モバイルの開発シミュレーションゲームの老舗「カイロソフト」から、観光農園の拡張と経営を行う新作アプリが公開されました。
大空ヘクタール農園」です。

この作品のガラケー版は 2013 年の4月に公開されたのですが、Android 版はそれからわずか2ヶ月後の6月に公開されました。
つまり、これまでのカイロソフトのゲームはガラケーアプリの移植でしたが、今回はガラケー版とスマホ版の開発が同時進行のようです。

iOS 版の発売は、それから約1年後になったのですが・・・
カイロソフトでガラケー版とスマホ版の公開日に差がなくなったのは、時代の流れを感じますね。

内容はカイロソフトの施設配置型ゲームの原点に戻りつつ、それを拡張したような感じで「正当進化」と言えます。
題材も「農園の開発」というこの手のゲームとしては一般的なもので、「集大成」や「リスタート」言った印象を受ける内容ですね

大空ヘクタール農園

カイロソフトのゲームは「ゆけむり温泉郷」のような施設配置型と、「開幕!!パドックGP」のようなコマンド型、さらに「合戦!!にんじゃ村」のような複合型・RPG 型などに分かれますが、今回は最もカイロソフトらしいオーソドックスな施設配置型のゲームです。

マップ内に家と畑を設置すると、スタッフ(従業員)が畑を耕し、種をまきます。
種は時間の経過で少しずつ生長していき、実を付けます。
その実をスタッフが収穫すると、換金されて資金が増えます。

スタッフには給料がありますが、基本的に赤字経営になる事はなく、適当に家と畑を置いて道で繋いでいけば、簡単に農園の運営は行えます
システムとしては非常にシンプルですね。

ただ、森や山などの隣は「土壌」が良くなって品質が上がり、特定の設備を隣合わせると「スポット」が発生して周辺の料金や品質が底上げされます。
また同じ作物の畑を繋げれば1つの大きな畑とみなされ、さらに 2x2 や 3x3 などの正方形に配置すると生産量にボーナスが付きます。
これらを活用することで、より大きな収入を得ることが出来ます。

この辺の「経営自体は簡単だけど、やり方次第でいくらでも売上げを伸ばしていける」というのは、いつものカイロソフトらしい点ですね。

また、この農園は単なる農場ではなく「観光農園」です。
ゲームが進むと観光客が訪れるようになり、彼らを相手にした売店や観光設備を設置することで、より多くの収入を得られるようになります。

この段階になると、売店から「3ヶ月以内にミカンとリンゴが 50 個ずつ欲しい」とか「品質の高いニンジンとダイコンが必要」などの依頼が来るようになります。
さらに「バイオ研究所」を設置して周辺の作物から「うまみ」や「デンプン」などの「成分」を抽出し、それを使って特産品やアイテムを開発することも可能になります。

大空ヘクタール農園
※農地が全部「カサカサ」に! 日照りが続き、農地の「うるおい」がなくなると土地が干上がって生育が悪化します。 台風で作物が全部吹き飛ぶことも。
井戸やスプリンクラーで乾燥は防げますが、ゲーム後半には天候を変えてしまうアイテムも登場します。


大空ヘクタール農園
※バイオ農場で抽出した成分は「アイテム作成」の画面で確認できます。
どの色が何の成分なのかは「特産品開発」の画面でチェックしましょう。
新しいアイテムは特産品の開発で増えていきますが、まずは特産品を作る施設が必要になりますね。


カイロソフトのゲームの多くは、先に進むための手順がありました。
例えば、投資をして新しいお客さんを招き、そのお客さんの人気を高め、新しい設備を紹介して貰う、といった形ですね。

そういった要素は今作にもあるのですが・・・ 今回はそれをあまり気にしなくても、ゲームは問題なく進行するようになっています
深く考えずにスタッフを雇って畑を増やしていくだけでも農園は拡大していき、新しい作物も登場し、土地の購入もお金さえあればいつでも行えます。

一方で、今回は様々なことを序盤から自由に行えます
ゲームの進行に応じて「研究ポイント」を得られますが、これで作物の品質を高めても良いし、スタッフの装備品を作ることも出来ます。
お金は施設の設置や土地の購入の他に、様々な「投資」にも使えます。

ゲームの目標も農園の拡大の他に、農園ランキングのアップや、作物の品質を競う「コンクール」での優勝があり、どれを目指すかで優先する項目が異なります。
これに加えて、前述したショップからの依頼も次々とやってきます。

これらが序盤からまとめて出てくるので、どこから手を付けるべきか、ポイントをどこに費やすべきか、迷ってしまうのが今回の特徴ですね。
でも、それが今作の面白さでもあります。

