第二次世界大戦のドイツ軍によるモスクワ攻略作戦「タイフーン作戦」を、ボードゲームで再現した戦術シミュレーションゲームが公開されています。
Drive on Moscow: War in the Snow」です。

※このアプリは 2016年10月、「Drive on Moscow: Crisis in Command Vol. 2」という新アプリに移行しました。

「ヒストリカル・ウォーゲーム」や「アナログゲーム」と呼ばれる、史実を再現したボードゲームシリーズ「Crisis in Command」の2作目で、1作目「Battle of the Bulge」と共通のルールを持ちます。
※3作目「Desert Fox」も発売されています。

一般的なボードゲーム / ドイツゲームより難しく、題材もマニアックなので、万人向けのゲームではありませんが、史実を細かく再現した設定と、ボードゲームアプリとしてはかなりレベルの高い演出&サウンドを持つ、高クオリティーなアプリです。
開発はアメリカのメーカーですが、今回も枢軸(ドイツ)と連合(ソビエト)のどちらでもプレイ可能です。

ただし現時点(2013/11)では iPad 専用アプリなのでご注意下さい
前作「Battle of the Bulge」はアップデートで iPhone 対応&日本語化されたので、いずれこちらも対応するかもしれませんが、今の時点では iPad 版のみとなっています。

※アップデートで iPhone にも対応しました。
※新アプリは iPhone にはまだ非対応です。(2016/12 時点)


Drive on Moscow

簡単に史実のモスクワ侵攻作戦(バルバロッサ、タイフーン)について説明すると・・・
時期的には、第二次世界大戦の中期にあたります。

ポーランドとフランスを開幕パンチでノックアウトしたドイツは、調子に乗ってイギリス上陸を目指すも失敗。
しかしヨーロッパ西部の戦いは一段落したので、戦争不可避となっていたソ連に先制攻撃をしかけ、開幕ダッシュで国境部隊をフルボッコにしました。

しかし寄り道したり長雨で地面が泥沼になったりしている間に冬が訪れ、バナナで釘が打てるぐらいに寒くなり、進攻は停滞。
冬に強いソ連軍は強力な戦車も投入して反撃を開始し、モスクワ攻略は失敗、イギリスとソ連という東西のライバルにトドメを刺せなかったドイツは、そのまま敗北への道を辿っていくことになります。

このゲームはそのドイツのモスクワ攻略作戦「タイフーン作戦」を、ボード上で再現する形で進行します
つまり普通にやると、序盤は好調だけど雨と補給不足で進軍が鈍り、ソ連の援軍もどんどん訪れ、気温は氷点下になり、最後は勢いを盛り返したソ連の反撃でボコボコにされます。

ゲームの基本システムは前作同様、ターン制の戦術シミュレーションゲームです。
マップは不定形のマスで区切られており、コマを動かす際には任意のマスを指定して、そこにいるコマを全て動かすことが出来ます。
1度動かしたコマを連続で動かすことはできません。
相手と自分が交互にコマを動かし、それを何度か行うと1つの期間が終了。
次の期間になると再び全てのコマを動かせるようになり、以後は繰り返しですね。

同じマスに敵と味方のユニットが混在した状態になると戦闘開始。
バンバンと撃ち合う音が聞こえ、ダメージを受けたコマには穴が開きます。
戦闘の演出はなかなか良く、特にサウンドはクオリティが高いですね。

ユニットは「戦車」「歩兵」「自動車化歩兵」の3種類で、当然戦車の方が強いです。
ただ、マークの付いた「エリート部隊」は他よりも強力で、かつ同じ場所にいる味方ユニットに命中ボーナスを与えます。

他の大戦略系のゲームと違い、コマはそう簡単には壊滅しません
大きな被害を受けると「撤退」が発生しますし、戦いは基本的に防御側有利なので、ガンガン攻めていけるゲームではありません。
また、ドイツは部隊が壊滅すると勝利点が下がるペナルティを受けるので、無謀な戦いは避ける必要があります。

Drive on Moscow
※若干インターフェイスが解りにくいのが難点。
命令を与えた後、それを実行するのは右上のボタン、やり直しは左上の矢印ボタンです。
勝利点は ≡ のボタンを押してメニューを表示しないと確認できなくなりました。
ドイツ軍の場合、晴天の時はその日の最初に足止めしたい敵を1つ選びます。
また回復が可能な日は、まず回復させたい部隊の選択を行います。


