※このゲームは 2014 年 10 月に運営終了しています。

サイコロとカードを使ったアナログゲームと街作り系のソーシャルゲームを組み合わせた、ユニークなアプリが登場して話題になっています。
街コロ」です。

セガの 3D シューティング「パンツァードラグーン」を開発した二木幸生さんが手がけているため、ゲーム関連のメディアでは相応に注目されていた作品です。
また、ベースとなっている街コロは実際に販売されているアナログゲーム(ドイツゲーム)です。

実際、やってみるとそこいらのソーシャルゲームとは違う作り込みを感じますね。
ベースとなっているダイスゲーム「街コロ」のゲーム性の高さも伺えます。

しかし一方で、ソーシャルゲームに慣れていない印象も強く、テンポが悪くて説明も不十分、難易度バランスがおかしく AI も不自然、オリジナルのアナログゲームの良さをソシャゲ化によって壊している感も強いです。

街コロ

まずは「街コロバトル」で資金と設計図を獲得しなければなりません。
バトルをするには行動力が必要で、なくなるとしばらくプレイできなくなります。
ソーシャルゲームでおなじみのスタミナ制ですね。

ゲームが始まると各プレイヤーに2枚の「事業カード」が配られます。
事業カードには麦畑や牧場などがあり、それぞれに「誰かが1の目を出したらポイント獲得」「自分が2か3の目を出したらポイント獲得」などの効果があります。

そして自分の番の人がサイコロを振り、その目に応じた収益を各プレイヤーが受け取ります。
その後、獲得したポイントで事業カードの購入を行って、次の人の番になります。
この繰り返しですね。

場のカードをポイントで買うというシステムは ドミニオン に似ています。
ただ、手札や山札はなく、入手したカードは各プレイヤーの前に置かれます。

基本のシステムはシンプルですが、事業カードには誰かが特定の目を出すと収益を得られる青いカードと、自分が特定の目を出すと収益を得られる緑のカード他人が特定の目を出すとポイントを奪える赤いカードがあります。
他のプレイヤーが多いなら青や赤が有利で、人数が少ないなら収益の多い緑のカードが有利。
どれを優先するかで展開が変わり、カードごとに購入額も異なります。

また「大事業カード」というものがあり、これを買うとサイコロを2つ振ったり、ゾロ目の時にもう1度サイコロを振れるようになります。
サイコロが2個になると 7~12 の目が出るようになるので、それまで使えなかった事業カードを活用できるようになります。
そしてゲームの勝利条件は、この大事業カードを一通りそろえることです。

しかし数ターンが経過すると「決算」がやってきて、事業の「維持費」を支払わなければなりません。
大事業は維持費が高いため、決算が近いのに無計画に買ってしまうと破産の恐れもあります。

7 以上のカードには「工場」や「市場」などが含まれていて、チーズ工場は牧場の所有数だけ、家具工場は山林や鉱山の所有数だけ収益を得られます。
こうした複合効果の施設は高収益のため、サイコロを2個にしてこれらを狙うタイミングも重要になりますね。

街コロ
※適当に買うのではなく、 何かの狙いを持って事業を購入していきましょう。
1の麦畑、2の牧場は価格と維持費が安くて使いやすいのですが、サイコロが2つになると収益は期待できなくなります。
3のカフェは相手からポイントを奪うもの。 自分が3を出しても利益はありません。


街コロ
※6の目はランダムイベント。 何が起こるか解りませんが、そんなに勝負に影響を与えるものではありません。
右はサイコロを2つにしたシーン。 大事業の「駅」を買うと実行できます。
もちろん最後までサイコロ1つで勝負するのも戦法の1つですね。


「街コロバトル」で勝利したら、獲得した設計図と資金で「街作り」を行えます。
このシーンでは好きな土地を開拓して、そこに建物を建てられます。

建物は「空き屋」が増える「住居」、「人気」が上がる「公共」、「住みやすさ」が上がる「自然」、「仕事」が上がる「販売」、「遊び」が上がる「飲食」の5つに分かれており、足りない分野を伸ばしていくことで町の人口と「しあわせ度」が上がります。

さらに建物には「コロパワ」という数値があり、この合計値が高まると街コロバトルで得られるポイントが増加します
例えば、1の目が出るとポイントを得られる「麦畑」からの実際の収益は、コロパワが 50 なら5ポイントであり、コロパワが 150 なら 15 ポイントになります。
つまり町が発展するほどバトルが有利になる訳ですね。

