります。

ミニゲーム / ソーシャルゲームの雰囲気が強く、一般的な音楽ゲームを想定してプレイすると拍子抜けするかもしれないのでご注意を。
ただ、演出やグラフィックなどは非常に良くできていて、ここは「さすがカプコン」です。
ポップで戦隊モノ風のキャラクターデザインも良く、技術的なクオリティーは高いですね。

オトレンジャー

5体のキャラクター+助っ人1体でパーティーを組み、バトルに出撃するパズドラ系ソーシャルです。
出撃時にスタミナを消費し、これが尽きたらしばらく待たないと再プレイ出来ません。

戦闘時には CD を模したような円盤が回り、その外側と内側の2ヶ所にマーカーが付いています。
このマーカーが下部の枠に合った時にその部分をタップすると、マーカーの色に応じたキャラの攻撃力が貯まります。
マーカーは音やテンポに合わせて出てくるので、目で見て押すのではなく、リズムに合わせて押すことが大切です

10 秒ほどプレイすると攻撃シーンになり、貯まった攻撃力の分だけ相手をボコボコ殴り、その後に残った敵が反撃してきます。 以後はこの繰り返しです。
ザコを数回倒すとボスが登場し、それに勝利すればステージクリア。

10 秒ほどの短いフレーズを繰り返すゲームなので、演奏される曲もそんな感じの BGM です。
つまり冒頭でも述べたように、曲は曲と言うよりは、ミニゲーム用に作られたフレーズですね。
ボス戦では長めの曲が流れますが、やはり 10 秒区切りのゲームだし、倒した時点で曲は終了するので、音楽がメインのゲームという感じではありません。

ただ、曲は様々なジャンルが集められていて、音質も作り込まれている印象です。
細かい音質の表現はスピーカーでは解らないので、プレイ時にはイヤホンを付けるのを推奨します

オトレンジャー
※長押しやフリックのマーカーもあります。 グルーヴコースタと違って、ちゃんと枠のある場所をタップしないとダメなので注意。
判定範囲が狭く、特にフリックは入力ミスしやすいのが欠点。
右はゲージが貯まった時に出せる必殺技で、初期キャラである「オトレンジャー」の必殺技は巨大ロボット召喚。
この辺は戦隊モノらしくて良いですね。


オトレンジャー
※キャラクターデザインはポップで可愛らしい感じ。 他のソーシャルゲームとはちょっと違う雰囲気ですね。
キャラクターは宝石がモチーフの「ジュエルプリンセス」や、おとぎ話がモチーフの「おとぎ組」、戦国武将がモチーフの「センゴクV」など、いくつかのシリーズに分けられています。
そしてジュエルなら回復タイプ、センゴクなら攻撃タイプ、おとぎ系ならマーカーの色の変化など、使用するスキルもシリーズごとに決まっています。
属性の強弱は 赤→緑→黄→桃→青→赤。 黒は影響なし。 色が多くて少し解り辛いので注意。


バトルによってキャラクターを得られ、それを「合成」することでレベルアップするなど、RPG 部分の基本システムは「パズドラ系」をそのまま踏襲しています
レベルを最大にして必要な素材を集めれば「進化」できるなど、他と違う部分は特に見られません。
クエスト(バトル)も「曜日限定バトル」などがあり、パズドラ系そのまんまですね。
あまりに「まんま」過ぎるので、迷わなくて良いけど、もうちょっと独自の要素も欲しかったかも。

難点は、ボス戦で「何もすることがない時間」があること
10 秒程のフレーズをプレイし、攻撃が行われ、敵が反撃してくるのが1セットですが、ボス戦の場合はその後に数秒間の「待機時間」が入ります。
これは BGM とゲームの周期を合わせるためのようで、短いフレーズが繰り返されるザコ戦と違い、ボス戦はちゃんと曲になっているため、この待機時間を長めに取っているようです。

しかしリズムゲームの途中で何もすることがない時間が、何度も繰り返し挿入されるというのは、ゲームのテンポやリズム感を非常に悪くしています。
これは「音楽ゲーム」の性質上、結構致命的です。 ノリに水を差されるのですから。
間奏とかそういうレベルじゃない。

また個人的にやってて気になるのは、成長要素や攻略要素が弱いこと。
「ゲームの結果に応じて敵にダメージを与える」というより、「リズムゲームをやったら副次的に敵にダメージが入ってる」みたいな感じなので、キャラをパワーアップさせて攻撃力を上げても、それを実感しにくい
どの程度ゲームがラクになったのか判然としない。

加えて出てくるマーカーの色がランダムだから特定の色を狙うというようなことは出来ないし、スキルも多用できないのでそれを状況に合わせて使うという戦略性にも乏しい。
そもそもパズルゲームじゃないのでゲーム自体の攻略要素は最初から少ないし。

おまけにバトルでキャラクターを入手できる確率が低い。 クリアしてもキャラを1体も入手できないなんてザラ。
だから「合成」ができる回数が少なく、成長ペース自体が他のパズドラ系より遅い。

この「リズムゲーム+バトル」という形式を面白くするには、与えるダメージの増加を視覚的に強調するとか、演出とシステムにもっと工夫が必要な気がしますね。
もうパズドラ系に囚われず、ラブライブ! みたいにスキルを自動発動にしたり、パッシブスキル(常時スキル)をメインにするなどして、ゲーム中にリズムが損なわれないようにした方が良かったようにも思えます。

オトレンジャー
※左はボス戦で「待機」している様子。 攻撃の度に 8 秒ほど、なにもせずにボーっと待たないといけません。 リズムゲームなのに。
スキルが使える時はこの間に発動させることが出来ますが、あまり頻繁にスキルを使えるようなゲームではありません。
必殺技が使用可能な時はザコ戦でも待機時間が発生します。 画面上部の「スキップ」のボタンを押せばパスできますが、これが数秒しか表示されず、押し忘れるとザコ戦でも次のフレーズまでやることなくボーっと待たないといけません。


価格は無料。 パズドラ系ですからもちろん課金はあります。
課金通貨の「エナジー」は1つ 85 円で、有料ガチャ1回に5つ必要なので、有料ガチャの値段は 425 円

序盤はバトルクリアでもエナジーを貯められるので、無課金でも何回かは有料ガチャを実行できますが、エナジーを5つ購入する課金はなく、2個 170 円の課金の上は、いきなり 10+1 個 850 円の課金。
この辺には若干のいやらしさを感じます。

ややネガティブなレビューになってしまいましたが、アプリのクオリティーは悪くなく、曲も長めのものは少ないとは言え、ノリの良い曲がそろっています。
パズドラ系としては高ランクの作品ですね

ただ、音楽ゲームにソーシャルの要素を加えているのではなく、「音ゲーを利用したソーシャルゲームを作っている」という感じなので、つまりソーシャルゲームの方が完全に上に来ている内容です
それが悪いとは言いませんし、これはこれで楽しめますが、音ゲーとしてプレイすると「違う」ということになるのでご注意下さい。

オトレンジャー (iTunes が起動します)


最後になりましたが、以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。