仲間モンスターを集めるのをメインとした、国民的ゲーム「ドラゴンクエスト」のスピンオフ作品「ドラゴンクエストモンスターズ」、通称 DQM。
その DQM の最新作が、先日スマホで公開されました。
ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」(通称 DQMSL)です。

ドラクエの知名度と完成度の高さで当然のように大ヒット、その好調に引かれてスクエニとトーセの株価が急上昇し、ビジネス系メディアで報じられる程の人気となっています。
ただ、トーセが関わっていたのはオリジナルシリーズの話であって、今作のメインの開発元は SAP(ソーシャル・アプリ・プロバイダ)のサイゲームス(Cygames)

Cygames は大ヒットかつ超課金ゲーとして知られる「アイドルマスター シンデレラガールズ」や、派手な宣伝攻勢で知られる「神撃のバハムート」、パズドラのパクリクローンとして知られる「三国志パズル大戦」などを開発している、ソシャゲ界のヒットメーカーです。

ぶっちゃけ「サイゲームスのソーシャルゲーム」と聞いた時点で期待感は欠片もなかったのですが、実際にやってみると「ソシャゲのヒット作を連発してるだけあるな」と思えるものになっています。
「ソーシャルゲームとしては」非常に完成度が高いですね
ソシャゲの枠内で、ドラクエらしいバトルや雰囲気がきちんと再現されています。

ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト

モンスター5体と助っ人1体、合計6体のモンスターでパーティーを組み、ダンジョンで敵と戦って経験値を稼ぎながら、仲間モンスターをゲットしていくパズドラ式のソーシャルゲームです。

ダンジョン内の移動は画面をスライドするだけの簡単操作。
簡略化されたシステムですが、分かれ道や一方通行などがあり、壷があったらタップで壊して調べられるなど、RPG らしい探索の要素があります

グラフィックはスーパーファミコン時代のドラクエを模しているかのような、とてもそれっぽいドットグラフィックで、サウンドやメッセージなども雰囲気十分。
一目で「あぁ、これはドラクエだな」と思えますね

敵に遭遇するとドラクエらしいコマンドバトルになりますが、その操作性はタッチパネルに最適化されています。
「たたかう」のボタンを押すと下部に対象を選ぶアイコンが表示されますが、上に表示されている敵を直接タップするだけでも、その敵に「たたかう」を実行できます
特技や魔法を使う時も対象を選ぶボタンが出てきますが、敵や味方を直接タップして選択可能。
画面を連打すればメッセージも早く送ることが出来ます。
ボタンのサイズも大きめで、文字も太くて見やすいです。

スマホ版 ドラクエ1 や ドラクエ8 が悪かった訳ではありませんが、明らかに戦闘シーンの操作性はこちらの方が上。
プレイしていて「スマホのドラクエに求めていたインターフェイスはこれだよ!」と思えます
やはり餅は餅屋というか、スマホ用インターフェイスはスマホや携帯のアプリを専門に扱っている会社の方が、一日の長があるのかなと思えますね。

戦闘に勝利すると経験値とお金を得られ、倒したモンスターが仲間になることもあります。
ただしダンジョンをクリアするまでは仮入手の状態で、ボスを倒して出口に到達しないと獲得できません。

ボスはなかなか手強く、特技や魔法、道具を活用して戦うドラクエらしいバトルが展開されます
おなじみの「AI バトル」もあり、「ガンガンいこうぜ」や「いのちをだいじに」などの作戦を設定し、戦闘を自動進行させることが可能です。

ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト
※左はホイミスライムが「ホイミ」をかけようとしている場面。 画面下にアイコンが並んでいますが、中央の味方の枠をタップしても OK。 連打でメッセージも早く進むし、本当にプレイしやすいです。
右は「おおきづち」に会心の一撃が炸裂しているシーン。 AI 戦闘も便利ですが、攻撃がバラつくので、普段は自分でタップして攻撃対象を選んだ方が良いです。
ゲーム序盤だと痛恨の一撃を出しやすい「おおきづち」が危険、次いで厄介なのがホイミスライム。 この2つは優先して狙うべきですね。


ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト
※左は全体マップ。 このマップもドラクエらしいタッチで良いです。
この「予言者の塔」には超強力な敵が出る部屋があります。 「行くな」と言われた方向には行かない方が無難。
その先に進まなくてもクリアはできます
右の画像はおなじみの・・・ こういうところにもドラクエらしさの再現を感じますね。


ゲットしたモンスターはパーティーに加えられるのはもちろん、合成して強化に使うことが出来ます。
この辺は既存のパズドラ系ソーシャルゲームと違わないのですが、このゲームでは合成は「気合伝授」という名前になっていて、素材にしたモンスターは野に帰るという設定になっています。
同じモンスターを合成してベース能力を上げる「パワーアップ」、素材を集めてレベルが最大のモンスターを進化させる「転生」もあります。