町の施設には周辺に与える効果もあり、例えば住居の多くは隣り合った施設の「売上げ」を上げる代わりに「仕事」を下げ、自然系の施設は隣の「住みやすさ」を上げる代わりに「人気」を下げます。
また商業の施設を作っても住居の「空き屋」が足りない場合、人口は増えません。
それほど気にする必要はありませんが、ちゃんと開発ゲームらしい建物の相互作用が存在します。

施設は「増資」で効果をアップさせられますが、これはソーシャルゲームの「合成」です。
いらない設計図を消費してレベルアップさせるものですね。

街コロ
※町は一定時間ごとに経験値やお金を生み出します。
お金を生み出すのは公共と飲食の施設のみで「売上げ」のステータスが影響します。
レアリティが3以上の建物にはバトルで使える「スキル」が付加されています。


街コロ
※左は合成時の画面。 独特な絵柄のキャラクターもこのゲームの特徴。
ある程度ゲームが進むと「空き屋」が足りなくなってくるので、住居は優先してレベルアップしましょう。
右は建物リスト。 設置した建物を削除した場合、消滅するのではなく、このストックに戻って来ます。


しかしこのゲーム、今の時点では気になる点も非常に多いです・・・

まず、ゲームのシステムが解り辛い
丁寧なチュートリアルはあるのですが、前述したように「コロパワ」がポイントの入手量に関わっているのに、それに関する説明がほとんどない

加えて事業の購入費や敵のポイント入手量がステージごとに違うため、どういう条件で何ポイントを獲得できるのか、ポイントの計算がどうなっているのか、最初はかなり把握し辛いです。
おまけに敵の「コロパワ」が表示されないため、どのぐらいのパワーで勝てるのか、相手のポイントがなぜ多いのか、その辺の目安もありません。

さらにダイスゲームとして問題なのが、明確なサイコロの出目調整
このゲームには「なんの効果も及ぼさない目は絶対に出ない」という内部設定があり、例えば自分が1~3の事業カードを持っていて、他のプレイヤーも同様の場合、絶対に4や5の目は出ません。
しかしそれに関する説明が何もないため、例えば1の農場ばかり購入するコンピューターが相手の場合、1の出る確率が妙に多くなり、こちらとしては「なんだこの1ばっかり出る不自然なサイコロは!」となってしまいます。

後になって「お知らせ」で「効果のない目は出ません」みたいな発表が行われましたが、「そんな超重要でダイスゲームの根本に関わるようなルール、最初に言っとけよ!」と言いたくなります。

加えて非常に気になるのが敵 AI の不自然な手加減
勝利の直前になり、そして勝利するために必要なポイントを貯めていても、ワザと勝つためのカードを買わなかったりするのです。

どうやら特定のターンまでは勝たないようになっているようで、確かにコンピューター側のハンデが大きいステージが多いため、そうしないとバランスが取れないのだと思いますが・・・
しかしゴールの手前でワザと行ったり来たりしてゴールしない、あからさまに手加減をしている AI を見ると、さすがにアナログゲームとしては興ざめです。
しかもこういう例が、このゲームでは「すごく」多い

ステージの難易度のバランスもおかしくて、3つ目のエリアまでは簡単に勝つことができ、相手のコロパワは 10~100 ぐらいなのですが、4つ目のエリアでいきなり 300 とか 500 とかになります。
いきなり倍増し過ぎ。 ここで課金させようという魂胆なのでしょうか?
その是非は別として、いくらなんでも急激すぎる。

こういった極端なハンデ戦を見ていると、「アナログゲーム / ボードゲームとして、それってどうなのよ?」と思ってしまいます。
結局はソーシャルゲームにされていて、育成を進めないとどうしようもありません。
成長要素があること自体は、それはそれで面白いのですが、アナログゲームとして手強い AI と互角かつ八百長なしの勝負をしたかったのも本音です

そしてソーシャルゲームとしての難点は、テンポの悪さ
サイコロや演出の表示時間が長すぎる印象で、もっとサクサク進んで欲しい。

画面中央を押しっぱなしにすると「早送り」できる機能があり、これを使えばそこまでテンポが悪い訳ではないのですが、これを使ってやっと「普通」という感じ。
それに常に押しっぱなしにしないといけないので、もう早送りを固定させて欲しい。
さらに例によって、この「早送り」に関する説明はありません。(後になって「お知らせ」で報告された)

加えて序盤ステージの難易度が簡単すぎて、「街コロ」の面白さをなかなか理解できないのもどうかと思います。
このゲームは結局「ダイスゲーム」なので、戦略によって「確率」を高めることは出来るけど、最終的には「運」が支配します。
こういうゲームはプレイヤーが確率を高めるための戦略をあれこれ駆使できないと楽しめません。
ところが序盤は簡単過ぎて、そんな戦略は必要ないし、テキトーにやっても勝ててしまう。

