スマホの本格戦略シミュレーションゲームの定番「欧陸戦争」、および「世界の覇者」「将軍の栄光」シリーズ。
その最新作が先日公開されました。
欧陸戦争4: ナポレオン」です。

最近の同シリーズは第一次・第二次世界大戦をテーマにしている事が多かったのですが、元々は 1800 年頃のナポレオン戦争時代を舞台としていました。
今作はその時代に再び戻っています。
この頃、アメリカでは欧州各国と戦った独立戦争が起こっており、それをテーマにしたシナリオも含まれています。
日本はまだ江戸時代の後期、黒船来航の 50 年ほど前ですね。

ゲームシステムは元の RISK 型ボードゲームのようなスタイルではなく、完全に大戦略タイプのターン制戦術シミュレーションゲームになりました。
旧来の欧陸戦争ではなく、「将軍の栄光」シリーズの後継と言えます。

欧陸戦争4 ナポレオン

マップは六角形のマス(ヘックス)で区切られており、1ターンに全てのユニットを1回ずつ動かせます。
大戦略やファミコンウォーズのような、日本でも馴染みのあるスタイルのターン制シミュレーションゲームです。

ルールは「将軍の栄光」「将軍の栄光: 太平洋戦争」を踏襲しているので、これらをプレイしていた方なら特に迷うことはないでしょう。
特徴を箇条書きにすると、以下のようになります。

・ユニットは耐久力制
・ZOC(敵に接すると移動が妨害されるルール)はない
・遠距離攻撃でも相手の射程内なら反撃を受ける
・都市や工場は歩兵でなくても占領できる
・歩兵は工兵も兼ねていて塹壕やフェンスを設置できる
・移動だけして攻撃は後ですることも可能
・敵を前後から挟むと士気ダウン。包囲するともっとダウン
・騎兵は敵にトドメを刺すと再攻撃可能
・ユニットに将軍を付加してパワーアップできる
・陸上ユニットに輸送船を付加して海上移動できる
・町や工場、農場に投資して規模を拡大できる

ただし、以下の点は前作(将軍の栄光)とは異なります。

・新しい物資「食料」が存在する
・将軍に「スキル」が存在する
・索敵ルール(ユニットの視界)はなくなった
・(ナポレオン時代なので)航空ユニットや空港はない
・固定ユニットである「要塞」「砲台」が各地に存在する
・要塞は自国領の好きな場所に建設可能。ただし完成に数ターン必要
・歩兵は町、騎兵は厩舎、砲兵は工場で生産する
・騎兵は攻撃時に敵の士気を下げる場合がある
・砲撃によって火災が発生する
・消費アイテムが追加されたが、資金を使っての回復はなくなった
・プレイヤー将軍はなくなった

ゲームの基本戦略は、敵を挟み撃ちして士気を下げ、大砲の砲撃で耐久力を減らし、その後に歩兵や騎兵でトドメを刺す形。
「まず士気を下げる」というのがこのシリーズの基本ですね。

新たに追加された「食料」は農場から生み出され、部隊の数に応じて減っていきます。
なくなると部隊の士気が低下し、さらに混乱状態に陥って戦闘不能になります。
ただ農場をきちんと確保・拡張すればそうそう足りなくなることはないため、一部の遠征シナリオ以外ではあまり気にする必要はありません。

欧陸戦争4 ナポレオン
※こんな風に敵を前後から挟み撃ちにすると士気ダウンマークが付く。
移動直後に攻撃する必要はないため、まず敵の後方に回って士気を下げてから、大砲で撃つなり耐久力のあるユニットで攻撃するなりしよう。
敵にトドメを刺したユニットには士気アップマークが付くことがあります。


