専門家によるボードゲーム(ドイツゲーム)の表彰「ドイツ年間ゲーム大賞」で 2012 年度の大賞を受賞した、王国の領土を取り合うボードゲームの iOS / Android 版が公開されています。
Kingdom Builder」(キングダムビルダー)です。

デッキ構築型のカードゲーム「ドミニオン」を作り出したデザイナーの新作で、ファン投票による表彰「ドイツゲーム賞」では7位だった作品です。

比較的シンプルなルールながら、繰り返し遊べるよう工夫されており、スマホ版は得点計算やコマを置ける場所の判定を自動で行ってくれるため、手軽にサクサク楽しむことができます。

Kingdom Builder キングダムビルダー

各プレイヤーが順番に、ボード上に「」のコマを置いていきます。
ただしどこでも置ける訳ではなく、カードを1枚引き、そこに書かれている地形のマスにしか置けません
地形には草原、砂漠、森、花畑、谷の5つがあり、他にもありますが、これらに家は作れません。

1ターンに置ける家のコマは3つで、最初は(カードに書かれた地形の)好きな場所に置けますが、2個目からはすでにある家の隣にしか置けません
家の隣にまったく置けない状況の時は、また好きな場所に置けるようになります。

ボード上には「お城」と様々な「施設」があって、お城の横に家を建てておくと3点ゲット出来ます。
ただし同じお城の横に家をたくさん建てても点数は重複しません。

施設には「農場」「酒場」「オアシス」などがあり、農場の横に家を建てると「農場タイル」を、酒場の横なら「酒場タイル」を貰えます。
これらは各ターンの家設置前か設置後に使用でき、例えば農場タイルなら「草原に家を1つ置ける」、酒場タイルなら「家が直線に3つ並んでいる先にもう1つ置ける」などの効果があります。
使い捨てではなく、ターンごとに1回ずつ使えます

ただし1つの施設のマスに置かれているタイルは2枚だけで、なくなったら他の人は隣に家を作っても取得できません。
同じ人が1つのマスから2枚のタイルを得ることも出来ません。

施設タイルの種類と効果は以下の通りです。

農場:Farm:草原に家を1つ置ける
オアシス:Oasis:砂漠に家を1つ置ける
神殿:Oracle:カードに書かれた土地に家をもう1つ置ける
:Tower:ボードの端に家を1つ置ける
酒場:Tavern:家が直線に3つ以上並んでいる場所の先に1つ置ける

倉庫:Barn:家を1つ、カードの土地に移動させられる
:Harbor:家を1つ、水の上に移動させられる
牧場:Paddock:家を1つ、そこから直線で2マス先に移動させられる

Kingdom Builder キングダムビルダー
※最初は施設タイルの取り合いになります。 好きな場所に置ける最初の1手で、どのタイルを狙うかが非常に重要。
タイルの効果を使って家を置いたり、移動させたりする時も「すでにある家の隣に置ける時は、そこに置かなければならない」のルールは遵守しなければなりません。
ただし牧場だけは特殊で、移動先の近くに自分の家がなくても実行できます。
また牧場による2マス先への移動は、間に障害物があってもジャンプできます。


ゲームの目的は点数を稼ぐことですが、その方法はゲームごとに変わります
ゲーム開始時に3枚の「王国カード」が引かれ、画面上部に配置されます。
王国カードは 10 枚あり、それぞれに「水の横にある家1つ1点」とか「大きな町の家1つ2点」などの条件が書かれています。

カードの種類と条件は以下の通りです。

漁師:Fishermen:水の横にある家、1つ1点
鉱夫:Miners:山の横にある家、1つ1点
労働者:Workers:城か施設の横にある家、1つ1点
商人:Merchants:城か施設を家を並べて繋げると、接続1つ4点
市民:Citizens:一番大きな家のカタマリにある家の数、2つ1点
隠者:Hermits:家のカタマリの数、1つ1点
探検家:Discoverers:自分の家がある横のラインの数、1本1点
騎士:Knights:家が一番多くある横のライン上の家の数、1つ2点
領主:Lords:各エリアで一番家を多く持っている人12点、2番目の人6点
農民:Farmers:全エリアに家を建てる。一番少ないエリアの家、1つ3点

エリアというのがちょっと解りにくいですが、このゲームは4枚の小さなボードを並べて1つの大きなボードにしています。
この小さなボード1枚分が1つのエリア(セクター)です。

Kingdom Builder キングダムビルダー
※こんな風にボードは4つに区切られていて、領主が出ている時はいくつかのエリアに家を集中させ、農民が出ている時はまんべんなく家を置いていった方がボーナスが高くなります。

どの王国カードが出たかによって、戦法は毎回変える必要があります
漁師があるなら水の周囲を、鉱夫があるなら山の周囲を確保します。
商人が出た時は町の接続を狙いたいですが、商人がないならそれは全く考慮する必要はありません。

土地は早い者勝ちですから、相手の邪魔をするのも有効です。
相手が接続しようとしている施設の周囲を先に押さえたり、領地を伸ばして来れないよう壁を作るといった戦法が可能で、これは Hard のコンピューターも行ってきます。

王国カードによって点効率も変わり、領主は点数が大きいので優先して狙うべきで、逆に隠者はあまり点数にならないので無視するのも手です。

誰かの家のコマがなくなったら、その1巡でゲーム終了
点数を集計し、もっとも高かった人が勝利です。 同じ場合は引き分けです。
「誰かのコマがなくなったら終わり」なので、使い切れずに終わると損になります。
施設タイルを利用して、コマはどんどん置いていくべきですね。

Kingdom Builder キングダムビルダー
※施設の種類と王国カードは、開始時に自分で選択することも可能です。
この組み合わせによって展開が大きく変わるのがこのゲームの特徴。
コンピューター AI は Easy、Medium、Hard の3種類です。


Kingdom Builder キングダムビルダー
※得点集計画面。 どの方法でスコアを稼いだかが個別に表示されます。
赤のプレイヤーのように特定の条件を無視して、1つか2つの方法に集中するのも戦法の1つですね。


ドミニオンほどの革新性はありませんが、「ドイツ年間ゲーム大賞」を受賞しただけあって、遊びやすくて手頃な戦略性があります。
1ゲームの時間も短く、繰り返し楽しめるゲームです

インターフェイスも悪くなく、縦画面でも横画面でも遊べ、iPad で横向きにすると多人数で囲って楽しめるようなレイアウトになります。

ただ難点は、アプリの演出が乏しいこと。
サウンドが弱く、見た目もちょっと地味で、ゲームが終了した時もただ点数が表示されるだけ。
勝利しても音も賞賛もなく、もうちょっと「ヤッター!カッター!パンパカパーン!」みたいなものはないのかと。
オンライン対戦もありますが、オートマッチングはなく、ロビーに接続してプレイヤーを集める形式なので敷居が高いです。

しかしゲーム自体は十分楽しめるので、そんなに悪い訳ではありません。
価格は 300 円で、ドイツゲームアプリとしては安め。
ボードゲーム / ドイツゲームが好きな人は、押さえておくべきアプリでしょう。

Kingdom Builder(iTunes が起動します)