Drive on Moscow
※戦闘の予測結果と、戦闘に影響する各要素を示すアイコンの一覧。
エリート部隊がいると命中 +10 %、相手に戦車がいると命中 -10 %、ソ連が自軍領内で防戦しているとドイツの命中 -10 %、攻撃側が渡河していると防御側の命中 +10 %。
また、包囲やガス欠で補給不足だと命中が 20 %になり、孤立無援だと攻撃不可です。
戦車の基本命中率は 40 %、歩兵は 30 %で、結果予測はこれらが加味されて表示されます。
でも実際には1回の攻撃ごとに 10 面ダイスが振られている形なので、結果は運にも左右されますね。
防御側が町や森にいる場合、建物や木が攻撃を防ぐ盾になるため、かなり鉄壁です。


ゲームの目的は勝利点(VP)を稼ぐこと。
勝利点はマップ上の特定のポイントを占領することで得られるのですが、今回は単に VP が増えるポイントと、占領し続けることで毎ターン VP が増加し続けるポイント(1VP+)の2つが存在します

継続的して VP が増えるポイントは主にモスクワ周辺にあり、ここを早めに押さえてキープし続けるのが勝利への近道となります。
最終日に一定以上の VP があれば勝利、一定以下なら敗北、その中間なら引き分けですね。

もちろんドイツがモスクワを攻略したら、その時点で決着が付きますが、モスクワは町+森の防御効果があり難攻不落です。 たまにコンピューターは手薄にしたりするけど。

もう1つの重要なルールで、さらに前作と仕様が変わっているのが「補給線」の要素
補給元に繋がっていない支配地がある場合、そこいる部隊は次の期間に「補給不足」に陥り、さらにその状態が続くと「孤立無援」になります。

補給不足だと戦力が低下し、移動も不可。 孤立無援だと攻撃も不可になり、さらに同じ場所に敵部隊がいると、ターン開始時に2のダメージを自然に受けてしまいます
森や町で守っている敵はかなり手強いのですが、無補給状態にしてしまえば戦わずして勝つことも可能です。

そして前作は、この「補給元」が画面の端全部だったのですが、今回は画面の端にある特定のポイント(丸印のある場所)になりました
よって前作より敵の補給を遮断しやすくなっています。

ただ、ソ連はドイツよりもターン開始時に得られる回復ポイントが多く、さらに回復ポイントを1つ使うことで、やられた部隊を(低耐久力で)復活させることが出来るようになっています。
倒しても倒してもワラワラ湧いてくるソ連軍を再現しているのだと思われ、ドイツはどうしても後半押され気味になりますね。

Drive on Moscow
※メニューでカレンダーを選択すると、日程と援軍やダメージ回復量を確認することが出来ます。
今回は1日区切りではなく、3~4日で1つの期間が構成されています。
ソ連の援軍は★マークの土地に現れ、配置場所はソ連側が自由に選べるので、★マークの土地を占領しても相手の補充を遅らせる事は(全部の★マークの土地を押さえない限り)できません。


Drive on Moscow
※ブリーフィング画面。 史実の写真が雰囲気を出していて良いですね。
ゲーム中にメニューからブリーフィング画面を開くとラジオから軍歌や通信が聞こえてきたりします。
歴史解説も豊富で、文字通り「ヒストリカル・ウォーゲーム」という感じです。


ゲームのシナリオは4つ、うち3つはショートシナリオで、1つが全編を通してプレイするメインシナリオです
最初は序盤戦のみをプレイするショートシナリオ「Operation Typhoon」にカーソルが合っているのですが、ショートシナリオはプレイ期間が短く、その間に結構ハードな勝利条件を満たさなければならないため、初めてだと意味がよく解らないうちに終わってしまいます。
また期間が短いため、詰め将棋的・ソリティア的な攻略が必要で、難易度も高いです。

リストの一番下の「The Moscow Campaign」がメインシナリオであり、こちらの方が勝利も目指しやすいので、いきなりこのシナリオからプレイするのをオススメします

