9月22日に放送されたフジテレビの番組「ほこ×たて」で、2度目の「最強オセロプログラム VS 最強オセロプログラム」の対決が行われていました。

これは2月に放送された1度目の対決の続編で、その時に勝利した BTD STUDIO という会社のプログラム「HAYABUSA」と、UNBALANCE という会社のオセロゲーム「ザ・オセロ(R)」が対決したものです。

この HAYABUSA と ザ・オセロ(R) の対決は、1度目の放送を見た後に当ブログで行った対戦企画 の最終戦の組み合わせと同じです。
共にテーブルゲームのライバル老舗メーカー。 2度目の対決が行われるのであれば、この組み合わせになるのは必然だったと言えるでしょう。

この対決、放送を見ていた方ならご存じだと思いますが、ザ・オセロ(R) は iPad を持ち込んで、その場で iOS 版を起動させて対局を行っていました
つまりテレビで戦っていたプログラムは、そのまま iTunes で公開されているものと同じだと思われます。
なお、ザ・オセロ(R) は4月にレベル 30 まで追加されており、レベル 20 までしかなかった前回の検証の時より強くなっています

一方、HAYABUSA の方は・・・ このプログラムと対戦できるアプリは「オセロ オンライン」ですが、先日の放送があった後も、特にアップデートは行われていません。
1ヶ月ほど待ってみましたが変化はなく、iPad 版に至っては HAYABUSA モードさえ搭載されていない有り様で、まったくやる気が感じられない状態

Android 版はアップデートが行われ、この放送に合わせて「神 HAYABUSA」なるモードが追加されたのですが、こちらは非対応機種が多く、Softbank 回線ではプレイ出来ず、タブレット系も全滅など、利用環境に制限が多い難点があり、遊べる機種を調達できる目処が立ちませんでした。

しかし現行の iPhone 版オセロオンラインの「HAYABUSA 超上級」を、今年の2月に対戦させて HAYABUSA が敗れたザ・オセロ(R) の Lv20 と対戦させてみたところ・・・

othello21

4度やって、すべて HAYABUSA が勝利。 しかもかなり圧倒的に!
HAYABUSA はオンライン上のサーバーで処理を行っているため、サーバー側の AI はちゃんと最新版に改良されていると判断

という訳で、この HAYABUSA(2013/10ver)ザ・オセロ (R) Lv30 で、改めて「ほこ×たて」の対戦を再現してみることにしました。
果たして両者の対決は、テレビの結果通りになるのでしょうか?

今回は互いに先行(黒)後攻(白)で2戦ずつ、計4戦を行います。
2勝2敗になった場合は1戦ずつ行うサドンデスに入ります。

まず、一戦目、二戦目の対戦結果は・・・

othello2vs1

両者一勝一敗! 好勝負のスタートです。

打ち方の特徴としては、HAYABUSA はあまり角を重視しません
オセロR がそういう方向に仕向けているのもあると思いますが、割と平気で角の隣に打ち込んだり、相手に角を献上したりします。
深い読みがあってのことだとは思いますが、そのまま角を取られて押し切られたりもするので、ちょっと理解し辛い特徴的な打ち方の印象があります。

思考時間は相変わらず HAYABUSA は超高速。 1~2秒ほど「思考中」と表示されるだけで、ほぼ即打ちしてきます。
オセロ(R) Lv30 は流石に Lv20 の時より長く、最長で8秒ほど考えます
ただ、それ以上考えることは絶対にないので、その辺りでリミッターをかけているみたいですね。

続いて、三戦目と四戦目・・・

othello2vs2

またもや一勝一敗! 互いに2勝2敗により、このままサドンデスに入ります

打ち筋の傾向としては、HAYABUSA は相手の打つところをなくすのを優先、オセロR は壁を作らせたり端を押さえるなどの「形」を作るのを優先している印象です。

HAYABUSA は相手をパスに追い込めば逆転するけど、終始危なっかしい感じがしますね。
一方、オセロR は正攻法でしょうか。

そしてサドンデスの結果は・・・

othello2sd1

再び一勝一敗! サドンデス続行です!

