先月 26 日、注目の戦車戦ゲーム「World of Tanks Blitz」が発売されましたが・・・
同日、戦車戦を扱ったウォーボードゲームも発売されていました。
第二次世界大戦の北アフリカで行われた、砂漠の狐・ドイツアフリカ軍団 VS 砂漠の鼠・イギリス機甲師団の戦闘「エルアラメインの戦い」をテーマにしたアプリ。
「Desert Fox: The Battle of El Alamein」です。
この作品は iOS で展開されているウォーゲームシリーズ「Crisis in Command」の3作目で、1作目の Battle of the Bulge(バルジの戦い)、2作目の Drive on Moscow(モスクワ侵攻戦)と共通のシステムを持っています。
かなり玄人向けの設定やルール、難易度を持つ本格派のウォーシミュレーションなので、万人向けではないのですが、好きな人にはたまらない内容ですね。
前作までは最初は iPad 版のみで、iPhone にはアップデートで対応していたのですが、今回は最初から iPhone / iPad の双方に対応しています。
ボードゲームのアプリとしては、グラフィックやサウンドなどのクオリティーも高いです。

舞台となっている「エルアラメインの戦い」について簡単に説明すると・・・
時期的には第二次世界大戦の中期にあたります。
大戦初期のドイツの無双ぶりを見たイタリアは、「よーし、パパもやっちゃうぞー」とギリシャやエジプトに進軍、ヘタリアぶりを発揮して各方面で負けまくります。
イタリアに泣き付かれたドイツは、そのままでは地中海方面を連合軍に押さえられてしまうため、仕方なく援軍を派遣。
こうしてはるばる北アフリカに赴いたのが、「砂漠の狐」ことロンメル将軍の率いるドイツアフリカ軍団、通称 DAK です。
ドイツアフリカ軍団はイタリアと共にイギリス植民地の皆さんを撃退しますが、イギリスも部隊を派遣して反撃を開始、そのためドイツ軍は一旦後退します。
そして翌年、イギリスの補給線が伸びきった所で進攻を再開、イギリス軍を撃破して遂にエジプト前面の「エルアラメイン」まで迫りますが、ここでイギリスの司令官モントゴメリー将軍が登場、地雷を使って防衛陣地を構築します。
進撃によって今度はドイツの補給線が延びきっており、本国から遠く離れているため増援も乏しく、連戦の疲弊もあってドイツ軍はボロボロ。
それでも夜襲で地雷原を突破しようとしますが、砲撃と空爆でフルボッコにされ、迂回するための燃料も届かず、ドイツ軍は多大な被害を受けて敗退。
ロンメル将軍も持病でリタイアし、こうしてドイツアフリカ軍団の活躍は終わりを告げました。
今回はこの流れが、そのままボード上で再現されます。
つまり普通にやると、それでなくてもボロボロの状態でスタートするドイツ軍は地雷原でボコボコにされ、戦車は慢性的な補給不足に陥り、たまに補給できても空爆で妨害され、次々やってくるイギリスの援軍に押し込まれる事になります。

※オープニングのワンシーン。 豊富な解説と写真で当時の布陣が再現されます。
解説文は英語ですが、いかにも「ウォーゲーム」って感じでいいですね。

※ブリーフィング画面。 エジプト方面に装甲車と戦車を6部隊突破させると勝利になりますが、かなり難しい。
とりあえず勝利点を稼いでの勝利を目指しましょう。
戦闘中にブリーフィング画面を開くと、ノイズのかかった当時のラジオ放送や軍歌が聞こえます。 これがすごく雰囲気あって良いです。
前振りが長くなりましたが、ゲームはターン制の戦略シミュレーションです。
ただし1ターンにすべての部隊を動かせる訳ではなく、指定した1つのエリアにいる部隊のみ動かすことができます。
1つのエリアにユニットは3つまで配置可能です。
移動を終えるとそのユニットは行動終了になり、「時間」が経過して相手のターンになります。
これを繰り返しますが、行動終了になったユニットは日没して次の日になるまで移動できません。
敵と味方が同じエリアに入ると戦闘になります。
ただしこのシリーズは、他のゲームのように部隊がやられまくる事はありません。
余程の戦力差がないとダメージは1か2程度。
しかもそのダメージは耐久力がある部隊が受け持つため、そうそう壊滅しません。
よって戦局はなかなか動きませんが、その動かない状況をいかに打破していくか、数少ない隙を突いていくかが、このシリーズのポイントと言えますね。
勝敗は VP(勝利点)で決まり、特定のエリアを占領するか、敵を撃破すると増えていきます。
逆に部隊が壊滅すると勝利点が減るため、1つの部隊の生死が勝敗に大きく影響します。
勝利点はドイツ軍にのみ存在し、イギリス軍の場合はドイツの勝利点をマイナスにすることで勝利となります。

