チーム戦という形式と、魅力的なキャラクターで大人気となった 2D 対戦格闘ゲーム「THE KING OF FIGHTERS」シリーズ、通称 KOF
15 年以上に渡って制作され、本編だけで 13 作、リメイクや派生作なども含めると 20 を越える作品が登場している同シリーズの4作目と5作目が、スマホに移植されています。
THE KING OF FIGHTERS '97」「THE KING OF FIGHTERS '98」です。

移植を担当したのはフランスのレトロゲーム専門メーカー「DotEmu」。
DotEmu の移植は肝心な部分が欠けていたり、操作性に問題があることが多く、毎回ユーザーを心配させるのですが、今回は移植度だけで見れば十分な内容と言えます。
キャラの動きも滑らかですね。

ただ、スマホではすでに「THE KING OF FIGHTER-i 2012」が発売されています。
これと見比べると・・・ さすがに古い

KOF 97 / 98 は対戦格闘ブームの最中に発売されたもので、非常に人気があったため、この2作が移植対象になったのは確かに頷けるのですが、KOF-i 2012 があるのに今さらこっちが出てもなぁ、というのも本音です。

という訳で、いきなり本末転倒な書き出しですが、とりあえずレビューを進めたいと思います。

THE KING OF FIGHTERS

30 人以上に及ぶキャラクターの中から3人を選んでチームを組み、格闘バトルを行います。
1人目がやられると2人目が登場するという形式で、体力は引き継ぎ。
先に相手の3人目を倒した方が勝利です。

1チーム3人ですから、3つのキャラを使いこなす必要がありますが、様々なキャラが次々と登場するため、多彩なバトルが繰り広げられるのが良い点ですね。
「餓狼伝説チーム」「龍虎の拳チーム」など、基本となるチーム分けがありますが、どういうメンバーにするかはプレイヤーの自由です。

KOF '97」は 95~97 まで続いていた「オロチ編 三部作」と呼ばれるストーリーの完結編。
KOF '96 で飛び道具がほとんど削除されたため、打撃中心の内容です。
ただ隠しキャラとして飛び道具を持つ「'94 京」を選択可能で、他にも暴走庵など一通りの隠しキャラを最初から使えます。

KOF '98」は '97 でストーリーに区切りが付いたため、設定や物語を無視して 94~97 までの集大成として作られています。
登場キャラは最多クラスで、一部のキャラは '95 以前の飛び道具がある裏バージョンを選択可能です。
各キャラの強さのバランスが良く、対戦がかなり盛り上がった作品ですね。

どちらの作品もゲーム開始時に「ADVANCED」と「EXTRA」のプレイスタイルを選びます。

ADVANCED モードは攻撃したりダメージを受けると「ゲージ」が貯まっていき、最大になると「ストック」が1つ増え、これを消費して攻撃力を一定時間強化したり(パワーMAX)、超必殺技を発動させられます。
パワーMAX 時に超必殺技を使うと MAX 超必殺技になります。

EXTRA モードは '96 以前のモードで、ゲージの「タメ」を行うことができ、最大になれば超必殺技を放てます。
また体力が減ってピンチになると超必殺技を撃ち放題になり、ゲージ最大でピンチの時に超必殺技を放つと MAX 超必殺技になります。

スマホ版の場合、パワー MAX の発動やゲージのタメは画面上部の「顔」をタップ or 押しっぱなしで実行でき、超必殺技は体力ゲージをタップすれば手軽に発動させられます

KOF 97
※ KOF '97 のキャラクター選択画面。 画面下部にボスや隠しキャラ、チームに属さない単独キャラがいます。
京を選択するとすき間に「KYO '94」が現れ、これを選ぶと「くらえー」の京になります。
普通の京は「ボディがお留守」な京です。


KOF 98
※ KOF '98 のキャラクター選択画面。 裏キャラと追加キャラを含めると総勢なんと 50 名。
京や餓狼組、龍虎組、オロチ組を選ぶと「EX」のボタンが現れ、これをタップして OFF にしてから選択することで裏キャラになります。


ただこのアプリ、色々と気になる部分も目に付きます。
まずは操作性。 このゲームには ストIV VoltKOF-i 2012 のように必殺技を手軽に出せる SP ボタンが付いているのですが、その挙動がおかしい

SP ボタンだけを押すと飛び道具が出て、→+SP ボタンで対空攻撃が出るという場合に、レバーにまったく触れてなくても対空攻撃が出たりします。
急にランダムで別の技が暴発するような感じで、当然これではやられてしまいます。
アップデートで「SP ボタンの調整」が行われたはずなのですが、まだ治っていません。

レバーの挙動も、反応自体は悪くはないのですが、たまにナナメがスムーズに入力出来なくなる時があります。(画面から指を離して押し直すと治る)

また、これは解像度の違いのため仕方ないのですが、やはりドットの粗さが目立ちますね
画面サイズを「ウィンドウモード」にすると粗さの目立たない表示になりますが、ゲーム画面は小さくなります。
逆に iPhone 5 / 5s で画面サイズを一杯まで広げると(16:9)、外枠はなくなりますが、一昔前のワイドテレビみたいに横長になってしまいます。

対人戦も Bluetooth 接続のみで、オンライン対戦はなし。 おまけモードのようなものもありません。
KOF '97 にはトレーニングモードもありません。(98 にはある)
やはり KOF-i 2012 と比べると簡易的な印象を受けますね。
まあ新作の 2012 と違い、レトロゲームの移植なので、こんなもんだとも思いますが。

THE KING OF FIGHTERS
※ウィンドウモードだとこんな感じ。 粗さが目立たなくなり、指も邪魔にならなくなりますが・・・ さすがに小さい。
でも解像度の違いは仕方ないかな。


THE KING OF FIGHTERS
※物理コントローラー使用時のキー設定。 LR ボタンに必殺技・超必殺技を設定可能。
このゲームはコントローラーがあって初めて本領発揮ですね。


価格は '97 と '98、どちらも 400 円
KOF-i 2012 は 800 円なので、さすがに安くはなっています。
(が、実は今 2012 もセールで 400 円なので、価格面でもアドバンテージはなかったりする)

このアプリ、iPhone 用のコントローラーでも試してみたのですが、物理コントローラーでやるとだいぶ印象が変わります
私が試したのは Logicool G550 なので、方向キーに難がありプレイしやすいという訳ではなかったのですが、仮想ボタンが非表示になって見やすくなり、物理ボタンで攻撃できるのでダイレクト感が増し、なにより「いかにも格ゲーをやっている」という感じを受けます。

ホント、この手のゲームはコントローラーの有無で様変わりしますね。
SP ボタンの暴発も起こらなくなり、挙動がおかしいのも改善されます。

KOF シリーズのファンで、コントローラーでのプレイを考えている方なら、悪くはないかな、という感じでしょうか。

THE KING OF FIGHTERS '97 (iTunes が起動します)
THE KING OF FIGHTERS '98 (iTunes が起動します)