ガラケー時代から続くモバイルゲームメーカー「コロプラ」。
昨年発売されたソーシャルクイズゲーム「魔法使いと黒猫のウィズ」が大ヒットし、一躍注目のメーカーになりましたが、その黒猫の制作チームが作った新作アクション RPG が先日公開されました。
白猫プロジェクト」です。

個人的な感覚では、このゲームは「ソーシャルゲーム」よりも「ゲーム」に近いアプリです。
(何を持って「ソーシャルゲーム」と呼ぶかの議論はここでは置いておきます)
課金ガチャはありますが、スタミナ制はなく、合成もなく、そして何よりプレイ感覚がソーシャルゲームのそれではありません。 普通にアクション RPG です

コロプラはガラケーからのメーカーであるため、どちらかと言うと古いタイプのソシャゲやミニゲームを作る印象が強いのですが、この作品は「王道 RPG を作る」というコンセプトであるためか、ゲーム性の高い内容になっています。

白猫プロジェクト

ワンフィンガー RPG」と銘打たれており、戦闘は指一本でプレイ出来るよう最適化されています
画面をスライドしてその方向に移動、タップで攻撃、フリックで回避します。

操作性はかなり良く、移動時には指をスライドさせた方向にスティックのようなものが「びよーん」と伸びます。
これは「ぷにコン」と題されていて、今後他のゲームでも活用されそうですね。

攻撃は自動的に近くの敵に行われるため、多くの敵がいても連打だけで OK です。
ただし向こうも反撃してくるため、危ないと思ったらフリックで回避しなければなりません。
アクション性は相応に高く、油断するとやられるぐらいの程よい難易度です。

パーティーメンバーは4人+助っ人1人。
ただし実際に戦うのはプレイヤーキャラ1人と、自動で戦う助っ人の2人のみ。
他のメンバーにはボタンで切り替える方式です。

そしてこの切り替えが攻略の重要なポイントになっています。
このゲームは「骸骨には打撃」「軟体の敵には魔法」「飛行敵には弓か槍」といった攻撃の相性があり、有利な攻撃だと 40 ダメージ与えられる敵に、それ以外の攻撃だと 4 ダメージしか与えられなかったりします。
10 倍ぐらい威力が違う

だから敵に合わせてキャラを変える必要があり、異なる武器を持ったキャラを編成に含めておくことが大切になります。

使える武器の種類はキャラごとに決められていて、攻撃のモーションも大幅に異なります。
剣や格闘はバシバシ連打でき、槍は単発攻撃ですが威力があって貫通します。
魔法は遠距離の単発系、弓は遠距離の連射系ですね。
ハッキリした違いがあって良いと思います。

各クエストの最後にはボスがいて、倒せばステージクリア。
フィールド上にトラップやスイッチなどのしかけがある場合も多く、マップの種類も豊富で、ちゃんと「アクションゲームらしさ」があります。
メンバーが全滅するとゲームオーバーですが、1人か2人やられたぐらいなら特にペナルティーはありません。

白猫プロジェクト
※左はちょっと解りにくいですが、ガイコツを格闘キャラが殴っているシーン。
45 ダメージ出てますが、剣で斬った場合は 3 とか 4 とかになります。
これを知らずに戦士で戦っているとボコボコにされるので要注意。
右はスキル発動シーン。 画面を押しっぱなしにするとスキルアイコンが出てきます。
スキル使用中は無敵ですしボス戦では惜します使いましょう。


ステージをクリアすると「ゴールド」「ソウル」といったポイントが得られ、さらに敵から「ルーン」を入手できます。

キャラクターの強化にはこのルーンとソウルを使うのですが、ソシャゲによくある合成ではなく、「ソウルボード」と呼ばれるスゴロク盤のようなものを使い、ここで好きな能力を獲得していけます。
FF10 の「スフィア盤」によく似ていて、自由度の高い成長システムになっていますね。

またプレイヤーは独自の町を持っていて、ゴールドを使って施設を建設できます
パーティー編成時のコスト、武器の所持数、最大フレンド数などは施設の建設と強化でアップさせていく方式で、ゴールドを生み出す金鉱や、特定の職業を強化する訓練所なども建てられます。

町は 3D グラフィックで表現されており、普段は上から見下ろしていますが、キャラクターを操作して散策する事も可能です。
仲間も町の中を歩いていて、タップで会話すれば親密度が上がります。