※インターフェイスの詳細。 左上のボタンでキャンセル、右上のボタンで決定。
ちょっと見辛いですが、部隊の横に付いている小さな赤いマークは補給不足を表します。
部隊章が付いているのはエリートユニットで、戦闘に補正を与えます。

※戦闘シーン。 両軍がバンバン撃ち合い、ヒットするとコマに穴が空きます。
基本的に防御側有利なので、不用意に突っ込まないように。
戦闘開始前に結果予想が表示されるので、それを参考にしましょう。
そして今作の特徴ですが、前述したドイツアフリカ軍団の状況を再現する、様々なルールが加えられています。
まず、このシリーズは孤立した場所にいる部隊は補給を受けられず、移動や戦闘にペナルティが付くのですが、ドイツ軍は支配地がマップの端まで繋がっていても、補給できるかどうかは運次第になっています。
道がある場所は補給できる確率が高いのですが、窪地などは低くなります。
さらにイギリス軍は毎日最初のターンに「空爆」を行え、任意の場所にいるドイツ軍を一定確率で補給不足にすることが出来ます。
さらにドイツ軍は、最初から部隊が大きなダメージを受けています。
毎日最初のターンに修理や回復を行えますが、1ポイントか2ポイントだけで、運が悪いとゼロ。
ドイツアフリカ軍団の補給不足を痛感せずにはいられません。
そして重要なルールが「地雷」。
敵の地雷が埋まっている場所で戦闘をするとペナルティが付きます。
地形を盾代わりに出来る窪地や丘に地雷も埋まっていたら、突破は非常に困難。
こんなところに突っ込んだら史実通り壊滅ですね。
ただ、地雷はこちらも設置できるので、うまく活用すれば有利に戦えます。
また地雷は歩兵(もしくは自動車化歩兵か偵察車両)で撤去でき、いかに相手の地雷原をなくしていくかが攻略のポイントになります。
そして今作のもっとも特徴的なルールが、週ごとに行う再編(Refit)と攻勢(Offensive)の選択。
週がゲーム内の何日で構成されているかは展開によって変わり、週の終わりにこの選択が提示されます。
再編(Refit)を選ぶと、次の週は休息します。
多めの回復を行え、補給物資を獲得でき、その週に到着する援軍が現れ、部隊の位置も変えられます。
さらに支配地には地雷を設置できます。
ただしそれは敵も同じ。 よって再編ばかりしていると、相手の守りもどんどん強固になっていきます。
攻勢(Offensive)は普通にゲームを進行します。
ただしこれを実行するには(ドイツ軍は)5つの補給物資が必要です。
補給物資は補給不足のユニットを回復させるのにも使えますが、無駄使いすると攻勢に出られなくなりますね。
また得られる補給物資の量はランダムで、足りなくなったら再編するしかありません。
攻勢を選んだ側は、その日の最初に「夜襲」を行うことも可能です。
全体として、守りやすく攻めにくいルールです。
これまでのシリーズも守る側が有利だったのですが、エルアラメインはイギリスが防戦で勝利した戦いなので、尚更そうなってますね。
ただ、今回はドイツも無理に攻勢に出なくても勝てる勝利条件になっています。
むしろイギリスの方が、後半攻勢に出ないといけないルールです。
シナリオはショートシナリオの「Ruweisat Ridge」と「Second Alamein」、メインシナリオの「El Alamein Campaign」の3つがありますが、ショートシナリオは短時間で終わる反面、パズル的な攻略が必要で運にも左右されるため、難易度は高いです。
ここではいきなりメインシナリオの El Alamein Campaign をプレイするのをお勧めします。
ちなみに1つの本体を交互に使う対戦(Face to Face)や、オンライン対戦も可能になっています。