やり込み要素も深く、規定年数までにランキングのトップやコンクールの制覇を目指すのはかなり困難です。
依頼もどんどん難しくなるため、期限内に全部達成するのはまずムリ。
そのため中だるみが少なく、やるべきことは(少なくとも一周目では)最後まで尽きません。

うまくライトユーザー向けのシンプルさと、ゲーマー向け・カイロファン向けの奥深さを融合させている印象です。

大空ヘクタール農園
※コンクールで優勝するには研究ポイントを使って品質を高めることが必要。
なにやらビックリするぐらいハイテクな研究室で分析が行われます。
ただ、研究ポイントはスタッフの装備作成にも必要で、どちらを優先すべきか悩みどころ。


大空ヘクタール農園
※こちらは毎年発表される農園ランキングの画面。 最初は 900 位ぐらいのすごく低いところからスタート。
おまけにそう簡単にアップしないので、これで上位を目指すのはホントに大変。
でも、簡単に1位になれるよりやり甲斐がありますね。


定価は 500 円。 他のカイロソフトのアプリと変わりません。
(以前は 450 円でしたが Apple のレート改訂の影響で上がっています)

今回はスマホ / タブレットでの早期公開を予定していたためか、今まで以上に細かいデータが多く、初回プレイでは迷うほど自由度も高めで、コアゲーマー寄りのバランスにしている印象です
でもだからこそ、巷の評価も良いのではないでしょうか。

個人的にもカイロソフトのゲームの中ではかなり好きな方で、もちろんオススメですね。

大空ヘクタール農園 (iTunes が起動します)


【 ちょこっと攻略 】

・畑は草原と同じく、速度は落ちますが通行可能です。
・商店、家、ビニールハウスなどは道路と同じ速度で通行可能です。 ただし道がある時はそちらが優先されます。

スタッフの装備を軽視しないで下さい。 特に収穫量をアップさせる装備は大きな効果を持ちます。 研究ポイントは装備作成にも使用しましょう。
・スタッフの「労働」は 10、30、50・・・ になるごとに収穫量が上がります。
・スタッフの移動可能範囲はナナメも含まれます。 周囲5マスというのは縦横ナナメ5マス以内です。
新人スタッフは優秀なスタッフに惹かれてやってきます。 まずはスタッフを増やすため、1人を集中して育てましょう。

・お店の依頼を達成できない時はアイテムも活用しましょう。 「種まき君カード」「マッハカード」「収穫君カード」などを使って作物を早期に集めれば達成しやすくなります。
・コンテストに出品する作物を育てる時は、品種改良だけでなく、畑の回りの環境も重視して下さい。 周囲に松や桜、山などがあれば品質ボーナスは非常に大きくなります。

・スポット(相性)が成立するには、特定の施設が隣り合っていなければなりません。 ナナメは OK です。
・スポットの影響は2種類あり、相性辞典にカラフルな文字で表記されているのは自身にのみ影響します。
・その下に青字で書かれている効果は周囲(縦横ナナメ)4マス以内に有効ですが、3マス以上離れると効果が下がります。 また成分に影響する効果は2マス以内にしか働きません。

大空ヘクタール農園
※中央のおにぎり屋で「スポット」が発生するとして・・・
水色の範囲に必要な施設があれば、スポットが成立する。
その効果は黄色の範囲に 100 %及ぶ。
紫の範囲にも効果は及ぶが、距離が離れるほど影響は下がる。 また「成分」への影響は紫の範囲には反映されない。


・スポットは作れば良いというものではありません。 例えば周囲の畑の効果を高めるスポットを、周囲に畑がない場所に作っても効果は低いです。 有用な場所に必要なスポットを作りましょう。

・バイオ農場で成分に変換した作物はお金になりません。 バイオ農場は無駄に範囲が広いのでマップの端に配置しましょう。
・ゲーム序盤は成分の「ビタミン」が不足しがちです。 これはビタミンのあるイチゴやキュウリを使うより、周辺の畑のビタミンをアップさせるキャンプスポット(地蔵+キャンプ)か、田舎スポット(地蔵+無人販売所)を利用した方が良いです。
・「うるおい」は最終的には天気を変えるアイテムを使って調整した方が土地の節約になります。 研究所の特産品を作れば晴にする「てるてる坊主」を、加工所の特産品を作れば雨にする「雨ごいセット」を作れます。
・害虫が居着いた畑は収穫できなくなりますが、収穫前の畑に入ると育成を早めてくれます。 害虫を追い出す「虫コロリーナ」はフルーツ園の特産品を作れば生産できます。

・最終的には、ロボットを活用するのが最強です。 育成や収穫を行うマシンをメロンやブドウ、モモなどの高価な作物の近くにまとめて配置すると、ものすごい高収益を得られます。 でもあまりに強すぎるので、禁じ手にした方が良いかも・・・