欧陸戦争4 ナポレオン
※旗がはためいているのは未行動ユニットで、マークが青なら友軍、赤なら敵軍、黒なら中立軍。
ただ全然攻めてこない、やる気のない敵軍もいて、その国がどういう行動をするかはステージごとに異なります。
赤い円が付いているのは作戦目標で、都市ならそこを占領する必要が、将軍や要塞の場合はそれを撃破する必要があります。
一部のステージには黄色い円が付いている目標があり、それを攻略すると追加ステージがアンロックされます。


今作が前作(将軍の栄光)と大きく違うのは、パワーアップと将軍に関してです。

前作はステージクリア時に得られる「勲章」で、プレイヤー将軍のパワーアップと追加将軍の雇用を行っていました。
しかし今作にはプレイヤー将軍は存在しません。

部隊のパワーアップはステージクリア時に得られる「★」で行うようになり、このため「パワーアップに勲章を使ったら将軍を雇用できない」ということはなくなりました。
また前作は追加将軍の雇用に必要な勲章が非常に多く、将軍システムは重課金しないとまともに活用できないシロモノだったのですが、今回は必要な勲章や課金通貨が下がっていて、低ランクの将軍ならそこそこ頑張れば自力で獲得できるレベルになりました

また今作の将軍には「スキル」がついていて、砲兵の移動力が上がる工学や、要塞への攻撃力が増す攻城術、士気が下がらないリーダーシップなど、様々な固有能力が存在します。
まあナポレオン戦争なので、この時代の将軍に馴染みのある人は少ないとは思いますが・・・

もう1つ今回から追加されたものは「アイテム」で、前作は資金を使って回復を行っていましたが、今回はマップ内にあるショップで回復アイテムを購入して使用します。
しかしアイテムの購入には勲章を使うため、前ほど手軽に使える訳ではなくなりました。
将軍にセットできる装備アイテムも存在しますが、こちらは必要な勲章が多く、追加課金なしでの利用は厳しいです。

ただ、ゲームの難易度が前より下がっているため、回復なし(大都市での回復のみ)でも戦っていけないことはありません。 簡単という程ではないですが。

ゲームモードは、史実に沿ったステージをクリアしていく「シナリオ」と、全国モードと言える「争覇」の2つ。
フランスのシナリオだけでも 18 ステージも用意されていて、さらに対フランス同盟やアメリカ、イギリスのシナリオなども存在します。
争覇モードも年代の異なる複数のマップがあり、広大なマップですからクリアまで数時間かかります。
相変わらずボリュームは十分過ぎるほどですね

欧陸戦争4 ナポレオン
※ナポレオンのステータス。 主要武将は最初から戦場に配置されている場合が多いので、追加武将としてゲットしていなくても使えます。
争覇モードには酒場のある都市があり、スポット参戦の武将を少量の勲章と資金で雇えます。
回復薬はフランスシナリオのステージ1で売られているので、そこで買っておけば他のステージでも使えます。


欧陸戦争4 ナポレオン
※広大な争覇マップ。 でも全部が敵な訳ではありません。
フランス・スペイン・オランダ・イタリア・デンマーク・ポーランド・オスマントルコ VS 新聖ローマ・プロイセン・ロシア・イギリス・スウェーデン・ポルトガル・ナポリ・ピルモント。
一番難しいのは周囲から袋叩きにされるポーランドでしょう。


価格は 200 円。 内容とボリュームを考えると、お得と言えるでしょう。
追加課金はありますが、前述したように今回は無課金でも将軍をそこそこ雇えますし、追加将軍はクリアに必須なものではありません。
前作は課金しなくても遊べた一方で、将軍があまりに高額過ぎて「課金ゲー」な感じも受けたのですが、今回はそうでもないですね

個人的には、旧来の RISK 型ボードゲームなスタイルの欧陸戦争も好きだったので、普通の大戦略スタイルになったのは良し悪しといったところです。
まあ大戦略も好きなので、これはこれで十分楽しいのですが。

玄人向けの作品のため、決して万人向けではありませんが、戦術 SLG 好きなら今回も見逃せないアプリでしょう。

欧陸戦争4: ナポレオン (iTunes が起動します)