※定期的にやってくる命令書。 ドイツ軍だとロンメル閣下のサインが入ります。
Offensive を選ぶには補給物資が5つ必要ですが、入手量はそれより少ないので、ずっと攻勢を続けるのは不可能。
いつ休んでいつ攻めるかも今回のポイントですね。

※夜襲シーン。 後半になるとイギリスも仕掛けてきます。
朝の移動と合わせて2回連続で動けるので、部隊の再配置に使うことも出来ます。
価格は 1000 円。 iOS のアプリとしては安くありません。
ただ本格的なウォーシミュレーションで、チープさは全くないので、ファンなら納得できる値段ではあります。
かなりヘビーでマニアックなゲームですが、絶滅しかけのウォーゲームというジャンルを、スマホ&タブレットで非常に高いクオリティーで維持してくれているシリーズであり、この手が好きな人には見逃せないアプリですね。
まったく万人向けではありませんが、これを見て「面白そう」と思えるタイプの人にはオススメです。
・Desert Fox: The Battle of El Alamein(iTunes が起動します)
【 ちょこっと攻略 : ゲームルール補足 】
●攻撃補正
・基本攻撃命中率は戦車 40 %、歩兵や装甲車は 30 %。
・高射砲(Flak)は 40 %、ただし防御時しか対地射撃は当たらない。
・攻撃は耐久力の分だけ実行する。(耐久力3なら3回攻撃)
□攻撃側
・補給不足だと兵科に関わらず基本命中率が 20 %になる。
・攻撃側に補給不足でないエリート戦車がいると +10 %。
・防御側に戦車か高射砲があると -10 %。
・防御側に耐久力が半分以上あるエリート歩兵がいると -10 %。
・ドイツ軍は補給不足でない戦車と歩兵が両方あると諸兵科連合効果で +10 %。
・イギリス軍の諸兵科連合効果は11週目まで適用されない。
□防御側
・窪地は1、丘は2のダメージを地形が肩代わりする。
・補給不足の戦車と高射砲は -10 %。
・自軍の地雷原があると +10 %。
・攻撃側に戦車がいると -10 %。
・夜襲を受けていると -10 %。
□攻撃/防御双方
・敵軍の地雷原があると1つあたり -10 %。
・14週目までイギリス軍は El Alamein 周辺だと砲撃支援を受けられ +10 %。
・15週目以降は場所に関わらず、イギリス軍は夜襲と最初の戦闘で砲撃支援を受けられる。
●地雷ルール
・地雷がある場所では戦闘に修正が付く。
・敵軍の地雷があると撤去するまで支配地にできない。
・地雷は歩兵、自動車化歩兵、偵察車両で撤去を試みることができる。
・撤去成功率は1ユニットあたり、ドイツ軍 30 %、イギリス軍 35 %。
・敵がいない場合、撤去成功率 +20 %。
●空爆と高射砲ルール
・イギリス軍は朝に航空支援により、指定したエリアのドイツ軍ユニットを補給不足の状態に出来る。
・成功率は1ユニットあたり、最初は 50 %、10周目(9月)からは 60 %、15周目(10月)からは 70 %。
・ドイツの高射砲(Flak)があるエリアと、そこに隣接しているエリアは、高射砲の耐久力1あたり成功率 -10 %。
・成功率の最低値は 20 %。
●補給/攻勢ルールとイニシアチブ
・今回は2週間で一区切りになっている。
・週の終わりに、まずイギリス軍が再編(Refit)か攻勢(Offensive)かを選択する。
・ここで攻勢(Offensive)が選ばれたら普通に戦闘が進行する。 イギリス軍が先行となり夜襲も行える。
・イギリス軍が再編(Refit)を選んだら、今度はドイツ軍が再編か攻勢かを選ぶ。
・ドイツ軍が攻勢を選んだら、ドイツ軍の夜襲と先行で戦闘が進行する。 ただし補給物資が5つ必要。
・ドイツも再編(Refit)を選んだ場合は「再編フェイズ」となり、両軍が補充、再配置、地雷設置を行う。
・週の2日目以降、イギリス軍が最初のターンに攻撃を行わなかった場合、その日でその週は終了となる。
・その日の終わりで次の週になる時は、左上の Day の表示が赤くなる。
・2日目以降、最初のターンにイギリス軍が攻撃を行った場合、翌日も戦闘が継続する。 ただし夜襲はなくなる。
・イギリス軍のユニットは再編フェイズになると耐久力の最大値が上がる。 どのユニットが上がるかはランダム。
・孤立したエリアは再編フェイズに敵軍のものになる。 ただし地雷がある場合は別。
・再編フェイズになると、敵地に進攻中の部隊は強制帰還となる。
・再配置できる数は、強制帰還になったユニットがいるとその分だけ減る。
・再編フェイズに戦場に到着したばかりの援軍は、再配置できる数を消費せずに移動させられる。
●その他のルール
・双方とも何も動かさずにパスした場合、その日は終了となる。
・夜襲は歩兵と自動車化歩兵しか行えない。
・夜襲の後は普通の自軍のターンになるので、つまり連続でターンが回ってくる。
・壊滅した部隊は最大耐久力が減り、耐久値が1の状態で、後で援軍として再登場する。
・ただし最大耐久力が1の状態で壊滅した場合は完全に消失する。
・11週目以降、ドイツ軍は1日ごとに勝利点1を得られる。
・15週目以降、ドイツ軍は1日ごとに勝利点2を得られる。
・22週目終了時、勝利点 10 以上でドイツの勝利、-10 以下でイギリスの勝利。
同日、戦車戦を扱ったウォーボードゲームも発売されていました。
第二次世界大戦の北アフリカで行われた、砂漠の狐・ドイツアフリカ軍団 VS 砂漠の鼠・イギリス機甲師団の戦闘「エルアラメインの戦い」をテーマにしたアプリ。
「Desert Fox: The Battle of El Alamein」です。
この作品は iOS で展開されているウォーゲームシリーズ「Crisis in Command」の3作目で、1作目の Battle of the Bulge(バルジの戦い)、2作目の Drive on Moscow(モスクワ侵攻戦)と共通のシステムを持っています。
かなり玄人向けの設定やルール、難易度を持つ本格派のウォーシミュレーションなので、万人向けではないのですが、好きな人にはたまらない内容ですね。
前作までは最初は iPad 版のみで、iPhone にはアップデートで対応していたのですが、今回は最初から iPhone / iPad の双方に対応しています。
ボードゲームのアプリとしては、グラフィックやサウンドなどのクオリティーも高いです。