前述したようにドイツとソ連の双方でプレイ可能で、敵 AI もそれぞれの軍に2種類用意されています。

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



価格は 1000 円。 正直 iOS アプリとしては高いのですが・・・
ウォーゲームとしてのクオリティーは十分だし、この手のゲームが好きな人なら損はしない出来だと思います。

ちなみに前作は 850 円でしたが、1000 円になったのは Apple の価格レート改定の影響のため、実質的には変わっていません。(よって Battle of the Bulge も現在は 1000 円です)
前作は一部のシナリオや将軍が課金要素になっていましたが、今回は(現時点では)追加課金はありません。

前作同様、ニッチなユーザー層を狙い打ちするような特化型ゲームであり、まったく万人向けではありません。
ただ、私のような戦略シミュレーションゲーム好きで、歴史好きで、ボードゲーム好きにとっては、絶対見逃せない作品ですね。
同じような趣味を持っている方には、一押しできるアプリです。

Drive on Moscow: Crisis in Command Vol. 2(iTunes が起動します)


【 ちょこっと攻略・タイフーン作戦 スケジュール 】

9月30日~10月2日:晴れ
最初の3ターンはずっとドイツのターン、反撃も受けない。
晴天の間、ドイツは開始時に空爆で敵1部隊を足止め出来る。
晴天の間、ドイツ軍は補給の空中投下を受けられる(包囲を受けない)。
晴天の間、ドイツの戦車は敵を撃破後に追加移動可能。
晴天の間、ソビエトの空挺師団は空挺移動可能。

10月3日~10月5日:晴れ
最初の2ターンはずっとドイツのターン、反撃も受けない。
ソビエト軍に増援3部隊。

10月6日~10月8日:晴れ
最初の1ターンはドイツのターン、反撃も受けない。
この日からドイツの戦車に燃料不足が発生する。
ソビエト軍に増援2部隊。

10月9日~10月11日:晴れ
ソビエト軍に増援1部隊。

10月12日~10月14日:晴れ
ソビエト軍に増援2部隊。
この日からソビエトの戦車にも燃料不足が発生する。
シナリオ「Operation Typhoon」はこの日で終了。

10月15日~10月19日:雨
この日から雨天。 ドイツの空爆による足止めは終了。
雨天の間、泥濘化によりドイツの戦車/車両は1マスしか動けない。
雨天の間、ドイツの戦車が敵を撃破しても追加移動できない。
雨天の間、ソビエトの空挺師団の空挺移動は出来ない。

10月20日~10月24日:雨
10月25日~10月29日:雨
10月30日~11月3日:雨
11月4日~11月8日:雨

11月9日~11月13日:雨
ドイツの投下補給終了。 この日からドイツ軍も普通に包囲を受ける。
ソビエト軍に増援3部隊。

11月14日~11月16日:氷点下
最初の3ターンはずっとドイツのターン、反撃も受けない。
この日から氷点下。 川が凍結し渡河ペナルティがなくなる。
氷点下の間、地面の凍結によりドイツの戦車/車両が再び2マス移動可能。
氷点下の間、ドイツの戦車は敵を撃破すると追加移動可能。
これ以降、ソビエトの空挺部隊は再び空挺移動可能。
これ以降、森の防御効果は2から1に減少。
シナリオ「At the Gates」はこの日からスタート。

11月17日~11月19日:氷点下
11月20日~11月22日:氷点下
11月23日~11月25日:氷点下
11月26日~11月28日:氷点下

11月29日~12月1日:氷点下
ソビエト軍に増援3部隊。
シナリオ「At the Gates」はこの日で終了。

12月2日~12月4日:雪
この日から積雪。 これ以降ドイツの戦車/車両は1マスしか動けない。
これ以降、ドイツの戦車は敵を撃破しても追加移動できない。
これ以降、ドイツ軍は森の防御効果が0になる。
これ以降、ソビエトの戦車は敵を撃破後に追加移動可能。

12月5日~12月7日:雪
最初の3ターンはずっとソビエトのターン、反撃も受けない。
この日からソビエト軍が先に行動する。
シナリオ「Zhukov's Counterattack」はこの日からスタート。

12月8日~12月10日:雪
最初の2ターンはずっとソビエトのターン、反撃も受けない。

12月11日~12月13日:雪

12月14日~12月16日:雪
最終日。
ドイツの勝利点 26 以上でドイツの勝利。
ドイツの勝利点 20 以下でソビエトの勝利。