モンスターの経験値は合成(気合伝授)によって大きく上げることが出来ますが、戦闘でも得られるので、ちゃんと RPG らしく戦ってレベルアップすることも可能です

また、助っ人モンスターのレベルはパーティー内の一番低いモンスターに合わせられるため、「強力な助っ人を入れれば上位のダンジョンでも楽勝」みたいなことはあまり起こりません。
その辺のソシャゲらしからぬ、しっかりしたゲームバランスもドラクエらしい点と言えるでしょうか。

ガチャは「まほうの地図 ふくびき」というものになっていて、これを実行すると、例えばキラーマシンが出た場合は「キラーマシンの地図」が手に入ります。
そしてこの地図を使うと小さなダンジョン移動し、そこにいるキラーマシンを倒すことで仲間になります。(簡単に倒せます)

もちろん高ランクのモンスターをゲットするには、課金ガチャである「金の地図ふくびき」をしなければなりません。
よってソーシャルゲームのガチャと何ら変わらないのですが、なにせドラクエであるため、イメージを重視したのでしょうね。 ドラクエ9 には「宝の地図」というものがありましたし。

※ただ、後に「金の地図ふくびき」で金の地図を入手できる確率が低すぎ、それなのに画面には金の地図が満載されている絵が表示されていたため、景品表示法違反だとプレイヤーから指摘され、返金騒動に発展するほどの問題に発展しています。

ソーシャルゲームですから「スタミナ制」があり、冒険に出るごとにスタミナが減少、なくなるとしばらくプレイ出来ません。

オートセーブは移動ごと、戦闘1ターンごとに行われている模様です。
急にアプリが落ちても直前から再開可能です。
(ピンチになった時、アプリを落としてやり直すというインチキは出来ません)

ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト
※左は合成シーン。 「気合伝授」をすると猪木の如く素材モンスターがベースモンスターを殴って気合いを入れ、その後にベースモンスターに蹴散らされ(?)ます。
天下一武道会みたいな闘技場が鳥山明っぽくていいですね。
同じモンスターを合成する「パワーアップ」はレベルが1になるので注意。 高レベルモンスターをベースにしても上昇値は変わらないようなので、すでに持っているモンスターのパワーアップをしたい場合は、それをベースにするのではなく、別の個体をゲットしてきてそちらでパワーアップを繰り返し、その後にその強化した個体にレベルの高いモンスターを「気合伝授」した方が良いです。


難点は、ゲーム序盤があまりにも親切すぎること。
それを難点というのはおかしいかもしれませんが、序盤は難易度が非常に低く、AI まかせでバトルも楽勝、ダンジョンもサクサク進めるので、結果的にすごく「ポチポチゲー」感が強いです

それでなくてもソーシャルゲームですから、最初にやった時は「あードラクエのポチポチかー」って感じで、速攻で見限りそうになりました。
ぶっちゃけ、これがドラクエでなかったらすぐ辞めてたと思います

ある程度進むと敵が強くなり、特技を駆使した戦闘やレベル上げも必要になって、徐々にドラクエらしくなるのですが、そこまでやらずに終わる人も多そう。

また、以下は難点と言うより、個人的な感想なのですが・・・
やっぱりこういう、モンスターとかポケモンとか艦娘とかを集めるのが主体のゲームは、課金ガチャがあること自体が心情的に微妙ですね。

「お金を払わないとまず手に入らないキャラがいる。頑張ってもどうにもならない」というのがある時点で、収集する楽しみは薄れます。
「コンプを目指す」という目的も潰えます。
まあ、これだけソシャゲが流行ってる中でこんな事を言うのは時代遅れかもしれませんが、でもこれは「ドラクエ」ですしねぇ。

やっぱり私的には、ドラクエは国民的ゲームとして、ゲームの「模範」であって欲しかったのが本音です
この作品は決して完成度が低い訳ではなく、ドラクエのソーシャルゲームは他にも出ているのですが、こうやってドラクエが「課金型ソーシャルゲーム」に堕ちていくというのは、古くからのゲーマーとして残念な気持ちになるのは否めません。

以下は Youtube で公開されている公式のプロモーション動画です。



ソーシャルゲームですから本体は無料。 もちろん追加課金はあります。

全体としては、かなりしっかり出来ているという印象です。
「ちゃんとドラクエらしいものを作ろう」という開発側のコンセプトは、十分に伝わってくるアプリですね

ただ、個人的に続けるかと言われると・・・ 微妙かなぁ・・・
RPG って「1つの物語をゲームやバトルを通して体験する」というものでもあるので、コマンドバトル「だけ」では、そこのバランスとインターフェイスが素晴らしくてもイマイチ引き付けられない。
シナリオやストーリー演出がないので、ドラクエを元にした単なるソシャゲでしかない印象も強く、もっと先を見たいという欲求に乏しいので、今時のスマホゲーマーだと飽きは早いかも。

ベースは非常によく出来ているので、ここでもう一歩踏み込んで物語の面を補完してくれたら、本当に「スーパーライトに楽しめるドラクエになるんだけどなぁ」と思います。
まあ、ソシャゲにそこまで言うのは酷ですが・・・ そう言いたくなるぐらいの完成度ではあります

ともあれ、なにせ「ドラクエ」ですから、このクオリティーなら大ヒットは当然でしょう。

ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト (iTunes が起動します)