舞台となっている「エルアラメインの戦い」について簡単に説明すると・・・
時期的には第二次世界大戦の中期にあたります。
大戦初期のドイツの無双ぶりを見たイタリアは、「よーし、パパもやっちゃうぞー」とギリシャやエジプトに進軍、ヘタリアぶりを発揮して各方面で負けまくります。
イタリアに泣き付かれたドイツは、そのままでは地中海方面を連合軍に押さえられてしまうため、仕方なく援軍を派遣。
こうしてはるばる北アフリカに赴いたのが、「砂漠の狐」ことロンメル将軍の率いるドイツアフリカ軍団、通称 DAK です。
ドイツアフリカ軍団はイタリアと共にイギリス植民地の皆さんを撃退しますが、イギリスも部隊を派遣して反撃を開始、そのためドイツ軍は一旦後退します。
そして翌年、イギリスの補給線が伸びきった所で進攻を再開、イギリス軍を撃破して遂にエジプト前面の「エルアラメイン」まで迫りますが、ここでイギリスの司令官モントゴメリー将軍が登場、地雷を使って防衛陣地を構築します。
進撃によって今度はドイツの補給線が延びきっており、本国から遠く離れているため増援も乏しく、連戦の疲弊もあってドイツ軍はボロボロ。
それでも夜襲で地雷原を突破しようとしますが、砲撃と空爆でフルボッコにされ、迂回するための燃料も届かず、ドイツ軍は多大な被害を受けて敗退。
ロンメル将軍も持病でリタイアし、こうしてドイツアフリカ軍団の活躍は終わりを告げました。
今回はこの流れが、そのままボード上で再現されます。
つまり普通にやると、それでなくてもボロボロの状態でスタートするドイツ軍は地雷原でボコボコにされ、戦車は慢性的な補給不足に陥り、たまに補給できても空爆で妨害され、次々やってくるイギリスの援軍に押し込まれる事になります。