白猫プロジェクト
※左は町画面。 こういうのがあると楽しみが広がって良いですね。
右のソウルボードは、まんま FF10 のスフィア盤。 こういうコンシューマー的な方法でキャラを育てられるのは嬉しいです。
必要なソウルとルーンは中央から離れるほど多くなるので、まずは中心付近から獲得していきましょう。


ストーリーもしっかり作られていて、セリフの一部はボイスになっています
聖剣伝説 RoMマジック&カノン のように「途中からストーリーとは関係ないお使いクエばかりになる」という事もなく、ちゃんとメインストーリーを追うクエストが進行し続けるので、物語を見る楽しさがあります。

そして何より「スタミナ」がありません
プレイヤーはやりたいだけゲームが出来ます。
ゲームらしいゲームをスタミナを気にせずに遊ぶことができ、「当たり前の形」で楽しめます。

では課金はどうなっているのかと言うと、課金ガチャ以外に、経験値やアイテムの入手量が1時間2倍・3倍になる消費アイテムが売られていて、これがスタミナ課金の代わりのようになっています。
ただクエストの進行でも課金通貨はかなり頻繁に入手でき、消費アイテムの価格はそんなに高くないので、無課金でもこれらは十分に活用していけます。
私的には、時間のある時は2倍アイテムの使用がデフォだと思いますね。

課金ガチャをやって倍率アップも活用していると、さすがに課金通貨が足りなくなってきますが、しばらくやってみた感じでは無課金でも問題なく遊べる印象です
それでいて相応の課金欲求もあるので、「うまい調整だなぁ」と感じますね。

また、このゲームは最大4人で協力して戦えるマルチプレイヤークエスト「協力バトル」も用意されています。
友人と集まってプレイする際には盛り上がりそうです。

ただこのモード、オートマッチングはなく、ルームナンバーを入力して参加するクローズドなロビー形式のみで、つまりこのゲームをやっている知人同士でないとプレイ出来ません。
だから私のような、そういう知人を確保できない人にとっては宝の持ち腐れです。

モンスト がマルチプレイヤーを導入して大ヒットに繋がったので、こういうシステムが導入されていくのは自然な流れだと思いますが、ソロプレイしか臨めない人にとっては悲しくなりますね

※現在はアップデートでランダムマッチも導入されています。

他に難点なのは、バッテリーの消耗が激しいこと。
クオリティーの高い 3D グラフィックのゲームだから仕方ないのですが、私が iPhone 5 でプレイした限りでは、バッテリーは1時間で約 70 %消耗し、本体もかなり発熱します。
出先では充電できる環境でないとプレイし辛いでしょう。

またキャラの入手がガチャだけなので、例えば骸骨が出るステージで、ガチャ運が悪く骸骨に強い打撃キャラがいなかった場合、苦戦は免れなくなります。
無課金でも相応にガチャが出来るので「おそらく出ているだろう」という考えなのかもしれませんが、運が悪い人もいるので(例えば槍ばっかり出た私のように)、この点は唯一調整不足を感じます

※追記
後日判明したのですが、第三章まで進むと「マルチプレイヤーのレベル」を上げないとストーリーの進行が不可能になります。
つまりソロプレイではそれ以上進めません
このマルチ強制と言える、ソロしか出来ない人間を排除する仕様は、正直いただけませんね。


白猫プロジェクト
※ストーリーの会話シーンとマップ画面。 グラフィックが綺麗です。
ストーリーには引き延ばし感はなく、先が見たくなる物語で良いですね。
クリア済みの島は「HARD」を選べるようになり、おまけシナリオも展開されるので、アイテムの集めのついでに挑戦してみましょう。


全体としては、かなり高クオリティーな、手軽かつ本格的に遊べる「アクション RPG」です。
冒頭でも述べましたが、このゲームはソーシャルゲーム感が少なく、「王道 RPG を作ろう」というコンセプトが「本当に」再現されている印象です。

同じコンセプトで作られた DeNA の マジック&カノン は王道 RPG であったと同時に、ソシャゲも出来るだけ残そうとしていて、結局ソーシャルゲームの枠から出たものではありませんでした。
スクエニの 聖剣伝説 RoM もアクション RPG に「ソシャゲを盛り込んだ」内容で、結局ソシャゲでしかなく、ワンダーフリックドラクエモンスターズスーパーライト もソーシャルゲームとして作られています。

しかしこのゲームはこれらとは逆に、「ソシャゲのメーカーがその枠から出ようとした」のを感じます。
「普通のゲームを取り入れて、そちら側に近くなった」形で、前述のものとは方向が違いますね

そして結果的に、多くのユーザーが求めていたものが出来ていると思います。

白猫プロジェクト(iTunes が起動します)