そんなつまらない展開の期間が長すぎるため、これでは「サイコロを振るだけの運ゲー」と言われても仕方ないでしょうね。

よく「チュートリアルがダラダラ長すぎるのは良くない」と言われますが、プレイヤーにとって簡単過ぎてつまらないステージがダラダラ続くのもチュートリアルと変わりません。
これは最近のパズドラ系ソーシャルゲームの多くが陥っている罠だと思います。

街コロ
※ステージ選択画面。 1つのフロアに5つのステージがあります。
問題は4フロア目の「バイオファーマー」。 ここから急に相手のレベルが上がります。
レベルが上がるといっても AI が強くなるのではなく、ハンデがものすごーく付く感じ。
残念ながら互角の勝負はほとんどなく、いたスト や 桃鉄 などとは違いますね。


とまあ、色々と気になる点がてんこ盛りな訳ですが・・・ それでもこのゲーム、なかなか楽しめると思います。
少なくとも私が最近やったソーシャルゲームの中では、一番ゲーム性があると思いますね
「ミニゲーム+町作り」というのは良い組み合わせだと思いますし、Puzzle Craft のような成功例もすでにありましたし。

やっていて、SAP(ソーシャル アプリ プロバイダ)ではなく、ゲームクリエイターが作ったアプリだというのは伺えます。
そのための良い点と悪い点が同時に出ている印象ですが、ベースが悪くないので、調整次第でどんどん良くなっていくかもしれません。
ソーシャルゲームなので本体無料の課金制ですが、そんなに重課金が必要なゲームではありません。

なんだかんだ言って、私は結構ハマってますし、お勧めしたいアプリではあります。
ただ、現時点では面白さを理解できないまま離脱する人が多いだろうなぁ・・・

・街コロ (公開終了)


【 ちょこっと攻略&参考データ 】

住居:黄:空き家が増える。コロパワはない:周囲の売上げやコロパワを上げるが仕事は下がる
公共:紫:全体的に上がり人気が高め:周囲に効果がある建物は少ない
自然:青:住みやすさが高い:周囲の住みやすさを上げるが人気は下がる
販売:緑:仕事とコロパワが高い:周囲のコロパワを上げるが住みやすさが下がる
飲食:赤:遊びが高い:周囲のコロパワを上げるが住みやすさが下がる

・町のステータスの合計値は「管理センター」の「町の詳細」で確認できる。
・ステータスが十分なら「しあわせ度」が上がりコロパワが増える

・町のコロパワの 1/10 がバトルで得られるポイントの倍率になる
・バトル時の事業カードについている家マークの数字は決算時の維持費

サイコロは誰かに効果を与える目しか出ない
よって購入した事業カードによってサイコロの出目の確率を操作できる
・相手が1の農場か2の牧場ばかり集めている場合、自分が3のカフェか5の山林を買えば、相手が1と2の目を出す確率を下げられる。 また自分が4のコンビニを買えば、自分が1と2を出す確率を下げられる
・相手が1~3の目しか出ない状態でカフェを買いまくれば、相手を高い確率で破産させられる
・ポイントを奪うスキルを使い、相手のポイントを 0 にした時にも破産する

・全部の目が出る状況下における、サイコロを2つ振った時の出目確率

 2 1/36 2.8%
 3 1/18 5.6%
 4 1/12 8.3%
 5 1/9 11.1%
 6 約1/7 13.9%
 7 1/6 16.7%
 8 約1/7 13.9%
 9 1/9 11.1%
 10 1/12 8.3%
 11 1/18 5.6%
 12 1/36 2.8%

 2-3 1/12 8.3%
 9-10 約1/5 19.4%
 11-12 1/12 8.3%

(ただしこのゲームで全部の目が出る状況になることは少ない)
(出ない目の内部調整がどうなっているのかは不明。上記はあくまで理論値)

・当然だが、サイコロが2つになると1は出なくなる
・青果市場(11-12)は一見出にくそうだが、7 や 8 の事業を買わない限り確率は高い
・相手がサイコロを2つ振り始めた状態でファミレス(9-10)を買うのは、相手の出目操作に有効
・確率的には、2の牧場 → 7のチーズ工場 より、5の山林 → 8の家具工場 の方が期待値は高い。ただし山林は牧場より割高

・遊園地(ゾロ目でもう1回振れる)は駅(サイコロを2つ振れる)がないと意味がない
・大事業は維持費が高いので決算前は注意

・でも結局、コロパワに差があり過ぎると勝てないので、勝てるところでお金を貯めるのが重要です・・・