※オープニングのワンシーン。 豊富な解説と写真で当時の布陣が再現されます。
解説文は英語ですが、いかにも「ウォーゲーム」って感じでいいですね。

※ブリーフィング画面。 エジプト方面に装甲車と戦車を6部隊突破させると勝利になりますが、かなり難しい。
とりあえず勝利点を稼いでの勝利を目指しましょう。
戦闘中にブリーフィング画面を開くと、ノイズのかかった当時のラジオ放送や軍歌が聞こえます。 これがすごく雰囲気あって良いです。
前振りが長くなりましたが、ゲームはターン制の戦略シミュレーションです。
ただし1ターンにすべての部隊を動かせる訳ではなく、指定した1つのエリアにいる部隊のみ動かすことができます。
1つのエリアにユニットは3つまで配置可能です。
移動を終えるとそのユニットは行動終了になり、「時間」が経過して相手のターンになります。
これを繰り返しますが、行動終了になったユニットは日没して次の日になるまで移動できません。
敵と味方が同じエリアに入ると戦闘になります。
ただしこのシリーズは、他のゲームのように部隊がやられまくる事はありません。
余程の戦力差がないとダメージは1か2程度。
しかもそのダメージは耐久力がある部隊が受け持つため、そうそう壊滅しません。
よって戦局はなかなか動きませんが、その動かない状況をいかに打破していくか、数少ない隙を突いていくかが、このシリーズのポイントと言えますね。
勝敗は VP(勝利点)で決まり、特定のエリアを占領するか、敵を撃破すると増えていきます。
逆に部隊が壊滅すると勝利点が減るため、1つの部隊の生死が勝敗に大きく影響します。
勝利点はドイツ軍にのみ存在し、イギリス軍の場合はドイツの勝利点をマイナスにすることで勝利となります。

※インターフェイスの詳細。 左上のボタンでキャンセル、右上のボタンで決定。
ちょっと見辛いですが、部隊の横に付いている小さな赤いマークは補給不足を表します。
部隊章が付いているのはエリートユニットで、戦闘に補正を与えます。

