ポリゴン(3D グラフィック技術)を使ったリアルレーシングゲームの先駆けの1つであり、華麗なドリフト走行を手軽に行える独特な操作感を持つ、ナムコの人気レースゲーム「リッジレーサー」。
そのリッジレーサーの最新作が先日 iOS で公開されました。
Ridge Racer Slipstream」(リッジレーサー スリップストリーム)です。
新作であり、移植作ではありません。

iPhone では 2009 年末、「RIDGE RACER ACCELERATED」というシリーズ作が公開されていましたが、このアプリは公開当初、動作がガクガクでロクに遊べる代物ではなく、iTunes レビューはユーザーの批判で大炎上。
ナムコの黒歴史に新たな1ページを刻んだアプリでした。
その後、度重なるアップデートとハードの進化によって普通に遊べるものになったのですが、今となってはやや古いですね。
(また iOS7 では(現時点で)不具合が出るようです)

今回の Slipstream は iOS の2作目のリッジレーサーになるのですが、開発はナムコの内製ではなく、日本の会社でもなく、ハンガリーの Invictus というメーカー
過去に Windows や iPhone でいくつかのレースゲームを開発した実績があり、スマホ版 Greed Corp の移植も担当していたようです。

ただ、今回のリッジレーサーは「日本語訳」が非常に残念なことになっています・・・
以下のような状態です。

Ridge Racer Slipstream

ゴールしたらいきなり画面にでっかく「終える」。
ボイスで「フィニーッシュ!」と言うのですが、画面には「終える」。

この時点で私のこのゲームの呼び名は「リッジレーサー 終える」に決定しました。

さらにアップグレードのシーンには「上り坂」。
どうやら Up Grade を直訳した模様。 機械翻訳のまんまだなコレ。

リッジレーサーってクールなイメージがあるゲームですが、これではイメージ壊れますね
相変わらずナムコって、スマホアプリの製品チェックしないんだなぁ・・・

※現在はアップデートで修正され、まともな表示になっています。

そんな訳で、リッジレーサーは日本のゲームのイメージがありますが、今回は海外製であることを念頭に置いた方が良いでしょう
ただ、「リッジらしさ」がなくなっている訳ではありません。
リッジレーサーならではの手軽でスピード感のあるドリフト走行は健在です

Ridge Racer Slipstream

操作は画面を傾けて行うティルト操作と、方向キーを使った操作を選べます。
アクセルは自動ですが、マニュアルに変更することも可能。

操作感は非常に良好で、ティルト操作と方向キー操作、どちらも車体をコントロールしやすく、ハンドリングにも違和感はありません。
本当、この操作感は既存のレースゲームの中でもトップクラスではないでしょうか
まあこの操作感の良さは、リアルさを廃し、ゲームとしての挙動を優先しているためでもあると思いますが。

ただ、ボタンがやや小さいのは気になります。
ボタンのサイズや位置を変更できず、しかも方向キーのすぐ上にニトロの使用ボタンがあるため、ゲーム中にニトロが暴発する事故が頻発します
それにブレーキはボタンにする必要があったのかと。 他のゲームみたいに自動アクセルの場合、画面右側のどこかをタップでも良いんじゃないかと思います。

これらを加味して考えると、操作性としては普通といったところでしょうか。
なお、ドリフトを多用するゲームであり、カーブ中に頻繁にハンドルを切るため、画面を傾けるティルト操作より方向キーの方がプレイはしやすいですね。

レースゲームとしての特徴は、何度も述べているようにドリフトが主体であること。
どんな急カーブでも、減速せずに突っ込んで、曲がりながらブレーキングしてドリフトに入れば、そのまま急旋回して抜けることが出来ます。 速度も少ししか落ちません。
ドリフト中はカーブに合わせて車が動くよう補正され、カーブ後に車体の向きを整えれば、すぐにドリフトは終了します。

そのドリフトの操作感は旧来のリッジレーサーそのままで、現実のドリフトではあり得ないぐらいコントロールしやすく、カーブを高速で抜けて行くことが出来ます。
このドリフトの爽快感とスピード感がリッジレーサーの楽しさですね。

よって、このゲームに「リアルさ」はほとんどありません。 非常にゲーム的な挙動です
車体の重さを感じる事がなく、ジャンプした後もペタっと着地します。
車のダメージもなく、壁に激突しても壊れたりすることはありません。

アスファルト8のようなハチャメチャなゲームではありませんが、リアルレーシングのような実車感もありません。
じゃあ何かというと、もう「リッジレーサーである」としか言えないですね。

Ridge Racer Slipstream
※ニトロを使うと一時的に加速できますが、ニトロゲージが貯まっていないと使えません。
ニトロゲージはドリフトを行うことで貯まるので、グリップ走行をしているとあまり使えませんが、でもドリフトは若干スピードが落ちるので、可能ならグリップで走った方が早いです。 この辺は難しいところですね。


Ridge Racer Slipstream
※スタート時の様子。 この画面、懐かしく思う人も多いはず。 ちゃんと巨大ディスプレイも前方にあります。
初代リッジと同じコースではありませんが、リッジレーサーを思わせるような風景は多いですね。
とりあえず「ゴー!」が「行く!」じゃなくて良かった・・・