というか、何なんでしょうか、この白(後手)必勝ゲームは
そう言えばテレビの放送で先手後手を決める時、

BTD STUDIO(HAYABUSA):どちらでも良いです
UNBALANCE(オセロR):こちらもどちらでも良いです
BTD STUDIO(HAYABUSA):じゃあ、私の方が白で

っていうやり取りがあったのですが、これが勝負を決めたんじゃないのか?
BTD STUDIO の人が「じゃあ白で」と言ったのは、何かの確信があったんじゃないだろうか・・・

そしてサドンデス二戦目の勝敗は・・・

othello2sd2

遂に HAYABUSA が白(後手)で敗北! オセロR は白でも無難に勝利。
という訳で今回も、最強オセロプログラム(iPhone アプリ)の座は「ザ・オセロ (R)」に決定しました!

いやー、またフジテレビからクレームが来そう。
でも実際の実力としては、ほぼ互角と見て良さそうですね。
そして延々と続く勢いだったから、終わって良かった・・・

まあ、今回試したのはあくまで iPhone 版の HAYABUSA 。
Android 版に加えられた神 HAYABUSA だと違うのかもしれないし、今後もプログラムの改良は続いていくことでしょう。

名勝負を繰り広げてくれた両アプリに拍手。

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という訳で、ここからはオマケ。 というか追加検証です。
前回の記事の時に、PC 版のオセロプログラムと対戦させて欲しいという意見を頂いていたので、それを試してみようと思います。

まずは強いと評判らしい、PC の本格多機能リバーシソフト「MasterReversi」と対戦。
iPhone アプリ側はどちらも白(後手)で勝負しています。
MasterReversi 側の思考レベルは5(最大)。 他にも細かい調整が出来ますが、今回は変更していません。

結果は以下の通りです。

othello2sp1

ザ・オセロ (R) Lv30 は僅差で敗北、HAYABUSA 超上級は引き分け。
展開も互角に見え、おそらく MasterReversi の(詳細設定なしでの)強さは ザ・オセロ や HAYABUSA と同等だと思われます。

ただ思考時間は大幅に違い、MasterReversi は 3GHz の CPU(Core i7 950、最大 3.33 GHz x4)をぶん回して1分ぐらい思考したりするので、プログラム的にはザ・オセロや HAYABUSA の方が洗練されている気はしますね。

続いて、最強の PC 用オセロプログラムと言われている「WZebra」(ゼブラ)と対戦。
これはオセロ解析用ソフトといった感じのもので、サウンドや演出などは何もなく、遊んでて楽しいというものではありません。
その分、純粋に強さと解析機能のみが追求されています。 ある意味、競技用プログラムですね。

このプログラムはレベルではなく、COM の「読みの深さ」で難易度を調整するのですが、中間難度の「6手読み+終盤14手完全読み」の設定だと、以下の様になりました。

othello2sp2

ザ・オセロは引き分け、HAYABUSA は勝利。
PC 版オセロとの対決では HAYABUSA の方が好成績ですが、この辺は相性によるのでしょうか?

もっと難易度を上げた場合の勝敗は以下のようになりました。

8手読み+終盤16手完全読み:オセロR 28-36 で負け、HAYABUSA 21-43 で負け
12手読み+終盤18手完全読み:オセロR 29-35 で負け、HAYABUSA 21-43 で負け
16手読み+終盤20手完全読み:オセロR 31-33 で負け、HAYABUSA 29-35 で負け

やはり真のオセロ最強プログラムには勝てない模様。 WZebra は思考時間も非常に高速です。
今のところ iOS 版オセロの実力は、WZebra の「6手読み+終盤14手完全読み」レベルのようですね。

ただ、WZebra も高難度で難しい局面になると、CPU をぶん回して解析し始めます。
やっぱりハードウェアのパワーも AI の強さには必要なはず。
サーバーで処理している HAYABUSA はともかく、ザ・オセロ(R) は思考時間に制限をかけているうえに、iPhone や iPad の 1GHz 程度の CPU で思考しているので、本当ならもっと強いプログラムのはず
ここはもう、ハード側のパワーアップを待つしかないのでしょうね。

それを考えると、「ほこ×たて」の対戦の時、HAYABUSA 側は PC を持ち込んで動かしていたのに対し、ザ・オセロ(R) は iPad で対戦していたのだから、もうその時点で勝負は決まってた気がしないでもない・・・

ザ・オセロ(R) (iTunes が起動します)
オセロ オンライン (iTunes 起動、HAYABUSA 搭載)