※戦闘シーン。 両軍がバンバン撃ち合い、ヒットするとコマに穴が空きます。
基本的に防御側有利なので、不用意に突っ込まないように。
戦闘開始前に結果予想が表示されるので、それを参考にしましょう。
そして今作の特徴ですが、前述したドイツアフリカ軍団の状況を再現する、様々なルールが加えられています。
まず、このシリーズは孤立した場所にいる部隊は補給を受けられず、移動や戦闘にペナルティが付くのですが、ドイツ軍は支配地がマップの端まで繋がっていても、補給できるかどうかは運次第になっています。
道がある場所は補給できる確率が高いのですが、窪地などは低くなります。
さらにイギリス軍は毎日最初のターンに「空爆」を行え、任意の場所にいるドイツ軍を一定確率で補給不足にすることが出来ます。
さらにドイツ軍は、最初から部隊が大きなダメージを受けています。
毎日最初のターンに修理や回復を行えますが、1ポイントか2ポイントだけで、運が悪いとゼロ。
ドイツアフリカ軍団の補給不足を痛感せずにはいられません。
そして重要なルールが「地雷」。
敵の地雷が埋まっている場所で戦闘をするとペナルティが付きます。
地形を盾代わりに出来る窪地や丘に地雷も埋まっていたら、突破は非常に困難。
こんなところに突っ込んだら史実通り壊滅ですね。
ただ、地雷はこちらも設置できるので、うまく活用すれば有利に戦えます。
また地雷は歩兵(もしくは自動車化歩兵か偵察車両)で撤去でき、いかに相手の地雷原をなくしていくかが攻略のポイントになります。
そして今作のもっとも特徴的なルールが、週ごとに行う再編(Refit)と攻勢(Offensive)の選択。
週がゲーム内の何日で構成されているかは展開によって変わり、週の終わりにこの選択が提示されます。
再編(Refit)を選ぶと、次の週は休息します。
多めの回復を行え、補給物資を獲得でき、その週に到着する援軍が現れ、部隊の位置も変えられます。
さらに支配地には地雷を設置できます。
ただしそれは敵も同じ。 よって再編ばかりしていると、相手の守りもどんどん強固になっていきます。
攻勢(Offensive)は普通にゲームを進行します。
ただしこれを実行するには(ドイツ軍は)5つの補給物資が必要です。
補給物資は補給不足のユニットを回復させるのにも使えますが、無駄使いすると攻勢に出られなくなりますね。
また得られる補給物資の量はランダムで、足りなくなったら再編するしかありません。
攻勢を選んだ側は、その日の最初に「夜襲」を行うことも可能です。
全体として、守りやすく攻めにくいルールです。
これまでのシリーズも守る側が有利だったのですが、エルアラメインはイギリスが防戦で勝利した戦いなので、尚更そうなってますね。
ただ、今回はドイツも無理に攻勢に出なくても勝てる勝利条件になっています。
むしろイギリスの方が、後半攻勢に出ないといけないルールです。
シナリオはショートシナリオの「Ruweisat Ridge」と「Second Alamein」、メインシナリオの「El Alamein Campaign」の3つがありますが、ショートシナリオは短時間で終わる反面、パズル的な攻略が必要で運にも左右されるため、難易度は高いです。
ここではいきなりメインシナリオの El Alamein Campaign をプレイするのをお勧めします。
ちなみに1つの本体を交互に使う対戦(Face to Face)や、オンライン対戦も可能になっています。

※定期的にやってくる命令書。 ドイツ軍だとロンメル閣下のサインが入ります。
Offensive を選ぶには補給物資が5つ必要ですが、入手量はそれより少ないので、ずっと攻勢を続けるのは不可能。
いつ休んでいつ攻めるかも今回のポイントですね。