サブタイトルに「スリップストリーム」と名付けられている通り、他の車の後ろに付くことで、空気抵抗を弱めて加速力を高めるスリップストリームを活用できます
スリップストリーム中は画面右上のスピード表示の下にマークが付きます。

また、リッジレーサーシリーズはデッドヒートを演出するため、自分が1位になると2位や3位の車の速度が上がります
よってパワーのある車で走っても、あまり独走状態にはなりません。
コンピューターにハンデが付いている訳で、この点はアンフェアだと思う方もいるかもしれませんが、まあゲーム性重視ですから、そういうものだと考えておきましょう。

このスリップストリームと独走できない仕様のため、途中まではニトロを温存して無理に首位を狙わず、最終周にニトロ併用で追い越し&逃げ切りを行うのが有効です。

ゲームモードには「キャリア」「アーケード」「オンライン」の3つがあり、メインとなるのはキャリアですね。
手持ちの資金で車を買い、強化を行いながら、レースを勝ち抜いていきます。

上位3以内でレースを「終える」と次のレースに進むことができ、賞金も得られます。
また経験値もアップし、レベルが上がると課金通貨を少し貰えます。
課金通貨専用の車もありますが、普通に買える車でも十分戦っていけます

アップグレード・・・ じゃなくて「上り坂」には、「エンジン」「ニトロ」「駆動装置」・・・ じゃなくて「稼働中ギア」の3つがあります。
ニトロを高めると持続時間重視かパワー重視かを選べ、稼働中ギアを高めればドリフト重視かグリップ重視かを調整できます。
こうした細かい調整を行えるレースゲームは、海外のものとしては珍しいですね。

アーケード」はフリーのレースが行えるモード・・・ かと思いきや、走れるのはキャリアモードでアンロックしたコースとマシンだけ。 よって存在価値は疑問。
オンライン」はタイムアタックと Game Center を通したオンライン対戦を行えますが、オートマッチングのようなものはありません。
また、タイムアタックに参加するには Facebook アカウントでのログインが必要です。

Ridge Racer Slipstream
※ニトロの強化画面。 ここでスライダーバーを動かせば、その特性を変えることが出来ます。
相応の資金と若干の課金通貨が必要になりますが、ニトロを最大までアップグレードすると「オート」を選べるようになります。
これにするとドリフトしなくてもニトロゲージが貯まるため、すごく強いです。


日本語訳がアレなこと以外の難点は・・・ 展開が単調なこと

マシンはいくつかの「クラス」に分けられていますが、最初のクラスで走る「ルーキーチャンレンジ」だけでも 3x6 のレースが用意されていて、つまり合計 18 レース。
そして1レースは全て3周、4~5分ほどかかるため、18 レース終えるのに1時間半から2時間ほどかかります。

その間に登場するコースは、たったの3コース。
逆走コースもありますが、1時間半から2時間の間、同じようなレースを、同じ車でひたすら繰り返します
これはさすがに飽きる。

アップグレードは相応の頻度で行えますが、新しい車を買っていく余裕はないし、同じクラスで戦っていく場合はその必要もありません。
そして最初のルーキーチャレンジを終えても、次の「ルーキーグランプリ」でまた 18 戦、同じようなレースの繰り返しです。
新しいコースは1つだけ増えますが、たった1つ。 4つのコースをローテーションで走ります。 また2時間ぐらい。

コースは全部で 10 あるのですが、ちょっと出し惜しみし過ぎだし、1つのシーズンのレースが多すぎ
レース自体は面白く、だんだんライバルも強くなりますが、この間延びした展開はどうかと思いますね。

もう1つ気になるのが、レース展開自体の単調さ。
これはリッジレーサーのゲーム性を考えると仕方ないのですが、全てのコースを減速なしでドリフトで曲がっていけると言うことは、ほとんどコースごとの攻略が必要ない訳です。

だからいつも同じような走り方で終わるので、そこに熱いデッドヒートがあったとしても、変わり映えしないからやっぱり飽きてくる。
新しいライバルが出てくるような事もないし、ダートコースがある訳でもないし、似たレースが続きます。
リッジレーサーは元々同じコースをやり込むゲームではあったけど、もうちょっと変化が欲しいですね・・・

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



価格は 300 円。 課金要素はありますが、追加課金しなくても普通に楽しめます。
通常のプレイで貯められる資金と課金通貨で、レースや強化は問題なく進めていけますね。
クオリティーを考えると、この内容でこの価格はかなり安いでしょう。

前述したように単調ではありますが、遊びやすくてサクサク進められるので、結構ハマれます。
また、マシンのディテール、コースのレイアウト、ナムコゲームの効果音を織り込んだ BGM、鉄橋や工業地帯が見える風景などには、レースゲームの金字塔であるリッジレーサーへのリスペクトが垣間見えます。
海外メーカーの作品ではありますが、「リッジレーサーを作ろう」という想いは、プレイしていてひしひしと伝わって来ますね

ゲーム的にも金銭的にも手軽に楽しめる、カジュアルなレースゲームです。
実車は出てこないし、本格派のレースではありませんが、空き時間に楽しむゲームとしては、むしろこちらの方が良いかもしれません。

Ridge Racer Slipstream (iTunes が起動します)