※夜襲シーン。 後半になるとイギリスも仕掛けてきます。
朝の移動と合わせて2回連続で動けるので、部隊の再配置に使うことも出来ます。
価格は 1000 円。 iOS のアプリとしては安くありません。
ただ本格的なウォーシミュレーションで、チープさは全くないので、ファンなら納得できる値段ではあります。
かなりヘビーでマニアックなゲームですが、絶滅しかけのウォーゲームというジャンルを、スマホ&タブレットで非常に高いクオリティーで維持してくれているシリーズであり、この手が好きな人には見逃せないアプリですね。
まったく万人向けではありませんが、これを見て「面白そう」と思えるタイプの人にはオススメです。
・Desert Fox: The Battle of El Alamein(iTunes が起動します)
【 ちょこっと攻略 : ゲームルール補足 】
●攻撃補正
・基本攻撃命中率は戦車 40 %、歩兵や装甲車は 30 %。
・高射砲(Flak)は 40 %、ただし防御時しか対地射撃は当たらない。
・攻撃は耐久力の分だけ実行する。(耐久力3なら3回攻撃)
□攻撃側
・補給不足だと兵科に関わらず基本命中率が 20 %になる。
・攻撃側に補給不足でないエリート戦車がいると +10 %。
・防御側に戦車か高射砲があると -10 %。
・防御側に耐久力が半分以上あるエリート歩兵がいると -10 %。
・ドイツ軍は補給不足でない戦車と歩兵が両方あると諸兵科連合効果で +10 %。
・イギリス軍の諸兵科連合効果は11週目まで適用されない。
□防御側
・窪地は1、丘は2のダメージを地形が肩代わりする。
・補給不足の戦車と高射砲は -10 %。
・自軍の地雷原があると +10 %。
・攻撃側に戦車がいると -10 %。
・夜襲を受けていると -10 %。
□攻撃/防御双方
・敵軍の地雷原があると1つあたり -10 %。
・14週目までイギリス軍は El Alamein 周辺だと砲撃支援を受けられ +10 %。
・15週目以降は場所に関わらず、イギリス軍は夜襲と最初の戦闘で砲撃支援を受けられる。
●地雷ルール
・地雷がある場所では戦闘に修正が付く。
・敵軍の地雷があると撤去するまで支配地にできない。
・地雷は歩兵、自動車化歩兵、偵察車両で撤去を試みることができる。
・撤去成功率は1ユニットあたり、ドイツ軍 30 %、イギリス軍 35 %。
・敵がいない場合、撤去成功率 +20 %。
●空爆と高射砲ルール
・イギリス軍は朝に航空支援により、指定したエリアのドイツ軍ユニットを補給不足の状態に出来る。
・成功率は1ユニットあたり、最初は 50 %、10周目(9月)からは 60 %、15周目(10月)からは 70 %。
・ドイツの高射砲(Flak)があるエリアと、そこに隣接しているエリアは、高射砲の耐久力1あたり成功率 -10 %。
・成功率の最低値は 20 %。
●補給/攻勢ルールとイニシアチブ
・今回は2週間で一区切りになっている。
・週の終わりに、まずイギリス軍が再編(Refit)か攻勢(Offensive)かを選択する。
・ここで攻勢(Offensive)が選ばれたら普通に戦闘が進行する。 イギリス軍が先行となり夜襲も行える。
・イギリス軍が再編(Refit)を選んだら、今度はドイツ軍が再編か攻勢かを選ぶ。
・ドイツ軍が攻勢を選んだら、ドイツ軍の夜襲と先行で戦闘が進行する。 ただし補給物資が5つ必要。
・ドイツも再編(Refit)を選んだ場合は「再編フェイズ」となり、両軍が補充、再配置、地雷設置を行う。
・週の2日目以降、イギリス軍が最初のターンに攻撃を行わなかった場合、その日でその週は終了となる。
・その日の終わりで次の週になる時は、左上の Day の表示が赤くなる。
・2日目以降、最初のターンにイギリス軍が攻撃を行った場合、翌日も戦闘が継続する。 ただし夜襲はなくなる。
・イギリス軍のユニットは再編フェイズになると耐久力の最大値が上がる。 どのユニットが上がるかはランダム。
・孤立したエリアは再編フェイズに敵軍のものになる。 ただし地雷がある場合は別。
・再編フェイズになると、敵地に進攻中の部隊は強制帰還となる。
・再配置できる数は、強制帰還になったユニットがいるとその分だけ減る。
・再編フェイズに戦場に到着したばかりの援軍は、再配置できる数を消費せずに移動させられる。
●その他のルール
・双方とも何も動かさずにパスした場合、その日は終了となる。
・夜襲は歩兵と自動車化歩兵しか行えない。
・夜襲の後は普通の自軍のターンになるので、つまり連続でターンが回ってくる。
・壊滅した部隊は最大耐久力が減り、耐久値が1の状態で、後で援軍として再登場する。
・ただし最大耐久力が1の状態で壊滅した場合は完全に消失する。
・11週目以降、ドイツ軍は1日ごとに勝利点1を得られる。
・15週目以降、ドイツ軍は1日ごとに勝利点2を得られる。
・22週目終了時、勝利点 10 以上でドイツの勝利、-10 以下でイギリスの勝利。
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